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乱高下もマグニフィセント7が上昇の先導役に復帰 (4) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2025/06/13 11:41
配信元:MINKABU
●配当金
○2025年5月の配当支払額は前年同月比0.002%増となりました。4月は同9.5%増、3月は同24.8%増、2月は同8.2%減、1月は同12.5%増でした。年初来では前年同期比で5.7%増となっています。2024年通年の配当支払額は前年比6.44%増でした(2023年は同5.05%増、2022年は同10.81%増)。
⇒5月の配当支払い金は1株当たり7.838ドルと、前年同月の7.837ドルを上回りました。
⇒年初来の配当支払い金は前年同期の1株当たり30.02ドルを上回る31.73ドルとなりました。
⇒2025年5月までの12ヵ月間の配当支払い金は1株当たり76.54ドルと、2024年5月までの12ヵ月間の71.15ドルを上回りました。
⇒2024年通年の配当支払い金も、前年の1株当たり70.30ドルから74.83ドルに増加し、過去最高を更新しています。
⇒2025年5月は、増配が29件、配当開始が0件、減配が1件、配当停止が0件でした。2024年5月は、増配が24件、配当開始が0件で、減配が2件、配当停止はありませんでした。年初来では、増配が187件、配当開始が3件、減配が4件、配当停止が1件となっています。
→2024年は、増配が342件、配当開始が8件、減配が15件、配当停止が2件でした。
→2023年は、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件でした。
→2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件、配当停止が0件でした。
○5月の増配率の中央値は4月の4.96%から4.98%に上昇し(3月は4.71%、2月は6.67%、1月は5.73%)、年初来では5.83%となっています。2024年通年では6.25%でした。5月の平均増配率は4月の7.62%から7.27%に低下し(3月は7.98%、2月は8.75%、1月は7.97%)、年初来では8.28%となっています。2024年通年の平均値は8.31%(いずれも2倍以上になった銘柄は除く)でした。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。
○2024年通年の配当支払い額は前年比6.44%増加しました。これにより、S&P500指数 の株主への実際の年間の現金配当は15年連続で増加し、13年連続で過去最高を更新しました。
○2025年に関して:
⇒配当の伸びは持続し、従来期待されていた水準は大幅に下回っているものの、経済の不確実性を踏まえれば予想並みとなっています。現時点で、不確実性は配当の伸びに歯止めをかけていない模様ですが、伸び率を抑制しているようです。企業の将来に対するコミットメントの度合いは消極的になっているようです。
⇒世界の政府の政策を巡る現在の不確実性の度合いに加えて雇用とインフレを巡る個人の懸念を踏まえると、企業は引き続き進展する様々な変化を評価し、これが生産、設備投資、雇用、あるいは配当であれ、将来に対するコミットメントの縮小につながる可能性があります。
⇒政府の行動と交渉におけるスピードを踏まえると、企業が様子見のアプローチを取ることで、2025年第2四半期の配当の伸びは抑制される可能性があります。ただし、年央までに政府間・国際間のハイレベルでの解決策が見出されるとの基本シナリオを想定すると(ただし、なお多くの具体的内容には欠ける見込み)、2025年下半期の配当の伸びは過去平均を上回るかもしれません。2025年通期のS&P500指数の配当支払額は6%の伸びが予想されます。これは2025年に入る前の時点の8%の予想値から低下していますが、年間の配当支払額は過去最高を更新する見通しです。対して、2024年は前年比6.4%増、2023年は同5.1%増、2022年は同10.8増%でした。
●インデックス・レビュー
◇S&P 500指数
5月も関税問題や各種政策に関する発表や報道が相次ぎ、相場は乱高下しました(「秘密裏」での交渉が復活してほしいものです)。こうしたなか、市場は(次々と飛び出すニュースに感覚がマヒしたのか)最終的にはうまく収まるだろうという前提で動いていました。つまり、一律10%の関税に地域ごとの上乗せ分が加えられ(IEEPA=国際緊急経済権限法の適用を巡る裁判所の差し止め命令は控訴中につき一時停止されており、その隙を突く形で)、それが減税延長のための財源に充てられ、さらには1兆ドルの追加資金も投じられることで、「私たち」は何かしら実感が得られる(帳尻が合っているように装う)というものです。大きく報道されていない様々な問題(財政赤字、予算、連邦債務およびその利子)に関しては何の関心も払われていませんが、今後(少なくとも中間選挙までは)「解決に向けた取り組み」が行われるでしょう。
現実には変化は常に勝者と敗者を生み出します(ただし、必ずしも両者のつり合いが取れているわけではありません)。トレーダーが主体となる市場では、株式以外の取引対象(短期国債、暗号資産、コモディティ)を選んだとしても、流動性と、相場の潜在的な嵐を乗り切る能力が必要となります。
経済指標のソフトデータとハードデータの違いのように、市場の見方は実際の相場の動きとは異なっています。S&P500指数は2024年と2023年の2年間で大幅上昇しましたが(配当込みのトータルリターンは2年間でプラス53.19%)、今年の年初来の上昇はごく僅かで(0.51%上昇、配当込みのトータルリターンはプラス1.06%)、さらに2月19日の終値での最高値から3.78%下落した水準にあります。移民労働者が減少する可能性が混乱を引き起こすとみられてはいるものの、足元の雇用は依然として力強さを見せています(賃金の下支え効果もあります)。今年は引き続き増益(伸び率は2桁台ではなく1桁台半ば)となり、企業(と株価。予想株価収益率の低下も支えとなる見込み)の下支えとなることが見込まれます。高い利益率(2025年第1四半期は11.84%となる見通し)も低下が予想されているとはいえ、依然として過去の平均(8.51%)よりも高い水準を維持しています。
5月にS&P500指数は6.15%上昇し、11セクターのうち10セクターが上昇、347銘柄が値上がりし、155銘柄が値下がりしました。パフォーマンスが最高となったのは情報技術で、5月は反発に転じて10.79%上昇しましたが、年初来の騰落率は依然として1.85%のマイナスとなっています。パフォーマンスが最低だったのはヘルスケアで5.72%下落、年初来でも3.82%下落しています。年初来で見ると、S&P500指数は0.51%の上昇で7セクターがプラス圏となり、値上がり銘柄数が256銘柄、値下がり銘柄数は247銘柄となりました。セクター別では、年初来パフォーマンスが最高となったのは資本財サービスで8.22%上昇、エネルギーが5.42%下落して最低となっています。
マグニフィセント・セブン 銘柄が相場上昇の先導役に復帰し、5月の指数のリターンに占めるこれら7銘柄の割合は57%となりました。S&P500指数の5月のトータルリターンはプラス6.29%でしたが、マグニフィセント・セブン銘柄を除くとプラス2.72%でした。なお、指数の年初来のトータルリターンはプラス1.06%で、マグニフィセント・セブン銘柄を除くとプラス2.28%でした。
より長期で見ると、S&P500指数の3年、5年、10年といった期間のリターンはそれぞれプラス43.7%、プラス94.19%、プラス180.52%となっています。また、年率の配当込みのトータルリターンはそれぞれ14.41%、15.94%、12.86%で、3つの期間いずれでも本レポートで報告されている全インデックスの中で最高となっています。
5月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1.09%と、4月の3.21%から低下(3月は1.71%、2月は1.09%、1月は0.91%)しました。年初来では1.64%となっています。2024年通年は0.91%で、2023年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.41%)。5月の出来高は、4月に前月比7%増加した後に、同11%減少し(営業日数調整後)、前年同月比では27%の増加となりました。5月までの過去12ヵ月間では前年同期比12%増加しました。2024年通年では前年比2%減、2023年は同1%減、2022年は同6%増でした。
5月は1%以上変動した日数は21営業日中4日(上昇が3日、下落が1日)で、市場は3日で2%以上の変動を記録しました(上昇が3日、下落が0日)。4月は1%以上変動した日数は21営業日中11日(上昇が5日、下落が6日)、2%以上変動した日は8日(上昇が3日、下落が5日)でした。年初来では、1%以上変動した日数が102営業日中36日で(上昇が16日、下落が20日)、12日で2%以上変動しました(上昇が6日、下落が6日)。2024年通年では、1%以上変動した日数は50日(上昇が31日、下落が19日)で、2%以上変動した日数は7日(上昇が3日、下落が4日)でした。5月は21営業日中14日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日はありませんでした。対して4月は21営業日全てで日中の変動率は1%以上となり、2%以上変動した日は13日、3%以上変動した日は6日、10%以上の変動を1日記録しました(10.77%、1962年以降で6番目に高い変動率)。年初来では1%以上の変動が71日、2%以上の変動が22日、3%以上の変動が7日となっています。2024年通年では1%以上の変動が83日、2%以上の変動が11日、2023年は1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日でした。
5月は値上がり銘柄数が増加し、値下がり銘柄数を上回りました。5月の値上がり銘柄数は347銘柄でした(平均上昇率は8.02%)。4月は168銘柄が値上がりしました(同5.47%)。5月に10%以上上昇した銘柄数は95銘柄(同16.49%)で、4月の24銘柄(同15.52%)から増加し、11銘銘が25%以上上昇(29.29%上昇)しました(4月は1銘柄)。一方で、値下がり銘柄数を見ると、4月は155銘柄が値下がりしました(平均下落率は4.38%)。4月は335銘柄が値下がりしました(同6.31%)。5月に10%以上下落した銘柄数は12銘柄(同15.41%)で、4月の65銘柄(同15.41%)から減少し、1銘柄(4月は2銘柄)が25%以上下落しました。2024年通年では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数が332銘柄(平均上昇率は28.17%)、値下がり銘柄数が169銘柄(平均下落率は16.07%)でした。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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