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アーレスティ Research Memo(1):電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフトにより成長確保へ
配信日時:2025/01/23 14:01
配信元:FISCO
*14:01JST アーレスティ Research Memo(1):電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフトにより成長確保へ
■要約
アーレスティ<5852>は、国内11拠点に加えて海外5ヶ国、8拠点でグローバル展開するアルミダイカスト(以下「ダイカスト」)専業のリーディングカンパニーである。Research、Service、Technologyの追求と統合によって豊かな社会の実現を目指すことを企業理念として掲げ、それぞれの頭文字RST(アール・エス・ティー)を続けて読んだ社名を冠する。主力となる自動車向けのダイカスト製品のほか、ダイカスト用金型・周辺機器、アルミニウム二次合金地金、フリーアクセスフロアなどを製造・販売する。地金製造をはじめ、製品設計から金型製作、鋳造、機械加工とグループ内で一気通貫の生産体制を整え、図面1つで世界の各工場での同一製品の生産・供給を可能にする「ワンプリントマルチロケーション」を強みとし、自動車の電動化・軽量化に伴うダイカスト需要の増加に応え成長を目指す。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期第2四半期(以下、中間期)の連結業績は、売上高78,195百万円(前年同期比0.6%増)、営業損失253百万円(前年同期は601百万円の利益)、経常損失536百万円(前年同期は938百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失2,696百万円(前年同期は900百万円の利益)と微増収減益となった。国内自動主生産の落ち込みなどにより受注量が前年同期を3%程度下回ったが、売上高は円安の影響などで前年同期を上回った。受注量の減少に対して固定費などの圧縮や価格是正にも継続的に取り組んだが、原料となるアルミ地金価格の高騰による調達コストの増加、米国工場での生産性悪化などにより営業損失を計上した。そのほか、営業外費用に円高進行による外貨建て債権・債務の評価替えに伴う為替差損308百万円、特別損失に国内・中国で実施した人員規模適正化に伴う特別退職金など1,005百万円を計上したほか、メキシコ工場の為替相場の変動により繰延税金資産の取り崩しによる費用を法人税等調整額に約7億円計上したため、親会社株主に帰属する中間純損失が大幅に膨らんだ。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績は、売上高160,200百万円(前期比1.2%増)、営業利益3,050百万円(同33.1%増)、経常利益2,860百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収、増益を見込むが、期初計画の各段階利益を引き下げた。売上高は、国内の需要が回復基調にあること、インドの生産が順調に伸びる見込みであり、期初計画を0.8%引き上げた。損益面では、国内工場において、原価低減活動や販売価格への適正な価格転嫁活動の推進、並びに国内・中国工場での固定費削減、米国、インドにおける生産安定化などにより下期での回復を見込むが、上期の損失があるため期初計画には及ばない見通しだ。また、上期に中国のダイカスト工場の分工場を売却し売却益約7億円を特別利益に計上するなどして、当期純利益を確保する見込みだ。
3. 「2040年ビジョン」「10年ビジネスプラン」と2224中期経営計画
同社は2038年に創業100周年を迎えるが、100年を超えてさらなる発展・成長する企業となるために、2040年に向けた同社グループの進むべき方向として「2040年ビジョン」を定め、「期待を超える2040」を目指して「軽量化で地球の未来に貢献する」「Ahrestyで良かった!を実現する」「技術探求を続け、唯一を生み出す」ことを「ありたい姿」として掲げた。加えて、2022年6月にビジョンを実現するために2022年度より2030年度を目標とする長期経営計画「10年ビジネスプラン」を策定し、2030年度の具体的な数値目標を設定した。2030年度の売上高1,800億円※、営業利益率6%を目標に、固定費削減、原価低減、投資効率化の観点から各施策に取り組み、配当性向を35%以上とする収益目標のほか、電動車売上比率55%、車体系製品売上高40億円、CO2排出量50%削減(2013年度比)、国内女性従業員比率20%以上、国内女性管理職比率10%以上のほか経営幹部の性別・国籍・職歴・年齢などのダイバーシティ推進を目標として掲げている。
※ ビジョン策定時は1,600億円を目標としていたが、2224中期経営計画策定時の為替レート、地金価格に補正。
同社では、現在その「10年ビジネスプラン」の最初のマイルストーンとなる2224中期経営計画(2022~2024年度)を推進している。自動車の電動化の加速やカーボンニュートラルなどの外部環境変化を踏まえ、「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「CO2排出量削減活動の推進」「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフト」などを戦略の柱に据え、売上高の確保、生産性の向上、稼ぐ力の強化に取り組んでいる。2023年5月には「10年ビジネスプラン」の財務戦略を策定し、公表済の収益目標に加え、自己資本比率40%以上、配当性向35%、設備投資1,400億円、ROE9%達成を期間中における財務戦略の4本柱として掲げている。
■Key Points
・2025年3月期中間期はアルミ地金の高騰、海外工場の生産性悪化などで営業損失計上
・2025年3月期は国内需要の回復、海外工場の生産安定化により増収増益、各段階とも黒字化見込み
・電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフトにより成長確保へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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アーレスティ<5852>は、国内11拠点に加えて海外5ヶ国、8拠点でグローバル展開するアルミダイカスト(以下「ダイカスト」)専業のリーディングカンパニーである。Research、Service、Technologyの追求と統合によって豊かな社会の実現を目指すことを企業理念として掲げ、それぞれの頭文字RST(アール・エス・ティー)を続けて読んだ社名を冠する。主力となる自動車向けのダイカスト製品のほか、ダイカスト用金型・周辺機器、アルミニウム二次合金地金、フリーアクセスフロアなどを製造・販売する。地金製造をはじめ、製品設計から金型製作、鋳造、機械加工とグループ内で一気通貫の生産体制を整え、図面1つで世界の各工場での同一製品の生産・供給を可能にする「ワンプリントマルチロケーション」を強みとし、自動車の電動化・軽量化に伴うダイカスト需要の増加に応え成長を目指す。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期第2四半期(以下、中間期)の連結業績は、売上高78,195百万円(前年同期比0.6%増)、営業損失253百万円(前年同期は601百万円の利益)、経常損失536百万円(前年同期は938百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失2,696百万円(前年同期は900百万円の利益)と微増収減益となった。国内自動主生産の落ち込みなどにより受注量が前年同期を3%程度下回ったが、売上高は円安の影響などで前年同期を上回った。受注量の減少に対して固定費などの圧縮や価格是正にも継続的に取り組んだが、原料となるアルミ地金価格の高騰による調達コストの増加、米国工場での生産性悪化などにより営業損失を計上した。そのほか、営業外費用に円高進行による外貨建て債権・債務の評価替えに伴う為替差損308百万円、特別損失に国内・中国で実施した人員規模適正化に伴う特別退職金など1,005百万円を計上したほか、メキシコ工場の為替相場の変動により繰延税金資産の取り崩しによる費用を法人税等調整額に約7億円計上したため、親会社株主に帰属する中間純損失が大幅に膨らんだ。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績は、売上高160,200百万円(前期比1.2%増)、営業利益3,050百万円(同33.1%増)、経常利益2,860百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収、増益を見込むが、期初計画の各段階利益を引き下げた。売上高は、国内の需要が回復基調にあること、インドの生産が順調に伸びる見込みであり、期初計画を0.8%引き上げた。損益面では、国内工場において、原価低減活動や販売価格への適正な価格転嫁活動の推進、並びに国内・中国工場での固定費削減、米国、インドにおける生産安定化などにより下期での回復を見込むが、上期の損失があるため期初計画には及ばない見通しだ。また、上期に中国のダイカスト工場の分工場を売却し売却益約7億円を特別利益に計上するなどして、当期純利益を確保する見込みだ。
3. 「2040年ビジョン」「10年ビジネスプラン」と2224中期経営計画
同社は2038年に創業100周年を迎えるが、100年を超えてさらなる発展・成長する企業となるために、2040年に向けた同社グループの進むべき方向として「2040年ビジョン」を定め、「期待を超える2040」を目指して「軽量化で地球の未来に貢献する」「Ahrestyで良かった!を実現する」「技術探求を続け、唯一を生み出す」ことを「ありたい姿」として掲げた。加えて、2022年6月にビジョンを実現するために2022年度より2030年度を目標とする長期経営計画「10年ビジネスプラン」を策定し、2030年度の具体的な数値目標を設定した。2030年度の売上高1,800億円※、営業利益率6%を目標に、固定費削減、原価低減、投資効率化の観点から各施策に取り組み、配当性向を35%以上とする収益目標のほか、電動車売上比率55%、車体系製品売上高40億円、CO2排出量50%削減(2013年度比)、国内女性従業員比率20%以上、国内女性管理職比率10%以上のほか経営幹部の性別・国籍・職歴・年齢などのダイバーシティ推進を目標として掲げている。
※ ビジョン策定時は1,600億円を目標としていたが、2224中期経営計画策定時の為替レート、地金価格に補正。
同社では、現在その「10年ビジネスプラン」の最初のマイルストーンとなる2224中期経営計画(2022~2024年度)を推進している。自動車の電動化の加速やカーボンニュートラルなどの外部環境変化を踏まえ、「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「CO2排出量削減活動の推進」「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフト」などを戦略の柱に据え、売上高の確保、生産性の向上、稼ぐ力の強化に取り組んでいる。2023年5月には「10年ビジネスプラン」の財務戦略を策定し、公表済の収益目標に加え、自己資本比率40%以上、配当性向35%、設備投資1,400億円、ROE9%達成を期間中における財務戦略の4本柱として掲げている。
■Key Points
・2025年3月期中間期はアルミ地金の高騰、海外工場の生産性悪化などで営業損失計上
・2025年3月期は国内需要の回復、海外工場の生産安定化により増収増益、各段階とも黒字化見込み
・電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフトにより成長確保へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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