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明日の株式相場に向けて=半導体・AI周辺にオイルマネーの気配

配信日時:2025/06/17 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比225円高の3万8536円と続伸。前週末のイスラエルの暴走モードによって世界の耳目を驚かせた中東リスクから労せずして立ち直った形となった。昼ごろに開示された日銀の金融政策決定会合の結果は3会合連続での現状維持となったが、マーケットはこれについては事前に100%織り込んでいた。国債買い入れ減額ペースを来年4月以降は、現状の半分である2000億円に縮小することも発表されたが、これは好材料には違いないものの、事前のアドバルーン(観測記事)が利いてきょうの全体相場への影響は限られた。  足もとで日経平均は3万8000円台を固める動きにあるが、正念場となるのはもう一段上の水準だ。直近1年間でみて3万8000円台後半から3万9000円までのゾーンが累積売買代金の最も積み上がった水準で、3万8500円近辺に来ると売り玉が湧き出てくるような印象を受けるのは、そうした需給的な事情が関係している。言い換えれば売り方にとって3万8500円近辺はひとつの攻防ラインとなっている。逆にこの水準の売りをこなし切って3万9000円ラインも突破すれば、ショート筋の手仕舞いを誘発し、4万円大台復帰までそれほど時間を要さない可能性がある。  カナダで行われたG7サミットについては、良くも悪くもトランプ米大統領の一挙一動に世界の視線が集中することになったわけだが、もとより2国間協議を主眼とするトランプ氏にしてみれば、このG7サミット期間中に関税問題に関する何らかの進展を最初から念頭に置いてはいなかったと思われる。全体討議の2日目に参加せず帰国の途についたのも、傍若無人というよりはトランプ流を貫いたに過ぎない。そうしたなか、今朝方に日米首脳会談を経て石破首相が記者団の質問を受けていたが、「双方の認識が一致していない点が残っている」というのは当然として、「日米双方の利益となることを前提に、交渉はパッケージとして考える」と玉虫色な回答を繰り返すのみで、何も前進がなかったということを代弁するような内容であった。米国の利益と日本の国益がトレードオフの関係にあるのは言うまでもなく、双方の利益を追求して落としどころを見つけるというのは理想論で、実際は困難を極める。自動車の関税問題が最大のヤマには違いないが、トランプ氏としてもここに関して妥協する姿勢はおそらく持ち合わせていない。これを承知で、参院選を前に言質を取られないための曖昧表現だったようにも思える。  また、明日のビッグイベントであるFOMCは現状維持であることが確実視されるほか、パウエルFRB議長の会見についても、トランプ氏がいかにプレッシャーをかけようとも現在の米経済指標から利下げを急ぐ蓋然性には乏しく、マーケットを喜ばせるような発言は期待しにくい。9月、12月の年内2回の利下げというコンセンサスはそのまま放置される可能性が高い。こう見てくると今週はビッグイベントが相次ぐ週ではあるが、思うほど風速が強い材料は少ないということにもなる。  さて、きょうの東京市場で個別株は半導体関連のツートップであるアドバンテスト<6857.T>とディスコ<6146.T>の2銘柄が投資マネーを引き寄せ、全体指数の押し上げに貢献した。外国人による日本株買い攻勢が続いているが、欧州系資金の占める割合が高く、これにはオイルマネーが含まれている可能性がある。爆発的に商い増勢にあるアドテストへの買いオーダーもそれと無関係とは言い切れない。上記2銘柄は半導体関連の中でも、AI半導体向けで需要を獲得する大手製造装置メーカーとして位置づけられている。そして、その流れは他のAI関連やデータセンター関連株の人気にも波及している。  好実態で株価が出遅れているAI関連としては、AI・IoT分野で必要とされるIT人材需要に対応し商機を捉えるアトラエ<6194.T>に注目。また、新値圏で強さを発揮するエスユーエス<6554.T>はIT人材派遣を手掛けるが、近年はAI事業に重心を置き収益高成長路線に突入した。一方、AIデータセンター関連ではデータセクション<3905.T>が強烈な物色人気を集め、マーケットの視線を釘付けにしている。データセク効果を背景に、ここからマークしておきたいデータセンター周辺株としては、リバーエレテック<6666.T>やMipox<5381.T>に目を配っておきたい。  あすのスケジュールでは、4月の機械受注、5月の貿易統計がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、後場取引時間中に実質輸出入の動向が日銀から発表される。この日の午後4時過ぎに開示される5月の訪日外国人客数にもマーケットの関心が高い。海外ではインドネシア中銀、ブラジル中銀が政策金利を発表し、4月のユーロ圏経常収支や5月の英消費者物価指数(CPI)も注目される。米国では週間の新規失業保険申請件数や5月の住宅着工件数、4月の対米証券投資などが発表される。また、FOMCの結果発表と会合後のパウエルFRB議長の記者会見に耳目が集まる。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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