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7月は10営業日で最高値更新、“完璧な1週間”も (2) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】

配信日時:2025/08/20 11:40 配信元:MINKABU
●主なポイント  ○7月の株式市場は上昇基調が続き、終値での最高値を10回更新しました。市場は目先の不確実性は看過し、関税問題の解決に注目し、万事うまくいくとの見方が広まりましたが、(今のところ)当初の経済指標にも関税による経済への深刻な悪影響は見られていません。さらに、雇用と企業利益の面でも経済は力強さを維持しており、どちらのトレンドも今後も続くと思われます。S&P500指数は7月に2.17%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス2.24%)。6月は4.96%上昇(同プラス5.09%)、5月はそれまでの下落から反発に転じて6.15%上昇(同プラス6.29%)、4月は0.76%下落(同マイナス0.68%)でした。過去3ヵ月では13.83%と力強い上昇となり(同プラス14.21%)、年初来では7.78%上昇(同プラス8.59%)、過去1年では14.80%上昇(同プラス16.33%)となりました。2024年は23.31%上昇(同プラス25.02%)でした。   ⇒7月のS&P500指数のトータルリターンはプラス2.24%でしたが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス0.09%でした。4月8日に付けた直近安値からのトータルリターンはプラス27.72%と大幅なものになりましたが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス14.49%でした。とはいえ、年初来で見るとマグニフィセント・セブンはS&P500指数をアンダーパフォームしており、指数全体の年初来トータルリターンがプラス8.59%となったのに対し、マグニフィセント・セブンを除くとプラス5.71%でした。  ○7月の主なデータ   ⇒7月のS&P500指数は上昇基調が続き、22営業日のうち10営業日で終値での最高値を更新しました。月曜から金曜まで毎日最高値を更新するパーフェクトな週も達成しました(取引時間中の最高値は6427.02、終値での最高値は6389.77)。S&P500指数は7月に2.17%上昇し、6月の4.96%上昇、全面高となった5月の6.15%上昇を合わせると、3ヵ月累計で13.83%上昇しました。7月は22営業日のうち13営業日で上昇しました。6月は20営業日のうち13営業日で上昇しました。  また、7月は値上がり銘柄数が減少したものの、引き続き値下がり銘柄数を上回り、279銘柄が値上がり、222銘柄が値下がりしました。6月は340銘柄が値上がり、163銘柄が値下がり、5月は347銘柄が値上がり、155銘柄が値下がり、4月は168銘柄が値上がり、331銘柄が値下がり、となりました(3月は154銘柄が値上がり、349銘柄が値下がり、2月は248銘柄が値上がり、255銘柄が値下がり、1月は355銘柄が値上がり、148銘柄が値下がり)。年初来では293銘柄が値上がり、210銘柄が値下がりとなっています。7月の出来高は前月比3%減、前年同月比では41%増となりました。    →7月は11セクターのうち6セクターが上昇しました。6月は9セクター、5月は10セクター、4月は5セクター、3月は2セクター、2月は6セクター、1月は10セクターが上昇しました。7月のパフォーマンスが最高となったのは情報技術で5.16%上昇しました(年初来では13.26%上昇、2023年末比では53.68%上昇)。パフォーマンスが最低だったのはヘルスケアで3.44%下落しました(同5.38%下落、同4.52%下落)。   ⇒S&P500指数は7月に2.17%上昇して、6339.39で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.24%)。6月は4.96%上昇して6204.95(同プラス5.09%)、5月は6.15%上昇して5911.69(同プラス6.29%)でした。過去3ヵ月では13.83%上昇(同プラス14.21%)、年初来では7.78%上昇(同プラス8.59%)、過去1年では14.80%上昇(同プラス16.33%)となりました。2024年は23.31%上昇(同プラス25.02%)、2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。    →コロナ危機前の2020年2月19日に付けた高値(3386.15)からは87.22%上昇(同プラス103.59%)となっています。  ○米国10年国債利回りは6月末の4.24%から4.36%に上昇して月を終えました(2024年末は4.58%、2023年末は3.88%、2022年末も3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは6月末の4.78%から4.89%に上昇して取引を終えました(同4.78%、同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。  ○英ポンドは6月末の1ポンド=1.3733ドルから1.3218ドルに下落し(2024年末は1.2520ドル、2023年末は1.2742ドル、2022年末は1.2099ドル)、ユーロは6月末の1ユーロ=1.1785ドルから1.1433ドルに下落しました(同1.0360ドル、同1.0838ドル、同1.0703ドル)。円(対米ドル)は6月末の1ドル=143.98円から150.72円に下落し(同157.32円、同141.02円、同132.21円)、人民元は6月末の1ドル=7.1641元から7.1944元に下落しました(同7.2770元、同7.1132元、同6.9683元)。  ○7月末の原油価格は6.4%上昇し、6月末の1バレル=64.99ドルから同69.18ドルとなりました(2024年末は同71.75ドル、2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は7月に1.2%下落し、1ガロン=3.247ドルとなりました(6月末は3.338ドル、2024年末は同3.128ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル)。2020年末から原油価格は42.9%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は39.4%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。   ⇒2025年6月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、52%が原油(ディーゼルは45%)、16%(同20%)が販売・マーケティング費、16%(同19%)が精製コスト、16%(同17%)が税金となっています。  ○金価格は6月末の1トロイオンス=3318.40ドルから上昇し、3349.30ドルで7月の取引を終えました(2024年末は2638.40ドル、2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル)。  ○VIX恐怖指数は6月末の16.73から16.72に下落して7月を終えました。月中の最高は19.48、最低は14.70でした(2024年末は17.35、2023年末は21.67、2022年末は17.22)。   ⇒同指数の2024年の最高は75.73、最低は10.62でした。   ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。   ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。  ○目標株価も上昇しました。S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標株価は前月から4.1%上昇して6942となり、現在値から9.5%上昇が見込まれています。6月末時点では7.5%上昇の6668、5月末時点では6575でした。ダウ平均の目標株価は前月から4.6%上昇し、現在値から10.0%上昇の4万8565ドルとなっています(6月末時点では5.4%上昇の4万6452ドル、5月末時点では4万6128ドル)。 ●トランプ大統領と政治  ○上院は7月1日、下院で可決された「1つの大きくて美しい法案(OBBB)」の修正案を可決しました。バンス副大統領が上院でタイブレーク票(賛成と反対が同数の場合の決裁票)を投じました。法案は再び下院に送られ、審議された上で可決されました(賛成218、反対214)。その後、トランプ大統領に送られ、トランプ大統領は署名の意向を表明し、7月4日に式典の中で法案に署名し、同法は成立しました。   ⇒OBBBでは、2017年に第1次トランプ政権下で施行された減税措置(3.9兆ドル)が延長される他、新たな減税措置(約1.1兆ドル)が追加され、政府債務上限は現行の36.1兆ドルから5兆ドル引き上げられます。メディケイドに関しては支給額が削減され、受給資格に就労要件が追加されます。SALT(州・地方税)控除の上限は、5年間にわたり現行の1万ドルから4万ドルに引き上げられます。さらに、防衛および移民対策予算が確保され、残業代、チップ、社会保障給付が一部非課税となります。  ○世界一の富豪であるイーロン・マスク氏は、新党「アメリカ党(America First)」の結成を表明しました。  ○議会のその他の動きは以下の通りです。   ⇒議会は暗号資産ステーブルコインの発行者に対する規制枠組みを定めたGENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins)を可決しました。同枠組みでは、ステーブルコイン発行者は資本準備金の登録基準を満たすことが求められます。    →これによりステーブルコインの発行に対して流動性の高い短期資産の裏付けが求められるため、財務省短期証券(Tビル)の需要が高まる可能性があります。   ⇒下院は2つの暗号資産法案を可決し、現在は上院で審議されています。    →1つは、デジタル資産市場明確化法案(Digital Asset Market Clarity Act)で、暗号通貨を証券(米証券取引委員会[SEC]が規制監督)またはコモディティ(米商品先物取引委員会[CFTC]が規制監督)として分類する際の基準を明確化するものです。    →もう1つは、反CBDC監視国家法案(Anti-CBDC Surveillance State Act)で、米連邦準備制度理事会(FRB)が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行することを禁止するものです  ○米議会予算局(CBO)によるOBBB法の最終見積によると、2026会計年度に2770億ドルの支出増となる一方、関税によって2100億ドルの歳入が見込まれることから、同法による財政赤字は2026年度に670億ドル、今後10年間で3660億ドルになると推定されています。  ○今後の主なイベント   ⇒8月12日:中国を対象とした10%を超える相互関税の適用停止期間(90日間)の期限日   ⇒9月16-17日:FOMC会合   ⇒9月17日:TikTok禁止法の3回目の施行延期期間の期限日   ⇒9月30日:米国の財政支出の執行権限の期限日 ※「7月は10営業日で最高値更新、“完璧な1週間”も (3)」へ続く 株探ニュース

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