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トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信(1)【中国問題グローバル研究所】
配信日時:2025/06/27 16:16
配信元:FISCO
*16:16JST トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。
アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランの地下核施設への爆撃を、日本への原爆投下と比較しながら、「広島の例は使いたくない。長崎の例も使いたくない。しかし、本質的には同じことだ。あれが、あの戦争を終わらせたのだ」と正当化した。6月25日、NATO首脳会議が行われているオランダ・ハーグでの記者会見でのことだ(※2)。
日本が戦争を起こしたことはまちがいのない事実ではあるが、広島・長崎に原爆を落とされたことを「非人道的だ」と非難する資格は日本にはないのか。何十万もの無辜の民を、あれだけ残虐な形で殺されたことを、イランの地下核施設爆撃と「同じだ」として正当化されることに対して、「それでいいのか」という思いを抱かない日本人はいないだろう。このことに対して、もし日本政府がトランプの論拠に何も反論しないのだとすれば、「日本は真の独立国家なのか」を日本政府に問いたい。
どうやら林芳正官房長官は6月26日の記者会見で、このトランプ発言に関して聞かれ「一般的に歴史的な事象に関する評価は専門家により議論されるべきものだ」と論評を避けたようだ(※3)。
広島・長崎に原爆を落とされたのは「一般的に歴史的な事象に関する評価は専門家により議論されるべきものだ」と切り捨てていい対象なのか?
これによって日本は降伏したのだとアメリカは断言し、敗戦後はGHQ(事実上アメリカ)によって占領され、戦後80年間、ひたすらアメリカ従属の政府を維持してきたのではないのか?
これは「日本国家」の問題だ!
日本政府こそが真正面から向き合うべき問題であり、政府こそが回答すべき「国家の基本姿勢」の話だ。
「逃げるな!」と言いたい。
では、中国ではトランプの「原爆発言」をどううけとめているのだろうか。そう思って中国のネットを調べていた時だ。
驚いた。
なんと、トランプがNATO首脳会議に参加する前の6月24日に、イラン攻撃を軽快なロックンロールのメロディーに乗せて「爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!」とはしゃいでいるのを発見したのである。
◆6月24日、トランプはロックンロールを流しながらイラン爆撃の動画を発信
最初にそれを見つけたのは、中国共産党系メディア「環球時報」の報道においてだった。環球時報がトランプの「原爆発言」をどう論じているかで、中国のこの件に関する見解が概ねわかる。そこで発見したのは、なんと、<トランプはB-2爆撃機が爆弾を投下するビデオを、「イラン爆撃」のパロディー音楽とともに公開し、物議を招いている>(※4)という見出しの動画だった。公開時間は6月25日、14:03。製作者は王力氏。
ともかく読者の方には、まずこの動画のURLをクリックしていただきたい。
このメロディー(動画のBGM)のオリジナルバージョンは「バーバラ・アン」だ。このシングルは元々、アメリカの「リージェンシー・バンド」が1961年にリリースした。1965年にアメリカのロックバンド「ビーチ・ボーイズ」が歌い、アルバムに収録されている。
環球時報の解説によれば、1980年の「イライラ戦争(イラン・イラク戦争)」の際に、アメリカのバンド「ヴィンス・ヴァンス・アンド・ザ・ナイツ」がこの曲をパロディー化した「イラン爆撃」が発表されたという。
トランプが自分のSNSであるTruthで公開した「Bomb Iran(イラン爆撃)の動画」はこちら(※5)で見ることができる。
使われている音楽は、1980年のアレンジバージョンだ。
環球時報は以下のように解説している。
・「タイムズ・オブ・イスラエル」は、トランプが24日、自身のソーシャルメディアにB-2爆撃機が飛行しながら爆弾を投下する60秒の編集動画を投稿したと報じた。この動画には「イランを爆撃せよ」というパロディーソングが添えられており、ソーシャルメディア上で物議を醸し、不満を招いた。
・動画では、B-2爆撃機が空中を飛行し、時折数十発の爆弾を投下していた。BGMでは「イランを爆撃せよ」というフレーズが繰り返し流れていた。BGMの歌詞には、「サムおじさん(=アメリカ=トランプ:筆者注)はもうかなり怒っている。イランを駐車場に変えてやる時が来た。イランを爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!」というフレーズも含まれていた。
・イスラエルとイランが停戦合意に達したばかりであることを考えると、この情報が発するシグナルは世界を混乱させている。
・この動画はインターネット上で瞬く間に論争を巻き起こし、多くの人々が反発した。あるネットユーザーは「これは真面目な政府ではない。これまでもそうだった。彼らはそれを隠そうともしない」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「もしかしたら私がただのつまらない人間なのかもしれないけど、こういう投稿は支持できない… 国を爆撃するという投稿がそんなに面白いのか? 爆撃に反対しているわけではないけど、こういうことを冗談にしたり、軽視したりしていいのだろうか? 君ならそうかもしれないけど、私には無理」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「大統領にしては子供じみている」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「大統領がこんな投稿をするなんて面白いのか?」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「平和(の実現)を願うべきだ。戦争は民間人の苦しみを意味する」とコメントした。(環球時報からは以上)
中国がアメリカの行動をおもしろく思っていないことは分かっているが、しかし日本では見られないような、「トランプの戦争ゲーム化」に対する批判が、ここまで強烈に表現されている記事も少ないと痛感した。
これが日本のメディアでは見られないのはなぜなのか?
「トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信 怒る中国のネット(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※6)より転載しました。
NATO首脳会議 米大統領が会見(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.huffpost.com/entry/trump-hiroshima-nagasaki-iran_n_685bf52ee4b024434f988a73
(※3)https://news.yahoo.co.jp/articles/8317af9565727bbb0ff34cfde0e7b0d1a608a301
(※4)https://world.huanqiu.com/article/4NEf8Cx5L4p
(※5)https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114740882500667664
(※6)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/545dd454d77832833a664d3ab77949163b42c384
<CS>
アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランの地下核施設への爆撃を、日本への原爆投下と比較しながら、「広島の例は使いたくない。長崎の例も使いたくない。しかし、本質的には同じことだ。あれが、あの戦争を終わらせたのだ」と正当化した。6月25日、NATO首脳会議が行われているオランダ・ハーグでの記者会見でのことだ(※2)。
日本が戦争を起こしたことはまちがいのない事実ではあるが、広島・長崎に原爆を落とされたことを「非人道的だ」と非難する資格は日本にはないのか。何十万もの無辜の民を、あれだけ残虐な形で殺されたことを、イランの地下核施設爆撃と「同じだ」として正当化されることに対して、「それでいいのか」という思いを抱かない日本人はいないだろう。このことに対して、もし日本政府がトランプの論拠に何も反論しないのだとすれば、「日本は真の独立国家なのか」を日本政府に問いたい。
どうやら林芳正官房長官は6月26日の記者会見で、このトランプ発言に関して聞かれ「一般的に歴史的な事象に関する評価は専門家により議論されるべきものだ」と論評を避けたようだ(※3)。
広島・長崎に原爆を落とされたのは「一般的に歴史的な事象に関する評価は専門家により議論されるべきものだ」と切り捨てていい対象なのか?
これによって日本は降伏したのだとアメリカは断言し、敗戦後はGHQ(事実上アメリカ)によって占領され、戦後80年間、ひたすらアメリカ従属の政府を維持してきたのではないのか?
これは「日本国家」の問題だ!
日本政府こそが真正面から向き合うべき問題であり、政府こそが回答すべき「国家の基本姿勢」の話だ。
「逃げるな!」と言いたい。
では、中国ではトランプの「原爆発言」をどううけとめているのだろうか。そう思って中国のネットを調べていた時だ。
驚いた。
なんと、トランプがNATO首脳会議に参加する前の6月24日に、イラン攻撃を軽快なロックンロールのメロディーに乗せて「爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!」とはしゃいでいるのを発見したのである。
◆6月24日、トランプはロックンロールを流しながらイラン爆撃の動画を発信
最初にそれを見つけたのは、中国共産党系メディア「環球時報」の報道においてだった。環球時報がトランプの「原爆発言」をどう論じているかで、中国のこの件に関する見解が概ねわかる。そこで発見したのは、なんと、<トランプはB-2爆撃機が爆弾を投下するビデオを、「イラン爆撃」のパロディー音楽とともに公開し、物議を招いている>(※4)という見出しの動画だった。公開時間は6月25日、14:03。製作者は王力氏。
ともかく読者の方には、まずこの動画のURLをクリックしていただきたい。
このメロディー(動画のBGM)のオリジナルバージョンは「バーバラ・アン」だ。このシングルは元々、アメリカの「リージェンシー・バンド」が1961年にリリースした。1965年にアメリカのロックバンド「ビーチ・ボーイズ」が歌い、アルバムに収録されている。
環球時報の解説によれば、1980年の「イライラ戦争(イラン・イラク戦争)」の際に、アメリカのバンド「ヴィンス・ヴァンス・アンド・ザ・ナイツ」がこの曲をパロディー化した「イラン爆撃」が発表されたという。
トランプが自分のSNSであるTruthで公開した「Bomb Iran(イラン爆撃)の動画」はこちら(※5)で見ることができる。
使われている音楽は、1980年のアレンジバージョンだ。
環球時報は以下のように解説している。
・「タイムズ・オブ・イスラエル」は、トランプが24日、自身のソーシャルメディアにB-2爆撃機が飛行しながら爆弾を投下する60秒の編集動画を投稿したと報じた。この動画には「イランを爆撃せよ」というパロディーソングが添えられており、ソーシャルメディア上で物議を醸し、不満を招いた。
・動画では、B-2爆撃機が空中を飛行し、時折数十発の爆弾を投下していた。BGMでは「イランを爆撃せよ」というフレーズが繰り返し流れていた。BGMの歌詞には、「サムおじさん(=アメリカ=トランプ:筆者注)はもうかなり怒っている。イランを駐車場に変えてやる時が来た。イランを爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!爆撃せよ!」というフレーズも含まれていた。
・イスラエルとイランが停戦合意に達したばかりであることを考えると、この情報が発するシグナルは世界を混乱させている。
・この動画はインターネット上で瞬く間に論争を巻き起こし、多くの人々が反発した。あるネットユーザーは「これは真面目な政府ではない。これまでもそうだった。彼らはそれを隠そうともしない」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「もしかしたら私がただのつまらない人間なのかもしれないけど、こういう投稿は支持できない… 国を爆撃するという投稿がそんなに面白いのか? 爆撃に反対しているわけではないけど、こういうことを冗談にしたり、軽視したりしていいのだろうか? 君ならそうかもしれないけど、私には無理」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「大統領にしては子供じみている」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「大統領がこんな投稿をするなんて面白いのか?」とコメントした。
・あるネットユーザーは、「平和(の実現)を願うべきだ。戦争は民間人の苦しみを意味する」とコメントした。(環球時報からは以上)
中国がアメリカの行動をおもしろく思っていないことは分かっているが、しかし日本では見られないような、「トランプの戦争ゲーム化」に対する批判が、ここまで強烈に表現されている記事も少ないと痛感した。
これが日本のメディアでは見られないのはなぜなのか?
「トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信 怒る中国のネット(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※6)より転載しました。
NATO首脳会議 米大統領が会見(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.huffpost.com/entry/trump-hiroshima-nagasaki-iran_n_685bf52ee4b024434f988a73
(※3)https://news.yahoo.co.jp/articles/8317af9565727bbb0ff34cfde0e7b0d1a608a301
(※4)https://world.huanqiu.com/article/4NEf8Cx5L4p
(※5)https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114740882500667664
(※6)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/545dd454d77832833a664d3ab77949163b42c384
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Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
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靖国参拝で公明党に譲歩した高市総裁 結局は中国のコントロール下になり続ける道を選んだ自民党【中国問題グローバル研究所】
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◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。自民党の高市早苗総裁が今年の靖国神社秋季例大祭中の参拝を見送ることが、公明党との連立に関する会談後に判明した。公明党の斉藤鉄夫代表は10月7日、高市氏との会談で、中国、ロシア、北朝鮮が連携を強めるなど日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなる中「靖国参拝が外交問題になるべきではない」と伝えたという。うまく言いくるめたものだ。うまいと思う。同様に「うまく公明党を使っている」という意味では、「中国も実にうまい」と思う。その巨大な長期的戦略の下で、日本は対米追随だけでなく対中追随もひたすら続けていることに、自民党は本当に気づいていないのだろうか?◆なぜ公明党は中国でこんなに高く評価されているのか? 自民党をコントロールする「中国と公明党の連携メカニズム」2021年10月27日の論考<日本を中国従属へと導く自公連立――中国は「公明党は最も親中で日本共産党は反中」と位置付け>(※2)で、2017年 3月30日に中国共産党の機関紙「人民日報」電子版「人民網」に掲載された1本の論考を紹介した。論考のタイトルは<公明党は長年にわたり「対中友好」を堅持し、日中関係の発展を推進してきた>(※3)である。クリック先の下の方に現れるので、下の方までスクロールしてみていただきたい。タイトルをもう少しかみ砕いて書くと「いかに公明党は親中であるか、いかにして日本政府を親中に導いているか」ということになる。この論考は、中国政府のシンクタンクである中国社会科学院の日本研究所が発行している『日本学刊』という学術誌(2017年第二期)に寄稿されたもので、作者は日本の創価大学教授で中国の復旦大学日本研究センター研究員でもある汪鴻祥氏だ。筆者は2004年まで同じく中国社会科学院社会学研究所の客員教授を務めていたが、日本研究所は、まるで創価学会の巣窟かと思われるほど創価学会関係者が多く、中国における宗教は弾圧しているのに、日本の宗教は「公明党」に限り絶賛していたことに、非常な違和感を覚えた経験がある。その違和感は、この汪氏の論考により、ものの見事に消えていった。同じ内容をくり返して申し訳ないが、是非とも高市氏および新しく決まったばかりの自民党役員に読んでいただきたいので、ここに再度掲載する。汪氏は論考で以下のように述べている。1.1968年9月8日、創価学会第11回学生部会総会において、公明党の創始者である池田大作は講演し、日中関係の問題を解決するために、「(1)中華人民共和国の正式な承認と日中国交の正常化、(2)中国の国連での合法的な座席の回復、(3)日中の経済・文化交流の発展」という3つの明確な提案を行った。2.1971年初頭、公明党は、台湾問題は中国の内政問題であるという認識を示し、国務院外交部日本課の王暁雲課長は、中国卓球代表団の副団長として訪日し、公明党の竹入義和会長と会談した。 これが公明党と中国との正式な交流の始まりである。3.会談後、竹入は「中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府と認め、台湾からの米軍撤退と中国の国連への回復を主張し、さらに日台条約(日華条約)は破棄すべきという声明を発表した。4.中日国交正常化のため、公明党の代表団は1971年6月に初めて訪中し、周恩来首相が会見した。5.1972年7月7日、田中内閣が発足した。 1972年7月25日、公明党代表団は3度目の訪中を行い、周恩来首相と日中国交正常化に関わる重要事項について3回の会談を行った。 1972年9月、田中角栄首相が訪中し、毛沢東主席、周恩来首相と会談し、29日には日中国交正常化の共同声明を発表した。6.このように日中国交正常化を実現させて真の功労者は公明党である。7.こんにち、公明党が政権与党の一翼を担うことには非常に大きな意義がある。なぜなら自民党を対中友好に導いていくことが可能だからだ。8.公明党は常に中国と緊密に連絡を取り合い、自民党の一部の保守系政治家に対して、日中関係の正しい方向から外れた言動を慎むように圧力をかけてきた。この功績は大きい。9.今後も日中関係において、公明党が日本の政党を対中友好に導いていくという役割は計り知れなく大きい。(以上)このうち、「なぜ公明党が中国で高く評価されているか」は「1~6」に書かれており、どのようにして自民党をコントロールしているかは「7,8,9」に明記されている。なぜ公明党は「1」のような党是を決議したかと言うと、ここには書かれてないが、実は結党当時は、日本のどの政党にも「親中と反中」がいて、方向性が二分しているために勢いが削がれていた。そこで池田大作氏は「どちらか一方向に徹底した党を創って成長していこう」と考え、「徹底した親中の方向」を選んだというのだから、相当の傑物であると評価していいだろう。◆「偉大なる毛沢東の戦略」は日本を徹底して利用したそして、国共内戦を勝ち抜いて新中国(中華人民共和国)を建国した毛沢東はまた、その遥か上を行く傑物であった。なんと言っても拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いたように、最大の政敵・蒋介石(国民党)を打倒するのに際して、日本の「中国侵略」を最大限に利用したのだから。これ以上に頭のいい傑物は滅多に出現しない。日本(当時の「大日本帝国」)が戦っていた相手は「中華民国」で、その「中華民国」を率いていたのは国民党の党首であった蒋介石だ。あの広大な大地で天下を取るためなら、どんなことでもやってきた中国。そこには5000年の歴史がある。毛沢東が日本軍を利用したからと言って、何の悪いことがあるだろう。天下を取るために、頭を使っただけのこと。蒋介石は真っ正直だから、この頭の回転、戦略において「大陸的ではなかった」と言えるかもしれない。彼は日本に留学して日本的思考を持っていた。毛沢東の戦略の壮大さは、天下を取るために日本軍を利用しただけでは終わらない。なんと、公明党を使って、日本を陥落させ(=日中友好条約を結んで中国との国交を成立させ)、その流れの中で国連加盟を果たさせたのである。すなわち、中国という天下を取るために日本軍を利用し、国連加盟という「世界の舞台」への登場に、やはり日本の公明党を利用しつくした。その過程は前掲の「1~6」をご覧になれば明らかだろう。そして今、「毛沢東の亡霊」が高市早苗総裁に、「公明党に譲歩する」という道を選択させたのだ。自民党はこの呪縛から抜け出すことができない!◆自公連立は「一丁目一番地」と断言する高市総裁 連立しなかったら「高市総理」になれない危険性が高市氏に対する岩盤支持層には、「公明党との連立なんか、さっさと解消してしまえ!」と主張したい人も多いだろう。しかしもし公明党が連立を解消したら、過半数が取れないので、首班指名選挙(内閣総理大臣指名選挙)で必ずしも高市総裁が総理大臣に選ばれるとは限らない。現段階で衆議院の議席数は「自民党+無所属の会:196」、「公明党:24」、「立憲民主党:147」、「日本維新の会:35」、「国民民主党・無所属クラブ:27」・・・となっている。衆議院の議席数は465だから過半数は233議席になり、自公が連立しても「合計:220」にしかならないが、上位2名で決選投票を行って上位者を総理に指名する。首班指名では衆参両院における選挙が行われる。両院の指名が一致していなければ衆議院における決定が優先されるので衆議院の場合で考えると、公明党との連立を解消しても、他の党、たとえば国民民主党と組めば、首班指名でクリヤーできるかもしれないという可能性がないわけではない。しかし国民民主党はもともと民主党から派生したものなので、背後には連合がおり、自民党との連立を許さない。連立すれば連合の労働組合からの組織票を失って、国民民主党は議席を減らすことになる。公明党は自民党との連立を維持するか否かに関して「靖国参拝などの歴史認識問題」、「外国人排斥問題」、「政治と金(自民党の裏金議員)問題」および「連立拡大(特に日本維新の会との連立)問題)などを条件として挙げているが、「靖国参拝問題」は冒頭に書いたように、高市氏が「秋の例大祭には参加しない」として譲歩したが、裏金問題に関してはすでに(高市氏が言うところの「傷もの」である)萩生田光一氏を幹事長代行に任命していることから、折り合いは難しくなっている。連立の合意が成立しなければ、首班指名選挙で「高市早苗」とは書かないと、公明党は言っている。その場合はひょっとしたら「高市総理」が生まれない可能性もゼロではない。このように、中国が日本政府に潜ませているカードのような公明党は、「保守的な自民党」を生存させない役割を果たしていると言っていいだろう。遡(さかのぼ)れば、毛沢東の戦略が日本を呪縛しているという恐るべきスケールの大きな現実に、日本は気が付いた方が良いのではないだろうか。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。自民党の高市早苗新総裁(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/2724(※3)https://world.people.com.cn/n1/2017/0330/c1002-29179878.html(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c5407d4ccaa6642335cf3cff8099effa6b799045
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2025/10/09 10:14
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「古~い自民党」を見せつけた総裁選 総理の靖国神社参拝なら自公連立は解消か?【中国問題グローバル研究所】
*16:28JST 「古~い自民党」を見せつけた総裁選 総理の靖国神社参拝なら自公連立は解消か?【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。自民党の総裁選なのに、必死になって国民に呼びかける5人の立候補者たちの姿は、主張がどうであれ、「われこそは」という必死さが美しかった。中国の選挙と違って、民主主義は良いものだと実感させられた。しかし選挙当日の終盤、決選投票に入ったとき、結局のところ麻生派閥がものを言い、昔ながらの「ボス」の一声で議員票が一気に動いた姿に深い失望を覚える。「古い自民党」から「解党的な出直し」をするのではなかったのか。もちろん、期待されていた小泉氏の決選投票前でのスピーチはお粗末だったことは否めない。「解党的出直し」どころか「党内融和」を強調するばかりで、政策さえ口にしなかった。これではダメだと思ったので、高市氏に票が流れたのは理解できないわけではない。しかし総裁選の直前になって地方党員票が高市氏に有利だと分かった瞬間、「決戦投票になったら獲得票の多い方に投票しろ」という麻生氏の号令が決定打になったのを否定することはできないだろう。案の定、「麻生氏へのお礼」に、どうやら高市新総裁は、幹事長に麻生派の鈴木俊一総務会長(72)を充て、副総裁には麻生氏(85)を検討しているようだ。これが本当なら、もう「古~~い自民党」を、そのまんま絵に描いたようではないか。その一方では、公明党は「高市総裁」が「高市総理」になったときに靖国神社を参拝するならば「連立を組むのは困難」という意思表示をしている。2021年10月7日の論考<「公明党から国交大臣」に喜ぶ中国――「尖閣問題は安泰」と>(※2)に書いたように、中国では海外の政党として最も信頼しているのが公明党だ。中国は公明党を「楔(くさび)」のように使って、日本政府をコントロールしてきた。◆「解党的出直し」とはほど遠い自民党総裁選もちろん高市早苗氏が総裁に当選したのは悪いことではない。「鉄の女」サッチャーを目指すというド根性は見上げたものだし、地方党員を重視してきた努力も評価すべきだろう。自民党結党以来の女性総裁の出現で、総理になれば日本で初めて女性総理が生まれることになり、その意義は大きいかもしれない。しかし、結局のところは麻生氏に頼り、最後は「ボス」の計略通りに議員が動いて当選したという時点で、せっかくのこれまでの努力の「美しさ」は消え去ってしまった。何のことはない、党内の勢力抗争であり「コップの中の嵐」に過ぎず、勝ち馬に乗るか乗らないかの策略が党内を駆け巡っただけだ。自民党の中には右も左もいて、左のボスが党内親中派の筆頭格・二階俊博氏だったが、二階氏の引退に伴いその系列は林芳正氏に受け継がれながら、林氏は今のところ「親中」を封印している。その意味では右のボスである麻生太郎氏にとっては、最後の「我が世の春」にちがいない。高市当選で、その手腕を遺憾なく発揮して、さぞご満悦のことだろう。こんなに右も左もいるのなら、「解党的出直し」などと偽善的なことを言わずに、解党すればいいと思うほどだ。解党しないのは、一塊でいる方が権力維持が容易になるからだろう。「党内で政権交代」することにより「自民党の政権」を維持している。◆総裁選に入る前に靖国参拝に関してクギを刺していた公明党前回、2024年9月における自民党総裁選で、9月9日に出馬を表明した高市氏は「首相に就任した場合でも靖国神社を参拝することに変わりはない」という趣旨の発言をしていた(※3)。それもあってか、今年9月7日、石破総理の辞任表明を受けて、公明党の斉藤代表は次の総裁について、「私達の理念に合った方でないと連立政権を組むわけにはいかない」と述べている(※4)。総理になった場合の想定を考えてのことだろう。すると今般の総裁選で高市氏は、なんと、「靖国神社参拝」を完全に封印してしまったのだ。当選後の記者会見でも靖国参拝問題を問われ、「適時適切に」と言葉を濁した。それでいて「自公連立は基本」と言っているのだから、「総理になったら靖国参拝はしません」と言っているようなものだ。ところが、記者会見後に公明党代表にご挨拶に行ったところ、先述したように「理念が合わないと連立は困難」という回答を得たわけだ。中国関係の問題だけで言うなら、「総理になっても靖国神社参拝をするようなら、連立を組むわけにはいきません」と言ったことになる。2024年の総裁選では「総理になっても参拝する」と誓っていた高市氏。それ故のファンも多いはずだ。だというのに、公明党の制限を受けたがゆえにファンとの約束事を破るとなったら、高市政権には、支持者の信頼を持続することができるのか否かというジレンマが待ち受けている。◆自公連立後の小泉政権と安倍政権における総理の靖国参拝ウィキペディアで申し訳ないが、<靖国神社問題>(※5)の情報に基づけば、小泉氏の場合は総理就任後の「2001年8月13日、2002年4月21日、2003年1月14日、2004年1月1日、2005年10月17日、2006年8月15日」に参拝しており、安倍氏の場合は総理就任後の「2013年12月26日」に参拝している。もちろん公明党は猛烈に反対した。しかし小泉氏が最初に参拝したのは2001年。1999年に公明党と連立を組み始めてから日が浅い。連立してようやく政権与党として浮上しているのに、公明党としても政党存亡を秤にかけた場合、「靖国参拝をやめないのなら、連立を解消します!」とは言えなかったものと推測される。その心理を読み取ってか、小泉氏は参拝をし続けた。すると2005年に中国で「反日デモ」が爆発した。反日デモがすぐには起きなかったのは、2001年9月11日にアメリカで同時多発テロ事件が起きて、それどころではなくなってしまったからだ。小泉氏は同年10月に中韓両国を訪問することさえしている。2002年にはAPEC首脳会議に参加して江沢民と会談したりなどもしている。それでも小泉氏の靖国参拝はやまず、03年も04年も参拝を継続した。その結果、2005年に遂に反日大暴動が起きたのである。安倍氏の場合は複雑だ。第一次安倍政権発足直後の2006年10月に中韓両国を訪問し、関係修復に努めている。しかし2012年12月の第二次安倍政権発足後、13年12月に靖国神社を参拝している。これに先立ち、習近平が国家主席になる1ヵ月ほど前の2013年1月25日には、公明党の山口那津男代表が安倍氏の書信を携えて、習近平(中共中央総書記)と会っている(※6)。習近平はこのとき「山口氏の訪中を非常に重視しており、公明党が引き続き日中関係の発展を促進する上で建設的な役割を果たすことを期待している」と述べている。山口氏は「公明党は日本の連立与党の一つとして、日中友好の伝統を継承・継承し(中略)日中関係の改善と発展に積極的に努力する」と述べ、安倍氏の自筆書簡を習近平氏に手渡した。 安倍氏は書簡の中で、「日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり、両国はアジア太平洋地域と世界の平和と発展に対する責任を共有している」と述べながら、その年の12月26日には靖国参拝をしているのだ。それでも大きな事件に発展しなかったのは自民党内の「左のボス」二階氏がいたからだ。これに関しては2019年4月26日のコラム<中国に懐柔された二階幹事長――「一帯一路」に呑みこまれる日本>(※7)をご覧いただきたい。特にそのタイトル画像をご覧いただければ、もう何も語る必要はないだろう。◆石破政権になっても、公明党の北京詣では続いていた今年4月28日、上海にある「解放日報」系ウェブサイト「上観新聞」は<日本の与党幹部が2週間以内に3回も中国を訪問 なぜ「異例」と言われるのか?>(※8)という見出しで、「異様さ」を報道している。「2週間で3回訪中」の内訳は以下のようになっている。・4月22日~24日:斉藤鉄夫・公明党代表訪中団・4月27日〜29日:森山自民党幹事長率いる日中友好議員連盟訪中・4月28日~30日:山口那津男・公明党常任顧問一行訪中このように公明党の中国への「熱い思い」が、中国から見てさえ「異様」と映るほどなのである。その公明党が、自民党内「最右端」である高市総裁が、同じく「最右端のボス」である麻生氏のバックアップの下で自民党と連携していくことは困難ではないかと推測される。しかし逆に、高市氏が自公連立を重んじて、これまでの自分の主義主張を「総理になったのだから」という理由で封印するとすれば、右寄りだったファンたちは高市氏に騙されたと思って、高市氏への信頼を失っていくだろう。高市氏は、どちらの方向への決断を選ぶのか?公明党がいなくなっても、他の政党と連立を組むから構わないと決断したとしても、その政党が、さすがに総理大臣が靖国神社を参拝することを容認するとは限らない。トランプ関税の重圧の下、最大貿易相手国である中国との関係を重視しないと日本国民の経済向上を図れないという側面が圧し掛かるとすれば、公明党に妥協するしかなくなる。いずれにしても、もし総理に選ばれた場合の高市政権には大きなジレンマが待ち受けている。この視点に立ち、今後の高市氏の選択を観察していきたい。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※9)より転載しました。自民党総裁の椅子に座る高市早苗新総裁(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/2684(※3)https://www.sankei.com/article/20240909-3KDEHWF7RBOAVATIVTZMFG3DNY/(※4)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2155644?display=1(※5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%96%E5%9B%BD%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E5%95%8F%E9%A1%8C#%E6%AD%B4%E4%BB%A3%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%AE%E9%9D%96%E5%9B%BD%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E5%8F%82%E6%8B%9D%EF%BC%88%E5%9B%9E%E6%95%B0%EF%BC%89(※6)https://www.fmprc.gov.cn/web/gjhdq_676201/gj_676203/yz_676205/1206_676836/xgxw_676842/201301/t20130125_7992265.shtml(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9a30738840d34dc9fd8757723767759a68f5118(※8)https://www.jfdaily.com/wx/detail.do?id=901704(※9)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5fd223051ca00c2226b3caa3f7f0c2ab93bc6833
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2025/10/06 16:28
GRICI
【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:32JST 【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う その心は?(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆トランプ関税が習近平と金正恩を接近させた金正恩がプーチンにだけでなく、習近平にもなびいた方が良いと判断したのは、「トランプ関税により中国の圧倒的優位性が示されたからだ」と考えていいだろう。4月13日の論考<米軍武器の部品は中国製品! トランプ急遽その部品の関税免除>(※2)や4月16日の論考<中国最強カードを切る! 「米軍武器製造用」レアアース凍結から見えるトランプ関税の神髄>(※3)で考察したように、トランプ関税は中国の製造業とレアアースの圧倒的な力を見せつける結果となり、相互関税に関して、トランプは対中国関税のみ「一時停止して11月10日まで延期する」と宣言している。習近平の機嫌を損ねて、「それなら中国製部品やレアアースを輸出しない」と言われたら、「米軍の武器を製造することはできないという事態に陥る」ということが判明したのだ。すなわち「製造業を制する者が軍事力を制する」ということが判明したことになる。となると、アメリカに対して何としても軍事的に負けられないために核を保有しようとしている金正恩は、習近平に接近し、中朝軍事同盟を明示しておいた方が有利になる。◆トランプは「習近平にもプーチンにも金正恩にも」会いたがっているトランプは8月25日の米韓首脳会談において、「金正恩に会いたい」という思いを吐露しており(※4)、「金正恩も自分に会いたがっているだろう」という趣旨のことを言っている。金正恩としては、「北を追い詰めるための激しい米韓軍事演習を展開しておきながら、何を言っているか!」という憤りを持ちながらも、いざという時の米朝首脳会談のために、米軍兵器製造に関して圧倒的優位に立っている習近平と「一体なんだぞ」ということをトランプに見せつけておきたいだろう。習近平としては、ひょっとしたら10月31日から11月1日にかけて韓国で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議でトランプと会談することになるかもしれず、そのときには11月10日がデッドラインとなっているトランプの対中相互関税に関して有利な方向に持って行きたいと考えているにちがいない。そのときに、タイトル画像に描いたような【習近平・プーチン・金正恩】という非米陣営トリオが大きな塊として構えていることは、トランプにとっては少なからぬ圧力となり得るだろう。トランプは常に「私は習近平が大好きだ。ずーっと好きだった」(※5)と言ってきた。この大陸続きの非米陣営トリオの存在は、トランプにとって「ラブコールを送り続けてきた強いリーダー」であると同時に、今後の世界情勢の地殻変動をもたらすファクターを内在させていることに気がついているだろうか。指をくわえて「憧れの非米陣営トリオ」を見ている場合ではないかもしれない。なお、「抗日戦争勝利記念」に必ず「反ファシスト戦争勝利記念」がペアで付くのは、8月26日の論考<日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき もう一歩進んで具体的理由を示すべきか>(※6)で書いた、江沢民が1995年5月にモスクワで開催された「世界反ファシスト戦争勝利記念祭典」が、「抗日戦争勝利記念」を中国で全国レベルで行なうきっかけとなった何よりの証拠であることを最後に付言したい。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※7)より転載しました。「【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う その心は?(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。【習近平・プーチン・金正恩】の団結を指をくわえて見ているトランプ大統領(筆者作成 トランプ像は筆者AI作成)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6219(※3)https://grici.or.jp/6236(※4)https://www.politico.com/news/2025/08/25/trump-says-he-could-meet-again-with-kim-jong-un-00523328(※5)https://www.youtube.com/watch?v=-R7ax7ZlSdk(※6)https://grici.or.jp/6574(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/707a095f0cdc856ee6261fb90b130a7cb971d15c
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2025/09/01 10:32
GRICI
【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:31JST 【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。9月3日に北京で挙行される「中国人民抗日戦争・世界反ファシスト戦争勝利80周年記念式典」に北朝鮮の金正恩総書記も参加することがわかった(※2)。中露朝という隣接する「非米陣営」の「巨頭」(独裁政権トリオ?)が一堂に会するのは異例なことだ。皮肉にもこの3人はトランプ大統領が「会いたがっている」リーダー集団でもある。おまけに「反ファシスト戦争勝利」と言うなら、旧ソ連を別とすれば、アメリカやドイツ・イタリアを除いたヨーロッパなど西側諸国が勝利者の主人公のはずではないか。その「世界反ファシスト戦争勝利80周年記念式典」に勝利者が参加せず、「反ファシスト戦争」が終結した4年後に誕生した「中華人民共和国」が主人公となって「反ファシスト戦争勝利記念」で巨大な「非米陣営」の塊を形成していく。これをどう読み解くのか、【習近平・プーチン・金正恩】3者それぞれの思惑を、トランプ大統領の位置との関係において考察する。これを分岐点として世界の勢力マップに大きな地殻変動が起きるだろう。◆習近平とプーチン習近平は、プーチンがウクライナに対する軍事侵攻をしたことに賛成ではない。なぜならプーチンのウクライナ軍事侵攻の表面的な理由は「ウクライナ東部のドンバスなどの地域の住民が、ゼレンスキー政権によって(ウクライナ東部住民の母語であるロシア語を使ってはならないなどの)差別を受け弾圧されているので、ロシアに助けを求めたからだ」というものであった。そんなことを理由にされたのでは、たとえば中国のウイグル自治区やチベット自治区などの住民が、「習近平政権に不当な弾圧を受けている」として他国に救いを求めたら、他国は中国に軍事侵攻していいことになる。クリミア半島併合に関しても、バイデン(当時副大統領)などがNED(全米民主主義基金)を使ってウクライナ西部地域の住民を焚きつけマイダン革命を起こさせて親露政権を転覆させたことへの仕返しだということは分かっていても、やはりクリミア半島の住民投票という手段を使って「民主的に」併合したという事実に対して、習近平は認めたくない。もし自国内のウイグル自治区の住民が自主的な住民投票によって反旗を翻したら中国から独立して他国に併合されていいという理屈につながるので、何れも賛同できないのである。しかしながら、プーチンの決断が「アメリカに虐められた結果の反応」であるという意味においては、中国の発展を阻止するために「アメリカに虐められている中国」としては、「虐められている者同士」としてプーチンを応援したい。そうでなくとも中露関係は「非米陣営」として上海協力機構やBRICSなど独自の勢力圏を構築していたので、習近平としては「経済的にはプーチンを徹底して支援する」という立場を貫いてきた。今後もそれは強化されるにちがいない。プーチン側からしても、習近平は世界で最も頼りになるリーダーだ。たしかに習近平は軍事的には中立を保ち、決して軍事参加はしないものの、経済的には世界第二位で、ハイテク産業においては世界トップを行っている。プーチンとしては、その中国にはピタッと寄り添っていくつもりだ。◆プーチンと金正恩それでも習近平が軍事的にプーチンとは一定の距離を保ったまま、これを絶対に変えようとしないことをプーチンは十分に認識しており、何としても軍事的支援をしてくれる「仲間」が欲しい。見れば、すぐ隣に「軍事的に秀でようと、一歩たりとも譲らない金正恩(キム・ジョンウン)」がいるではないか。領土は狭いながらも、何としても核保有国として認められ、核保有によって自国を守ろうと、凄まじい気炎を吐いている金正恩の存在は、領土の狭さを超越して存在感を発揮している。おまけに仇敵の韓国が、米韓軍事同盟に基づき、北に圧力をかけようと軍事演習をやめようとはしない。そこでプーチンは金正恩に声をかけ、核開発やミサイル開発などの技術支援をするので「ウクライナ戦争でロシア側に付いて支援しないか」と呼び掛けた。金正恩は二つ返事で承諾!これまでどの国からもそのような形で認めらたことのない金正恩は、きっと有頂天になり、積極的に兵力の支援を引き受けたにちがいない。この金正恩の力をプーチンが頭を下げて求めてくる。金正恩の表情は日に日に自信を増すようになっている。それからの露朝蜜月は、世界が唖然とするほど緊密なものとなった。そして2024年6月19日、訪朝したプーチンは金正恩と会談し、両国が相互友好条約に署名する準備があることを発表し、11月9日、プーチンは北朝鮮との安全保障協力の拡大などを定めた「露朝包括的戦略パートナーシップ条約」をロシアが批准する法案に署名した。条約は、一方の国が武力攻撃を受けた場合に他方の国が軍事支援を行うことなどを規定し、事実上の露朝軍事同盟に相当する。期間は無期限だ。◆金正恩と習近平この二人の関係は実に複雑だ。中国は1950年に始まった朝鮮戦争において、スターリンと金日成(キム・イルソン)の陰謀により、無理矢理に北朝鮮に中国人民志願軍を派遣する形で北朝鮮を軍事支援する形に追い込まれた歴史がある。中国は最大の犠牲者を出したというのに、金日成はあたかも北朝鮮軍が戦ったからこそ米帝を退けることができたかのように国内で宣伝し、中国人民志願軍の勇猛果敢な戦いと犠牲を軽んじる言動をした。この時点から中朝関係はしっくりしていなかったが、金日成はその「血の同盟」を良いことに、1961年5月16日に韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)(のちの朴槿恵大統領の父)が軍事クーデターを起こして軍事政権を樹立した際に、中露に軍事同盟の締結を求めた。金日成は、米韓軍事同盟(米韓相互防衛条約)を結んでいる韓国がアメリカと組んで北を軍事攻撃することを危惧したからだ。その結果、中国とは同年7月11日に「中朝友好協力相互援助条約」という軍事同盟を締結している。旧ソ連とも「ソ朝友好協力相互援助条約」という軍事同盟を締結したが、1991年末にソ連が崩壊しロシアになったあと、1996年9月に(アメリカに操られていた)エリツィン(大統領)が「ソ朝友好協力相互援助条約」を廃棄したため、露朝軍事同盟は消滅した。改革開放が進んだ後の中国では、北朝鮮との軍事同盟は重荷で、20年ごとの契約更新時期が来ると、破棄しようとする動きが何度もあったが、結局のところ2021年に習近平は三度目の更新をしている。なぜなら2017年に発足したトランプ1.0が対中制裁をかけてきたので、2015年に発布したハイテク国家戦略「中国製造2025」を完遂するには、アメリカによる中国の成長を阻止しようとする動きには、北朝鮮とも同盟を結んでおいた方が賢明だと判断したからだろう。実は金正恩と習近平政権の間には金正恩政権誕生の時からいざこざがある。2017年2月19日のコラム<金正男殺害を中国はどう受け止めたか――中国政府関係者を直撃取材>(※3)に書いたように、金正恩の父親である金正日(キム・ジョンイル)政権の時の後継者争いの中で、金正日の長男である金正男(キム・ジョンナム)が「暗殺される危険があるので助けてくれ」と中国に助けを求めたことがある。金正日がまだ生きていた時のことだ。金正男は後継者になる気などは皆無だが、金正日と元在日朝鮮人の女性との間に生まれた金正恩(三男)は、自分こそが正当な後継者で、異母兄弟の長男・金正男を仇敵とみなしていた。そんなわけで2011年に金正日が他界したあとは、事実上金正恩が最高指導者になった。しかし、2012年に総書記になり、2013年に国家主席になった習近平に対して、金正男問題があるために、金正恩は最初から敵愾心を持っていた。そのため2014年6月30日のコラム<習近平「訪韓」優先、その心は?――北朝鮮への見せしめ>(※4)に書いたように、中国が1992年8月に韓国と国交を正常化して以来、国家主席が北朝鮮を先に訪問しないで、韓国を先に訪問するようなことはやったことがない。しかし習近平は北朝鮮を訪問する前に韓国を訪問し、朴槿恵(パク・クネ)大統領と会い、2015年の抗日戦争勝利70周年記念には、天安門楼閣に朴槿恵と並んで祝賀したという、これまでになかった現象さえ見られた。それが一転したのは、米朝首脳会談が行われることになったからだ。トランプに会う前に、金正恩は毎回訪中して習近平に教えを乞うている。金正恩が2018年3月に中国を訪問したのは、トップになったあと初めての公開外遊だった(※5)。そのお返しとして習近平は2019年6月に北朝鮮を訪問したが、中国の首脳が北朝鮮を訪問するのは2005年以来だ(※6)。ここで既に仲直りしているのであって、ウクライナ戦争後にプーチンが金正恩に近づいたことによって、中朝関係がギクシャクしているというようなことはない。それよりも決定的なファクターは、トランプ関税だ。「【習近平・プーチン・金正恩】 トランプが会いたい3人が「反ファシスト祭典」で揃う その心は?(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※7)より転載しました。【習近平・プーチン・金正恩】の団結を指をくわえて見ているトランプ大統領(筆者作成 トランプ像は筆者AI作成)(※1)https://grici.or.jp/(※2)http://www.news.cn/zt/kzsl80zn/jzh0828/index.html(※3)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c20dbf4c5792d00910f6909b24efb4eb3d3621c2(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/941f391b1aa10ddfad646d9db9f6a3fe3cd345dc(※5)https://www.bloomberg.com/politics/articles/2018-03-26/north-korean-leader-kim-jong-un-is-said-to-be-visiting-china(※6)https://edition.cnn.com/2019/06/19/asia/xi-jinping-pyongyang-hnk-intl/index.html(※7)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/707a095f0cdc856ee6261fb90b130a7cb971d15c
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2025/09/01 10:31
GRICI
日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:40JST 日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき もう一歩進んで具体的理由を示すべきか(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆愛国主義教育を反日教育に持って行った江沢民には個人的な理由が…江沢民がトウ小平の指名を受けて中共中央総書記に就任したのは天安門事件後間もない1989年だが、国家主席に就任したのは1992年3月である(全人代の承認が必要)。上海から突然中央にやってきた「おのぼりさん」を、北京派閥たちは嫌った。中でも北京市の書記をしていた陳希同は、自分が次期国家主席に指名されるべきだという願望を持っていたので、トウ小平に江沢民の出自をばらした。江沢民の実父は、日中戦争時代、日本の傀儡政権であった汪兆銘政権管轄下にあった「ジェスフィールド76号」(通称:76号)という特務機関の官吏だった。だから金持ちの家で育っただけあって、江沢民はピアノも弾ければダンスもできる。酒が入れば炭坑節だって歌い出す。ところが日本が敗戦すると、あわてて実父の弟の革命烈士(中国共産党員)の養子になったと偽り、共産党に入党した。今ではその過去を知らない人は少ないが、当時は、こんことを口にするのは絶対にタブーだった。陳希同を恨んだ江沢民は1995年に陳希同を牢屋にぶち込み、出自の過去を封印した。もし出自の秘密がばれたら、「売国奴」と罵倒され、国家主席どころか、共産党員になる資格さえない。そこでその封印をより強固にして、「自分がいかに反日であるか」を人民に植え付けるために、「反日」を声高に叫び始めたのである。反日傾向に逆らう者は、逆に「売国奴」として罵倒される。1980年ごろから大陸に上陸した日本動漫(アニメと漫画)で育った中国の若者(中国動漫新人類)たちは、愛国主義教育によって「初めて知った反日感情」と「日本動漫大好きな日本愛」との間で葛藤していたが、日本アニメ上陸への厳しい検閲と、中国産アニメの増加および反日教育の中で、「中国共産党への愛」を育み始めている。◆日中戦争中、毛沢東は日本軍と共謀していた何度も書いてきたので、再び取り上げるのは心苦しいが、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いたように、毛沢東は日中戦争中、配下のスパイ・藩漢年らを上海にあった日本の外務省所轄の「岩井公館」に潜り込ませ、国民党の軍事情報を高値で日本側に売っていた。今年7月10日の論考<習近平、BRICS欠席して抗日戦争「七七事変」を重視 百団大戦跡地訪問し「日本軍との共謀」否定か>(※2)の図表2に示したように、毛沢東は中共軍と日本軍との間での「停戦」をさえしようと藩漢年を通して日本側に伝えさせている。スパイ相関図に関しては2024年8月16日の論考<中国共産党には日本に「歴史問題を反省せよ」という資格はない 中国人民は別>(※3)の図表に示したので、興味のある方はご覧いただきたい。習近平としては何としても「中国共産党は抗日戦争の中流砥柱(中心的柱)である」として、中国共産党政権を維持したいと必死だろうが、父親の習仲勲は延安にいたので、延安時代の毛沢東の日本軍との共謀に関するスパイ行為に関しては知っている可能性がある。少なくとも習仲勲が最後まで守ろうとした胡耀邦は、毛沢東の日本軍との共謀を知っていた。だから、なおさら、習近平としては何としても抗日戦争勝利80周年記念式典と軍事パレードを大成功に持って行きたいのだろうが、そのような「虚構」は必ずいつかは人類に不幸をもたらす。過度に誇張した反日映画の上映も、江沢民の1995年のあの分岐点が無かったら、本来ならばなかったものであったかもしれないし、いずれ中国人民にも長い目で見れば、幸せをもたらすものではない可能性がある。◆日本政府に望む冒頭に書いたように、日本政府が今般、中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべきことだ。可能ならば今後は、もう一歩進んで「なぜ適切ではないのか」、「なぜ参加を自粛すべきかのか」を書面に記して、各国に配布し、中国政府にも堂々と「日中戦争の真相と、1995年以降の反日教育の動機の不純さ」を示していくべきではないだろうか。必要であるなら、「毛沢東が日本軍と共謀した事実」を、実際に日本軍と戦った「国民党軍」関係者とともに審議しチェックしていくことも試みるべきだろう。2015年8月10日のコラム<戦後70年有識者報告書、中国関係部分は認識不足>(※4)に書いたように、10年前の報告書はあまりにもお粗末で、「反日教育」を「抗日教育」と書き間違えるほどレベルの低いものだった。日本はアメリカにも中国にも恐れることなく、堂々と独立国家としての見解と見識を広めていくべきだと思う。それこそが「戦争を再び招かない未来」へとつながっていく道だと固く信じる。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※5)より転載しました。中国 抗日戦争勝利80周年軍事パレードのリハーサル(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6453(※3)https://grici.or.jp/5541(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9218d09c402d54d4d6de0473f7e3f8052ed6e9d3(※5)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2dc3f68e50cdbab4eb2961d0775b662f5bef316b
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2025/08/27 10:40
GRICI
日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:35JST 日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。8月24日、日本の共同通信は<中国の抗日行事に「参加自粛を」 日本政府、各国に呼びかけ>(※2)という見出しでハッとするような報道をした。日本政府が「遺憾砲」以外に、こうして具体的に「参加自粛」を欧州やアジア各国に外交ルートを通して呼びかけたことなど、未だかつて聞いたことがないように思う。正直、「石破政権、なかなかやるじゃないか」と思った。可能ならば、なぜ「抗日行事」が始まったのかを直視し、中国共産党が持つ決定的な弱点と虚偽を、静かに示せるようにしてほしいと切望する。毛沢東はただの一度も「抗日行事」を開催したことがないが、1995年に江沢民が「抗日行事」を全国化して以来、反日感情は逆行して燃え盛り、それがまた日本の若者に反中感情を植え付ける原因の一つになっている。この悪しきサイクルという負の遺産を子々孫々にまで残さないようにするのは、まだ現実を知っているわれわれ世代の義務だと思う。そうしないと、いつかこの負の感情の連鎖が戦争を起こすことにつながるかもしれない。それを防ぐためにも、これまで何度も書いてきたが、ここでもう一度、中国の「抗日行事」の真相を振り返りたい。◆毛沢東は抗日戦争勝利を祝ったことがない2015年8月25日のコラム<毛沢東は抗日戦勝記念を祝ったことがない>(※3)に書いたように、中国建国の父、毛沢東は、抗日戦争勝利記念行事を一度も行ったことがない。中共中央文献研究室が編集し、中央文献出版社から出版した『毛沢東年譜』を詳細に見ると、中国(中華人民共和国)が1949年10月1日に誕生すると、その年の12月23日に中央人民政府政務院(現在の国務院に相当)が抗日戦争勝利記念日を「8月15日」にしようと決定した。しかし実際には実行されておらず、1951年に8月13日に、記念日を「9月3日」にすると、文書上で決めた。毛沢東はそれも無視して、9月2日に旧ソ連のスターリンに祝電を送ることだけしかやっていない。1952年でも、9月2日に毛沢東がソ連のスターリンに祝電を送っただけで、国内行事はゼロだった。1953年3月にスターリンが他界すると、それ以降は周恩来が旧ソ連のマレンコフ(第二代閣僚会議議長)やモロトフ(外相)宛てに祝電を送っただけで、1955年からは中ソ対立が始まったので、その祝電もなくなり、もちろん国内行事などは一切行ったことがない。なぜなら「抗日戦争に勝利したのは毛沢東の最大の政敵である国民党の蒋介石率いる中華民国」であって、毛沢東にとっては「蒋介石を称えることになる」からだ。詳細は後述するが、そのようなわけで、毛沢東が逝去した1976年9月9日まで、中国では「抗日行事」など開催したことがないのである。ただし、1972年9月には、日本の田中角栄元首相の訪中と日中国交正常化に関する記述に多くのページが『毛沢東年譜』で割かれ、日本を礼賛している。◆全国的な抗日行事は1995年に江沢民が始めた2015年8月26日のコラム<抗日戦勝記念式典は、いつから強化されたのか?>(※4)に書いたように、大々的な全国性の抗日戦争勝利式典は1995年9月から始まった。式典という形でなく、北京やその他の地方における地域性の座談会的なものは、改革開放後の80年代初頭から徐々に始まっている。しかしそれも、江沢民が国家主席になるまでは、全国的な行事ではなく、また式典という形で行われたことはない。1995年5月9日、第二次世界大戦終結50周年という大きな節目にあたり、冷戦構造崩壊後の旧ソ連すなわちロシアにて、「世界反ファシズム戦争勝利50周年記念」が開催された。当時の中国の国家主席・江沢民は、当時のロシアのエリツィン大統領の招聘を受けて、会議に出席した。連合国側の国家として戦ったのは「中華民国」なのだから、「中華人民共和国」が連合国側の国家として招聘されるというのは、奇妙な話だ。しかし「中華人民共和国」が「中国」を代表する国家として国連に加盟していたので(1971年)、中華民国の業績も中華人民共和国の業績として受け継ぐことになったと解釈することが許されたと、中国は思ったにちがいない。江沢民にとっては、どれだけ誇らしく、かつ自信をくすぐる大きな出来事だったか、想像に難くない。1950年代半ばから、ソ連とは中ソ対立があり敵国同志だったが、そのソ連が1991年末に崩壊しロシアとなったため、ようやく中国と和解したしるしでもあった。その夜、モスクワのクレムリン宮殿では、式典を祝賀するための晩餐会が開かれ、各国首脳が顔をそろえていた。午前中に開かれた記念式典でスピーチをした首脳は、この晩餐会ではもうスピーチをしないことになっていたのだが、司会者がなぜか、アメリカのクリントン大統領やフランスのミッテラン大統領をはじめ、主たる国家の首脳を再び壇上に上がらせ、乾杯の音頭のための挨拶をさせ始めた。舞台下の宴会場には、江沢民国家主席がいた。しかしいつまでたっても江沢民の名前は呼ばれない。見ればアジアから来た国家代表は江沢民だけではないか。「欧米首脳にのみ舞台に上がらせて、中国人民を代表するこの私(江沢民)を舞台に上げないとは何ごとか!」江沢民は乾杯を拒否してエリツィンの秘書を呼びつけ、自分にも祝杯の辞を述べさせろと要求したが、反応がないまま、舞台のマイクが下げられ、次の催しに入ろうとしていた。江沢民は怒り、焦った。自分で直接エリツィンのもとに走って行き、「中国の代表として発言を求める」とエリツィンに迫った。エリツィンはすぐに同意し、江沢民は舞台に立った。あわてて元に戻されたマイクに向かって、江沢民は声高々と次のように語ったのである。――私は中国政府と人民を代表して、すべての反ファシスト戦争勝利に貢献した国家と人民に熱烈なる祝賀を表するとともに、かつて中国人民による抗日戦争を支え援助してくれた全ての国家と人民に心からなる感謝と敬意を表したい。(詳細は『為了世界更美好江沢民出訪紀実』世界知識出版社、2006年。タイトルは簡体字。)この瞬間から、中国共産党の抗日戦争は「世界反ファシズム戦争」として位置づけられるようになった。そして同年9月3日、中国では盛大なる「抗日戦争勝利記念大会」が全国的な国家行事として開催され、おまけにこれを「世界反ファシスト戦争勝利記念大会」と位置付けるようになったのである。人民大会堂におけるスピーチの中で、江沢民は次のように述べている。――私がここで特に明らかにしなければならないのは、ソ連、アメリカ、イギリス等の反ファシズム同盟国家は、中国の抗戦に人力的にも物質的にも甚大な支持をしてくれた。したがって抗日戦争に勝利した紅旗の中には、こういった各国の友人たちの血の跡が刻まれている。なんと、中国共産党にとって神聖であるはずの紅旗(赤旗)の紅い血の色の中に、アメリカの血が入っていると言ったのだ。世界が「赤化」することを最も警戒していたアメリカに対してである。「日本政府が中国の抗日行事に「参加自粛」呼びかけたのは賞賛すべき もう一歩進んで具体的理由を示すべきか(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※)より転載しました。中国 抗日戦争勝利80周年軍事パレードのリハーサル(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://news.yahoo.co.jp/articles/6b1c0a92c9b2245caa35156d43917e6b3063b640(※3)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/60e73533ebe688bd45af8df381346fa483e7cad3(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4a7d43670b8dfcb2784b4ccffad5eb661f03dd6c(※5)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2dc3f68e50cdbab4eb2961d0775b662f5bef316b
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2025/08/27 10:35
GRICI
台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:58JST 台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」三角関係を読み解く(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆「米中台」三角関係 前代未聞のアメリカの対応に彷徨う台湾台湾の対米トランジット外交は、1994年に李登輝総統が中南米歴訪の時に給油のためにホノルルを経由したことがきっかけとなっている。帰途、ホノルルでの短期滞在を要求したが、時のクリントン政権が「一つの中国」政策を理由に、給油は許したもののビザの発行は拒否している。しかし李登輝の抗議と、米議会議員からの激しい批判に遭い、クリントンは李登輝が1995年に私人としてコーネル大学を訪問することを許可した。あれ以来、アメリカの大都市立ち寄りというトランジット外交が始まり、これまで基本的に拒否されたことがない。2006年の陳水扁総統によるアメリカ立ち寄りの失敗は、台湾の方がアメリカ経由をキャンセルしたような恰好(※2)なので例外とすれば、今回のトランプによる拒否は、米中国交回復以来、米台関係史の中で初めての出来事であるということもできる。問題は、これをどう解釈するかだ。トランプは同盟国であろうがなかろうが、ほぼアメリカにとって有利であるか否かだけで、相手国との関係を「二国間関係」により決めていく傾向にある。その上、世界の専制主義的な大物リーダーが好きだ。最初の内はプーチンと習近平が気に入り、特に「自分が大統領になったら、1日でウクライナ戦争を停戦にさせる」と豪語していただけに、何としてもプーチンとの1対1の良好な関係でウクライナ戦争を解決しようとしていた。ところがプーチンは口先ではトランプとの電話でトランプが気に入るような言葉を発しながら、一方では(トランプに言わせると「夜になると」)言葉とは裏腹の激しいウクライナ攻撃をする。遂にトランプの堪忍袋の緒が切れて厳しいロシア制裁に出ると言い始めている。残るは習近平だ。習近平だけが(自分の面目を保つための)「頼みの綱」なのである。そうでなくとも大統領就任早々、「私は習近平が好きだ!これまでもずーっと好きだった」(※3)とまで公言している。おまけに米中貿易では圧倒的に中国が勝っている上に、中国製品や中国のレアアースがないと、アメリカは武器さえ製造できないような惨状だ。「アメリカ・ファースト」を貫き、来年の中間選挙を勝ち抜くには、「習近平の機嫌を損ねたくない」という気持ちが働いているのではないかと判断される。台湾などは二の次で、もともと強い興味を示していなかったのだが、ここに来て中国大陸優先モードに入っているように見える。しかし政権は対中強硬論者で固めているので、ルビオ国務長官などが黙っていない。そこら辺とのバランスを図りながら、それでも「習近平重視路線」は続けるだろう。このような中、習近平の「台湾に対する堪忍袋の緒が切れないように」持って行き、台湾有事を引き起こさせるような頼清徳政権の独立志向を抑え込む。堪忍袋の緒を固く締めて耐える役割は頼清徳にさせる。これが当面の「米中台」三角関係ではないだろうか?7月28日のストックホルムにおける米中貿易交渉では、8月12日だった関税暫定停止期間を、さらに90日間延期させることに決まったようだ。少なくともこの90日の間では、上記の「米中台」三角関係が続く可能性がある。途中で米中首脳会談などがあった日には、どのような「変数」が待ち構えているかわからない。見ものだ。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。頼清徳総統(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.voachinese.com/a/a-21-w2006-05-04-voa26-63208082/968595.html(※3)https://www.youtube.com/watch?v=-R7ax7ZlSdk(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8e1accb8a6a5cd2fe8cd00020e49ca89a2ee3915
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2025/08/01 10:58
GRICI
台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:56JST 台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」関係を読み解く(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。フィナンシャル・タイムズ(FT)は7月28日、「習近平国家主席との会談予定や米中貿易合意に向けての交渉のさなか、トランプ大統領は習近平との関係を重んじて、頼清徳総統が8月にニューヨークに立ち寄るのを拒否した」と報道した(※2)(登録、有料)。中国側の猛烈な抗議を配慮した結果だという。すると、「トランプは中国大陸を重んじて台湾をないがしろにした」と、台湾メディアは燃え上がった。特に「なにも、頼清徳に世界大衆の面前で恥をかかせることはないだろう。なぜそれをマスコミに流してしまったのか」と大荒れで、頼清徳は「もともと予定していた(と言われている)8月の南米訪問は、そもそも存在していなかった」という形で「屈辱」をかわそうとしている。そのことが台湾メディアをいっそう掻き立て、頼清徳は「笑いもの」の的になっているのが現状だ。アメリカのペロシー元下院議長もトランプの決断を激しく攻撃(※3)。それも含めて台湾メディアは面目を失った頼清徳を追い詰めていた。ところが一転。7月29日になると、米国務省報道官が「そもそも台湾総統の外遊予定はなかったので、アメリカの台湾に対する立場は不変だ」と宣言したのだ(※4)。頼清徳のメンツを守った形だが、これがまた台湾メディアを刺激した。いずれにしても、以上の顛末は、トランプがいかに習近平を重んじているか(相対的にいかに台湾を軽んじているか)の証しであり、またトランプ周辺の対中強硬派とのバランスも垣間見せる。今後のトランプ政権の対中・対台湾姿勢が気になる。◆「トランプが頼清徳のニューヨーク立ち寄りを拒否」に色めき立つ台湾メディアトランプが頼清徳のニューヨーク立ち寄りを拒絶したというニュースに台湾のメディアは燃え上がった。中央通信社CANは7月29日、<トランプが頼総統のニューヨーク立ち寄りを拒否 ペロシー:危険信号>(※5)という見出しで報道し、同じく7月29日、聯合新聞網は<FT:頼清徳総統はアメリカがニューヨーク立ち寄りを許さないことを知った後に、8月の外遊を取り消した>(※6)と明確に因果関係をばらしてしまった。7月29日、BC東森新聞は<頼清徳がニューヨーク経由を拒否された? 学者らが「トランプのそろばん勘定」を暴露:目を覚ます時が来た>(※7)という見出しで学者の意見を載せている。「トランプが何を考えているか、気が付くべきだ。台湾の人々よ、目を覚ますときが来た」という趣旨の論考だ。要は「トランプは台湾を重要していない。いざとなった時に(台湾有事に)、アメリカが必ずしも台湾を助けてくれるとは限らない」と切実だ。威勢よくまくしたてるのは「新聞大白話」のYouTubeだ。7月29日、<トランプが頼清徳のニューヨーク立ち寄りを拒否? ペロシーが「台湾危険シグナル」を響かせたよ>(※8)というタイトルで、面白おかしく現状を斬っている。7月29日、聯合新聞網は、もう一本関連記事を発信して、頼清徳が支援する市民団体がリコール対象としていた国民党の王鴻薇書記長の<トランプにニューヨーク立ち寄りを拒否されて、約束していた南米訪問をも取り消すのは、国交のある南米の国に失礼ではないか>(※9)という趣旨のコメントを報道している。「ニューヨーク経由の拒否を受けて、頼清徳は台湾南部の台風被害やトランプ関税対応などを理由に、『もともと海外訪問の予定はなかった』などとしているが、8月にパラグアイ、グアテマラ、ベリーズなどの外交関係を持つ国を訪問する予定で、そのときにニューヨークを経由するということは、知らない人はいないくらい知れわたっている。それを今さら『訪問する予定はそもそもない』などと言い逃れるのは、相手国に失礼ではないか!」というのが王鴻薇の主張だ。台湾総統府はたしかに正式に声明を出したことはないが、すでに訪問するはずだった相手国からの発信さえある。◆頼清徳の8月南米訪問は既定路線だったたとえば今年7月15日の「公視新聞網」は<(台湾の)林佳龍(外交部長)は代表団を率いて南米の友人であるパラグアイを訪問 パラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領は「8月に頼清徳総統が訪問する」と述べた>(※10)というタイトルで報道し、パラグアイのペニャ大統領が「8月には頼清徳総統の訪問を受ける」と明らかにし、かつ「今からの30日間は頼清徳総統をお迎えするために準備万端進めております」とさえ言っていることを伝えている。また、台湾メディアによると頼清徳は8月に「グアテマラ、ベリーズにも行き、ニューヨークとテキサス州ダラスを経由する予定だ」と報道している。7月15日の聯合新聞網も<頼清徳は来月中南米を訪問 米国ニューヨークとダラスを経由する予定>(※11)という見出しで報道し、それに先立ち、台湾の林佳龍外交部長が訪問したと書いている。類似の報道はあまりに多いので省く。注目すべきは、中国大陸(北京政府)の方の外交部が7月15日に記者会見で抗議したことだ(※12)。ロイター社の記者が「パラグアイの大統領が、台湾の頼清徳総統が来月同国を訪問するので、その準備を進めていると述べました。頼総統はベリーズも訪問する予定で、アメリカを経由する可能性が高いと言われています。中国はアメリカに対し、頼総統のアメリカ経由を認めないよう要請したのでしょうか?またアメリカの反応はどうでしたか?」という質問をしている。それに対して林剣報道官は「一つの中国」原則を踏みにじっているパラグアイに激しく抗議するとともに、アメリカ経由の可能性に関する質問に対して「中国はアメリカと台湾の間のいかなる形式の公式交流にも断固として反対し、台湾当局の指導者がいかなる名義、いかなる理由であれアメリカに出入りすることに断固として反対し、アメリカが“台湾独立”分離主義者とその分離活動をいかなる形でも黙認し、支援することにも断固として反対する。アメリカは台湾問題の高い敏感性を認識し、『一つの中国』原則と米中3つの共同コミュニケを堅持し、最大限の注意を払って台湾問題に対処すべきだ」と激しく憤りを顕わにした。トランプは、これに対して配慮したものと思われる。7月30日のFTは、<アメリカが6月の時点で、台湾の国防部長(国防相)が訪米することを拒否していた>(※13)(登録、有料)という事実までつかんでいたことを報道している。その理由は「中国との貿易交渉が迫っていたからだ」とのこと。一部の米当局者は、「台湾の顧立雄国防部長の訪米を認めれば、米中貿易交渉が損なわれ、習近平国家主席との首脳会談実現に向けたトランプ大統領の努力にも悪影響が出ると懸念していた」とFTは記事の中で書いている。「台湾総統のニューヨーク立ち寄りを拒否したトランプ政権の顛末 「米中台」三角関係を読み解く(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※14)より転載しました。頼清徳総統(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://www.ft.com/content/21575bec-5cdd-47ee-9db2-3031c4ea7ca7(※3)https://x.com/SpeakerPelosi/status/1949978882360139948(※4)https://www.state.gov/briefings/department-press-briefing-july-29-2025/(※5)https://www.cna.com.tw/news/aipl/202507293001.aspx(※6)https://udn.com/news/story/6656/8902747(※7)https://tw.news.yahoo.com/%E5%82%B3%E8%B3%B4%E6%B8%85%E5%BE%B7%E8%A2%AB%E6%8B%92%E9%81%8E%E5%A2%83%E7%B4%90%E7%B4%84-%E5%AD%B8%E8%80%85%E6%9B%9D-%E5%B7%9D%E6%99%AE%E7%AE%97%E7%9B%A4-%E8%A9%B2%E6%B8%85%E9%86%92%E4%BA%86-032700206.html(※8)https://www.youtube.com/watch?v=S7gOfRvNuzA(※9)https://udn.com/news/story/6656/8903469(※10)https://news.pts.org.tw/article/760861(※11)https://udn.com/news/story/6656/8872571(※12)https://www.fmprc.gov.cn/fyrbt_673021/jzhsl_673025/202507/t20250715_11671019.shtml(※13)https://www.ft.com/content/baf4a261-1fce-4c38-b05f-ccd01d3be750(※14)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8e1accb8a6a5cd2fe8cd00020e49ca89a2ee3915
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2025/08/01 10:56
GRICI
トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信(2)【中国問題グローバル研究所】
*16:18JST トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「トランプ「原爆発言」の前にイラン爆撃を「撃て!撃て!」と軽快なロックに乗せて発信 怒る中国のネット(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。◆トランプ「イラン爆撃」と「原爆発言」に対する中国ネット民のコメント以下、ロックンロール付きのはしゃいだ動画を見た人がどれくらいいるかは判断できないが、少なくともトランプがイラン地下核施設爆撃をしたことと、それを「広島・長崎」への「原爆投下」と同じだと言ったことに対する、中国のネット民のウェイボー(Weibo)におけるコメントを、いくつか拾いあげてみた。・まさか、原爆投下と比べるなんて、こんな比喩は普通の人には思いつかないよ。・どこまでも、越えてはならないレッドラインを、平気でどんどんぶち壊していく。・トランプは本当にビッグマウスで、何でも言うし、限度もない。結局のところ、ただの傲慢なメンタリティだ。「俺は世界のボスだ、われわれは誰をも恐れない」ってことさ。「他人の気持ちなど、知ったことか」と思っている。・だったら、なんぜイスラエルにも爆撃しないんだ?イスラエルだって核開発やってるのは知ってるはずだろ?・「広島の例も長崎の例も挙げたくない」って言ってるけど、もう全部列挙したんじゃないかい? しかもあなたは、それらを美味しそうに紹介した。・幸いにも石破茂はそこにいなかった(筆者注:いても何も言ってないよ、岩屋外相がいたが、何も言っていない)。・トランプはイランへの軍事行動を広島と長崎への原爆投下に例え、多くのネットユーザーから批判を浴びた。歴史認識の欠如を非難されただけでなく、危険な誤解を招く発言だとも批判された。トランプが言いたかったのは、「自分をレーガン、リンカーン、イエス・キリストと比較したくはないが、私は本質的にそういう人間だ」ということだったのかもしれない。・トランプはイランへの攻撃を日本への原爆投下に例えた!イランへの空爆を原爆に例えるなんて、またしてもトランプは大口をたたいているのか?本当に自分が救世主だと思っているのか!アメリカは至る所で火に油を注いでおり、中東情勢はさらに混沌としている。このような脅迫と威嚇で平和がもたらされるのだろうか?誰も信じないだろう!・トランプは本当に天才だ。この発言は、彼らの爆弾よりも多くの被害をもたらしました。・本日の(日本における)記者会見で、ある記者が、トランプが広島と長崎を米軍によるイランの核施設攻撃にたとえた発言について、日本政府にどう評価するかを尋ねた。すると、日本の林芳正官房長官は、「関連する歴史的出来事については専門家が解説すべきだ」と述べ、質問に直接答えなかった。・イランの核施設への爆撃を広島への原爆投下と比較するというのか? この歴史修正主義は、(事故を起こし続けている)美肌フィルターよりも冷酷だ! 当時、日本は第二次世界大戦末期に核爆弾を投下された。今、イランは核兵器もまだ持ってないのに、「予防的攻撃」を受けたに過ぎない。トランプは「根拠のない」発言をアメリカの得意技にしてしまったようだ。トランプには歴史の授業をもう一度受けてみることをお勧めする。広島では20万人が亡くなったが、イランの核施設では犠牲者は出ていない。これで「爆撃(原爆投下)により、多くの命を救った」と言えるのか?トランプは無理やり「戦時大統領」というドラマを創り上げている。(筆者注:この指摘は鋭い。すなわち、イラン爆撃を広島・長崎への原爆投下になぞらえることによって、今は「緊急事態」なので、米議会を通さなくとも、「大統領令」だけでトランプの独断で動いていいことの「正当性」を求めようとした、という論理になる。)・アメリカが時折、日本人の傷口に塩を塗り込むのは偶然ではない。それは、傷が癒えた後も痛みを忘れないよう、日本人に警告するためだ。たとえば、トランプの最近の発言は、日本に関税の更なる譲歩を促しているが、これは実際には脅しだ!・トランプは、世界平和はすべて自分の功績だと言っているのだから、私たちは彼に感謝すべきだ。・トランプ氏は戦争屋だ! 彼は米国議会の承認なしに主権国家への攻撃を開始し、国際法を著しく侵害した!(中国のネット民のコメントは以上)◆軍事力で問題を解決する恐ろしさ日本でも、多くのネット民がトランプの「原爆発言」に対する怒りと、それを批判しない日本政府の姿勢に、さらなる憤りを表明している。しかし、日本ではメディア自身が強く批判しているのはあまり見かけないし、またトランプがTRUTHでイラン爆撃を軽快なロックのリズムに合わせて動画化している報道を見かけないように思う(見逃していたら、お許しいただきたい)。環球時報は一方で、林官房長官がトランプの「原爆発言」に関して記者会見で聞かれ「そういったことは専門家が考えればいい」と回答を交わしたことを、淡々と、しかし動画付きで紹介している(※2)。他の多くの中国のメディアもトランプの「原爆発言」に対する日本政府の回答に関して報道しており、その行間には一種の「日本政府の姿勢に対する批判」を見出すことができる。そこに共通しているのは、日本政府の「自尊心のなさ」と「過度の対米追従」であるように感ぜられる。アメリカはかつてイラクを攻撃するときも、まるでゲームを楽しむように爆撃機をリモコンで操縦し、逃げ惑う市民を笑いながら殺している動画を何度も見たことがある。今般のイラン攻撃もトランプにとっては「自分がどれだけ素晴らしいかを世界に見せるためのゲーム」に過ぎないのだ。それを日本への原爆投下に喩(たと)えたということは、それもまたトランプにとっては「おもしろいゲームだった」と言ったのに等しい。読者の皆様にお願いしたい。もう一度、トランプがTruthに投稿した「イラン爆撃」をおちょくった動画(※3)をご覧いただきたい。そして日本の敗戦はこのように位置づけられていることを再認識していただきたい。日本人として、戦後80年間、「軍事力」によって世界を支配してきたアメリカの傲慢さを、このまま見逃し続けていいのかを問わなければならないのではないだろうか。そしてこのまま対米追従を続けることが、日本人の平和につながるのか、日本はこれで「独立国家なのか否か」を問わなければならないだろう。この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。NATO首脳会議 米大統領が会見(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://world.huanqiu.com/article/4NFZ6ElF49t(※3)https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114740882500667664(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/545dd454d77832833a664d3ab77949163b42c384
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2025/06/27 16:18
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