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明日の株式相場に向けて=波乱続く東京市場、半導体株は逆風止まず

配信日時:2025/03/04 17:30 配信元:MINKABU
 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比454円安の3万7331円と大幅反落。前日に日経平均は629円高とリバウンドに転じたのも束の間、きょうは一時900円を超えて下落する場面があり投資家は翻弄されるがままとなっている。相変わらず取引時間中の値動きも含め株式市場はヘアピンカーブの連続だが、次に右に振られるのか左に振られるのか皆目分からない視界不良の局面が続いている。  前日は東京市場でプライム上場の9割近い銘柄が上昇し、日経平均も大きくリバウンドに転じていた。その流れを引き継ぐ形で欧州株市場でも主要国の株価がほぼ全面高に買われる展開となった。欧州では地政学リスクが改めて意識されるなか、2日にロンドンで欧州首脳が一堂に会し緊急会合が催され、国防費の早期増額でおおむね意見が一致した。これを背景に各国の株式市場で防衛関連株が強く刺激され、全体相場を押し上げる格好となっている。特にドイツの主要株価指数であるDAXは約2週間ぶりに史上最高値を更新するという欧州株市場のリスク選好ムードを象徴する動きとなった。  しかし、トランプ米政権発足以降は欧州と米国は政治的にデカップリングが顕著で、株式市場も欧州時間から米国時間に移行する過程で流れが変わるケースが心なしか多いようにも見受けられる。前日の米国株市場では取引後半に再び波乱展開が待っていた。米ISM製造業景況感指数が事前予想を下回る一方、項目別で仕入れ価格が著しく上昇したことで、またぞろスタグフレーション懸念がトリガーとなりNYダウは一時900ドルを超える急落。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は下落率でダウを上回った。  トランプ米大統領が関税政策を漸次強行する構えにあることで、インフレ懸念がボディーブローのように米株市場にダメージを与えている。とりわけ、トランプ関税は最近の弱い米経済指標と共鳴して投資家の弱気心理を呼び覚ましている。4日にはメキシコとカナダに25%の追加関税を発動した。これは両国に生産拠点を持つ日本の自動車メーカーも影響が免れないが、貿易戦争となれば米国も無傷では済まない。更に追い討ちをかけるように、半導体セクターの変調が止まらない。コンセンサスを上回る好決算を発表してもエヌビディア<NVDA>がバランスを崩したまま立ち直れない現実が、株式需給悪の実態を映し出している。「レバレッジ型ファンドの買いも加わり、同社株はもはやパンパンに張った風船の状態」(ネット証券アナリスト)で、大勢2段下げに突入するかどうかの瀬戸際だ。  東京市場は、きょうは大引け時点で454円安と下げ幅の半分を取り戻し、結局3万7000円台をキープして取引を終えた。弱気論が蔓延するなか、先物を絡めた売りプログラムが下げを助長していることも確かで、そのアンワインドが利いている。しかし、今回は踏み上げ相場に発展するまでにはクリアすべきハードルが多そうだ。海外マネーの退潮が著しい一方で、値ごろ感から個人投資家が信用取引を使って買い込んだ半導体関連などの弱さが日経平均の値動きにそのまま映し出されている。TOPIXとの比較でも日経平均の下値抵抗力の弱さが浮き彫りとなっている。半導体関連は値ごろ感からリバウンド局面に移行しても、それは空売り筋の買い戻しが原動力であり、実需面では持ち高調整の売りが当分切れそうもない。戻り売りで対処するのが妥当と思われる。  きょうは防衛関連が買われたが、欧州に倣って消去法的に買われたイメージも拭えない。日本と欧州との決定的な違いは、ただ一つ中央銀行の政策スタンスだ。欧州では6日のECB理事会で0.25%利下げの可能性が高く、その後の会合でもECBは利下げのカードを切り続ける公算が大きい。片や日銀は今後も段階的に利上げを続ける。金利水準はまだ日本の方がはるかに低いが、問題は金融政策のベクトルの向きであり、株は常に未来に視点を置く。これは株式需給悪と合わせ今の東京市場のアキレス腱となっている。  あすのスケジュールでは、3月の日銀当座預金増減要因見込みが開示されるほか、日銀の内田真一副総裁が静岡県の金融経済懇談会で挨拶及び記者会見を行う。海外では中国で全国人民代表大会(全人代)が開幕し、同日に2月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。このほか、10~12月期の豪国内総生産(GDP)、2月のADP全米雇用リポート、2月の米ISM非製造業景況感指数、1月の米製造業受注、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などにマーケットの関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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