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明日の株式相場に向けて=半導体株と下水道関連株に再攻のシナリオ
配信日時:2025/07/29 17:30
配信元:MINKABU
きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比323円安の4万674円と3日続落。上下にボラティリティの高い相場が続いている。前週23日に日経平均は1400円近い急騰を演じ、翌24日も650円あまりの上昇をみせ、たった2営業日で2000円以上も水準を切り上げたのは驚きであった。“株は需給が最優先される”の言葉通り、個別株ごとに積み上がっていた売り建玉の踏み上げや、ショート筋のアンワインドによる先物主導のインデックス買いが派手な上昇パフォーマンスに反映されたわけだが、行き過ぎた振り子は戻りの振れ幅も大きくなるのが道理であり、短期間で上げ過ぎた反動が前週末から今週前半にかけて顕在化した。
とはいえ、直近3営業日で今度は1100円超の下落をみせており、まさにジェットコースターを想起させる揺さぶりに翻弄される投資家も少なくないはずである。きょうはプライム市場の売買代金も4兆円台をかろうじて維持した水準にとどまり、参戦をためらう投資家の気迷いムードを投影した。欧州に続いて、次は米中間の関税交渉を見極めたいという思惑も指摘されていたが、「今の東京市場の地合いの弱さは内憂によってもたらされたもの」(中堅証券ストラテジスト)という声も強い。何といっても数万部規模の号外まで配布された石破首相の退陣が誤報であったという現実が、今の東京市場の憂鬱を映し出している。
もちろん、今週は米国にビッグイベントが盛り沢山であることも影響している。米国ではGAFAMなど大手IT企業の決算発表が相次ぐうえ、6月のPCEデフレーターや7月の米雇用統計など重要経済指標が目白押しだ。更にこれに先立ってFOMCの結果発表と、パウエルFRB議長の記者会見に市場の耳目が集まることになる。今週のFOMCでは利下げが見送られる可能性が高いが、問題は次回9月16~17日のFOMCで利下げが決定される可能性に、パウエル氏が言及するかどうかが一つの注目点となる。パウエル氏の後任人事にマーケットの関心が集まっているが、解任されない限りは来年5月まで任期が残っていることも事実だ。市場関係者からは「会合後の会見で、パウエル氏が容赦なく圧をかけてくるトランプ米大統領の意向に従ってハト派路線に傾斜した印象を与えれば、米株市場はポジティブに反応する公算が大きいものの、パウエル氏のキャリアには傷がつくことになる。PCEデフレーターや雇用統計発表前の時間軸ということも含め、毅然とした態度を示せるかが注目される」(生保系アナリスト)という指摘が聞かれる。
他方、今週は日本国内ではFOMCに1日遅れる形で日銀の金融政策決定会合と植田日銀総裁の記者会見が予定されている。トランプ関税の落としどころが見えない段階で利上げはしにくいというのがこれまでの流れだが、今回、曲がりなりにも合意に至ってトーンが変わるのかどうかという点にマーケットの視線が向いている。ただ、市場では「今回合意文書が伴わず、トランプ氏の機嫌次第でいくらでも内容が変わるリスクがあるという点に加え、政局に不透明感が極まるなか利上げに踏み込めるような環境ではない。実際問題として年内は難しいとみる」(前出の中堅証券ストラテジスト)という声が出ている。現状を見る限り、今回開示される展望リポートで物価見通しの上方修正は不可避と思われ、植田発言と合わせてマーケットがどういう判断をするかは未知数である。
個別株に目を向けると、きょうは半導体関連株が軟調で全体相場を押し下げたが、前日の米国株市場ではAI用半導体の象徴株となっているエヌビディア<NVDA>が最高値街道を走っている状況下で環境自体は大きく変化していないといえる。ストップ安ウリ気配に張り付いたさくらインターネット<3778.T>の暴落が気勢を削いだ面もあったが、電線株などデータセンター関連などに売りが波及した形跡は乏しい。その意味で、きょう引け後のアドバンテスト<6857.T>の好決算はポジティブに評価でき、あす以降に楽しみを残した。
このほかでは下水道関連株に波状的な買いが押し寄せている。政争に関係なく同分野は国策の後押しが担保されている。そのなか、実態面から評価不足歴然なのは土木管理総合試験所<6171.T>で、400円近辺の押し目は引き続き注目だ。このほか、下水道関連で新たにマークしておきたい銘柄はヤマックス<5285.T>や日特建設<1929.T>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントは見当たらないが、この日は7月権利落ち日にあたり実質8月相場入りとなる。なお、国内企業の決算発表ではオリエンタルランド<4661.T>、富士通<6702.T>、村田製作所<6981.T>、日産自動車<7201.T>、日本航空<9201.T>などに投資家の関心が高い。海外では6月の豪消費者物価指数(CPI)、4~6月期ユーロ圏実質域内総生産(GDP)速報値、カナダ中銀の政策金利発表、ブラジル中銀の政策金利発表のほか、米国では7月のADP全米雇用リポート、4~6月期実質GDP速報値、6月の仮契約住宅販売指数、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見などにマーケットの耳目が集まる。米企業の決算発表では、クアルコム<QCOM>、メタ・プラットフォームズ<META>、マイクロソフト<MSFT>などが注目されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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