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明日の株式相場に向けて=SBG大躍進と「イチキュッパ」の道標

配信日時:2025/09/11 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比534円高の4万4372円と大幅続伸。前日に約3週間ぶりに史上最高値を更新した日経平均であったが、この日もリスクオン相場が続き日経平均は4万4000円台に突入、後場取引開始後ほどなくして550円以上水準を切り上げ4万4400円目前まで上値を伸ばす場面があった。その後は買い疲れ感からいったん伸び悩んだものの、引けにかけて再び怒涛の勢いで投資マネーが押し寄せる形となり、ほぼ高値近辺まで浮上して取引を終えた。  前日の米国株市場ではNYダウこそ軟調だったが、引き続きAI周辺株や半導体関連株に買いが向かい全体相場の支えとなった。ナスダック総合株価指数とS&P500指数は小幅ながら上昇基調を堅持し、いずれも最高値を更新している。注目された8月の米生産者物価指数(PPI)だが、前月比で0.1%の低下となり、事前コンセンサスの0.3%上昇から下振れただけでなく、一転して低下に転じる結果となった。  これに対する米株市場の反応が注目されたが、どう消化すべきか分からないようなムードとなり、とりあえず来週行われるFOMCでは0.25%利下げというシナリオを本線として残した感じである。米国にインフレは存在しないというトランプ説が肯定されたような状況だが、PPIについては企業がコストを被って我慢している可能性もあり、やはり日本時間今晩に発表される消費者物価指数(CPI)の結果を見るまでは半信半疑というところかもしれない。しかし、仮に今回のFOMCで0.5%の利下げの可能性が高まったとして、米国株市場は一段と活気を帯びるのかどうか、微妙な要素もはらんでいる。  東京市場も足もとで日経平均の強さが際立つ。米ブルームバーグ通信が、日銀は混迷の度を増す国内政局に関係なく「年内利上げの可能性を排除しない姿勢」と報じ、市場関係者の間でも話題となった経緯があるが、これはよくあるパターンとはいえ奥歯に物が挟まったような言い回しで、年内利上げなしと確信している向きはそもそも少数派であるなか、大したインパクトを及ぼさなかった。国内10年債利回りも1.5%台後半でさしたる変化は見られず、為替も1ドル=147円台での推移に終始した。そうしたなか、日経平均だけが突出した強さを発揮している。  足もとでは米ブロードコム<AVGO>やオラクル<ORCL>の決算内容が米株市場で高く評価され、これが海を渡って東京市場にも大きな影響を与えている。しかし、日経平均のパフォーマンスは、上昇相場としてはかなりの強面(こわもて)で売り方ににらみを利かせているように見えて、中身をみるとギャップを感じさせる。きょうはソフトバンクグループ<9984.T>とアドバンテスト<6857.T>の2銘柄で日経平均を480円以上も押し上げている。何のことはない、この2銘柄を除けば日経平均は数十円の上げ幅にとどまり、もっと言えばこれに東京エレクトロン<8035.T>、ディスコ<6146.T>、フジクラ<5803.T>の3銘柄を加えた上位5傑で、何ときょうの“日経平均の上昇分すべてを埋めてしまう”形となっている。AI・半導体関連の大型株に投資資金が集結しているが、その他はやや白けたムードで、この日は値下がり銘柄数が値上がり数を160銘柄あまりも上回った。  きょうはソフトバンクGの売買代金が5200億円を超えマーケットの耳目を驚かせた。この異彩人気の背景にはオラクルの存在がある。オラクルの25年6~8月期の受注残高が飛躍的に伸び、5月末と比較して3.3倍となる4550億ドル(約67兆円)に急拡大したことが分かり、マーケットは色めき立ったわけだが、その関連最右翼がソフトバンクGという位置付けである。トランプ米政権が打ち出す大規模AIインフラ計画「スターゲート」において両社は同士の関係にあり、マーケットを刮目させた「オラクル・エフェクト」がソフトバンクGの時価総額を押し上げる旋風と化した。だが、これはあくまでオラクルの評価であって、ソフトバンクGのファンダメンタルズに対するアプローチは一切なく、「壮大なる坊主めくり相場」と皮肉る声も市場関係者からは聞かれる。ソフトバンクGはかつてITバブルさなかの2000年2月に19万8000円(修正前の当時の株価)の大天井をつけ、その後に約95%の崩落を経験した。そこから不死鳥のごとく甦り、今はそのバブルの頂をはるか上方から見下ろす株価水準にある。これ自体凄いことだが、今の状況に果たして死角はないのか。そうしたなか、当時の「イチキュッパ」が25年の時を経て再び意識される場面となってきた。つまり、時価は1万9800円の高値まであと10%程度に迫っており、「これが2000年当時の状況と妙に符合して暗示性が感じられる」(ネット証券マーケットアナリスト)というのである。  あすのスケジュールでは、この日は株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日となる。このほか前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。後場取引時間中には7月の鉱工業生産確報値が開示される。海外ではロシア中銀が金融政策決定会合を行い政策金利が発表されるほか、8月のインド消費者物価指数(CPI)が開示される。米国では9月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)にマーケットの耳目が集まる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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