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豪総選挙の最悪シナリオ【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/04/27 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 豪総選挙の最悪シナリオ【フィスコ・コラム】
5月3日の豪総選挙に向けた直前の情勢調査で与党がリード。ただ、野党も追い上げ、政権交代の可能性はゼロではありません。成熟国のオーストラリアにとって政治は大きなリスク要因にはなりにくいものの、資源価格や米中摩擦の動向次第では急落が警戒されます。
4月の豪ドル・ドル相場は乱高下し、相場の先読みが困難な状況です。米トランプ政権の対中高関税を受け、豪経済への影響を懸念した豪ドル売りでコロナ最盛期の2020年以来5年ぶりの安値圏となる0.59ドル台に一時落ち込みました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)議長更迭をめぐるドルの信認低下に支えられ、今度は0.64ドル台まで切り返すなど9%近い変動を記録しています。
目下の焦点は5月3日に行われる総選挙。直近の支持率調査によると、与党・労働党が現時点でリードするも野党・保守連合も追い上げ、単独過半数確保は微妙な情勢です。争点となっているのは、急騰する住宅価格への対応。野党・保守連合の国防費増額はどこまで支持を集められるか未知数です。選挙結果により議会のねじれが強まれば財政運営が危ぶまれ、投資家心理にマイナスの影響を与えることも考えられます。
豪経済指標はおおむね堅調で、政権交代しても市場の懸念は限定的でしょう。ただ、複合的な要因が絡めば総選挙をきっかけに豪ドル売りとなることも考えられます。仮に新政権が環境保護を優先するあまり、鉄鉱石や石炭、天然ガスの開発ライセンスの見直しや税制強化に動けば、主要輸出産業への打撃は不可避。経済の屋台骨を揺るがす動きとして市場は過敏に反応し、資源国通貨の豪ドル売りにつながります。
対中関係はさらに大きなテーマです。オーストラリアは中国にとって資源調達の要所である一方、安全保障上の対立が再燃すれば、経済協力の前提が崩れる恐れがあります。外交姿勢次第では、鉄鉱石や液化天然ガス(LNG)を含む対中輸出が再び制限される可能性も否定できません。米中対立は回避されても、アメリカ陣営に取り込まれれば中国からの報復的な政策も考慮に入れなければなりません。
豪準備銀行(中銀)は5月の定例会合で追加利下げが織り込まれていますが、豪景気に不透明感が深まれば、インフレ抑制よりも成長維持を優先した金融政策を意識せざるを得ません。政権交代による政策混乱や資源収入の不安定化、対中輸出の減少などが重なれば、中銀の金利据え置きは継続。さらに緩和的なスタンスに舵を切った場合、金利差縮小への思惑を呼び豪ドルの中期的な下押し圧力となりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
4月の豪ドル・ドル相場は乱高下し、相場の先読みが困難な状況です。米トランプ政権の対中高関税を受け、豪経済への影響を懸念した豪ドル売りでコロナ最盛期の2020年以来5年ぶりの安値圏となる0.59ドル台に一時落ち込みました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)議長更迭をめぐるドルの信認低下に支えられ、今度は0.64ドル台まで切り返すなど9%近い変動を記録しています。
目下の焦点は5月3日に行われる総選挙。直近の支持率調査によると、与党・労働党が現時点でリードするも野党・保守連合も追い上げ、単独過半数確保は微妙な情勢です。争点となっているのは、急騰する住宅価格への対応。野党・保守連合の国防費増額はどこまで支持を集められるか未知数です。選挙結果により議会のねじれが強まれば財政運営が危ぶまれ、投資家心理にマイナスの影響を与えることも考えられます。
豪経済指標はおおむね堅調で、政権交代しても市場の懸念は限定的でしょう。ただ、複合的な要因が絡めば総選挙をきっかけに豪ドル売りとなることも考えられます。仮に新政権が環境保護を優先するあまり、鉄鉱石や石炭、天然ガスの開発ライセンスの見直しや税制強化に動けば、主要輸出産業への打撃は不可避。経済の屋台骨を揺るがす動きとして市場は過敏に反応し、資源国通貨の豪ドル売りにつながります。
対中関係はさらに大きなテーマです。オーストラリアは中国にとって資源調達の要所である一方、安全保障上の対立が再燃すれば、経済協力の前提が崩れる恐れがあります。外交姿勢次第では、鉄鉱石や液化天然ガス(LNG)を含む対中輸出が再び制限される可能性も否定できません。米中対立は回避されても、アメリカ陣営に取り込まれれば中国からの報復的な政策も考慮に入れなければなりません。
豪準備銀行(中銀)は5月の定例会合で追加利下げが織り込まれていますが、豪景気に不透明感が深まれば、インフレ抑制よりも成長維持を優先した金融政策を意識せざるを得ません。政権交代による政策混乱や資源収入の不安定化、対中輸出の減少などが重なれば、中銀の金利据え置きは継続。さらに緩和的なスタンスに舵を切った場合、金利差縮小への思惑を呼び豪ドルの中期的な下押し圧力となりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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