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タイミー Research Memo(1):スキマバイト市場のパイオニアとして急成長する業界No.1プラットフォーマー
配信日時:2025/01/22 14:01
配信元:FISCO
*14:01JST タイミー Research Memo(1):スキマバイト市場のパイオニアとして急成長する業界No.1プラットフォーマー
■要約
タイミー<215A>は、日本におけるスキマバイト市場のパイオニアであり、サービス利用率、求人掲載数において業界No.1※の企業である。その革新的なサービスで、派遣や求人募集が中心だった短期に“はたらく”領域においてパラダイムシフトを起こしている。企業のビジョンは「一人ひとりの時間を豊かに」、ミッションは「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」である。2019年10月期に83百万円だった売上高が、2024年10月期に26,880百万円まで急成長したベンチャー企業である。
※ サービス利用率の出所:2024年2月9日~2024年2月11日にマクロミル<3978>が行った、直近1年以内にスキマバイトを経験したことのある18~69歳の男女1,034人を対象としたインターネット調査結果。
求人掲載数の出所:2024年4月9日~2024年5月29日に(株)日本マーケティングリサーチ機構が行った2024年5月期スキマバイトサービスにおける市場調査結果。
1. 事業概要
同社が展開するサービス(タイミー事業)は、ワーカー(働き手)の「働きたい時間」とクライアントである雇用主の「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」である。ワーカーにとっては、面接なしで、すきな時間・すきな場所ですぐに働けるメリットがあり、雇用主にとっては、優良ワーカーを短時間で効率的に採用できるメリットがある。同社が、日本におけるスキマバイト市場のパイオニアとして、競合優位性とNo.1のポジションを確立した背景には、「人が集まる」「ワーカーの働きぶりが良い」「営業による手厚いサポート」「優秀な人材の経営人材への登用」「積極的な資金調達と先行投資」の5つがある。
2. 2024年10月期の業績概要
2024年10月期の業績は、売上高が26,880百万円(前期比66.5%増)、営業利益が4,247百万円(同117.0%増)と、大幅な増収増益となった。売上高は、深刻な人手不足を背景に新規利用企業の増加や既存利用企業のさらなる利用により大幅な増収となった。業界別では、小売業界と物流業界の売上増加が寄与した。アクティブアカウント数※は326千拠点から649千拠点へと約2倍に増加した。小売業界の利用企業の増加が最も著しく、次いで飲食業界も増加した。登録ワーカーはテレビCMなどを積極的に行ったことで、9.5百万人を超えた。流通総額(クライアントからワーカーに支給される給与+交通費)は同66.6%増の90,779百万円となった。平均テイクレート(クライアントに請求する手数料率)は29.6%と前期並みで推移したことも増収の要因となった。
※ 月に少なくとも1つの求人を掲載したクライアント事業所数。12ヶ月のアクティブアカウント数の合計を示しており、かかる数値は年間で1つの求人を掲載したクライアント数よりも大きくなる可能性がある。
3. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の業績は、売上高が34,394~35,700百万円(前期比28.0~32.8%増)、営業利益が6,000~6,710百万円(同41.3~58.0%増)と、前期と比べやや成長率は落ちるものの、高い成長が続くと見込んでいる。レンジ予想となった背景は、競合環境の激化及び不正利用防止のための対応強化の影響が見通しにくいためである。競合激化に関しては、同社が属するスキマバイト市場は近年急速に拡大している分野であるため、多数の競合企業が参入する可能性がある。足元では大きな影響はないものの、競争によりテイクレートは多少の低減が予想される。不正利用防止に関しては、対応強化による煩雑さを理由に一部の小規模クライアントの新規登録が停滞する可能性があり、売上高が伸び悩むリスクがある。しかし、市場成長が続くなか、業界1位の同社の知名度及びサービスの充実度は他社を圧倒しており、競合他社参入による影響はさほど大きくないと弊社では見ている。また、不正利用防止対応の影響も、新規の小規模クライアントに限定した手続き上の手間の問題が大きく、流通総額・売上高へのインパクトは軽微なものと考える。2024年10月期第4四半期単独での増収率が53.4%であったことからも、2025年10月期は上限に近い業績を達成する可能性があると弊社では考えている。
4. 成長戦略
同社は、2025年10月期の戦略方針として、アクティブアカウント数(AA数、月に少なくとも1つの求人を掲載したクライアント事業者数)、AA当たり流通総額、稼働率をそれぞれ向上させ、スキマバイト市場で圧倒的なNo.1を維持することに加え、新規事業により非連続成長を生み出すことを掲げている。
AA数については、地方自治体や地方銀行、商工会議所、商圏などとの連携を強化しエリアを拡大するとともに、主要3業界(物流、小売、飲食)に加え、急成長するホテル・介護業界を次の柱にする。AA当たり流通総額に関しては、クライアントの現場に入り込み、業界特有の課題を明確にし、解決策を提案することで募集人数を増加させる取り組みを継続する。また、蓄積されたデータを活用してワーカーのスキルを可視化したバッジ機能の有効活用を進める。また、1日単位のスキマバイトに加え、複数日応募などの短期雇用(1ヶ月以内)など周辺領域への進出を強化する。この領域は、派遣会社や求人サイトがメインプレーヤーとなっており大きな市場機会である。86%※1という高い稼働率を維持・向上させる施策については、新規ワーカー獲得強化として、マス広告やデジタルマーケティングを通じてタイミーの認知を維持・向上させるほか、初心者でも働きやすい環境の整備、マッチング精度を高めるための重点施策を実践していく。新規事業としては、タイミー事業とのシナジーが期待できる領域(タイミー事業が得意とする業種・業務に加え、開拓浸透率がまだ低い領域における派遣・業務請負、人材紹介、BPR※2コンサルティング、シフト管理、福利厚生など)が投資対象となる。また、長期的には海外展開やフィンテック分野などにも展開する可能性がある。投資資金は手元資金または銀行借入調達とし、エクイティ調達は財務健全性改善や投資資本を上回るリターンが期待できる場合に限定し、規律のある投資を行う。
※1 2024年10月期4Qの稼働人数を募集人数で除して算出。
※2 Business Process Re-engineeringの略。クライアントの業務オペレーションのプロセスを分析、分解、再構築しタイミーワーカーでも即戦力として働けるオペレーションに設計し直すなどの取り組み。
■Key Points
・強みは、人が集まり高い稼働率(86%)を実現することで好循環を生み出し、加えて優れた仕組みで働きぶりの良い人材が集まるプラットフォーム。広告、営業、プロダクトへの積極投資により優位性を築く
・2024年10月期は売上高で前期比66.5%増、営業利益で117.0%増と急成長を持続。小売業界及び物流業界における伸びが顕著
・2025年10月期は、営業利益で6,000〜6,710百万円のレンジ予想。競合環境及び不正利用防止強化の影響でシナリオは分かれるが、成長軌道は継続
・成長戦略として、スキマバイト市場でNo.1を維持し、新規事業への規律ある投資により非連続成長を生み出す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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タイミー<215A>は、日本におけるスキマバイト市場のパイオニアであり、サービス利用率、求人掲載数において業界No.1※の企業である。その革新的なサービスで、派遣や求人募集が中心だった短期に“はたらく”領域においてパラダイムシフトを起こしている。企業のビジョンは「一人ひとりの時間を豊かに」、ミッションは「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」である。2019年10月期に83百万円だった売上高が、2024年10月期に26,880百万円まで急成長したベンチャー企業である。
※ サービス利用率の出所:2024年2月9日~2024年2月11日にマクロミル<3978>が行った、直近1年以内にスキマバイトを経験したことのある18~69歳の男女1,034人を対象としたインターネット調査結果。
求人掲載数の出所:2024年4月9日~2024年5月29日に(株)日本マーケティングリサーチ機構が行った2024年5月期スキマバイトサービスにおける市場調査結果。
1. 事業概要
同社が展開するサービス(タイミー事業)は、ワーカー(働き手)の「働きたい時間」とクライアントである雇用主の「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」である。ワーカーにとっては、面接なしで、すきな時間・すきな場所ですぐに働けるメリットがあり、雇用主にとっては、優良ワーカーを短時間で効率的に採用できるメリットがある。同社が、日本におけるスキマバイト市場のパイオニアとして、競合優位性とNo.1のポジションを確立した背景には、「人が集まる」「ワーカーの働きぶりが良い」「営業による手厚いサポート」「優秀な人材の経営人材への登用」「積極的な資金調達と先行投資」の5つがある。
2. 2024年10月期の業績概要
2024年10月期の業績は、売上高が26,880百万円(前期比66.5%増)、営業利益が4,247百万円(同117.0%増)と、大幅な増収増益となった。売上高は、深刻な人手不足を背景に新規利用企業の増加や既存利用企業のさらなる利用により大幅な増収となった。業界別では、小売業界と物流業界の売上増加が寄与した。アクティブアカウント数※は326千拠点から649千拠点へと約2倍に増加した。小売業界の利用企業の増加が最も著しく、次いで飲食業界も増加した。登録ワーカーはテレビCMなどを積極的に行ったことで、9.5百万人を超えた。流通総額(クライアントからワーカーに支給される給与+交通費)は同66.6%増の90,779百万円となった。平均テイクレート(クライアントに請求する手数料率)は29.6%と前期並みで推移したことも増収の要因となった。
※ 月に少なくとも1つの求人を掲載したクライアント事業所数。12ヶ月のアクティブアカウント数の合計を示しており、かかる数値は年間で1つの求人を掲載したクライアント数よりも大きくなる可能性がある。
3. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の業績は、売上高が34,394~35,700百万円(前期比28.0~32.8%増)、営業利益が6,000~6,710百万円(同41.3~58.0%増)と、前期と比べやや成長率は落ちるものの、高い成長が続くと見込んでいる。レンジ予想となった背景は、競合環境の激化及び不正利用防止のための対応強化の影響が見通しにくいためである。競合激化に関しては、同社が属するスキマバイト市場は近年急速に拡大している分野であるため、多数の競合企業が参入する可能性がある。足元では大きな影響はないものの、競争によりテイクレートは多少の低減が予想される。不正利用防止に関しては、対応強化による煩雑さを理由に一部の小規模クライアントの新規登録が停滞する可能性があり、売上高が伸び悩むリスクがある。しかし、市場成長が続くなか、業界1位の同社の知名度及びサービスの充実度は他社を圧倒しており、競合他社参入による影響はさほど大きくないと弊社では見ている。また、不正利用防止対応の影響も、新規の小規模クライアントに限定した手続き上の手間の問題が大きく、流通総額・売上高へのインパクトは軽微なものと考える。2024年10月期第4四半期単独での増収率が53.4%であったことからも、2025年10月期は上限に近い業績を達成する可能性があると弊社では考えている。
4. 成長戦略
同社は、2025年10月期の戦略方針として、アクティブアカウント数(AA数、月に少なくとも1つの求人を掲載したクライアント事業者数)、AA当たり流通総額、稼働率をそれぞれ向上させ、スキマバイト市場で圧倒的なNo.1を維持することに加え、新規事業により非連続成長を生み出すことを掲げている。
AA数については、地方自治体や地方銀行、商工会議所、商圏などとの連携を強化しエリアを拡大するとともに、主要3業界(物流、小売、飲食)に加え、急成長するホテル・介護業界を次の柱にする。AA当たり流通総額に関しては、クライアントの現場に入り込み、業界特有の課題を明確にし、解決策を提案することで募集人数を増加させる取り組みを継続する。また、蓄積されたデータを活用してワーカーのスキルを可視化したバッジ機能の有効活用を進める。また、1日単位のスキマバイトに加え、複数日応募などの短期雇用(1ヶ月以内)など周辺領域への進出を強化する。この領域は、派遣会社や求人サイトがメインプレーヤーとなっており大きな市場機会である。86%※1という高い稼働率を維持・向上させる施策については、新規ワーカー獲得強化として、マス広告やデジタルマーケティングを通じてタイミーの認知を維持・向上させるほか、初心者でも働きやすい環境の整備、マッチング精度を高めるための重点施策を実践していく。新規事業としては、タイミー事業とのシナジーが期待できる領域(タイミー事業が得意とする業種・業務に加え、開拓浸透率がまだ低い領域における派遣・業務請負、人材紹介、BPR※2コンサルティング、シフト管理、福利厚生など)が投資対象となる。また、長期的には海外展開やフィンテック分野などにも展開する可能性がある。投資資金は手元資金または銀行借入調達とし、エクイティ調達は財務健全性改善や投資資本を上回るリターンが期待できる場合に限定し、規律のある投資を行う。
※1 2024年10月期4Qの稼働人数を募集人数で除して算出。
※2 Business Process Re-engineeringの略。クライアントの業務オペレーションのプロセスを分析、分解、再構築しタイミーワーカーでも即戦力として働けるオペレーションに設計し直すなどの取り組み。
■Key Points
・強みは、人が集まり高い稼働率(86%)を実現することで好循環を生み出し、加えて優れた仕組みで働きぶりの良い人材が集まるプラットフォーム。広告、営業、プロダクトへの積極投資により優位性を築く
・2024年10月期は売上高で前期比66.5%増、営業利益で117.0%増と急成長を持続。小売業界及び物流業界における伸びが顕著
・2025年10月期は、営業利益で6,000〜6,710百万円のレンジ予想。競合環境及び不正利用防止強化の影響でシナリオは分かれるが、成長軌道は継続
・成長戦略として、スキマバイト市場でNo.1を維持し、新規事業への規律ある投資により非連続成長を生み出す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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