注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:米関税政策に対する警戒感が再燃、来週は小売企業の決算発表などに関心
配信日時:2025/07/05 14:08
配信元:FISCO
*14:08JST 国内株式市場見通し:米関税政策に対する警戒感が再燃、来週は小売企業の決算発表などに関心
■短期的な過熱警戒感や達成感で日経平均は反落
今週の日経平均は週間で339.91円安(-0.85%)の39810.88円で取引を終了。週初こそ買い先行となり一時は40852円まで上昇、24年9月から25年2月まで続いたボックスレンジの上限を突破し、24年7月以来の高値水準にまで達する状況となった。ただ、その後は調整に転じて40000円の大台を割り込み、週後半にかけては40000円をやや下回る水準でのもみ合いとなっている。
関税交渉の延長期待、並びに米国の早期利下げ期待を背景に先週末の米国市場が上昇し、週明けの東京市場は大幅続伸でスタートした。ただ、その後は短期的な過熱警戒感や達成感が意識され、利益確定売りに伸び悩む展開となった。日米関税交渉に対する不透明感が重しとなったほか、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げに慎重な姿勢を再表明したこともマイナス視された。半導体関連のほか、足下で上昇基調が続いていたエンタメ銘柄が崩れるなど、月替わりに伴うリバランスの動きなども活発化した印象。なお、トランプ米大統領は日本からの輸入品に対する関税について、「30%か35%、あるいはわれわれが決める数字を払ってもらう」と語っており、米関税政策に対する懸念は日増しに強まってきている。
なお、6月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を3661億円買い越し、先物は200億円売り越したものの、合計3461億円の買い越しとなった。11週連続での買い越し。一方、個人投資家は現物を6061億円売り越すなど合計で5996億円売り越した。そのほか、投信が合計で2033億円買い越した半面、自己は合計で987億円売り越した。
■米関税政策への警戒感が再燃する可能性高い
今週末の米国株式市場は独立記念日のため休場。一方、欧州市場は総じて下落、米関税政策に対する警戒感が強まった。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比20円安の39750円で取引を終えた。
トランプ米大統領は、関税政策をめぐる交渉について「4日には10から12カ国に対して書簡を送るだろう。9日までにはすべて送付が完了する見込みだ」と述べているほか、関税率については「おそらく60%から70%程度と10%から20%程度の範囲になるだろう」としている。9日の交渉期限は延期されるとの見方が優勢だったが、目先はあらためて米関税政策によるグローバル経済への影響が懸念されてくる余地があろう。現状では日本に関しても、高関税が賦課され、それに伴う企業収益への影響が今後織り込まれていくことになると判断せざるを得ないだろう。
一方、3日に発表された米雇用統計では、雇用者数は前月から伸びが拡大し、失業率も予想に反して低下する結果となっている。少なくとも7月の利下げ期待は消滅したとみられるが、9月利下げ期待は大きく後退していない。9日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、15日の消費者物価指数(CPI)の発表などを受けて、目先米利下げ期待が株価の反発材料につながる余地は残っていよう。
来週は国内外ともに大きなイベントは乏しく、国内では主要小売企業の決算発表が主な関心事となりそうだ。ちなみに、今週発表された小売企業の決算後の株価動向は、ややネガティブな反応が多かったように見受けられる。また、セブン&アイの再編の行方にも関心が向かう可能性はあろう。
■ETF分配金捻出売りなどの需給要因に注意
来週、需給面では上場投資信託(ETF)の分配金捻出売りがマイナス要因となる見込み。市場想定では1.5兆円規模の売りインパクトとされており、8日、10日の大引けで売り需要が発生するとみられている。週前半は、こうした需給懸念も株価の抑制要因となりそうだ。需給面では今週、メディアやゲームなどのエンタメ株が一斉に売られたり、データセンター関連や防衛関連が弱い動きとなった一方で、鉄鋼や自動車株などが総じて買われる場面がみられた。四半期替わりに伴うリバランスの動きと観測されるが、関税懸念が再度台頭する状況下では、こうしたリバランスの動きは一過性にとどまる可能性が高いようにみられる。
国内では7月20日に参議院選挙の投開票が予定されている。政権与党の苦戦が想定される状況下、目先の株式市場にとって警戒材料となってきそうだ。また、参院選を控えていることで、米国との関税交渉が進展しにくいことも逆風となる。株式市場の警戒材料としては他にも、株主総会を通過し、政策保有株削減に伴う株式売出の動きが表面化することも想定されるところ。自社株買いで対応できる企業とできない企業の明暗へとつながろう。なお、来週末に安川電機が決算を発表、下振れ自体は想定線だが、下方修正幅は大きいとの印象がある。
■9日には米相互関税上乗せ分の停止期限迎える
来週、国内では、7日に5月毎月勤労統計、5月景気動向指数、8日に6月景気ウォッチャー調査、5月経常収支、9日に6月マネーストック、6月工作機械受注、10日に6月国内企業物価指数、6月都心オフィス空室率、地域経済報告、11日にオプションSQなどが予定されている。
海外では、7日に欧・5月小売売上高、独・5月鉱工業生産、8日に豪・豪州準備銀行理事会、欧・EU財務相会合、独・5月輸出入、米・5月消費者信用残高、9日に中・6月生産者物価、6月消費者物価、6月マネーサプライ、米・FOMC議事録(6月17-18日開催分)、10日に米・新規失業保険申請件数、11日に米・6月財政収支などが予定されている。なお、9日には米政府による相互関税上乗せ分の停止期限を迎える。
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今週の日経平均は週間で339.91円安(-0.85%)の39810.88円で取引を終了。週初こそ買い先行となり一時は40852円まで上昇、24年9月から25年2月まで続いたボックスレンジの上限を突破し、24年7月以来の高値水準にまで達する状況となった。ただ、その後は調整に転じて40000円の大台を割り込み、週後半にかけては40000円をやや下回る水準でのもみ合いとなっている。
関税交渉の延長期待、並びに米国の早期利下げ期待を背景に先週末の米国市場が上昇し、週明けの東京市場は大幅続伸でスタートした。ただ、その後は短期的な過熱警戒感や達成感が意識され、利益確定売りに伸び悩む展開となった。日米関税交渉に対する不透明感が重しとなったほか、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げに慎重な姿勢を再表明したこともマイナス視された。半導体関連のほか、足下で上昇基調が続いていたエンタメ銘柄が崩れるなど、月替わりに伴うリバランスの動きなども活発化した印象。なお、トランプ米大統領は日本からの輸入品に対する関税について、「30%か35%、あるいはわれわれが決める数字を払ってもらう」と語っており、米関税政策に対する懸念は日増しに強まってきている。
なお、6月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を3661億円買い越し、先物は200億円売り越したものの、合計3461億円の買い越しとなった。11週連続での買い越し。一方、個人投資家は現物を6061億円売り越すなど合計で5996億円売り越した。そのほか、投信が合計で2033億円買い越した半面、自己は合計で987億円売り越した。
■米関税政策への警戒感が再燃する可能性高い
今週末の米国株式市場は独立記念日のため休場。一方、欧州市場は総じて下落、米関税政策に対する警戒感が強まった。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比20円安の39750円で取引を終えた。
トランプ米大統領は、関税政策をめぐる交渉について「4日には10から12カ国に対して書簡を送るだろう。9日までにはすべて送付が完了する見込みだ」と述べているほか、関税率については「おそらく60%から70%程度と10%から20%程度の範囲になるだろう」としている。9日の交渉期限は延期されるとの見方が優勢だったが、目先はあらためて米関税政策によるグローバル経済への影響が懸念されてくる余地があろう。現状では日本に関しても、高関税が賦課され、それに伴う企業収益への影響が今後織り込まれていくことになると判断せざるを得ないだろう。
一方、3日に発表された米雇用統計では、雇用者数は前月から伸びが拡大し、失業率も予想に反して低下する結果となっている。少なくとも7月の利下げ期待は消滅したとみられるが、9月利下げ期待は大きく後退していない。9日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、15日の消費者物価指数(CPI)の発表などを受けて、目先米利下げ期待が株価の反発材料につながる余地は残っていよう。
来週は国内外ともに大きなイベントは乏しく、国内では主要小売企業の決算発表が主な関心事となりそうだ。ちなみに、今週発表された小売企業の決算後の株価動向は、ややネガティブな反応が多かったように見受けられる。また、セブン&アイの再編の行方にも関心が向かう可能性はあろう。
■ETF分配金捻出売りなどの需給要因に注意
来週、需給面では上場投資信託(ETF)の分配金捻出売りがマイナス要因となる見込み。市場想定では1.5兆円規模の売りインパクトとされており、8日、10日の大引けで売り需要が発生するとみられている。週前半は、こうした需給懸念も株価の抑制要因となりそうだ。需給面では今週、メディアやゲームなどのエンタメ株が一斉に売られたり、データセンター関連や防衛関連が弱い動きとなった一方で、鉄鋼や自動車株などが総じて買われる場面がみられた。四半期替わりに伴うリバランスの動きと観測されるが、関税懸念が再度台頭する状況下では、こうしたリバランスの動きは一過性にとどまる可能性が高いようにみられる。
国内では7月20日に参議院選挙の投開票が予定されている。政権与党の苦戦が想定される状況下、目先の株式市場にとって警戒材料となってきそうだ。また、参院選を控えていることで、米国との関税交渉が進展しにくいことも逆風となる。株式市場の警戒材料としては他にも、株主総会を通過し、政策保有株削減に伴う株式売出の動きが表面化することも想定されるところ。自社株買いで対応できる企業とできない企業の明暗へとつながろう。なお、来週末に安川電機が決算を発表、下振れ自体は想定線だが、下方修正幅は大きいとの印象がある。
■9日には米相互関税上乗せ分の停止期限迎える
来週、国内では、7日に5月毎月勤労統計、5月景気動向指数、8日に6月景気ウォッチャー調査、5月経常収支、9日に6月マネーストック、6月工作機械受注、10日に6月国内企業物価指数、6月都心オフィス空室率、地域経済報告、11日にオプションSQなどが予定されている。
海外では、7日に欧・5月小売売上高、独・5月鉱工業生産、8日に豪・豪州準備銀行理事会、欧・EU財務相会合、独・5月輸出入、米・5月消費者信用残高、9日に中・6月生産者物価、6月消費者物価、6月マネーサプライ、米・FOMC議事録(6月17-18日開催分)、10日に米・新規失業保険申請件数、11日に米・6月財政収支などが予定されている。なお、9日には米政府による相互関税上乗せ分の停止期限を迎える。
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