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明日の株式相場に向けて=エヌビディア決算通過、半導体攻略の勘所

配信日時:2025/05/29 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比710円高の3万8432円と大幅反発。反発とはいっても前日の日経平均は1円安ということで実質的には横ばいであり、前週末から戻り相場のプロセスが継続する中で、きょうは一気に買い方の攻勢が強まったというのが実態である。3万8000円大台絡みは累積売買代金の厚いゾーンで、ここが買い一巡後の攻防ラインとなる見方もあったが、そうした“常識的な見立て”を嘲笑うかのように、ひとかけらの逡巡もなく難所を突破した。  注目されたエヌビディア<NVDA>の2~4月期決算発表は、売上高、一株利益ともに事前の市場コンセンサスを上回る好調な内容で、売上高は前年同期比69%の伸びを達成した。データセンター向けは予想の中央値にわずかに届かなかったようだが、それでも同73%増という高い伸びを確保。更に5~7月期については粗利率が2~4月期を10%以上も上回る72%に向上するという見通しを示した。これが売り方へのダメ押しとなり同社株は買い戻しを絡め時間外で大幅高に買われ、東京市場には文句なくリスクオンのバトンが渡される形となった。  エヌビディア効果もさることながら、外国為替市場で円安が加速度的に進んだことは半導体関連株など輸出セクターの上昇を強く後押しすることとなった。ニューヨークの国際貿易裁判所が現地時間28日に、トランプ関税について一部差し止めを命じたことが伝わり、これがドル買い・円売りを激しく誘発、一時1ドル=146円台まで一気に円安に振れた。エヌビディア決算がポジティブに作用したところに、文字通りジャストタイミングで強烈なリスクオンの援軍が押し寄せた格好である。エヌビディアの次世代GPU「ブラックウェル」向けにテスターを納入するアドバンテスト<6857.T>は、寄り付き早々400円近い上昇で上値抵抗ラインとして意識されていた75日移動平均線をブレーク。同時に今月13日につけた戻り高値もクリアしている。これに歩調を合わせて、ディスコ<6146.T>や東京エレクトロン<8035.T>なども一斉に上値を追った。  半導体セクターの主力どころが強ければ、その周辺株にも浮揚力が働く。東京応化工業<4186.T>やルネサスエレクトロニクス<6723.T>、イビデン<4062.T>などの重量級の銘柄はもとより、足の軽い中小型株にも投資マネーが食指を動かしている。全体指数に連動しやすい大型株は概ね似通ったチャートを形成しがちだが、中小型株は多種多様でそれぞれ味が違う。ここからはチャートが好形の銘柄を中心に、半導体セクターのミドル級・ライト級クラスの銘柄群にも波状的に物色の矛先が向かいそうだ。  例えば、台湾資本傘下にあるテスト工程受託会社でルネサスを主要販売先とするテラプローブ<6627.T>。同社はAIデータセンター向けで高水準の需要を取り込んでいる。PER7倍で配当利回りも高く、チャートは75日線突破が目前だ。また、半導体商社のイノテック<9880.T>もPERやPBRの割安さと高配当利回りが特長で、今はまだ目立たない存在ながらジリ高基調にあり、いずれ開花しそうだ。先端半導体向け化学材料でグローバルニッチの象徴株でもあるトリケミカル研究所<4369.T>は、既に動兆しきりで日足一目均衡表も雲を抜けた状況にある。だが大勢トレンドとしてはまだ2合目あたりで、目先の押し目は強気に対処して報われそうだ。  このほか半導体関連株に資金が流れると、同類項として連動しやすいのがプリント配線板(基板)やその関連材料を手掛けるメーカーだ。そのなか、有沢製作所<5208.T>が強い動きで要注目。継続的な実需買いが観測されるなか直近3陽連を形成し、静かに上放れつつある。有沢製は買い手掛かりの多い銘柄だが、その一つに挙げられるのが株主還元姿勢の強さで、今期予想配当利回りは時価換算で6%を超えている。また、電子材料メーカーでは日本カーバイド工業<4064.T>が超割安圏にある。有沢製ほどではないか配当利回りが4.7%前後と高く、一方でPBRが0.4倍台に放置されており見直し買い余地は大きいと思われる。  あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に重要指標の発表が相次ぐ。4月の有効求人倍率、4月の失業率のほか、5月の都区部消費者物価指数(CPI)に対するマーケットの関心が高い。これ以外に4月の鉱工業生産速報値、4月の商業動態統計なども朝方開示される。前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札と2年物国債の入札が予定されている。後場取引時間中には4月の自動車輸出実績、4月の住宅着工統計などが発表される。海外では1~3月期と2024年度のインド国内総生産(GDP)速報値のほか、4月の米個人所得・消費支出、PCEデフレーターに注目度が高い。また、5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、5月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も発表される。なお、台湾とインドネシア市場は休場。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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