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明日の株式相場に向けて=上げ潮に乗る「AI・クラウド」関連

配信日時:2025/05/28 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1円安の3万7722円とわずかながら4日ぶり反落。前日の欧州株市場はほぼリスクオン一色で、米株市場でも半導体関連をはじめハイテク株中心に大きく買い優勢に傾いた。東京市場でもフシ目の3万8000円大台に乗せて取引を終えることは容易にイメージされたが、残念ながらその思惑は外れた。ほぼ寄り天状態でその後は漸次水準を切り下げ、前日終値にほぼ並ぶ水準で着地。為替が前日と比べ大分円安方向に振れており風向きは追い風だったのだが、ショート筋の踏みを狙うような買い仕掛けも鳴りを潜めた。結局エヌビディア<NVDA>決算前でポジションを抱えたくないという気持ちが投影されたのが、きょうの地合いだったといえる。  全体相場の上値は重いが個別株の物色意欲は旺盛である。「森より木を見る」相場の典型であり、日経平均の上下動をあまり気にしなくて済むという点で、個人投資家にとっては戦いやすい地合いともいえる。中小型株優位を反映しているのが東証グロース市場250指数で、年初来高値圏をまい進中。4月下旬から上げ足を強めているが、トレンドの強さはその上げ幅よりも日足陽線の数の多さに反映されている。  そうしたなか、個別株ではホットリンク<3680.T>が脚光を浴びた。買い材料がリリースされたとはいえ異色の人気を博した。グループ会社が米クラウド大手とパートナーシップ契約を締結したという事実はそれなりのインパクトがあるのだが、であるにせよ同社がこれだけの買い物を集めてストップ高に張り付くというのは尋常ではない。低位で売り物が枯れていたということは確かで、語弊はあるが株価が底値圏に放置され期待も枯れていた銘柄に慈雨が降り注ぐとこうなる、という株のメカニズムを如実に証明した。  そして同時に、今の相場の潮流がどうなっているかも窺い知ることができる。AIやクラウドソリューションなどをビジネス領域とする銘柄の範疇で投資マネーが虎視眈々と次を探しているイメージだ。最近当欄で取り上げた銘柄ではテリロジーホールディングス<5133.T>やエヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート<3850.T>、フーバーブレイン<3927.T>などが大きく動兆したが、これらも現在発生している上げ潮に乗ったといえる。  株価的には3ケタ台の銘柄が今は相場になりやすい傾向があるようだ。新たにマークしておきたい銘柄としては、ソニー系のアドテク企業で、ビッグデータ・AIを活用したマーケティングで優位性を発揮するSMN<6185.T>。業績は前期に続き今期も高変化が予想され、営業67%増益見通しにある。また、米クラウド大手のセールスフォース<CRM>と資本提携を行っているチームスピリット<4397.T>にも目を向けたい。営業損益はようやく赤字体質からの脱却が見えたところだが、トップラインは長きにわたり2ケタ増収基調を続けており、成長シナリオに齟齬(そご)は見られない。提携先のセールスフォースは直近、1兆円規模の大型買収を発表したばかりで、AIエージェントの法人向け開発支援サービスの強化に本腰を入れる構えだ。業容拡大に向けた攻めの経営を打ち出しており、その余波が海を渡って日本にも及びそうだ。  クラウド系の銘柄以外では、音楽エンターテインメント企業であるスペースシャワーSKIYAKIホールディングス<4838.T>に着目。年初から下値を切り上げてきたが、500円台半ばはPERなど株価指標面も照らし合わせ依然として水準訂正余地が意識される。4月15日の大商いに続き、今月15日にも出来高急増のなかでマド開け十字足を形成したが、その後は商い減少にもかかわらず株価の方は静かに水準を切り上げている。つまり、買われた玉がそのまま抱え込まれた状態で、株高の背景には実需の買いニーズが発生していることを推察させる。更に、半導体セクター中小型株の出遅れでは山一電機<6941.T>が狙い目だ。半導体の検査工程で使われるICソケットの大手で、同商品シェアは世界トップクラスでグローバルニッチの一角に位置する。25年3月期の営業利益は前の期比2.8倍化したが、続く26年3月期は前期比3%増の85億円と小幅増益を予想。しかし、これは保守的な予想という見方が市場には多い。UAEの大規模データセンター建設でテストソケットの特需を確保するのは同社である。  あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に財務省から発表される。また、後場取引時間中には4月の建機出荷や5月の消費動向調査などが開示され、市場の関心を集めそうだ。海外では韓国中銀が金融通貨委員会を開くほか、南アフリカ中銀も政策金利を発表する。米国では1~3月期の実質国内総生産(GDP)改定値が発表され、週間の新規失業保険申請件数も注目される。また、週間の米エネルギー省・石油在庫統計、4月の米仮契約住宅販売指数が開示。米7年国債の入札も予定されている。このほか、クグラーFRB理事の発言機会があり耳目が集まりそうだ。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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