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トランプ1.0との違い【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/01/19 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST トランプ1.0との違い【フィスコ・コラム】
1月20日の米大統領就任式を経て、トランプ政権が正式に発足します。関税強化を武器に腕力でねじ伏せる手法は、第1次政権時代から変わりはなさそうです。ただ、返り咲きを決めてからの振る舞いにいくらか落ち着きが感じられるのは、「慣れ」のせいでしょうか。
トランプ次期大統領は正式就任を前に、グリーンランドの買収や中米パナマ運河の管理権取得に意欲を示し波紋を広げています。また、「メキシコ湾」の「アメリカ湾」への名称変更、カナダの併合に言及。さらに、側近を通じてスターマー英首相の早期辞任を画策したとされ、2月のドイツ総選挙でも極右政党への支持も鮮明にするなど、早くも周辺国や関係国を相手に騒ぎを起こしている印象です。
第1次政権時代も「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護主義的な政策や移民制限が特徴的でしたが、第2次政権ではそれが先鋭化するとみられています。不法移民対策として国境壁建設を推進するだけでなく、移民法を改正し厳格化を目指す方針。経済政策では富裕層や企業への減税を再度実施の見通し。企業活動が活発化する一方で、国内の分断が深刻化して社会的な緊張が高まる懸念もあります。
外交に関しては、トランプ氏が目指すウクライナ戦争終結に向けロシア、ウクライナ双方と交渉する方向です。和平が実現すればエネルギー市場が安定し、欧州経済の回復が期待されます。半面、中国との覇権争いで台湾問題や南シナ海での緊張が高まるリスクも残ります。また、北大西洋条約機構(NATO)や日本、韓国などの同盟国には防衛費負担増加を求め、新たな摩擦の火種となるかもしれません。
トランプ氏の就任前の会談相手の人選からは外交戦略の方向性がうかがえます。アルゼンチン大統領、イタリア首相と直接会談したことは、地域ごとに異なる戦略を意図したものでしょう。トランプ氏による和平重視の外交政策が成功すれば地政学リスクの低下に寄与しそうです。国内政策の強硬姿勢や中国との対立が想定ほど激しくなければ世界的な混乱も回避されるはずですが、まずは中東外交が注目されます。
昨年末に100歳で死去したカーター元大統領の国葬には、存命の歴代大統領が参列しました。その場でクリントン、ブッシュ両夫妻からは明らかに避けられていたトランプ氏ですが、隣の席のオバマ元大統領と談笑する姿が耳目を集めました。ストレート一辺倒だったピッチャーが変化球を繰り出す技巧派に転じたようにも見えます。第1次政権時代と異なり、人事が安定すれば信頼感は徐々に高まるとみます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
トランプ次期大統領は正式就任を前に、グリーンランドの買収や中米パナマ運河の管理権取得に意欲を示し波紋を広げています。また、「メキシコ湾」の「アメリカ湾」への名称変更、カナダの併合に言及。さらに、側近を通じてスターマー英首相の早期辞任を画策したとされ、2月のドイツ総選挙でも極右政党への支持も鮮明にするなど、早くも周辺国や関係国を相手に騒ぎを起こしている印象です。
第1次政権時代も「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護主義的な政策や移民制限が特徴的でしたが、第2次政権ではそれが先鋭化するとみられています。不法移民対策として国境壁建設を推進するだけでなく、移民法を改正し厳格化を目指す方針。経済政策では富裕層や企業への減税を再度実施の見通し。企業活動が活発化する一方で、国内の分断が深刻化して社会的な緊張が高まる懸念もあります。
外交に関しては、トランプ氏が目指すウクライナ戦争終結に向けロシア、ウクライナ双方と交渉する方向です。和平が実現すればエネルギー市場が安定し、欧州経済の回復が期待されます。半面、中国との覇権争いで台湾問題や南シナ海での緊張が高まるリスクも残ります。また、北大西洋条約機構(NATO)や日本、韓国などの同盟国には防衛費負担増加を求め、新たな摩擦の火種となるかもしれません。
トランプ氏の就任前の会談相手の人選からは外交戦略の方向性がうかがえます。アルゼンチン大統領、イタリア首相と直接会談したことは、地域ごとに異なる戦略を意図したものでしょう。トランプ氏による和平重視の外交政策が成功すれば地政学リスクの低下に寄与しそうです。国内政策の強硬姿勢や中国との対立が想定ほど激しくなければ世界的な混乱も回避されるはずですが、まずは中東外交が注目されます。
昨年末に100歳で死去したカーター元大統領の国葬には、存命の歴代大統領が参列しました。その場でクリントン、ブッシュ両夫妻からは明らかに避けられていたトランプ氏ですが、隣の席のオバマ元大統領と談笑する姿が耳目を集めました。ストレート一辺倒だったピッチャーが変化球を繰り出す技巧派に転じたようにも見えます。第1次政権時代と異なり、人事が安定すれば信頼感は徐々に高まるとみます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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