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明日の株式相場に向けて=沸騰相次ぐAI関連株「次の無双」を追う

配信日時:2025/08/21 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比278円安の4万2610円と3日続落。ジェットコースター相場が続いているが、日本時間であすの夜11時に予定されているパウエルFRB議長の講演を前に、機関投資家は下手に動くと罰金でも取られそうな雰囲気ではある。きょうはプライム市場の売買代金も4兆円そこそこにとどまった。しかし、個人投資家を中心とした個別株物色は相変わらず活発であり、値上がり銘柄数も多く、全体の4割を超えた。主力値がさ株への売りが日経平均を押し下げる一方、時価総額の小さい銘柄に波状的な資金流入が観測されており、小型株指数はプラスで引けている。日経平均4万2000円台は中長期スタンスに立てば依然として本腰を入れて買い向かう水準ではなさそうで、引き続きキャッシュポジションは高めで維持しておくところ。欲を言えばもうひと押し入れるのを待って、4万1000円台までは引きつけたい。しかし、個人好みの中小型株については別世界で、機動的に対処して妙味を満喫することが可能だ。  米国ではAI関連株の割高感が意識され始めたというが、そもそもこれは今に始まったことではない。いわゆる高値警戒感からの利益確定売りニーズが潜在するなか、それを顕在化させるうえで口実が欲しいというのが本音だ。実際のところこれまでAI関連は思惑で株価を走らせ、その反動で転び調整局面に移行、そして改めて下値で拾い直されるというプロセスが繰り返されてきた。ただ、バブル崩壊という状況にはまだ距離があるとみてよい。  エヌビディア<NVDA>などはその典型で、これまで何度も株価上昇トレンドの終焉説がメディアに踊ったが、その都度ショート戦略にのめり込んだ向きは、踏み上げ相場の肥やしにされてきた。エヌビディア株は目先ちょうど25日移動平均線を下回ったところで、これにAIバブルの何度目かの警鐘を鳴らすタイミングを合わせてきた感がある。売り方が本気で仕掛けているわけではなく、出遅れた向きが買い場を求めている。つまりパフォーマンスでの後れを取り戻したいがゆえの、“買いたい弱気”の意味合いが強いのではないか。  「実は米国株市場では、今年に入ってからAI関連企業に対する評価がかつてなく高まっていた。その流れの中であえてネガティブな論調が湧き上がってきた」(中堅証券マーケットアナリスト)という声がある。バリュエーションでは割高なのは承知のうえで物色ニーズは旺盛なのだが、過熱感が強いのも事実であり少し冷ます期間が必要ということだ。東京市場においては、AI関連株が米国と比較しても、未だ大きな相場に発展していない状況で、それだけに出世株候補が数多く控えているということはいえる。  AI関連では業績を様変わりさせているfonfun<2323.T>が需給相場入りの兆候を見せ始めている。同社の飲食店向け日次決算総合プラットフォームがリクルートホールディングス<6098.T>傘下のリクルートが提供するPOSレジアプリと売上データ自動連携を開始したと発表したことが直近の材料だが、この材料の軽重について論じるよりは昨年2月高値727円を上抜いたことに着目。全員参加型仕手株の号砲が鳴った印象がある。今期業績は06年3月期の営業過去最高益を今期に20年ぶりに上回る見通しだが、ちなみにその前年である05年には、4380円(分割後修正株価)の最高値を形成していた。  このほかAI関連で注目しておきたい銘柄としては、まず金融や製造業向けにAI活用のデータ分析コンサルティング及び解析システムなどを提供しているセカンドサイトアナリティカ<5028.T>。株価は上下動を織り交ぜながら、上げ足を本格化させてきた印象で、今月14日に開けたマドを埋めることなく新値街道に復帰する公算がある。また、300円台と株価に値ごろ感のあるアエリア<3758.T>は、スマートフォンゲームのほかグッズ販売や不動産事業など幅広いエリアに展開するが、早くからAI分野にも布石を打っており、最近はAIチャットアプリの配信で新境地を開拓している。ギークス<7060.T>はフリーランスIT人材の紹介及び育成事業を手掛ける。企業のAI人材に対する需要を捉えており、業績は回復色が鮮明、26年3月期営業利益は前期比41%増の7億円を見込んでいる。このほか、IoTプラットフォームの開発・提供を行いM&A戦略も駆使してトップラインの伸びが顕著なソラコム<147A.T>もAI関連に傾注しており、直近では生成AIボットサービスの提供を開始している。今月18日に1255円の高値をつけた後押し目を形成していたが、仕切り直しのタイミングをうかがう。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される7月の全国消費者物価指数(CPI)にマーケットの関心が高い。また、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。後場取引時間中には日本チェーンストア協会が7月の全国スーパー売上高を発表する。海外では英小売売上高のほか、米ワイオミング州・ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演(日本時間午後11時の予定)が予定され、その発言内容に市場の耳目が集まる。なお、23日土曜日は韓国の李在明大統領が来日(~24日)し、石破首相との日韓首脳会談が行われる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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