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ヤマノHD Research Memo(6):既存事業の収益安定化策により、和装宝飾以外の4事業で損益改善(2)
配信日時:2025/01/22 16:16
配信元:FISCO
*16:16JST ヤマノHD Research Memo(6):既存事業の収益安定化策により、和装宝飾以外の4事業で損益改善(2)
■ヤマノホールディングス<7571>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 美容事業
美容事業の売上高は916百万円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は12百万円(同541.4%増)となった。営業資源の有効活用に向けて不採算店舗5店を閉鎖した。また、多様なサロン形態を有する強みを活かして、2024年5月には「MY jSTYLE」川越店を「La Bonheur」へと出店エリアの顧客層に合わせた業態転換を実施したほか、独立志向の従業員に対して1店舗をFC化するなど、営業体制の最適化を進めた。店舗閉鎖により減収とはなったが、損益面では固定費の削減が図られ、1店舗当たりの平均営業利益率は前年同期より1.1ポイント改善し、セグメント利益が回復したほか、損益分岐点売上高も前年同期より8.4%低下し改善した。
(2) 和装宝飾事業
和装宝飾事業の売上高は4,646百万円(同2.1%減)、セグメント損失が29百万円(前年同期は47百万円の利益)となった。着物のメンテナンスサービスの強化、展示販売会における集客強化などに注力し、受注高は回復基調で推移した。一方で、営業資源の有効活用に向けて不採算店舗を6店舗閉鎖し、2店舗を移転したことに加えて、一部商品で納品遅延が生じた影響により減収となった。納品遅延は商品企画・販売側である同社と商品加工会社との調整不足によるものだが、あくまで一過性のものであるようだ。着物の特別な加工工程を手がける企業が減少しているなかで、商品企画側との連携・調整は不可欠なものとなっており留意が必要だろう。損益面では、減収による売上総利益の低下が響いたほか、コロナ禍で進まなかった新規顧客獲得を目的とした粗利率の低い特別商品、サービスを店頭企画で強化したことも粗利率低下の一因となった。しかし、これらの企画の販売は想定を上回り、新規顧客獲得は順調に進んでいると同社では自信をのぞかせている。営業体制の最適化については、1店舗当たり平均売上高が同1.4%上昇したが、粗利率の低下や店舗閉鎖に伴う原状回復費の増加などにより平均営業利益率は前年同期より1.9ポイント悪化、損益分岐点売上高も1.6%上昇し悪化した。
(3) DSM事業
DSM事業の売上高は404百万円(同7.8%減)、セグメント損失は19百万円(前期は21百万円の損失)となった。販売員や顧客の高齢化などにより依然厳しい状況が続く中、営業体制の最適化を目的に4拠点の統廃合を実施し1店舗当たり平均売上高は同6.8%上昇したが、拠点統廃合の影響や販売員稼働数の低下により減収となった。損益面では、拠点統廃合による固定費の削減、販売費用の抑制などコスト管理のさらなる強化を進めた結果、1店舗当たり平均営業利益率は前年同期を維持、損益分岐点売上高も0.8%低下し損益は改善した。そのほか、顧客数を増やすための紹介キャンペーンの実施や休眠顧客の深耕開拓、提案商品の絞り込み、聴力の相談・診断、補聴器の試聴・販売・メンテナンスを行う「聞こえの相談会」の強化など企画の見直しなどを図ることで販売員稼働数の向上につなげる取り組みを進めている。
(4) 教育事業
教育事業の売上高は714百万円(同44.8%増)、セグメント利益は45百万円(同90.8%増)となった。マンツーマンアカデミー及び東京ガイダンスが引き続き順調に推移し、加えて2023年12月にグループ入りした灯学舎が期初より寄与したことにより、売上高は大きく伸長した。損益面では、マンツーマンアカデミー及び東京ガイダンスのコスト管理の適正化が図られるとともに、若手従業員の積極的な採用や新規生徒数の確保など現場力の改善活動により、1教室当たりの平均売上高は同7.9%増、1教室当たりの平均営業利益率は同4.1ポイント上昇、損益分岐点売上高も同0.9%低下し改善した。
(5) その他の事業
その他事業の売上高は163百万円(同0.4%減)、セグメント損失は8百万円(前年同期は39百万円の損失)となった。2024年3月期に苦戦したOLD FLIPの構造改革を推し進め、売上高は前期並みを確保しながら損益を改善した。構造改革としては、まず商業施設などへのポップアップストア出店時などに業務代行業者に販売員の派遣を依頼せずに自ら従業員を採用することで内製化を進めている。派遣販売員に任せられる業務は限定されるため、会社の方針を理解し店舗・商材についてマネジメントのできる人材を採用した結果、人件費も低下した。また、コストをかけていた倉庫の移転をはじめ他の間接費も含めて固定費を下げ、損益分岐点売上高は同27.9%低下し改善した。不安定化していた仕入れについても、取引先との取り組みを見直し商材が潤沢に入るようになったため、EC販売、BtoB販売に比べて粗利率の高い商品が多い店舗販売の売上構成比が16ポイント上昇し、損益改善に貢献した。
3. 財務状況と経営指標
2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比743百万円減少し7,903百万円となった。現金及び預金が347百万円減少したほか、不採算店舗閉鎖などにより売掛債権が439百万円減少した。仕入債務が193百万円減少したものの、「集金保証型ショッピングクレジット」※にかかる売掛債権が平準化したこともあり、必要な運転資金が222百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローは129百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは98百万円の支出となり、31百万円のフリーキャッシュ・フローが生まれたが、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて長短借入金の返済に充てるなど378百万円を支出したため現金及び現金同等物は減少した。
※ 「集金保証型ショッピングクレジット」は2018年10月から導入した。和装宝飾事業におけるカード・割賦販売の売掛債権の回収方法を、信販会社の一括立替払いの方式から、顧客の分割払いに合わせて回収する方式に変更したもの。回収に伴う運転資金は同社が負担するが、割賦手数料を同社が受け取る形態。以降、毎期売掛債権の増加に伴い運転資金が増加し、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年3月期より支出に転じていたが、売掛債権の平準化に伴い2024年3月期に収入に転じていた。
長短借入金を合計で368百万円返済し、負債合計は前期末比672百万円減少した。純資産合計は、利益剰余金63百万円、その他有価証券評価差額金7百万円がそれぞれ減少したことにより同71百万円減少し1,152百万円となったが、資産合計も大きく減少したため自己資本比率は14.6%と同0.5ポイント改善した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
2. 事業セグメント別動向
(1) 美容事業
美容事業の売上高は916百万円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は12百万円(同541.4%増)となった。営業資源の有効活用に向けて不採算店舗5店を閉鎖した。また、多様なサロン形態を有する強みを活かして、2024年5月には「MY jSTYLE」川越店を「La Bonheur」へと出店エリアの顧客層に合わせた業態転換を実施したほか、独立志向の従業員に対して1店舗をFC化するなど、営業体制の最適化を進めた。店舗閉鎖により減収とはなったが、損益面では固定費の削減が図られ、1店舗当たりの平均営業利益率は前年同期より1.1ポイント改善し、セグメント利益が回復したほか、損益分岐点売上高も前年同期より8.4%低下し改善した。
(2) 和装宝飾事業
和装宝飾事業の売上高は4,646百万円(同2.1%減)、セグメント損失が29百万円(前年同期は47百万円の利益)となった。着物のメンテナンスサービスの強化、展示販売会における集客強化などに注力し、受注高は回復基調で推移した。一方で、営業資源の有効活用に向けて不採算店舗を6店舗閉鎖し、2店舗を移転したことに加えて、一部商品で納品遅延が生じた影響により減収となった。納品遅延は商品企画・販売側である同社と商品加工会社との調整不足によるものだが、あくまで一過性のものであるようだ。着物の特別な加工工程を手がける企業が減少しているなかで、商品企画側との連携・調整は不可欠なものとなっており留意が必要だろう。損益面では、減収による売上総利益の低下が響いたほか、コロナ禍で進まなかった新規顧客獲得を目的とした粗利率の低い特別商品、サービスを店頭企画で強化したことも粗利率低下の一因となった。しかし、これらの企画の販売は想定を上回り、新規顧客獲得は順調に進んでいると同社では自信をのぞかせている。営業体制の最適化については、1店舗当たり平均売上高が同1.4%上昇したが、粗利率の低下や店舗閉鎖に伴う原状回復費の増加などにより平均営業利益率は前年同期より1.9ポイント悪化、損益分岐点売上高も1.6%上昇し悪化した。
(3) DSM事業
DSM事業の売上高は404百万円(同7.8%減)、セグメント損失は19百万円(前期は21百万円の損失)となった。販売員や顧客の高齢化などにより依然厳しい状況が続く中、営業体制の最適化を目的に4拠点の統廃合を実施し1店舗当たり平均売上高は同6.8%上昇したが、拠点統廃合の影響や販売員稼働数の低下により減収となった。損益面では、拠点統廃合による固定費の削減、販売費用の抑制などコスト管理のさらなる強化を進めた結果、1店舗当たり平均営業利益率は前年同期を維持、損益分岐点売上高も0.8%低下し損益は改善した。そのほか、顧客数を増やすための紹介キャンペーンの実施や休眠顧客の深耕開拓、提案商品の絞り込み、聴力の相談・診断、補聴器の試聴・販売・メンテナンスを行う「聞こえの相談会」の強化など企画の見直しなどを図ることで販売員稼働数の向上につなげる取り組みを進めている。
(4) 教育事業
教育事業の売上高は714百万円(同44.8%増)、セグメント利益は45百万円(同90.8%増)となった。マンツーマンアカデミー及び東京ガイダンスが引き続き順調に推移し、加えて2023年12月にグループ入りした灯学舎が期初より寄与したことにより、売上高は大きく伸長した。損益面では、マンツーマンアカデミー及び東京ガイダンスのコスト管理の適正化が図られるとともに、若手従業員の積極的な採用や新規生徒数の確保など現場力の改善活動により、1教室当たりの平均売上高は同7.9%増、1教室当たりの平均営業利益率は同4.1ポイント上昇、損益分岐点売上高も同0.9%低下し改善した。
(5) その他の事業
その他事業の売上高は163百万円(同0.4%減)、セグメント損失は8百万円(前年同期は39百万円の損失)となった。2024年3月期に苦戦したOLD FLIPの構造改革を推し進め、売上高は前期並みを確保しながら損益を改善した。構造改革としては、まず商業施設などへのポップアップストア出店時などに業務代行業者に販売員の派遣を依頼せずに自ら従業員を採用することで内製化を進めている。派遣販売員に任せられる業務は限定されるため、会社の方針を理解し店舗・商材についてマネジメントのできる人材を採用した結果、人件費も低下した。また、コストをかけていた倉庫の移転をはじめ他の間接費も含めて固定費を下げ、損益分岐点売上高は同27.9%低下し改善した。不安定化していた仕入れについても、取引先との取り組みを見直し商材が潤沢に入るようになったため、EC販売、BtoB販売に比べて粗利率の高い商品が多い店舗販売の売上構成比が16ポイント上昇し、損益改善に貢献した。
3. 財務状況と経営指標
2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比743百万円減少し7,903百万円となった。現金及び預金が347百万円減少したほか、不採算店舗閉鎖などにより売掛債権が439百万円減少した。仕入債務が193百万円減少したものの、「集金保証型ショッピングクレジット」※にかかる売掛債権が平準化したこともあり、必要な運転資金が222百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローは129百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは98百万円の支出となり、31百万円のフリーキャッシュ・フローが生まれたが、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて長短借入金の返済に充てるなど378百万円を支出したため現金及び現金同等物は減少した。
※ 「集金保証型ショッピングクレジット」は2018年10月から導入した。和装宝飾事業におけるカード・割賦販売の売掛債権の回収方法を、信販会社の一括立替払いの方式から、顧客の分割払いに合わせて回収する方式に変更したもの。回収に伴う運転資金は同社が負担するが、割賦手数料を同社が受け取る形態。以降、毎期売掛債権の増加に伴い運転資金が増加し、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年3月期より支出に転じていたが、売掛債権の平準化に伴い2024年3月期に収入に転じていた。
長短借入金を合計で368百万円返済し、負債合計は前期末比672百万円減少した。純資産合計は、利益剰余金63百万円、その他有価証券評価差額金7百万円がそれぞれ減少したことにより同71百万円減少し1,152百万円となったが、資産合計も大きく減少したため自己資本比率は14.6%と同0.5ポイント改善した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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