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明日の株式相場に向けて=主力ではなく材料株に針路をとる
配信日時:2025/07/24 17:30
配信元:MINKABU
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比655円高の4万1826円と大幅続伸。前日に日米関税交渉の合意を好感する形で1400円近い急騰を演じた後だけに、きょうは買い一巡後は上値が重いはず、という見立ても市場関係者の間では多かった。ところが、フタをあけてみるとCTAによる先物への速射砲的な買いが問答無用に日経平均を押し上げる格好となった。日経平均は一時4万2000円を突破し、昨年7月11日の史上最高値に肉薄、大引けはやや伸び悩んだものの4万1800円台で着地し、連日で年初来高値を更新した。昨日のトヨタ自動車<7203.T>の大立ち回りや、連日にわたるメガバンクの物色人気を反映して、TOPIXの方は一足先に史上最高値の更新を果たしている。
石破首相の退陣については本人が否定したが、何か既定路線に乗せられてしまっているような形で、マーケットは次期政権を意識しながらの展開。次の首相は容易に予想がつかないが、誰がなっても財政拡大政策への思惑が一人歩きしている状況にある。長期金利の上昇は不気味だが、もう全部まとめて「インフレ=株高」といったような短絡的な楽観ムードも漂う。相互関税と自動車関税を15%にとどめたことは、石破政権最後のファインプレーのような評価をする人もいるが、その見返りでトランプ米政権と約束させられた内容は結構酷いものがある。トランプ米大統領には「日本との合意で5500億ドルの署名ボーナスを獲得した」と放言され、おまけにベッセント財務長官は「日本が貿易合意の内容を順守しているかどうか四半期ごとに精査し、トランプ米大統領が不満なら関税(自動車関税と相互関税)を25%に戻す」とまで言われる始末。同盟国の立場も何もない状況だが、株が高いうちは「関税15%バンザイ」ということになるのであろう。
その株式市場に目を向けると、全体指数に連動しやすい大型株だが、前日と今日の値動きを見る限り、日替わりで主役どころが入れ替わっているため思うほど個別株で底上げの恩恵を享受するのも難しい部分がある。例えば前日は米関税引き下げを素直に好感され爆発的な物色人気を集めた自動車株も、きょうは主力どころのトーンダウンが顕著となった。シンボルストックとなっているトヨタは強弱観対立のなか、PBR1倍が車輪止めとなって下値抵抗力は発揮しているものの、前日の急騰を経て更に上値を買い進むほど投資資金は陶酔した状態にはない。フシ目の3000円台回復は近くて遠いメルクマールとなっている。前日にも触れたトヨタ系の自動車部品メーカー各社には物色資金が波及したが、値を飛ばした銘柄が相次いでいるとはいえ、総括すればこちらも若干腰が引けた状態にある。
これに代わって三菱重工業<7011.T>が商いを膨らませ大幅高を演じ、IHI<7013.T>なども上値を追ったが、何のことはない防衛関連は、前日のリスクオン環境で音無しの構えにあった銘柄に比較感から資金が向かう循環物色の域を出ていない。先物主導のCTAが演出した指数パフォーマンスで、実需買いの匂いがしないといえばネガティブに過ぎるかもしれないが、この2日間で日経平均は2000円以上水準を切り上げたにもかかわらず、これを白けた面持ちで眺めていた投資家も少なくなかったのではないか。長期金利の上昇を追い風とするメガバンクなど銀行株が総花的に買われたのはセオリー通りだが、これもテーマ買いの動きとは趣を異にしている。ダイナミズムの伴わない機械的な買いであった。
ここで「森」全体の動きを気にしていたら手が出しにくい。幸いにも中小型株物色の流れは継続している。潤沢な待機資金の存在を意識しながら引き続き「木」の方に神経を集中し、個人投資家目線で動きの軽い材料株に照準を合わせておきたい。半導体周辺株ではM&A戦略が軌道に乗るミナトホールディングス<6862.T>が底値買い好機を示唆。また、エヌビディア関連の一角であるAKIBAホールディングス<6840.T>。同社株は前日にローム<6963.T>とパートナー契約を締結し株価を急動意させる場面があったが、この日の長い上ヒゲは単発終了を意味するものではなく、確変モード移行を暗示している可能性がある。
パワー半導体では三社電機製作所<6882.T>の切り返しに期待。これ以外で自動車周辺では樹脂成型部品で高技術力を持つ三光合成<7888.T>の上昇一服場面や、OEMで実績が高い児玉化学工業<4222.T>の再動兆が著しい。最後に仮想通貨関連では、今後は国内でもビットコインなどの普及が本格化するなか、ステーブルコインに関するデータ連携システムのパッケージソフトで先駆するアステリア<3853.T>に動意前夜の気配が漂う。
あすのスケジュールでは、7月の都区部消費者物価指数(CPI)、週間の対外・対内証券売買契約、6月の企業向けサービス価格指数などがいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には5月の景気動向指数改定値や6月の外食売上高、少し遅れて6月の全国百貨店売上高の発表などが予定されている。個別企業の決算ではファナック<6954.T>、SCREENホールディングス<7735.T>、ルネサスエレクトロニクス<6723.T>などが注目されそうだ。海外では6月の英小売売上高、7月の独Ifo企業景況感指数、6月の米耐久財受注額のほか、ロシア中銀の金融政策決定会合の結果にもマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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