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明日の株式相場に向けて=ステーブルコインと下水道関連に資金集結

配信日時:2025/08/27 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比125円高の4万2520円と反発。日経平均は反発したもののTOPIXは小幅ながら安く引けており、様子見ムードに支配された1日であった。ひとことで言えばエヌビディア<NVDA>の決算発表待ちということになるが、皮肉にもエヌビディアの関連最右翼であるアドバンテスト<6857.T>が強さを発揮する形となり、同社株1銘柄で日経平均を132円押し上げている。何のことはないアドテストを除けば日経平均もわずかにマイナス圏で着地した勘定となる。個別株もプライム市場の値上がり銘柄数を値下がりが上回ったが、その差は50銘柄あまりでこちらも拮抗していた。これが嵐の前の静けさなのかどうかは分からないが、ピアノ線を張ったような静寂の中で保たれたバランスが印象に残る相場であった。  日本時間28日の午前5時頃に開示されるエヌビディアの四半期決算を通過した後、果たして半導体セクターに投資資金が還流してくるのかどうかだが、きょうは前場取引時間中にいったん潮目の変化を感じる局面があった。アドテストやディスコ<6146.T>といったAI半導体関連株に位置付けられる銘柄は朝方は“気迷いモード”全開、売り方も買い方も腰が引けた状態でどっちつかずの動きだった。しかし、アドテストは後場寄りに大口の買いが入り一時5.7%高の1万1530円まで水準を切り上げ、7月につけた7月16日の上場来高値まであと500円に迫る場面があった。ディスコも同様に後場寄りに上げ足を加速するタイミングがあった。一方で疑心暗鬼も払拭し切れず、高値では持ち高を減らす動きが優勢となり、両銘柄とも今一つ上値追いに伸びを欠いた。  エヌビディアの決算内容自体は好調が予想されるが、どこに落とし穴があるか分からないというのもイベントドリブン戦略の常である。オプション市場のデータでは決算発表後にエヌビディアの株価が上下6%変動する可能性を示唆しているという。どちらに振れるかは分からないが、無風で通過するということはなさそうである。最先端AI半導体「ブラックウェル ウルトラ」の出荷拡大はアマゾン<AMZN>やグーグルなどのハイパースケーラーの投資意欲に左右されるが、これについては楽観的な見方が強いようだ。中国向け「H20」についてはさまざまな要因が絡みあって不透明感が強く、これはエヌビディアにとってはアキレス腱となり得るが、「悪いシナリオを先に織り込んでいる面もあり波乱要素はそれほど大きくない。前向きな発言が出ればそれはボーナス」という市場関係者の声もある。  エヌビディア案件はどちらかと言えば全体指数の方向性にリンクしやすい。半導体関連に限らず、先物を絡めた指数売買の圧力を受けやすい主力大型株への影響度が大きくなる。その観点では国策として始動している下水道インフラなど内需系テーマや、ステーブルコインなど仮想空間系のテーマは、日経平均の動向などと離れて我が道を行くことが可能だ。  ステーブルコイン関連ではアステリア<3853.T>が依然として超新星の輝きを保っているが、いかんせん“秒で流れが変わる”ため、よほど腕に自信のある超短期トレーダーでない限り観賞用の対象としておく方が無難である。週明けまで6営業日連続ストップ高で、前日も一時465円高に買われた後に急降下し、253円安まで売り込まれ大引けも153円安となった。きょうもボラティリティの高い動きに終始したが、大引けは高値引けに迫る勢いで19.3%高と気を吐いた。ステーブルコイン関連でもう一つ爆発的な光を放っているのがインタートレード<3747.T>だ。きょうは値幅制限上限まで気配値のまま浮上し、途中剥がれる場面は何度かあったが、結局ストップ高カイ気配に張り付いた状態で引けている。  下水道インフラ関連で活躍が期待される銘柄群にも物色の矛先が向いている。国を挙げて待ったなしでの対策が動きだしていることは、色褪せることのないテーマ性を担保している。国土交通省は国道4739カ所で地下の空洞を確認し、119カ所については陥没する懸念が高いとする調査結果を公表した。119カ所すべてを修繕し、早急に完了させることを目指すが、この調査は国道の2万810キロを対象とし5カ年計画で実施する方針。2024年度についてはこのうち3079キロを調査したというが、28年度までに残りの約1万8000キロも調べる予定にある。これは見方によっては、ビッグプロジェクトの2合目あたりということになる。関連銘柄では大盛工業<1844.T>が大化けを果たしたが、まだ相場は終わっていない感触だ。また、きょうはNJS<2325.T>が業績予想増額を受けて人気化した。このほか、日本ヒューム<5262.T>、日水コン<261A.T>、イトーヨーギョー<5287.T>などに改めて着目。新しいところでは旭コンクリート工業<5268.T>をマークしたい。  あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に2年物国債の入札が行われる。また、日銀の中川審議委員が山口県の金融経済懇談会で挨拶を行い、午後に記者会見が予定されている。海外では韓国金融通貨委員会が行われ韓国中銀が政策金利を発表するほか、フィリピン中銀も政策金利を開示する。米国では、25年4~6月期の実質国内総生産(GDP)改定値、週間の新規失業保険申請件数、7月の仮契約住宅販売指数などが発表される。また、米7年物国債の入札も行われる。このほか、ウォラーFRB理事の講演が予定され、その発言内容が注目される。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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