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明日の株式相場に向けて=8月クラッシュ再現の確度と個別株戦略
配信日時:2025/08/04 17:30
配信元:MINKABU
週明け4日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比508円安の4万290円と大幅続落。前週末の欧米株全面安を受け下値模索やむなしの展開だった。前週から流れは悪く、7月の最終売買日となった木曜日に日経平均が400円あまりの上昇で投資家の過度な弱気傾斜を防いだが、名実ともに8月相場入りとなった週末1日は再び下値を探り先行きに暗雲が漂った。案の定その流れが加速するかのように、同日の欧州株が全面安となり、そして米国株市場ではNYダウが5日続落し、相対的に強さを発揮していたナスダック総合株価指数も2.2%安と大幅安に見舞われることに。そのバトンを週明けの東京市場が改めて引き継ぐ格好で、リスクオフのスパイラルを想起させる地合いとなった。
リスクオフを加速させる背景となったのは7月の米雇用統計だ。非農業部門の雇用者数が事前予想を3万人程度下回ったが、これ自体はよくあることで大した問題ではない。マーケット心理を揺さぶったのは、5月と6月分の雇用者数の大幅な下方修正だ。5月分は14万4000人から1万9000人に、6月分は14万7000人から1万4000人に、いずれも一桁変わっており、推計が含まれるとはいえハードデータにここまでブレが生じると、ある意味事件である。米経済失速はショート筋にすれば垂涎の売り仕掛け材料となる。加えて、トランプ米大統領の傍若無人ぶりがここでもクローズアップされ、米労働統計局長を即行解任し、市場関係者を驚かせた。クグラーFRB理事も任期前倒しで辞任を発表したが、これは定かではないもののトランプ米大統領の圧力が働いた可能性もある。クグラー氏の後任は当然トランプ氏の息のかかった人選となる。9月利下げの可能性が高まったことはポジティブという捉え方もあるが、FRBの独立性などお構いなしである。市場では「相場の自律神経が失われ、利下げ実施で株価が下落するような事態に陥らないとも限らない」(ネット証券マーケットアナリスト)という声も聞かれた。
ちょうど1年前、8月の最初の3営業日で東京市場はフラッシュクラッシュに見舞われたが、今回もその残像がチラつく。幸いにもきょうは米株先物がプラス圏で推移し、これを横目に日経平均も朝安後は一貫して下げ渋る動きとなったが、火種は残った感じである。オーガスト・クラッシュ再びの可能性はゼロではない。今は焦って押し目買いに動かず、引き続きキャッシュポジションは高めで維持しておくところ。国内政局も相当不安定で、頼みの外国人買いもそろそろ売り越しに転じておかしくはない。
ただし全体相場が総論警戒でも、今のところ待機資金は潤沢ゆえ、個別株で機動的に対処することは可能だ。全体地合いに左右されにくい決算プレーに短期資金の目が向くのは仕方ないが、決算通過後の銘柄を中心にテーマ買いの対象として強い動きを示している銘柄も少なくない。決算発表というノイズに左右されにくい銘柄選択も一法である。
まず、石破政権の持続性は置くとして、誰が首相であっても国策として推し進めなければならない案件、いわゆる買い安心感が担保されるテーマに着目したい。生成AIの社会実装加速を背景としたデータセンターの増設や、流通システム改革にスポットライトが当たる農業、また老朽化対策で、予防保全や再構築が待ったなしの下水道インフラなどが挙げられる。データセンター関連はフジクラ<5803.T>など電線株を筆頭に幅広い銘柄に物色が広がっているが、ここにきて継続的な資金流入が観測される八洲電機<3153.T>に目を配っておきたい。同社はデータセンター向け特殊空調で好調に売り上げを積み上げ、業績好調でなおかつPER面でも割安感がある。一方、農業関連では当欄でも継続フォローしている農業総合研究所<3541.T>に改めて買い攻勢が目立っており、二度咲きの気配が漂う。下水道インフラ関連では大盛工業<1844.T>の上げ足に拍車がかかっており、貸株市場を通じたショート筋の踏み上げを誘い需給相場の様相を呈しつつある。
このほか国策関連ではないところでは、パチンコ・パチスロ周辺銘柄が強い。ゲンダイエージェンシー<2411.T>や円谷フィールズホールディングス<2767.T>などが上値を慕う展開にあり、目先の押し目はマークしておきたい。更に、韓国コスメ人気を背景にアステナホールディングス<8095.T>なども目立たないが我が道を行く強調展開で、PER・PBR・配当利回りなどから依然として割安感がある。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(6月16~17日開催分)、8月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に10年物国債の入札が行われる。国内主要企業の決算では、エーザイ<4523.T>、リクルートホールディングス<6098.T>、ダイキン工業<6367.T>、三菱重工業<7011.T>、バンダイナムコホールディングス<7832.T>、三井不動産<8801.T>、日本郵船<9101.T>、ソフトバンク<9434.T>、メルカリ<4385.T>などがある。海外では7月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、4~6月期インドネシア国内総生産(GDP)、6月の米貿易収支、7月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、米3年物国債の入札など。米国主要企業の決算ではアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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