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エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):事業領域を拡大し「木構造のトータルソリューションカンパニー」へ(2)
配信日時:2025/01/23 12:08
配信元:FISCO
*12:08JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):事業領域を拡大し「木構造のトータルソリューションカンパニー」へ(2)
■エヌ・シー・エヌ<7057>の強み
3. BIM事業(MAKE HOUSE)
2021年10月に子会社のMAKE HOUSEは、木造建築分野におけるBIM事業の拡大に向けて、事業開発拠点となるBIM/CADセンター「MAKE HOUSE BIM BASE」を開設した。BIM導入については、米国では2012年の時点で建設会社の約7割が導入、シンガポールでは2015年時点で建築確認申請対象となる建物の約8割で導入されるなど、世界各国で導入義務化への取り組みが推進されている。国内では大手建設会社を中心にBIMの導入は進んでいるものの、一方で木造建築分野での導入は進んでいない。2022年12月に国土交通省が実施した「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査」では、BIMを導入していないと回答したBIM関係部署が50.4%であった。このことから、同社グループの取り組みは、先行者利益として受注機会の創出や業務の質の向上が期待される。
2021年4月より改正建築物省エネ法において省エネ性能が説明義務化されたことに加え、2025年4月には「建築基準法第20条4号特例」の範囲が縮小され、国土交通省の発表によると全新築建物での省エネ基準への適合が義務付けられる。また、省エネ性能の説明義務化と同時に、戸建て住宅など小規模な木造2階建でも確認申請時の構造審査が必須となる。現在は2階建以下、延床面積500m2以下などの条件を満たす木造戸建て住宅では建築確認の構造審査が省略されているが、4号特例の縮小によって、木造の特別扱いが改められ、他の構造形式と同じ扱いとなる。つまり、平屋かつ延べ面積200m2以下の建築物以外の建築物は、構造によらず、構造規定等の審査が必要になる。省エネ性能の説明義務化や大半の木造戸建て住宅の構造計算義務化によって、省エネ性能の計算や構造計算に係る申請資料の作成需要が爆発的に増加するため、建築のあらゆる工程の情報の管理や活用が可能なBIMについては、建築物の積算や各種設計、建築確認申請図書といった文書がBIMデータ化され、今後利用が大きく広がることが期待される。
4号特例が開始されたのは1983年だ。2006年には4号特例が適用された建売住宅で不適切な設計が行われるなど、多数の住宅で構造強度不足が明らかになった。2010年には建築現場の混乱を踏まえて、4号特例の継続が公表された。これまで問題が生じる度に廃止論が強まっていたものの、廃止には至らなかった。しかし、ようやく2025年4月の4号特例縮小により、木造建築物を建築する場合の建築確認手続きが見直され、耐震化に加えて省エネ化や、木材の利用促進(脱炭素)への対応が義務化された。同社は設立当初よりビジョン「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」を掲げ、国策に先駆けて取り組み、成長を続けている。今回の「建築基準法第20条4号特例」の対象縮小で、同社に時代が追いついた格好となり、さらに成長が加速すると弊社では考えている。2022年6月にMAKE HOUSEを完全子会社化したことで、今後の成長に向けた新たなビジネスや投資等への迅速な対応が可能となっており、需要機会を確実に捉えるだろう。
4. 大規模木造建築(翠豊)
翠豊は長年の実績と高い技術力から著名建築家からの信頼も厚く、大手ゼネコンからの受注基盤も確立している。また、同社の登録施工店として、SE構法による木造建築の施工実績も有している。同社グループに翠豊が加わり、大規模木造の施工や特殊加工技術・プレカット加工等のノウハウを内製化したことで、大規模木造建築事業における従来の構造計算及び構造加工品の出荷に加えて事業の幅が広がり、規模の拡大が一層進展するものと見られる。
5. ライフスタイル
YADOKARIは、「ミニマルライフ」「タイニーハウス」「多拠点居住」などを通じて暮らし方の選択肢を増やし、「住」の視点から新たな豊かさを定義し発信している。YADOKARIが考案する「タイニーハウス」に関して同社のSE構法を活用した商品開発を行うほか、新たなライフスタイルを提供することで、YADOKARIとの共創が生まれると弊社では考えている。
一宮リアライズは、木造の空き店舗を改修し、通信機能を整えたシェアオフィスを手掛けるなど、新たな生活様式とともに地方創生の観点から注目されている。
MUJI HOUSEは、資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現に貢献するため、SE構法を採用した「無印良品の家」を中心とした建築事業のほか、URと組んだリノベーション事業、店舗設計・施工分野を行っている。また、2024年9月には同社が構造および環境設計し、MUJI HOUSEが設計施工を行う「無印良品」初の床面積2,000平方メートル規模の大規模木造建築2店舗を手がけており、国内初の大規模木造建築におけるZEB認証を取得している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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3. BIM事業(MAKE HOUSE)
2021年10月に子会社のMAKE HOUSEは、木造建築分野におけるBIM事業の拡大に向けて、事業開発拠点となるBIM/CADセンター「MAKE HOUSE BIM BASE」を開設した。BIM導入については、米国では2012年の時点で建設会社の約7割が導入、シンガポールでは2015年時点で建築確認申請対象となる建物の約8割で導入されるなど、世界各国で導入義務化への取り組みが推進されている。国内では大手建設会社を中心にBIMの導入は進んでいるものの、一方で木造建築分野での導入は進んでいない。2022年12月に国土交通省が実施した「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査」では、BIMを導入していないと回答したBIM関係部署が50.4%であった。このことから、同社グループの取り組みは、先行者利益として受注機会の創出や業務の質の向上が期待される。
2021年4月より改正建築物省エネ法において省エネ性能が説明義務化されたことに加え、2025年4月には「建築基準法第20条4号特例」の範囲が縮小され、国土交通省の発表によると全新築建物での省エネ基準への適合が義務付けられる。また、省エネ性能の説明義務化と同時に、戸建て住宅など小規模な木造2階建でも確認申請時の構造審査が必須となる。現在は2階建以下、延床面積500m2以下などの条件を満たす木造戸建て住宅では建築確認の構造審査が省略されているが、4号特例の縮小によって、木造の特別扱いが改められ、他の構造形式と同じ扱いとなる。つまり、平屋かつ延べ面積200m2以下の建築物以外の建築物は、構造によらず、構造規定等の審査が必要になる。省エネ性能の説明義務化や大半の木造戸建て住宅の構造計算義務化によって、省エネ性能の計算や構造計算に係る申請資料の作成需要が爆発的に増加するため、建築のあらゆる工程の情報の管理や活用が可能なBIMについては、建築物の積算や各種設計、建築確認申請図書といった文書がBIMデータ化され、今後利用が大きく広がることが期待される。
4号特例が開始されたのは1983年だ。2006年には4号特例が適用された建売住宅で不適切な設計が行われるなど、多数の住宅で構造強度不足が明らかになった。2010年には建築現場の混乱を踏まえて、4号特例の継続が公表された。これまで問題が生じる度に廃止論が強まっていたものの、廃止には至らなかった。しかし、ようやく2025年4月の4号特例縮小により、木造建築物を建築する場合の建築確認手続きが見直され、耐震化に加えて省エネ化や、木材の利用促進(脱炭素)への対応が義務化された。同社は設立当初よりビジョン「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」を掲げ、国策に先駆けて取り組み、成長を続けている。今回の「建築基準法第20条4号特例」の対象縮小で、同社に時代が追いついた格好となり、さらに成長が加速すると弊社では考えている。2022年6月にMAKE HOUSEを完全子会社化したことで、今後の成長に向けた新たなビジネスや投資等への迅速な対応が可能となっており、需要機会を確実に捉えるだろう。
4. 大規模木造建築(翠豊)
翠豊は長年の実績と高い技術力から著名建築家からの信頼も厚く、大手ゼネコンからの受注基盤も確立している。また、同社の登録施工店として、SE構法による木造建築の施工実績も有している。同社グループに翠豊が加わり、大規模木造の施工や特殊加工技術・プレカット加工等のノウハウを内製化したことで、大規模木造建築事業における従来の構造計算及び構造加工品の出荷に加えて事業の幅が広がり、規模の拡大が一層進展するものと見られる。
5. ライフスタイル
YADOKARIは、「ミニマルライフ」「タイニーハウス」「多拠点居住」などを通じて暮らし方の選択肢を増やし、「住」の視点から新たな豊かさを定義し発信している。YADOKARIが考案する「タイニーハウス」に関して同社のSE構法を活用した商品開発を行うほか、新たなライフスタイルを提供することで、YADOKARIとの共創が生まれると弊社では考えている。
一宮リアライズは、木造の空き店舗を改修し、通信機能を整えたシェアオフィスを手掛けるなど、新たな生活様式とともに地方創生の観点から注目されている。
MUJI HOUSEは、資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現に貢献するため、SE構法を採用した「無印良品の家」を中心とした建築事業のほか、URと組んだリノベーション事業、店舗設計・施工分野を行っている。また、2024年9月には同社が構造および環境設計し、MUJI HOUSEが設計施工を行う「無印良品」初の床面積2,000平方メートル規模の大規模木造建築2店舗を手がけており、国内初の大規模木造建築におけるZEB認証を取得している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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