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アーレスティ Research Memo(7):2025年3月期中間期は営業損失計上(2)
配信日時:2025/01/23 14:07
配信元:FISCO
*14:07JST アーレスティ Research Memo(7):2025年3月期中間期は営業損失計上(2)
■アーレスティ<5852>の業績動向
3. 財務状況
2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比2,583百万円増加の134,346百万円となった。流動資産は同1,085百万円減少し60,692百万円であった。現金及び預金が947百万円、売上債権が97百万円、棚卸資産が68百万円それぞれ減少した。固定資産は有形固定資産がインドの工場拡張などにより4,544百万円増加し、その他に含まれる繰延税金資産が593百万円減少した。これは、メキシコ工場の会計上の機能通貨である米ドルに対し税務基準額計算上の現地通貨であるペソが安くなり、法人税等調整額が増額となったことによる。負債合計は、同1,699百万円増加の81,845百万円となった。仕入債務が271百万円、その他に含まれる未払消費税等が217百万円、預り金が125百万円減少した一方、有利子負債が630百万円増加したほか、その他に含まれる設備債務が863百万円、未払金が857百万円増加した。純資産合計は、52,500百万円と同883百万円増加した。利益剰余金が2,823百万円、その他有価証券評価差額金が145百万円減少した一方、為替換算調整勘定が4,104百万円増加した。その結果、自己資本比率は38.9%と前期末を0.2ポイント下回った。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純損失が1,466百万円あったものの、売上債権の減少1,219百万円により必要運転資金が減少したほか、減価償却費5,718百万円、特別退職金1,005百万円などの資金増加要因があり、5,602百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得に伴う支出が8,064百万円と膨らんだため8,554百万円の支出となり、フリーキャッシュ・フローは2,952百万円の支出となった。これを長短借入金のネット借入1,205百万円と現預金の取り崩し1,556百万円で賄った。ネット有利子負債(=長短借入金合計-現金及び預金、リース負債を除く)は29,981百万円と前期末より1,781百万円増加した。
■今後の見通し
2025年3月期は国内需要の回復、海外工場の生産安定化により増収増益、各段階とも黒字化見込み
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績は、売上高160,200百万円(前期比1.2%増)、営業利益3,050百万円(同33.1%増)、経常利益2,860百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収、増益を見込む。売上高は期初計画を0.8%上方修正したが、損益は各段階で期初計画を2ケタ台下方修正した。期初計画比で、営業利益は23.8%減、経常利益は18.3%減、親会社株主に帰属する当期純利益は95.0%減とした。売上高は、ダイカスト事業の日本、アジア市場における下期の回復を見込み、期初計画を上方修正した。国内の需要が中間期より回復基調にあること、中国において中国資本系OEMから適正価格での受注が順調に推移していること、インドにおける生産の安定化などを織り込んでいる。損益面では、国内において工場の原価低減活動及び希望退職による固定費削減、適正な価格転嫁活動の推進などにより下期に大幅な改善が見込まれ、期初計画を上方修正した。また、米国、インドにおける生産安定化などにより下期の北米、アジア市場での回復を見込むが、上期の損失をリカバリーするまでには至らず、期初計画には及ばない見通しだ。また、中国のダイカスト工場の分工場を売却し売却益約7億円を特別利益に計上する予定であり、当期純利益は黒字を確保する見込みだ。
2. 事業セグメント別業績見通し
(1) ダイカスト事業 日本
国内のダイカスト事業の売上高は前期比1.1%増の62,720百万円、セグメント利益は同137.0%増の1,410百万円を見込む。国内では自動車生産が回復基調にあり、下期の売上高は上期の7.9%増を見込み、通期では期初計画を1.7%上方修正した。損益は、2025年3月期より製造・販売・管理の合同チームで取り組んでいる収益改革プロジェクトによる製品の不良率改善による損失低減、検査の自動化などによる生産コスト低減、内製化による委託費用低減、並びにエネルギー費、労務費、物流費などの高騰分の販売価格への適正な転嫁の推進などにより、下期で1,000百万円の利益改善を見込む。さらに上期に実施した国内2工場(東海・栃木)での希望退職158名の実施により下期450百万円の固定費削減を見込む。その結果、下期は1,559百万円の利益を見込み、通期では期初計画を101.4%上方修正した。
(2) ダイカスト事業 北米
北米のダイカスト事業の売上高は前期比4.4%増の50,080百万円、セグメント利益は同83.9%減の200百万円を見込む。北米市場(米国、メキシコ)においては、主要顧客のHEVの生産拡大により受注は堅調に推移しており、下期の売上高は上期の2.7%減を見込むも、通期では期初計画並みの売上高を見込む。また、米国工場において上期に悪化した損益については、日本、中国からの生産補完を進め現地生産体制への依存度を低減するとともに、教育プログラムの確認、見直しなど日本からの支援を強化し現場マネジメントを立て直すことで生産の正常化に取り組み、下期は619百万円の利益を見込む。通期では収支均衡レベル(200百万円)まで改善するも、上期の損失の影響が大きく通期の期初計画を87.5%下方修正した。
(3) ダイカスト事業 アジア
アジアのダイカスト事業の売上高は前期比1.5%増の35,630百万円、セグメント利益は1,020百万円(前期は650百万円の損失)を見込む。中国市場においては、日系OEMが苦戦する中で、品質と安定供給面が評価され適正な利益を確保できる価格での取引が進んでいる中国資本系OEMからの受注が増加しており、第4四半期からはPHEV向け新規製品の量産が開始される予定である。また、インドにおいても上期の生産拡大に伴う混乱は収束し、電動車搭載部品の量産は安定化するとともに、2024年12月には新工場が稼働し売上は増加する見込みである。そのため、下期の売上高は上期の6.9%増を見込み、通期では期初計画を1.5%上方修正した。損益では、中国の工場の人員適正化による固定費削減、インド工場への日本からの支援強化、現場マネジメント強化に加えて、地金市況の変動に対する価格改定期間の短縮化の実現などにより下期は764百万円の利益を見込み、通期では期初計画並みの着地としている。
(4) アルミニウム事業
アルミニウム事業の売上高は前期比3.0%増の7,270百万円、セグメント利益は同13.5%増の160百万円を見込む。下期はアルミニウム地金市況が落ち着き、販売重量増により上期に対して増収増益を見込み、売上高は期初計画並み、セグメント利益は期初計画を60.0%上方修正した。
(5) 完成品事業
完成品事業の売上高は、前期に半導体関連の大型受注の引渡しがあったため、前期比26.5%減の4,500百万円、セグメント利益は同49.5%減の450百万円を見込む。下期の売上高は、クリーンルームやデータセンターでの受注が戻ってきており、上期の31.4%増の2,555百万円を見込むが、通期では期初計画を2.2%下方修正した。下期のセグメント利益は上期の51.4%増を見込むが、通期では期初計画を10.0%下方修正した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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3. 財務状況
2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比2,583百万円増加の134,346百万円となった。流動資産は同1,085百万円減少し60,692百万円であった。現金及び預金が947百万円、売上債権が97百万円、棚卸資産が68百万円それぞれ減少した。固定資産は有形固定資産がインドの工場拡張などにより4,544百万円増加し、その他に含まれる繰延税金資産が593百万円減少した。これは、メキシコ工場の会計上の機能通貨である米ドルに対し税務基準額計算上の現地通貨であるペソが安くなり、法人税等調整額が増額となったことによる。負債合計は、同1,699百万円増加の81,845百万円となった。仕入債務が271百万円、その他に含まれる未払消費税等が217百万円、預り金が125百万円減少した一方、有利子負債が630百万円増加したほか、その他に含まれる設備債務が863百万円、未払金が857百万円増加した。純資産合計は、52,500百万円と同883百万円増加した。利益剰余金が2,823百万円、その他有価証券評価差額金が145百万円減少した一方、為替換算調整勘定が4,104百万円増加した。その結果、自己資本比率は38.9%と前期末を0.2ポイント下回った。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純損失が1,466百万円あったものの、売上債権の減少1,219百万円により必要運転資金が減少したほか、減価償却費5,718百万円、特別退職金1,005百万円などの資金増加要因があり、5,602百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得に伴う支出が8,064百万円と膨らんだため8,554百万円の支出となり、フリーキャッシュ・フローは2,952百万円の支出となった。これを長短借入金のネット借入1,205百万円と現預金の取り崩し1,556百万円で賄った。ネット有利子負債(=長短借入金合計-現金及び預金、リース負債を除く)は29,981百万円と前期末より1,781百万円増加した。
■今後の見通し
2025年3月期は国内需要の回復、海外工場の生産安定化により増収増益、各段階とも黒字化見込み
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績は、売上高160,200百万円(前期比1.2%増)、営業利益3,050百万円(同33.1%増)、経常利益2,860百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収、増益を見込む。売上高は期初計画を0.8%上方修正したが、損益は各段階で期初計画を2ケタ台下方修正した。期初計画比で、営業利益は23.8%減、経常利益は18.3%減、親会社株主に帰属する当期純利益は95.0%減とした。売上高は、ダイカスト事業の日本、アジア市場における下期の回復を見込み、期初計画を上方修正した。国内の需要が中間期より回復基調にあること、中国において中国資本系OEMから適正価格での受注が順調に推移していること、インドにおける生産の安定化などを織り込んでいる。損益面では、国内において工場の原価低減活動及び希望退職による固定費削減、適正な価格転嫁活動の推進などにより下期に大幅な改善が見込まれ、期初計画を上方修正した。また、米国、インドにおける生産安定化などにより下期の北米、アジア市場での回復を見込むが、上期の損失をリカバリーするまでには至らず、期初計画には及ばない見通しだ。また、中国のダイカスト工場の分工場を売却し売却益約7億円を特別利益に計上する予定であり、当期純利益は黒字を確保する見込みだ。
2. 事業セグメント別業績見通し
(1) ダイカスト事業 日本
国内のダイカスト事業の売上高は前期比1.1%増の62,720百万円、セグメント利益は同137.0%増の1,410百万円を見込む。国内では自動車生産が回復基調にあり、下期の売上高は上期の7.9%増を見込み、通期では期初計画を1.7%上方修正した。損益は、2025年3月期より製造・販売・管理の合同チームで取り組んでいる収益改革プロジェクトによる製品の不良率改善による損失低減、検査の自動化などによる生産コスト低減、内製化による委託費用低減、並びにエネルギー費、労務費、物流費などの高騰分の販売価格への適正な転嫁の推進などにより、下期で1,000百万円の利益改善を見込む。さらに上期に実施した国内2工場(東海・栃木)での希望退職158名の実施により下期450百万円の固定費削減を見込む。その結果、下期は1,559百万円の利益を見込み、通期では期初計画を101.4%上方修正した。
(2) ダイカスト事業 北米
北米のダイカスト事業の売上高は前期比4.4%増の50,080百万円、セグメント利益は同83.9%減の200百万円を見込む。北米市場(米国、メキシコ)においては、主要顧客のHEVの生産拡大により受注は堅調に推移しており、下期の売上高は上期の2.7%減を見込むも、通期では期初計画並みの売上高を見込む。また、米国工場において上期に悪化した損益については、日本、中国からの生産補完を進め現地生産体制への依存度を低減するとともに、教育プログラムの確認、見直しなど日本からの支援を強化し現場マネジメントを立て直すことで生産の正常化に取り組み、下期は619百万円の利益を見込む。通期では収支均衡レベル(200百万円)まで改善するも、上期の損失の影響が大きく通期の期初計画を87.5%下方修正した。
(3) ダイカスト事業 アジア
アジアのダイカスト事業の売上高は前期比1.5%増の35,630百万円、セグメント利益は1,020百万円(前期は650百万円の損失)を見込む。中国市場においては、日系OEMが苦戦する中で、品質と安定供給面が評価され適正な利益を確保できる価格での取引が進んでいる中国資本系OEMからの受注が増加しており、第4四半期からはPHEV向け新規製品の量産が開始される予定である。また、インドにおいても上期の生産拡大に伴う混乱は収束し、電動車搭載部品の量産は安定化するとともに、2024年12月には新工場が稼働し売上は増加する見込みである。そのため、下期の売上高は上期の6.9%増を見込み、通期では期初計画を1.5%上方修正した。損益では、中国の工場の人員適正化による固定費削減、インド工場への日本からの支援強化、現場マネジメント強化に加えて、地金市況の変動に対する価格改定期間の短縮化の実現などにより下期は764百万円の利益を見込み、通期では期初計画並みの着地としている。
(4) アルミニウム事業
アルミニウム事業の売上高は前期比3.0%増の7,270百万円、セグメント利益は同13.5%増の160百万円を見込む。下期はアルミニウム地金市況が落ち着き、販売重量増により上期に対して増収増益を見込み、売上高は期初計画並み、セグメント利益は期初計画を60.0%上方修正した。
(5) 完成品事業
完成品事業の売上高は、前期に半導体関連の大型受注の引渡しがあったため、前期比26.5%減の4,500百万円、セグメント利益は同49.5%減の450百万円を見込む。下期の売上高は、クリーンルームやデータセンターでの受注が戻ってきており、上期の31.4%増の2,555百万円を見込むが、通期では期初計画を2.2%下方修正した。下期のセグメント利益は上期の51.4%増を見込むが、通期では期初計画を10.0%下方修正した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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