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明日の株式相場に向けて=「データセンター爆需」で沸騰する銘柄群

配信日時:2025/09/10 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比378円高の4万3837円と反発。遂にというべきか8月18日の高値をクリアし最高値圏に突入した。前日の米国株市場でもNYダウ、ナスダック指数揃って最高値を更新しておりこれに追随した形だ。高値警戒感も半端なく、ちょっとタイミングを間違えればヤケドしそうな怖さがあるのだが、だからこそ強いともいえる。ある意味、投資家と相場の我慢比べの構図にも見えてくる。  前日を振り返ると、日経平均が朝方に500円超の上昇をみせたものの、その後は漸次水準を切り下げ後場に入るとマイナス圏に足を踏み入れ、おまけに引け際に売り直されほぼ安値引けとなっていた。メジャーSQに絡むオプション絡みの思惑は買い方勝利で幕を引いた感があり、その後日経平均の軟化は株式に対する実需の弱さを暗示したようにも見えたのだが、きょうはそうした思惑とは裏腹に、前日の嫌なムードなど忘れ去ったと言わんばかりであった。今は理屈が通用しない、流れに乗るか乗らないかという相場である。表現は悪いが南海トラフ地震のようなもので、中期的には大幅な調整局面に遭遇する確率はかなり高いが、いつ訪れるかは皆目分からない。9月相場はアノマリー的にも警戒すべき月であったが、現状は世界的なリスクオンに東京市場も包み込まれるような状況となっている。  相場に活を入れたのはAIデータセンター関連のシンボルともなっている米オラクル<ORCL>の存在である。同社が現地時間9日取引終了後に発表した25年6~8月期決算は売上高やEPSが市場予想の中央値を若干下回ったものの、6~8月期の受注残高が目を見張る伸びを示し、5月末と比較して3.3倍となる4550億ドルに急拡大したことが判明した。当然ながらオラクルの売上高は今後飛躍的に伸びることが約束されたものとなり、株価はこれを好感して時間外取引で何と28%高と暴騰した。そして、この事実はオラクル1社にとどまる話ではない。驚異的な普及速度で我々の日常と同化する生成AIを背景に、ハイパースケーラーの設備投資が加速するなか、AIデータセンターに対する爆発的な需要が改めて浮き彫りとなった。  これを受けて東京市場でも、AIデータセンター関連もしくはその周辺に位置する銘柄群の株価が強く刺激される格好となった。まず、プライム市場で断トツの売買代金をこなし1000円あまりの急騰を演じてみせたのがソフトバンクグループ<9984.T>だ。同社はトランプ米政権が打ち出した大規模AIインフラ計画「スターゲート」で主導的役割を担うが、米オラクルもソフトバンクGと協業でこのプロジェクトの推進役となっている。オラクル・エフェクトで発生した上昇気流によって時価総額23兆円のソフトバンクGも唸りを上げて舞い上がる格好となった。更に最高値圏をまい進するアドバンテスト<6857.T>はAIサーバーに搭載されるAI半導体向けテスターで圧倒的競争力を有しており、ソフトバンクGと同じ風に乗った。そして、極め付きとなったのはフジクラ<5803.T>や古河電気工業<5801.T>などの電線株だ。、AIデータセンターにとって血管となっている光ファイバーなどの光デバイスは絶対に欠かせない。今日はフジクラ、古河電いずれも5.6%台の大幅高で、売買代金でも上位に食い込んでいる。ではここから注目すべき銘柄は何か。  フジクラや古河電の陰に隠れがちだが、電線業界の老舗で電力系ケーブルに強いSWCC<5805.T>が出遅れ修正に向かいそうだ。戦略商品である環境配慮型の高電圧電力ケーブル用コネクター「SICONEX」は電力設備増強に必須の商品として実績を重ねている。また、データセンター関連で抜群の人気素地を持っているのがデータセクション<3905.T>である。値動きは荒いが、株価の瞬発力や出来高流動性で抜きん出ている。既に動兆著しいが、75日移動平均線を滑走路に上放れ前夜の雰囲気を漂わせる。  精工技研<6834.T>は持ち前の光学技術と精密加工技術を併せ持つ強みでデータセンター向け光コネクターが絶好調に推移、会社側想定を上回る水準の需要を獲得し業績に反映させている。26年3月期営業利益は前期比7%増の30億円を見込むが大幅な上方修正が有力視される状況だ。また、東京エネシス<1945.T>は多面的な切り口があり、原発関連としての側面がクローズアップされがちだが、データセンター関連の変電設備の新設・増設案件の受注拡大が顕著となっている。当欄で8月初旬に取り上げた八洲電機<3153.T>も本領を発揮し最高値圏を快走しているが、現状で投資指標面などから過剰に買われている感触はなく、目先の押し目は狙えそうだ。このほか、PBR0.7倍台でバリュー株としての範疇でも注目される三櫻工業<6584.T>は、データセンター用水冷ソリューションに引き合いが旺盛であり、熱マネジメント製品の量産を進捗させる構えにある。  あすのスケジュールでは、8月の企業物価指数、対外・対内証券売買契約、7~9月期法人企業景気予測調査などがいずれも朝方取引開始前に発表される。取引時間中に8月のオフィス空室率、8月の投信概況が開示される。海外では欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表、この日はトルコ中銀の金融政策決定会合も行われる。米国では8月の消費者物価指数(CPI)への関心が高く、週間の米新規失業保険申請件数と合わせて注目される。このほか、8月の米財政収支の発表、米30年物国債の入札も予定されている。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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