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明日の株式相場に向けて=下水道関連株に再び流れ込むホットマネー
配信日時:2025/09/02 17:30
配信元:MINKABU
きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比121円高の4万2310円と3日ぶり反発し、リスクオフ相場にとりあえず歯止めがかかった。前日は日経平均先物主導の売り仕掛けによって一時900円近い急落に見舞われた。CTAによるAIアルゴリズムによる高速トレードが跋扈(ばっこ)しているが、それに目が慣れてきたという面もあるのか、個別株との距離感は全体指数とは別個のものという認識が個人投資家にも浸透してきているように見える。
きょうの日経平均だけを見ると戻り足が非常に愚鈍なものに感じられるが、TOPIXについては全く異なる。前日は12ポイント弱の下落にとどまったのに対し、きょうは18ポイント超の上昇で、ざっくり5割増しで返金してもらっているような格好となった。これだけを見ても前日の日経平均急落は見せかけだけの波乱に過ぎなかったことが分かる。9月12日のメジャーSQ算出日に向けて、まだ何回かヤマ場はありそうだが、あくまで木を見る投資で冷静に対処したい。もし、相場のトレンドが変わるとすれば、指数だけでなく個別銘柄にも広範囲に影響が及ぶはずで、これは投資家のマインドも一緒に持っていかれてしまっている状況を意味する。米国株が崩れることが前提となるが、その時はいったん“店じまい”が必要で、機動的に対応できるように準備は怠らないようにしておく必要はある。
個別株物色の流れという点では、きょうの業種別騰落で商社と海運が1位と2位に名を連ねたことにも反映されているが、バリューシフトの潮流が発生している。生成AI関連のテーマは、現状でバブルであったという見方自体はほぼ否定された形といってよいが、それでもバリュエーション面で割高という論調が強く、今の風向きは芳しくない。しかし株式市場を取りまく待機資金は潤沢であり、「9月相場は用心」という思惑をよそに「何か買いたい」という物色意欲の強さは払拭されない状態にあるようだ。
今のバリュー指向に国策のテーマをかませると、その交点にまず浮かび上がるのは下水道インフラ再構築に代表される国土強靱化関連だ。元来、建設周辺セクターには割安株が多い。きょうはシンボルストックの一角を担う日本ヒューム<5262.T>の物色人気が加速し、一時11.7%高の3770円と値を飛ばし、大幅に上場来高値を更新した。さすがに同社株について言えば、ここまで買われるとPERやPBRなどで割高感は強いが、例えば当欄でも複数回取り上げてきたイトーヨーギョー<5287.T>などは、年初から株価をほぼ倍化させているにもかかわらず依然としてPBRは0.8倍弱に過ぎない。今年に入ってからの同社株の売買代金の変化をみても瞭然で、いかにこれまで“蚊帳の外”に放置され続けてきたかということにもなるのだが、そうした銘柄群にリベンジの順番が回っているのである。
下水道インフラ関連は日本ヒュームの動きが象徴するように、テーマ性が改めて浮き彫りとなっている。前週末に事実上締め切られた2026年度の概算要求では、総額で122兆円台と過去最大に膨張したと報じられた。その内訳にマーケットの視線が注がれている。国土交通省は前年度比約2割増しとなる7兆812億円を要求し、そのうち上下水道やトンネルなどの老朽化対策は同3割増しと厚く盛られている。今年1月の埼玉県八潮市の県道交差点で起こった道路陥没事故のインパクトが強過ぎる。何はともあれ下水道インフラの予防保全・補修を含めた道路整備の重要性が強く意識されているのは間違いない。社会的に衝撃度の大きい事象に関しては株式市場も本気モードとなることを、下水道インフラ関連銘柄への投資資金流入が物語っているともいえる。
同関連株で改めてチェックしておきたいのは、まず、月島ホールディングス<6332.T>が挙げられる。かつてのイメージからは想像しにくい小型成長株顔負けの快足ぶりを見せつけているが、週足陽線の大きさが目を引くようになったのは8月上旬以降であり、上場来高値圏とはいえ相場としてはまだ若い。26年3月期はトップライン・利益ともに過去最高更新が見込まれ、株価は直近9連騰で押し目を待ちたいところだが、打診買いから入って様子をみて買い増すという手法でも十分妙味がありそうだ。また、前澤工業<6489.T>も連日で年初来高値を更新しており、実質的な青空圏を舞い上がっている。26年5月期は増収増益予想でPER11倍、PBRは1.2倍に過ぎない。更に下水道関連としては穴株に属する三菱化工機<6331.T>にも目を配りたい。下水道処理場向けガスホルダー設備など排水処理設備の建設では高い実力を有している。26年3月期営業利益は連続ピーク利益更新を見込み、売上高も1997年3月期以来、実に29年ぶりの過去最高更新が濃厚となっている。このほか、25日移動平均線との上方カイ離がほぼ解消された水道機工<6403.T>も目先狙い目か。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に9月の日銀当座預金増減要因見込みが開示されるほかは、国内では特に目立ったイベントは見当たらない。海外では8月の中国非製造業購買担当者景気指数、ポーランド中銀の政策金利発表のほか、米国では7月の雇用動態調査(JOLTS)にマーケットの関心が集まる。また、7月の米製造業受注、米地区連銀経済報告(ベージュブック)も発表される。米主要企業の決算発表ではセールスフォース・ドット・コム<CRM>の5~7月期決算が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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