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TKC:税理士ネットワークを基盤にストック型安定成長、自治体向け特需も追い風
配信日時:2025/10/14 09:30
配信元:FISCO
*09:30JST TKC:税理士ネットワークを基盤にストック型安定成長、自治体向け特需も追い風
TKC<9746>は、会計事務所および地方公共団体向けにICTサービスを展開する独立系ベンダーであり、早くから自社開発・自社運用のクラウド基盤を整備し、サブスクリプション型のビジネスモデルを構築してきた。主力事業は会計事務所向けICTサービスで売上の6割超を占め、全国約1万1,500人の税理士を通じて64.7万社の法人税申告の実績があると同時に、32万7,000社の企業が財務会計システム「FXシリーズ」を利用している。残りは地方公共団体向けICTサービスと帳票印刷などの周辺事業で構成される。ビジネスモデルの強みは、解約率の極めて低い安定収益構造にあり、創業以来、顧客が増加し続けていることにより50期連続の黒字経営を実現している。
2025年9月期第3四半期累計(2024年10月~2025年6月)の業績は、売上高597億円(前年同期比8.3%増)、営業利益130億円(同4.2%減)と増収減益であった。売上拡大は「FXクラウド」を中心とする会計事務所向けの順調な伸びと、自治体システム標準化需要の取り込みによる。一方で、償却費の増加が営業利益を圧迫した。通期計画は売上高800億円(前期比6.4%増)、営業利益157億円(同1.3%増)の増収増益を見込む。特に地方公共団体向けは、国の「標準仕様準拠システム」への移行期限(2026年3月)を背景に特需局面を迎えており、対象約170団体のうち2025年9月期第4四半期で68団体、来期で残り約100団体の切替を予定している。進捗は計画を上回るペースであり、下期以降の収益寄与が期待される。
同社の強みは、税理士ネットワークを基盤とした低解約率の安定収益モデルにある。同社システムを利用する企業の黒字割合は57.2%と国税庁統計の黒字率(36.0%)を大きく上回っており、月次決算を通じて経営改善に貢献している点は競合との差別化要因となっている。主力の会計ソフト「FXクラウド」は、顧問先企業との関係性に基づくため解約率が低く、毎月安定的な利用料収入を積み上げるストック型ビジネスモデルが確立されている。
市場環境を見ると、電子帳簿保存法やインボイス制度などの制度改正が業務効率化需要を押し上げ、同社製品の競争力を高めている。自社運用のクラウド基盤を持ち、電子帳簿保存法やデジタルインボイスなどへの対応が可能である。
中期経営計画については、数値目標は外部公表されていないが、長期的には会計事務所向けの安定成長を基盤としつつ、自治体領域では住民サービスDXやマイナンバー連携など新規分野に事業機会を広げる方針である。もっとも、2027年9月期は特需の反動で一時的に売上が減少すると見込まれるものの、標準仕様への期限内対応を完了する強みもあり、今期、来期の一時的な売上高を除いた前期(2024年9月期)比でみれば依然として高水準の伸びを見込んでおり、結果として事業規模の底上げは実現すると考えられる。
2025年9月期の年間配当予想は110円(前期比10円増)で、これにより11期連続増配となる。株主還元方針は「配当性向50%を目標」とする基本方針に基づき、安定配当と増配を継続している。自己資本比率86.6%と、盤石な財務基盤を背景に、投資と配当の両立を実現している点が投資家から評価されている。株主層は会計事務所を中心に構成されてきたが、近年は機関投資家との対話も増加しており、個人・機関の双方に訴求する姿勢を強めている。
同社は制度改正や公共分野の標準化といった外部要因を追い風に、安定成長を続ける基盤を有している。短期的には自治体特需の反動減が懸念されるが、クラウド化や低解約率によるストック収益の安定性が長期的な成長を支えるだろう。今後も、制度適合の迅速性と顧客基盤の強固さを背景に、持続的成長と株主還元の両立に注目したい。
<HM>
2025年9月期第3四半期累計(2024年10月~2025年6月)の業績は、売上高597億円(前年同期比8.3%増)、営業利益130億円(同4.2%減)と増収減益であった。売上拡大は「FXクラウド」を中心とする会計事務所向けの順調な伸びと、自治体システム標準化需要の取り込みによる。一方で、償却費の増加が営業利益を圧迫した。通期計画は売上高800億円(前期比6.4%増)、営業利益157億円(同1.3%増)の増収増益を見込む。特に地方公共団体向けは、国の「標準仕様準拠システム」への移行期限(2026年3月)を背景に特需局面を迎えており、対象約170団体のうち2025年9月期第4四半期で68団体、来期で残り約100団体の切替を予定している。進捗は計画を上回るペースであり、下期以降の収益寄与が期待される。
同社の強みは、税理士ネットワークを基盤とした低解約率の安定収益モデルにある。同社システムを利用する企業の黒字割合は57.2%と国税庁統計の黒字率(36.0%)を大きく上回っており、月次決算を通じて経営改善に貢献している点は競合との差別化要因となっている。主力の会計ソフト「FXクラウド」は、顧問先企業との関係性に基づくため解約率が低く、毎月安定的な利用料収入を積み上げるストック型ビジネスモデルが確立されている。
市場環境を見ると、電子帳簿保存法やインボイス制度などの制度改正が業務効率化需要を押し上げ、同社製品の競争力を高めている。自社運用のクラウド基盤を持ち、電子帳簿保存法やデジタルインボイスなどへの対応が可能である。
中期経営計画については、数値目標は外部公表されていないが、長期的には会計事務所向けの安定成長を基盤としつつ、自治体領域では住民サービスDXやマイナンバー連携など新規分野に事業機会を広げる方針である。もっとも、2027年9月期は特需の反動で一時的に売上が減少すると見込まれるものの、標準仕様への期限内対応を完了する強みもあり、今期、来期の一時的な売上高を除いた前期(2024年9月期)比でみれば依然として高水準の伸びを見込んでおり、結果として事業規模の底上げは実現すると考えられる。
2025年9月期の年間配当予想は110円(前期比10円増)で、これにより11期連続増配となる。株主還元方針は「配当性向50%を目標」とする基本方針に基づき、安定配当と増配を継続している。自己資本比率86.6%と、盤石な財務基盤を背景に、投資と配当の両立を実現している点が投資家から評価されている。株主層は会計事務所を中心に構成されてきたが、近年は機関投資家との対話も増加しており、個人・機関の双方に訴求する姿勢を強めている。
同社は制度改正や公共分野の標準化といった外部要因を追い風に、安定成長を続ける基盤を有している。短期的には自治体特需の反動減が懸念されるが、クラウド化や低解約率によるストック収益の安定性が長期的な成長を支えるだろう。今後も、制度適合の迅速性と顧客基盤の強固さを背景に、持続的成長と株主還元の両立に注目したい。
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