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50年後のベトナム戦争【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/04/20 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 50年後のベトナム戦争【フィスコ・コラム】
米高関税政策の標的にされたベトナムに動揺が続いています。成長スピードの急減速を警戒し、株価は3年ぶりの高値水準から一時2割超も下げました。歴史上、唯一アメリカに軍事的勝利を収めたベトナムは、経済戦争でトランプ政権に逆襲できるでしょうか。
米国政府が4月2日に発表した相互関税の内容は、ベトナムに対し46%の課税という想定外に厳しい内容になりました。ベトナムは最大の輸出先であるアメリカからの関税引き上げにより、国内総生産(GDP)が4%程度落ち込むと試算されています。株式市場は敏感に反応し、VN指数は2022年以来3年ぶりの高値圏の1340付近から一気に1100を割り込み、20%超も水準を切り下げました。
今回の関税措置の背景には、米中貿易戦争の「第2幕」とも呼べる構図があります。アメリカ企業が中国からベトナムへ製造拠点を移すなか、ベトナムの対米輸出は過去5年で2倍以上に拡大しました。米国の貿易赤字の一部が「中国からベトナムへ付け替えられている」という認識が、トランプ政権内で広がり、その結果として打ち出されたのが今回の関税強化でした。
関税対象となる繊維製品、電子部品、家具などはベトナムの主力輸出産業であり、ベトナム経済の先行きには暗雲が立ち込めています。輸出依存度が高い経済構造のため、米国市場での価格競争力が低下すれば国内の雇用や企業収益に大きなダメージとなり、ベトナム経済は一気に収縮しかねません。トランプ政権は一部の相互関税を延期したものの、今後の展開が読み切れず現地では緊張が高まっているようです。
アメリカが共産主義の拡大を阻止しようとしてベトナムに軍事介入したベトナム戦争が1975年に終結し、この4月30日でちょうど50年を迎えます。20年にわたる戦闘の末、アメリカは撤退し、北ベトナムが南ベトナムを統一しました。経済を主戦場にした戦いは現時点でベトナムが追い込まれています。が、ベトナムは小国ながらも、歴史的に強国との交渉に長けた国です。
ベトナムはすでに米通商代表部との接触を強め、原産地証明の厳格化や中国経由の迂回輸出の排除など、アメリカ側の懸念に応える動きも見せています。一方、日本や韓国、欧州連合(EU)などとの自由貿易協定(FTA)を通じて、輸出先の多角化を進めることにも意欲的です。若い労働力と拡大する内需という強みもあり、“脱アメリカ依存”という課題にどう取り組むかが問われていくでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
米国政府が4月2日に発表した相互関税の内容は、ベトナムに対し46%の課税という想定外に厳しい内容になりました。ベトナムは最大の輸出先であるアメリカからの関税引き上げにより、国内総生産(GDP)が4%程度落ち込むと試算されています。株式市場は敏感に反応し、VN指数は2022年以来3年ぶりの高値圏の1340付近から一気に1100を割り込み、20%超も水準を切り下げました。
今回の関税措置の背景には、米中貿易戦争の「第2幕」とも呼べる構図があります。アメリカ企業が中国からベトナムへ製造拠点を移すなか、ベトナムの対米輸出は過去5年で2倍以上に拡大しました。米国の貿易赤字の一部が「中国からベトナムへ付け替えられている」という認識が、トランプ政権内で広がり、その結果として打ち出されたのが今回の関税強化でした。
関税対象となる繊維製品、電子部品、家具などはベトナムの主力輸出産業であり、ベトナム経済の先行きには暗雲が立ち込めています。輸出依存度が高い経済構造のため、米国市場での価格競争力が低下すれば国内の雇用や企業収益に大きなダメージとなり、ベトナム経済は一気に収縮しかねません。トランプ政権は一部の相互関税を延期したものの、今後の展開が読み切れず現地では緊張が高まっているようです。
アメリカが共産主義の拡大を阻止しようとしてベトナムに軍事介入したベトナム戦争が1975年に終結し、この4月30日でちょうど50年を迎えます。20年にわたる戦闘の末、アメリカは撤退し、北ベトナムが南ベトナムを統一しました。経済を主戦場にした戦いは現時点でベトナムが追い込まれています。が、ベトナムは小国ながらも、歴史的に強国との交渉に長けた国です。
ベトナムはすでに米通商代表部との接触を強め、原産地証明の厳格化や中国経由の迂回輸出の排除など、アメリカ側の懸念に応える動きも見せています。一方、日本や韓国、欧州連合(EU)などとの自由貿易協定(FTA)を通じて、輸出先の多角化を進めることにも意欲的です。若い労働力と拡大する内需という強みもあり、“脱アメリカ依存”という課題にどう取り組むかが問われていくでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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