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明日の株式相場に向けて=「半導体関連」怒涛のリバウンドは続くか

配信日時:2025/05/14 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比55円安の3万8128円と5日ぶり反落。朝方は高く推移する場面もあったが、その後はつるべ落としのように株価水準を切り下げマイナス圏に沈んだ。後場は押し目買いが入り一貫して下げ渋る動きをみせたのだが、戻し切れなかった。長期波動の分水嶺である200日移動平均線とのマイナスカイ離を前日に解消したばかりで、きょうは目先達成感が意識されたようだ。  もっとも下値抵抗力の強さも確認された。日経平均は前日までの12営業日で安い日は1日しかなく、サイコロジカルラインは11勝1敗。しかも、その1敗は“お湿り”程度の下げにとどまっており、この12日間で日経平均は実に4000円弱も水準を切り上げていた。更にTOPIXは前日まで13日続伸と約16年ぶりの連騰記録を継続中であったが、きょうはさすがに日経平均と歩調を合わせて下値を探る展開を余儀なくされた。需給面では信用買い残が減少する一方で売り残は増勢にあり、依然としてショートカバーによる浮揚効果が作用する余地がある。「当面は相場が押し目を形成しても底堅さを発揮する公算が大きい」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。  これまでと一つ異なる点としては、日経平均はハイテク株のウェートが高く特に半導体主力株の株価動向による影響が大きいのだが、きょうはディスコ<6146.T>やアドバンテスト<6857.T>が鮮烈な上昇パフォーマンスを演じるなど、個人投資家に人気の半導体セクター全般の強さが際立ったものの、日経平均を押し上げるには至らなかった。半導体関連が大きく買われる相場は大概の場合、全体もリスクオンというのがお決まりであったが、この日は違った。一方でトヨタ自動車<7203.T>など自動車株への売りが目立ち、これが指数の上値を重くする最大の要因となった。  東京市場で半導体関連が買われたのは、前日の米国株市場の流れを継いだものだ。サウジアラビアの政府系ファンド傘下のAI関連企業との提携を買い材料に、エヌビディア<NVDA>が5.6%高と久しぶりに咆哮した。これを横目にマイクロン・テクノロジー<MU>やアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>などが軒並み上値を指向し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も続急伸となった。SOX指数はマドを開けての上昇で既に大勢3弾上げの様相をみせており、こうなると東京市場でも半導体株がこれと連鎖しない理由はない。SOX指数との連動性を見るうえでNEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信<200A.T>が分かりやすいが、現状は若干SOX指数に対して出遅れており、今後キャッチアップが期待される状況にある。  一方、自動車株が軟調な値動きを強いられているのは気がかりではある。自動車関税について英国は米国との間で10%の低関税輸入枠創設などで早々に合意したが、日本はどうか。石破首相は「10%の関税を飲むのではなく関税ゼロを目指していく」と風呂敷を広げているが、本当に関税ゼロを目指す強い意志を持っているのかは疑問で、「焦らない姿勢を強調しているのは参院選までに白黒つけないというモラトリアム、いわゆる時間稼ぎではないかという穿(うが)った見方も拭えない」(中堅証券ストラテジスト)という指摘がある。先月29日にトランプ米政権は自動車・自動車部品関税の軽減措置を発表しているが、これを好感するような動きは見られなかった。この背景には、米国の為替政策を含め先行き不透明感の強さに辟易しているムードが漂う。  個別株については企業決算にフォーカスした相場が続いているが、きょうとあすの2日間が決算発表ピークでなおかつ最終局面ともいえる。2日間合計で1200社あまりが決算を開示するが、花火で言えばスターマイン、フィナーレの連発局面に等しく、ここを過ぎると3月期決算企業を中心とする決算プレーの喧騒からにわかに解放されることになる。テーマ物色の復活とともに、好決算の洗い直しを経て事前コンセンサスなどのノイズに惑わされない形で、内容の良い好実態株が再び投資マネーの視界に入ってくる。そこをうまく捉えていくのが投資家としての腕の見せどころである。  あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に発表されるほか、前場取引時間中に5年物国債の入札が行われる。午後には4月の投信概況や、4月の工作機械受注額などが開示される。なお、国内主要企業の決算発表では、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、第一生命ホールディングス<8750.T>、キオクシアホールディングス<285A.T>、ブリヂストン<5108.T>などがある。海外では1~3月期英実質GDP(速報値)、4月の米小売売上高、4月の米生産者物価指数(PPI)、4月の米鉱工業生産・設備稼働率、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、週間の米新規失業保険申請件数など。また、パウエルFRB議長やバーFRB理事の講演が予定されている。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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