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明日の株式相場に向けて=中小型不動産株にバブルの号砲は鳴ったか
配信日時:2025/09/17 17:29
配信元:MINKABU
きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比111円安の4万4790円と5日ぶりに反落。スピード警戒感が付きまとっていただけにいつ反動が出てもおかしくはなかったが、率にして0.25%の微調整にとどまった。相変わらずどこからともなく、しぶとく買いが入ってくる。崩れそうで崩れない。
前日の欧州株市場がほぼ全面安商状となり、そのなかドイツの主要株価指数であるDAXは1.8%近い下落をみせた。ここ政局不安をよそに戻り足を強めていたフランスのCAC40も7日ぶりに反落。この流れは米国株市場にも波及し、NYダウは一時200ドル強の下落となったが、その後は下げ渋った。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方は、引け際の手仕舞い売りで値を消すまでプラス圏で推移する局面も多く、結局安くはなったが下落率はわずかに0.07%とほぼ横ばいで着地している。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が9連騰で最高値更新基調を継続したこともあって、東京市場でも一方的なリスク回避ムードに支配されることはなかった。
きょうの売買代金トップは、前日のディスコ<6146.T>に代わり久々に東京エレクトロン<8035.T>が名乗りを上げた。株価も大幅高に買われ、東エレク1銘柄で日経平均に125円あまりの浮揚効果をもたらした。このほかアドバンテスト<6857.T>なども前半は強含みで推移したことで、日経平均は前引け時点でプラス圏に位置していた。きょうも一時4万5000円台に乗せる場面があったが、値下がり銘柄数の多さはいかんともしがたく、ほぼ8割の銘柄が値を下げては、さすがに東エレクが頑張っても指数をプラス圏に押し上げたままとはいかなかった。日経平均の構成比率、つまり影響度という点ではファーストリテイリング<9983.T>とアドバンテスト<6857.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>の3銘柄が一頭地を抜いており、これに少し遅れて東エレクが4位にランクされる状況にある。5位のTDK以下はガクッと影響力は弱まりどんぐりの背比べという状態。逆に上位4銘柄で日経平均構成比の30%以上を占めており、機関投資家目線で極論すればこの4銘柄を手の内のカードとして持っていれば、日経平均を操ることも十分可能といえる。
個人投資家は総じて逆張り志向であることは知られているが、高値圏で空売りに動く向きは底値圏で買い向かうのと比べてそれほど多くない。しかし、直近のネット証券大手の店内では個人の先物売りが急速に積み上がり、枚数べースで2万4000枚、金額ベースで500億円に達したという。また、個別銘柄の信用売り残も滅多に見られないレベルで増加している状況にある。つまり、ここから株価がクラッシュ気味に下げるであろうと読んでいる個人投資家は多く、逆張りの「売り」でポジションをガチガチに固めている。ところが、「人の行く裏に道あり花の山」や「友なき方へ行くべし」といった格言が示すように、相場は得てして多数派が負けるケースが多い。今回、この積み上がった売りポジションが首尾よく回転するのかどうか、その答えは今後の日経平均の動向に鮮烈に映し出されることになる。
目先の動きは置くとして、以前にも述べたが今の株式市場は近い将来の過激なインフレを予期するような軌道を描いているとも解釈できる。過激なインフレの匂いを発散させ、90年代の相場を経験してきた投資家のデフレマインドを否定するような動き。ゲームチェンジャーの一角に挙げられるのが不動産株だ。国土交通省が16日に発表した2025年の基準地価は、住宅地や商業地といった全用途平均の全国の上昇率が1.5%と4年連続で上昇し、これは約34年ぶり、バブル崩壊後では最大の伸び率である。特に東京圏ではほぼ9割の地点が上昇するなど伸びが顕著となっている。海外からの投資マネー流入が牽引役となっているが、インバウンド需要が良くも悪くも激しく作用している。
日銀が今後中期的に政策金利を引き上げる方向で動くとしても、日本の長期金利は欧米と比較してまだ格段に低い。土地価格の上昇ピッチでも欧米の後塵を拝しており、その観点では不動産セクターのバブルはまだ5合目にも到達していない公算がある。当然ながら三井不動産<8801.T>や三菱地所<8802.T>は指標株となるが、値幅効果を狙うのであれば中小型の不動産流動化関連である。PER面でまだ割安な銘柄が多く、これが改めて上値余地をイメージさせるモノサシとして機能する可能性がある。注目銘柄としてコスモスイニシア<8844.T>、アーバネットコーポレーション<3242.T>、アンビション DX ホールディングス<3300.T>、エスコン<8892.T>、ランドネット<2991.T>、サンフロンティア不動産<8934.T>などに目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、25年4~6月期の資金循環統計が朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、同時刻に7月の機械受注も発表される。前場取引時間中には3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。また、後場取引時間中に発表される8月の首都圏マンション販売にもマーケットの関心が高い。海外では英中銀による金融政策委員会の結果が注目され、ノルウェー中銀や南アフリカ中銀も政策金利を開示する。米国では週間の新規失業保険申請件数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の米景気先行指数などに耳目が集まる。7月の対米証券投資も開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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