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兵機海運 Research Memo(5):2025年3月期は減収ながら、コスト削減効果などにより営業増益
配信日時:2025/06/09 12:05
配信元:FISCO
*12:05JST 兵機海運 Research Memo(5):2025年3月期は減収ながら、コスト削減効果などにより営業増益
■兵機海運<9362>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が前期比6.2%減の13,726百万円、営業利益が同5.4%増の548百万円、経常利益が同8.9%減の618百万円、当期純利益が同15.0%減の435百万円となった。売上高は、海運事業が円安効果などにより増収を確保したものの、港運事業が減収となったことが響いた。ただ、港運事業の減収は、2023年10月から取引形態を見直し、従来売上高として計上していた項目を立替金として処理する運用に変更したことが主な要因である。利益面では、外航事業において極東ロシア向け航路に投入していた自社船を前期に売却したことで船舶の維持管理コストを削減し、収益性が改善した。なお、期初計画比では、売上高・営業利益はやや未達となったものの、経常利益・当期純利益は上回って着地した。
2025年3月期の取扱輸送量は、前期比2.0%減の3,554千トンであり、輸送品目別数量では主力の鉄鋼が同7.5%減の1,776千トンとなった(構成比50.0%)。売上高に占める輸送品目別の割合は、主力の鉄鋼が同2.7%減の7,276百万円(構成比53.0%)となった。
内航事業、港運事業で収益性が改善
2. 事業セグメント別の業績概要
(1) 海運事業
2025年3月期の海運事業は、売上高が前期比1.5%増の8,346百万円、営業利益が同40.6%増の575百万円と増収増益となった。内航事業における価格改定効果及び生産性の向上、外航事業における船舶の維持管理コストの削減効果などにより、営業利益率は同1.9ポイント増の6.9%に高まった。
内航事業は、売上高が前期比1.1%減の6,855百万円、営業利益が同10.1%増の339百万円となった。主要顧客の工場設備の更新に伴う一時的な出荷休止などにより輸送取扱量が減少したものの、鋼船による運航を補完する社艀を積極的に活用するなど、事業環境の変化に機動的に対応したことが奏功し、増収増益となった。特に利益面に関しては、船舶燃料油の高止まり、船員確保のための労務環境改善にかかる費用や船団維持に欠かせない傭船費用の引き上げ、新船建造費用やドック費用の高騰など、運航コストの増加という利益圧迫要因があったものの、適正利潤確保に向けた値上げを着実に遂行したことに加え、効率配船による生産性の向上に注力したことなどにより、営業利益率は4.9%と同0.5ポイント改善した。
外航事業は、売上高が前期比15.2%増の1,490百万円、営業利益が同132.8%増の235百万円となった。売上面は、中国及び中央アジア向けの建機輸送がRORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーごと輸送する船舶)との集荷競争の激化により年度後半にかけて取扱量が減少したものの、韓国及び台湾向けの鉄鋼製品輸送が堅調に推移した。さらに、設備輸送案件をはじめとするスポット貨物の取扱量が拡大した。また、円安の進行によりドル建て海上運賃の円換算額が増加し、売上高を押し上げる要因となった。利益面は、前期に極東ロシア向け航路で運航していた自社船を売却したことに伴い、船舶の維持管理コストが削減されたことなどから収益性が改善し、営業利益は回復した。
(2) 港運・倉庫事業
2025年3月期の港運・倉庫事業は、売上高が前期比16.1%減の5,380百万円、営業損益が27百万円の損失(前期は109百万円の利益)となった。
港運事業は、売上高が同22.9%減の3,716百万円、営業損益が18百万円の損失(前期は101百万円の利益)となった。売上高の減少は、取引形態の見直しにより、従来は売上高として計上していた一部項目を立替金として処理する運用に変更したことが主因であり、この影響が通期にわたって業績を押し下げた。また、為替変動や中国経済の減速を背景とした中国発着貨物の物流量減少も、事業全体に下押し圧力をかけた。なお、通関取扱件数は輸出入ともに前年並みの水準を維持した。利益面は、人件費などのコスト上昇が続いたほか価格改定が進まなかったことにより収益性が悪化し、営業損失となった。
倉庫事業は、売上高で前期比4.5%増の1,664百万円、営業損益が8百万円の損失(前期は8百万円の利益)となった。売上面は、危険品貨物の取扱いやISOタンクコンテナの保管業務が堅調に推移したものの、神戸・大阪地区における一般貨物の取扱いが伸び悩んだほか、一部契約の期間終了に伴う取扱量の減少が影響した。利益面は、兵庫埠頭物流センターにかかる減価償却費の負担、作業員の人件費や資材費の高騰が続いたことによりコスト負担が増加し、営業損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が前期比6.2%減の13,726百万円、営業利益が同5.4%増の548百万円、経常利益が同8.9%減の618百万円、当期純利益が同15.0%減の435百万円となった。売上高は、海運事業が円安効果などにより増収を確保したものの、港運事業が減収となったことが響いた。ただ、港運事業の減収は、2023年10月から取引形態を見直し、従来売上高として計上していた項目を立替金として処理する運用に変更したことが主な要因である。利益面では、外航事業において極東ロシア向け航路に投入していた自社船を前期に売却したことで船舶の維持管理コストを削減し、収益性が改善した。なお、期初計画比では、売上高・営業利益はやや未達となったものの、経常利益・当期純利益は上回って着地した。
2025年3月期の取扱輸送量は、前期比2.0%減の3,554千トンであり、輸送品目別数量では主力の鉄鋼が同7.5%減の1,776千トンとなった(構成比50.0%)。売上高に占める輸送品目別の割合は、主力の鉄鋼が同2.7%減の7,276百万円(構成比53.0%)となった。
内航事業、港運事業で収益性が改善
2. 事業セグメント別の業績概要
(1) 海運事業
2025年3月期の海運事業は、売上高が前期比1.5%増の8,346百万円、営業利益が同40.6%増の575百万円と増収増益となった。内航事業における価格改定効果及び生産性の向上、外航事業における船舶の維持管理コストの削減効果などにより、営業利益率は同1.9ポイント増の6.9%に高まった。
内航事業は、売上高が前期比1.1%減の6,855百万円、営業利益が同10.1%増の339百万円となった。主要顧客の工場設備の更新に伴う一時的な出荷休止などにより輸送取扱量が減少したものの、鋼船による運航を補完する社艀を積極的に活用するなど、事業環境の変化に機動的に対応したことが奏功し、増収増益となった。特に利益面に関しては、船舶燃料油の高止まり、船員確保のための労務環境改善にかかる費用や船団維持に欠かせない傭船費用の引き上げ、新船建造費用やドック費用の高騰など、運航コストの増加という利益圧迫要因があったものの、適正利潤確保に向けた値上げを着実に遂行したことに加え、効率配船による生産性の向上に注力したことなどにより、営業利益率は4.9%と同0.5ポイント改善した。
外航事業は、売上高が前期比15.2%増の1,490百万円、営業利益が同132.8%増の235百万円となった。売上面は、中国及び中央アジア向けの建機輸送がRORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーごと輸送する船舶)との集荷競争の激化により年度後半にかけて取扱量が減少したものの、韓国及び台湾向けの鉄鋼製品輸送が堅調に推移した。さらに、設備輸送案件をはじめとするスポット貨物の取扱量が拡大した。また、円安の進行によりドル建て海上運賃の円換算額が増加し、売上高を押し上げる要因となった。利益面は、前期に極東ロシア向け航路で運航していた自社船を売却したことに伴い、船舶の維持管理コストが削減されたことなどから収益性が改善し、営業利益は回復した。
(2) 港運・倉庫事業
2025年3月期の港運・倉庫事業は、売上高が前期比16.1%減の5,380百万円、営業損益が27百万円の損失(前期は109百万円の利益)となった。
港運事業は、売上高が同22.9%減の3,716百万円、営業損益が18百万円の損失(前期は101百万円の利益)となった。売上高の減少は、取引形態の見直しにより、従来は売上高として計上していた一部項目を立替金として処理する運用に変更したことが主因であり、この影響が通期にわたって業績を押し下げた。また、為替変動や中国経済の減速を背景とした中国発着貨物の物流量減少も、事業全体に下押し圧力をかけた。なお、通関取扱件数は輸出入ともに前年並みの水準を維持した。利益面は、人件費などのコスト上昇が続いたほか価格改定が進まなかったことにより収益性が悪化し、営業損失となった。
倉庫事業は、売上高で前期比4.5%増の1,664百万円、営業損益が8百万円の損失(前期は8百万円の利益)となった。売上面は、危険品貨物の取扱いやISOタンクコンテナの保管業務が堅調に推移したものの、神戸・大阪地区における一般貨物の取扱いが伸び悩んだほか、一部契約の期間終了に伴う取扱量の減少が影響した。利益面は、兵庫埠頭物流センターにかかる減価償却費の負担、作業員の人件費や資材費の高騰が続いたことによりコスト負担が増加し、営業損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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