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明日の株式相場に向けて=トランプ劇場でヘッドライントレード誘爆

配信日時:2025/01/21 17:29 配信元:MINKABU
 きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比125円高の3万9027円と続伸。続伸はしたが、玉虫色のはっきりしない地合いであった。前日の米国株市場がキング牧師記念日で休場だったことから手掛かり材料難が意識されたが、欧州株市場の方は全面高だったことで朝方はリスクオンの流れに乗った。また、トランプ氏の米大統領就任式が日本時間きょう未明に行われ、その後の就任演説では予想通りの“トランプ節”を炸裂させたが、市場関係者の間では「内容的には想定したほど警戒感を抱かせる内容ではなかった」という見方がもっぱらだった。  むしろ中国や日本に対する関税引き上げについては、大統領就任に合わせた即時発動が見送られたことが好感され、朝方は自動車株などへの買いに反映された。ところが、前場の取引中盤になって、トランプ大統領がメキシコとカナダに最大25%の関税を2月1日に施行する可能性に言及したと伝わると、一転して自動車株に売り圧力が顕在化し、軒並安となるなど、相変わらずヘッドライントレードによる弊害に晒される格好となった。  就任初日から東京市場はトランプ劇場に振り回される展開となったが、本質的にトランプ氏は「アメリカ・ファースト」を前面に押し出し、それ以上でもそれ以下でもなく政策方針にブレはない。その意味で、トランプ氏は過激なスタンスを示してはいるが、やみくもに大統領令を乱発しているということではなく、他国にとっては迷惑な主張であっても読みやすく、妥協点を探りやすいという部分はある。「トランプ大統領はディールに長じていると言われるだけあって、ちゃんと落としどころを用意している」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もあり、要は相手の対応にうまく委ねる状況を作り出すことに長けている。  トランプ大統領の人気の源泉は中国故事に通じるものがある。中国戦国時代に儒家として名を馳せた孟子は「恒産なければ、よって恒心なし」と説く。つまり安定した生活基盤がないと人心は乱れ、結果として政権も瓦解してしまうということ。であれば、国民の生活を最優先する「自国第一主義」こそが政権を担う側の玉条であることが分かる。さかのぼって大統領選でトランプ氏が圧勝した背景もそこにある。民主党のハリス氏の主張が正当かつ悉(ことごと)く支持を得るものであったとしても、国民生活に論点を置かなかったということで票が伸びなかった。トランプ大統領は就任演説の冒頭で「米国の黄金時代が始まる」としたが、この言葉が支持層の心をわしづかみした本質を示唆しているようにも見える。日本の総理大臣が所信表明で「黄金の国ジパングを復活させる」などと言い切ればそれは事件級のインパクトがあるが、まずあり得ない話だ。しかし、そういうトップが出てくれば国が変わるという期待感が一気に膨らむのは必定である。時代背景は違うが、例えば日本で言えばかつての田中角栄政権が今の米国のムードを宿していたのではないか。  きょうは売買代金断トツのディスコ<6146.T>が大幅高に買われたが、これが半導体関連に対する潮流変化の予兆かというと必ずしもそうではない。あえて言えば、半導体セクターは、生成AI組とスマホ組に分かれていて、今のところ前者が勝ち組、後者が負け組という構図が浮き彫りとなっているが、かといって勝ち組を競って買うような地合いには程遠い。全体相場がボックスであれば主力銘柄も同じ場所で波の上下動を繰り返す。  トランプ政権発足を先取る形で賑わった防衛・宇宙関連では、最近は旗艦銘柄であった三菱重工業<7011.T>が冴えず、変わってIHI<7013.T>などが強い動きを見せていたが、これもさしたる理由はなく株式需給に起因するものといってよい。つまりトランプ劇場といっても、今の東京市場でテーマ買いの舞台に立つ銘柄は何かが見えてこない。仮想通貨関連も「トランプコイン」まで登場して盛り上がっているようにも見えるが、おおむね期待先行で買われ過ぎた面があり、既に佳境を超えた感じも否めない。そうこうしているうちに国内では企業の決算発表が来週あたりから本格化してくる。トランプ劇場から離れて、決算プレーに短期筋の関心が移ることになりそうだ。  あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントは見当たらない。海外ではマレーシア中銀が政策金利を発表、米国では12月の景気先行指標総合指数のほか、米20年物国債の入札が行われる。このほか個別企業ではジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>やプロクター・アンド・ギャンブル<PG>の決算発表が予定されている。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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