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明日の株式相場に向けて=個別株はモメンタム重視の「夢追い相場」に
配信日時:2025/06/16 17:30
配信元:MINKABU
週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比477円高の3万8311円と大幅反発。前週末に波乱含みの下げをみせたが、きょうはそれを余裕で取り戻し、3万8000円台を大きく回復した。前週後半は雲行きがにわかに怪しくなり、事実、週末13日はイスラエルによるイランの核施設や原油関連施設などへの攻撃によって、これまでよりステージの高い地政学リスクに晒された。当欄では前週木曜日にネガティブな気配があったため「高陵には向かうことなかれ」と、買いはいったん手控えておくことを推奨したが、中東有事で一時600円を超える下げとして早々に相場に反映されたのには少なからず驚かされた。
しかし、マーケットの買い気は思った以上に強いことも今回確認された。今はミニバブル状態と言ってしまえば語弊はあるが、おそらくそれに近い相場環境が醸成されているといってよさそうだ。先物主導で前週末に売り方がここぞと売り乗せたショートポジションが、きょうは一気に逆流する格好となり、想定外の切り返しをみせた。欧州株安に加え、米国株市場でNYダウが一時900ドル近い急落をみせたが、その流れを東京市場が堰き止め、売り方を慌てさせる展開というのは、国内に材料の乏しい状況下では珍しいケースでもある。
きょうの取引開始前の時点で日経先物がプラス圏にあったのだが、それでも市場関係者に強気を唱える向きは皆無で、「株価は仮に朝方しっかりでも “あや戻し”で、後場に入れば結局売りに押し流されるだろう」(中堅証券ストラテジスト)という声が聞かれた。また、それが人間の思考として当然でもあった。ところがフタを開けてみれば、そうした市場筋の見解をことごとく粉砕する強調展開が待っているのだから相場は不思議である。
確かに前週末の欧米株よりも東京市場の方が時間軸的に先行して売られたことで、きょうは改めて売り直すには材料不足ということもあったが、それだけではない。中銀ウィークを迎え、中銀の政策スタンスに耳目が集まる場面で、日銀の国債買い入れの減額幅圧縮観測が、あまりにタイムリーに相場を強気へと誘導するカタリストとなった。日銀は四半期ごとに国債買い入れ額を4000億円ずつ減らしてきたが、これを来年4月から2000億円程度と半分に減らすという報道内容。一瞬分かりにくいが、買い入れの減額幅を緩やかにするということは、ベクトルの向きで言えば金融緩和的な作用をもたらす。日銀はペースが緩やかであっても「これから金融引き締めに向かう」というコンセンサス自体は鉄壁化していただけに、この「買い入れ減額ピッチを速めるのではなく遅くする」という報道は、思いのほか今の相場には株価浮揚の材料として機能した。
そうしたなか、「森より木」で勝負する個人投資家の物色意欲は旺盛である。個別株の動向をみて分かることは、テーマ物色の流れが佳境に入ると、企業のファンダメンタルズとはカイ離したモメンタム相場の色彩が一様に強まっていくということ。株価への反動は遅かれ早かれ訪れることは避けられないが、それを見込んでショート戦略に重心を置くと、待ってましたとばかりに踏まされるのが今の相場である。貸株市場などを経由して、バイオや仮想通貨関連株などにその典型的な動きを示す銘柄(Heartseed<219A.T>やメタプラネット<3350.T>など)が相次いでいる。もとよりPERやPBR、配当利回りなどの伝統的な指標は機能しない。テーマ買いの動きが過熱化する過程では、モノサシをあてがって株価を論じても意味をなさず、これをポジティブに表現するなら「夢を買うのが株式投資」ということになる。
きょうはアドバンテスト<6857.T>が5000億円を超える記録的な売買代金で、株価も800円を超える急騰を演じた。防衛関連の旗艦銘柄が三菱重工業<7011.T>なら、半導体関連の一枚看板は、今はアドテストということになる。この流れを踏まえて、中小型株で改めてマークしておきたい銘柄では、防衛関連では大同メタル工業<7245.T>、大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>、沖電気工業<6703.T>。また、半導体株人気に連動する銘柄としてはプリント基板のeコマースを手掛け、エッジAI関連でもあるピーバンドットコム<3559.T>の押し目が魅力的に映る。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の結果発表と引け後の植田日銀総裁の記者会見が行われる。そのなか、国債の買い入れ減額計画の中間評価が開示され、マーケットの関心が集まりそうだ。海外では6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数が発表されるほか、ブラジル中銀が18日までの日程で金融政策決定会合を開く。また、米国では同じく18日までの日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。このほか、5月の米輸出入物価指数、5月の米小売売上高、6月のNY連銀ビジネスリーダーズサーベイ、5月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、4月の米企業在庫、6月の全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数などに市場の注目度が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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