注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:海外半導体決算や米経済指標などに注目、週末にかけポジション整理の動きへ
配信日時:2025/07/12 13:47
配信元:FISCO
*13:47JST 国内株式市場見通し:海外半導体決算や米経済指標などに注目、週末にかけポジション整理の動きへ
■米国関税政策の不透明感重しに小幅なもみ合いに終始
今週の日経平均は週間で241.20円安(-0.61%)の39569.68円で取引を終了。週間の高安値幅は473円にとどまり、少なくとも24年以降で最小。非常に小幅なもみ合いレンジに終始する状況となり、40000円の大台にタッチすることもなかった。
週初から米国の関税政策に対する不透明感が重しとなった。7日には、トランプ米大統領が日本に対して25%の関税を8月1日から賦課することを発表した。7月9日の交渉期限が延長される形となったこと、35%の水準にまで引き上げられる可能性も意識されていたため、サプライズは限定的だったが、関税交渉に対する楽観的な見方は後退する方向に。また、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売り需要の発生も想定されていたため、需給面での上値抑制要因になったとみられる。週後半にかけては長期金利低下に伴う米半導体株の上昇などが支援となるも、週末には指数寄与度の高いファーストリテイリングが決算発表を受けて大幅安となり、日経平均の足を引っ張る形となっている。
なお、7月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5775億円買い越し、先物は2000億円売り越したものの、合計3775億円の買い越しとなった。12週連続での買い越し。一方、個人投資家は現物を981億円売り越すなど合計で1142億円売り越した。そのほか、事法が合計で2353億円買い越した半面、投信は合計で1657億円売り越した。
■米国で4-6月期決算発表スタートも、関心は半導体2社
今週末の米国株式市場は反落。ダウ平均は前日比279.13ドル安の44371.51ドル、ナスダックは同45.13ポイント安の20585.53で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比10円安の39500円で取引を終えた。米トランプ政権の関税政策による経済やインフレへの影響が懸念される展開となった。
来週は、海外で注目度の高い企業の決算発表が複数予定されているほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策などを見極めるうえで注目される経済指標なども発表される。それぞれ短期的な株価インパクトにつながる可能性はあるが、翌週末には参議院選挙を挟む3連休が予定されているため、週末にかけてはポジション整理の動きが中心となっていきそうだ。
米国では4-6月期の決算発表が本格化する。主要金融機関の決算が集中するほか、J&J、GE、ネットフリックスなども発表予定。ただ、最注目は16日の蘭ASML、17日の台湾TSMCなど半導体大手の決算だろう。ASMLは前回決算で受注の下振れが嫌気されたほか、米国関税の影響も警戒されており、決算評価へのハードルは高くないとみられる。TSMCは先に4-6月期の売上高を発表し、市場予想を上回る水準となっている。米国ではすでにエヌビディアやマイクロンが3-5月期の好決算を発表しているため、今回の2社もそれぞれ、半導体株高を通して、日本株の支援材料につながる可能性がありそうだ。なお、熊本第2工場の延期が先に伝わっているため、TSMCの決算に対しては、米国企業ほど国内関連企業の評価は高まりにくい公算。
■経済指標では米国の輸入物価と小売売上高に注目
米国の関税政策の影響という面では、6月米輸出入物価が注目される。輸入物価の上昇が限定的であれば、海外企業が関税によるコスト増を負担していることが想定されるため、日本の輸出企業などにとってはネガティブな意識が台頭する可能性がある。この面では日本の貿易統計なども注目されよう。逆に、輸入物価の上昇がみられる場合、前々日に発表予定の6月米消費者物価指数(CPI)などと合わせて、米国でのインフレ懸念が高まる余地がある。また、関税前の駆け込み消費はほぼ一巡したとみられる中、米国の6月小売売上高も注視したい。仮に想定以上の落ち込みとなり、CPIの上昇率が限定的であれば、FRBの9月大幅利下げの可能性が高まることになる。
国内では7月20日に参議院選挙の投開票が予定されている。政権与党が議席の過半数を失う可能性も指摘される状況下、先行きの政局不透明感を見据えた警戒感は次第に強まっていこう。週末にかけては、いったん換金売りの動きが優勢となりそうだ。ちなみに、19日にはベッセント米財務長官が訪日予定ともされており、米関税政策の先行きを占ううえで、こちらも様子見材料とされよう。なお、日本への相互関税25%は、4月に伝えられた24%とほぼ同水準だが、当時は将来的な緩和も想定されていたとみられ、新たに発表された関税率はあらためて業績コンセンサス切り下がりにつながる余地があると考えておきたい。
■中国GDPなど発表予定、国内では週末に参院選
来週、国内では、14日に5月機械受注、5月第三次産業活動指数、16日に6月訪日外客数、17日に6月貿易統計、6月首都圏マンション発売、18日に6月消費者物価指数などが予定されている。なお、週末20日には参議院選挙が行われる。
海外では、14日に中・6月貿易収支、15日に中・4-6月期国内総生産(GDP)、6月小売売上高、6月工業生産、6月都市部固定資産投資、独・7月ZEW景況感指数、欧・5月ユーロ圏鉱工業生産、米・6月消費者物価、7月NY連銀製造業景気指数、16日に欧・5月ユーロ圏貿易収支、米・6月生産者物価指数、6月鉱工業生産・設備稼働率、地区連銀経済報告(ベージュブック)、17日に米・6月小売売上高、6月輸出入物価、7月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月NAHB住宅市場指数、5月対米証券投資、新規失業保険申請件数、18日に米・6月住宅着工件数、6月住宅着工許可件数、7月ミシガン大学消費者マインド指数などが予定されている。
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今週の日経平均は週間で241.20円安(-0.61%)の39569.68円で取引を終了。週間の高安値幅は473円にとどまり、少なくとも24年以降で最小。非常に小幅なもみ合いレンジに終始する状況となり、40000円の大台にタッチすることもなかった。
週初から米国の関税政策に対する不透明感が重しとなった。7日には、トランプ米大統領が日本に対して25%の関税を8月1日から賦課することを発表した。7月9日の交渉期限が延長される形となったこと、35%の水準にまで引き上げられる可能性も意識されていたため、サプライズは限定的だったが、関税交渉に対する楽観的な見方は後退する方向に。また、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売り需要の発生も想定されていたため、需給面での上値抑制要因になったとみられる。週後半にかけては長期金利低下に伴う米半導体株の上昇などが支援となるも、週末には指数寄与度の高いファーストリテイリングが決算発表を受けて大幅安となり、日経平均の足を引っ張る形となっている。
なお、7月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5775億円買い越し、先物は2000億円売り越したものの、合計3775億円の買い越しとなった。12週連続での買い越し。一方、個人投資家は現物を981億円売り越すなど合計で1142億円売り越した。そのほか、事法が合計で2353億円買い越した半面、投信は合計で1657億円売り越した。
■米国で4-6月期決算発表スタートも、関心は半導体2社
今週末の米国株式市場は反落。ダウ平均は前日比279.13ドル安の44371.51ドル、ナスダックは同45.13ポイント安の20585.53で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比10円安の39500円で取引を終えた。米トランプ政権の関税政策による経済やインフレへの影響が懸念される展開となった。
来週は、海外で注目度の高い企業の決算発表が複数予定されているほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策などを見極めるうえで注目される経済指標なども発表される。それぞれ短期的な株価インパクトにつながる可能性はあるが、翌週末には参議院選挙を挟む3連休が予定されているため、週末にかけてはポジション整理の動きが中心となっていきそうだ。
米国では4-6月期の決算発表が本格化する。主要金融機関の決算が集中するほか、J&J、GE、ネットフリックスなども発表予定。ただ、最注目は16日の蘭ASML、17日の台湾TSMCなど半導体大手の決算だろう。ASMLは前回決算で受注の下振れが嫌気されたほか、米国関税の影響も警戒されており、決算評価へのハードルは高くないとみられる。TSMCは先に4-6月期の売上高を発表し、市場予想を上回る水準となっている。米国ではすでにエヌビディアやマイクロンが3-5月期の好決算を発表しているため、今回の2社もそれぞれ、半導体株高を通して、日本株の支援材料につながる可能性がありそうだ。なお、熊本第2工場の延期が先に伝わっているため、TSMCの決算に対しては、米国企業ほど国内関連企業の評価は高まりにくい公算。
■経済指標では米国の輸入物価と小売売上高に注目
米国の関税政策の影響という面では、6月米輸出入物価が注目される。輸入物価の上昇が限定的であれば、海外企業が関税によるコスト増を負担していることが想定されるため、日本の輸出企業などにとってはネガティブな意識が台頭する可能性がある。この面では日本の貿易統計なども注目されよう。逆に、輸入物価の上昇がみられる場合、前々日に発表予定の6月米消費者物価指数(CPI)などと合わせて、米国でのインフレ懸念が高まる余地がある。また、関税前の駆け込み消費はほぼ一巡したとみられる中、米国の6月小売売上高も注視したい。仮に想定以上の落ち込みとなり、CPIの上昇率が限定的であれば、FRBの9月大幅利下げの可能性が高まることになる。
国内では7月20日に参議院選挙の投開票が予定されている。政権与党が議席の過半数を失う可能性も指摘される状況下、先行きの政局不透明感を見据えた警戒感は次第に強まっていこう。週末にかけては、いったん換金売りの動きが優勢となりそうだ。ちなみに、19日にはベッセント米財務長官が訪日予定ともされており、米関税政策の先行きを占ううえで、こちらも様子見材料とされよう。なお、日本への相互関税25%は、4月に伝えられた24%とほぼ同水準だが、当時は将来的な緩和も想定されていたとみられ、新たに発表された関税率はあらためて業績コンセンサス切り下がりにつながる余地があると考えておきたい。
■中国GDPなど発表予定、国内では週末に参院選
来週、国内では、14日に5月機械受注、5月第三次産業活動指数、16日に6月訪日外客数、17日に6月貿易統計、6月首都圏マンション発売、18日に6月消費者物価指数などが予定されている。なお、週末20日には参議院選挙が行われる。
海外では、14日に中・6月貿易収支、15日に中・4-6月期国内総生産(GDP)、6月小売売上高、6月工業生産、6月都市部固定資産投資、独・7月ZEW景況感指数、欧・5月ユーロ圏鉱工業生産、米・6月消費者物価、7月NY連銀製造業景気指数、16日に欧・5月ユーロ圏貿易収支、米・6月生産者物価指数、6月鉱工業生産・設備稼働率、地区連銀経済報告(ベージュブック)、17日に米・6月小売売上高、6月輸出入物価、7月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月NAHB住宅市場指数、5月対米証券投資、新規失業保険申請件数、18日に米・6月住宅着工件数、6月住宅着工許可件数、7月ミシガン大学消費者マインド指数などが予定されている。
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