注目トピックス 日本株
ティアンドエス Research Memo(7):ホールディング制への移行に伴い、M&Aなど新規施策を積極推進中
配信日時:2025/01/14 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST ティアンドエス Research Memo(7):ホールディング制への移行に伴い、M&Aなど新規施策を積極推進中
■ティアンドエスグループ<4055>の業績動向
5. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の業績は、売上高で前期比34.2%増の4,000百万円、営業利益で同44.3%増の750百万円、経常利益で同44.2%増の750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同53.2%増の492百万円を見込んでいる。2024年9月期が10ヶ月の変則決算であったため、前期比増減率は参考値ではあるものの、2025年9月期からは通常の12ヶ月決算に戻ることなどを受け、大幅な増収増益となることを見込んでいる。決算期間が通常に戻ることに加えて、事業自体も好調に推移する見通しだ。同社を取り巻く外部環境の見通しは引き続き良好である。そうしたなかでDXソリューション、半導体ソリューション、AIソリューション、すべての事業カテゴリーの業績が拡大することを見込んでいる。特に半導体ソリューションに関しては、主要顧客の業績回復に伴い、足元で引き合いが活況を呈している状況である。需要が旺盛ななか、エンジニアを着実に増員することによって受注体制を強化し、業績拡大に結び付けていく。同社が事業を展開するSIer業界においては、需要が旺盛な一方で、優秀なエンジニアをいかに継続的に採用するかということが課題となっている。そうしたなか同社は、先述のとおり人材採用と育成を担う子会社TSシステムソリューションズを設立している。同社の設立が今後のエンジニア採用加速に貢献してくることが予想される。また、足元ではソフトウェア及びコンピュータシステムの企画、開発、制作、保守管理及びコンサルティングを行うエクステージ(株)と株式取得による子会社化を目的とした交渉を進めている。計画どおりに交渉が進捗すれば、2025年9月期第2四半期より同社の連結子会社となる予定である。同社を連結子会社化した場合、エンジニア増員に寄与することが見込まれるほか、同社の連結化は業績予想に織り込んでいないことから業績上振れの可能性もあると弊社は見ている。なお人材採用に関して同社は、毎年10%の割合で安定的に増やす方針を掲げており、2025年9月期のエンジニア採用目標数としては前期末比13.6%増の377人を計画している。2024年11月14日時点で従業員数は335人となっており、人員の増強も順調に進んでいる状況だ。
持株会社体制への移行によって経営体制の変革を完了したことに伴い、同社は2025年9月期から新たな施策を着々と打ってきている。具体的には、上記のエクステージとの連結子会社化に向けた交渉、ニーズウェル<3992>との業務提携、AIソフトウェア開発を担う子会社の設立、などである。2023年11月期に関しては下期から持株会社体制への移行を着実に進めてきた。経営体制が整ったうえで2025年9月期からは攻めの経営に転換する構えだ。エクステージのM&Aとニーズウェルとの業務提携に関しては、開発ノウハウとITリソースを活用することによるシナジー効果に加えて、エンジニアの増員と受注体制の強化といった効果も期待される。特に、独立系のシステムインテグレータとして長年にわたり金融系システム開発を中心に幅広い業界のソフトウェア開発に従事してきたニーズウェルは、九州地区において長崎開発センターを設置しており、多くの優秀なエンジニアを抱えている。一方、ティアンドエスグループは、熊本と長崎に事業所を開設し、九州地区での半導体ビジネス拡大を推進している状況だ。業務提携によって九州地区でのエンジニア確保に目途をつけ、事業拡大スピードを加速させる計画だ。また、AIソフトウェア開発を担う子会社としてイントフォー(株)を2024年11月に設立した。AIソリューションカテゴリーの中核である先進技術事業本部を新たな子会社として分割させた格好で、AIソフトウェアや画像認識ソフトウェアの受託開発、AIアルゴリズムやAIモデルの研究開発支援、生成AIを活用したソフトウェア開発の効率化支援、最新エッジAIプロセッサを用いたソフトウェアソリューション提供、AI技術の研究開発からAIソフトウェアの製品開発といった、AIソフトウェア開発ビジネスを担うことを予定している。子会社化することによって機動力と外部連携力を高め、AIカテゴリーの事業規模をさらに拡大する方針である。
(1) DXソリューションカテゴリー
主要取引先である東芝グループ、日立グループのIT投資がコロナ禍を経て回復してきており、引き続き両社からの受注が好調に推移する見込みである。これらの既存顧客に加えて、アマノ、日鉄エンジニアリング(株)などの新規顧客からの引き合いも増加しており、このことも業績の拡大に寄与してくる見通しだ。足元ではこの他にも受注確度の高い案件が進行しているという。同案件の受注は業績上振れ要因となる可能性がある。同社は2025年9月期においても新規顧客の獲得による顧客基盤の多様化と業績の拡大に注力する方針であり、新卒採用社員の育成強化に加えて中途採用やBPOなどを適宜組み合わせることによってエンジニアリソースを増強し、新規案件の獲得を推進できる体制を強化していく。また、システム開発を受注した顧客が、システムの運用・保守も同社に発注する割合が高まってきているという。システムの保守・運用を受注することによって、長期安定収益基盤を獲得・構築できている格好であり、中長期的に安定した収益貢献が期待できる状況である。
(2) 半導体ソリューションカテゴリー
同カテゴリーに関しても好調な業績を見込んでいる。既出のとおり、主要顧客であるキオクシアは業績回復に伴いIT投資を拡大させてきている。そうしたなかで、同社からの引き合いが好調に推移する見通しだ。加えて、2024年に新設されたメモリ工場へのエンジニア供給開始も見込まれており、このことも業績の拡大に寄与してくる見通しだ。また、2024年9月期から期ズレしてきている案件もあり、これら案件も業績拡大に向けたプラス要因となる。足元で引き合いが旺盛ななか、新卒採用・中途採用による人員増員と、人材配置の最適化に注力することによって受注体制の強化を推進し、好調なニーズを業績拡大に取り込んでいく。
(3) AIソリューションカテゴリー
同カテゴリーに関しては、生成AIの事業活動への導入を各企業が模索するなど、引き続き良好な外部環境の継続が見込まれる。そうしたなかで、既存顧客を中心に最先端AI技術に関する引き合いが、生成AIサービスや最新エッジAIプロセッサソリューションを中心に増加している状況である。これらニーズが旺盛なサービスの提供に注力するほか、引き続き研究開発活動にも注力し、新技術の獲得と、新技術を土台とした新事業の検討・創造を推進する。同カテゴリーにおいては、イントフォーの設立によって事業の機動力と外部連携力が向上している状況である。そうしたなか、研究開発活動をはじめ、事業・技術などの各方面で外部組織との連携を積極的に推し進めることによって同社の価値提供能力の向上を図る。なお、新規顧客としては、トヨタ自動車、JAXAなどからの引き合いが増加している傾向であると言い、これらの顧客からの受注も好調に推移することを見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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5. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の業績は、売上高で前期比34.2%増の4,000百万円、営業利益で同44.3%増の750百万円、経常利益で同44.2%増の750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同53.2%増の492百万円を見込んでいる。2024年9月期が10ヶ月の変則決算であったため、前期比増減率は参考値ではあるものの、2025年9月期からは通常の12ヶ月決算に戻ることなどを受け、大幅な増収増益となることを見込んでいる。決算期間が通常に戻ることに加えて、事業自体も好調に推移する見通しだ。同社を取り巻く外部環境の見通しは引き続き良好である。そうしたなかでDXソリューション、半導体ソリューション、AIソリューション、すべての事業カテゴリーの業績が拡大することを見込んでいる。特に半導体ソリューションに関しては、主要顧客の業績回復に伴い、足元で引き合いが活況を呈している状況である。需要が旺盛ななか、エンジニアを着実に増員することによって受注体制を強化し、業績拡大に結び付けていく。同社が事業を展開するSIer業界においては、需要が旺盛な一方で、優秀なエンジニアをいかに継続的に採用するかということが課題となっている。そうしたなか同社は、先述のとおり人材採用と育成を担う子会社TSシステムソリューションズを設立している。同社の設立が今後のエンジニア採用加速に貢献してくることが予想される。また、足元ではソフトウェア及びコンピュータシステムの企画、開発、制作、保守管理及びコンサルティングを行うエクステージ(株)と株式取得による子会社化を目的とした交渉を進めている。計画どおりに交渉が進捗すれば、2025年9月期第2四半期より同社の連結子会社となる予定である。同社を連結子会社化した場合、エンジニア増員に寄与することが見込まれるほか、同社の連結化は業績予想に織り込んでいないことから業績上振れの可能性もあると弊社は見ている。なお人材採用に関して同社は、毎年10%の割合で安定的に増やす方針を掲げており、2025年9月期のエンジニア採用目標数としては前期末比13.6%増の377人を計画している。2024年11月14日時点で従業員数は335人となっており、人員の増強も順調に進んでいる状況だ。
持株会社体制への移行によって経営体制の変革を完了したことに伴い、同社は2025年9月期から新たな施策を着々と打ってきている。具体的には、上記のエクステージとの連結子会社化に向けた交渉、ニーズウェル<3992>との業務提携、AIソフトウェア開発を担う子会社の設立、などである。2023年11月期に関しては下期から持株会社体制への移行を着実に進めてきた。経営体制が整ったうえで2025年9月期からは攻めの経営に転換する構えだ。エクステージのM&Aとニーズウェルとの業務提携に関しては、開発ノウハウとITリソースを活用することによるシナジー効果に加えて、エンジニアの増員と受注体制の強化といった効果も期待される。特に、独立系のシステムインテグレータとして長年にわたり金融系システム開発を中心に幅広い業界のソフトウェア開発に従事してきたニーズウェルは、九州地区において長崎開発センターを設置しており、多くの優秀なエンジニアを抱えている。一方、ティアンドエスグループは、熊本と長崎に事業所を開設し、九州地区での半導体ビジネス拡大を推進している状況だ。業務提携によって九州地区でのエンジニア確保に目途をつけ、事業拡大スピードを加速させる計画だ。また、AIソフトウェア開発を担う子会社としてイントフォー(株)を2024年11月に設立した。AIソリューションカテゴリーの中核である先進技術事業本部を新たな子会社として分割させた格好で、AIソフトウェアや画像認識ソフトウェアの受託開発、AIアルゴリズムやAIモデルの研究開発支援、生成AIを活用したソフトウェア開発の効率化支援、最新エッジAIプロセッサを用いたソフトウェアソリューション提供、AI技術の研究開発からAIソフトウェアの製品開発といった、AIソフトウェア開発ビジネスを担うことを予定している。子会社化することによって機動力と外部連携力を高め、AIカテゴリーの事業規模をさらに拡大する方針である。
(1) DXソリューションカテゴリー
主要取引先である東芝グループ、日立グループのIT投資がコロナ禍を経て回復してきており、引き続き両社からの受注が好調に推移する見込みである。これらの既存顧客に加えて、アマノ、日鉄エンジニアリング(株)などの新規顧客からの引き合いも増加しており、このことも業績の拡大に寄与してくる見通しだ。足元ではこの他にも受注確度の高い案件が進行しているという。同案件の受注は業績上振れ要因となる可能性がある。同社は2025年9月期においても新規顧客の獲得による顧客基盤の多様化と業績の拡大に注力する方針であり、新卒採用社員の育成強化に加えて中途採用やBPOなどを適宜組み合わせることによってエンジニアリソースを増強し、新規案件の獲得を推進できる体制を強化していく。また、システム開発を受注した顧客が、システムの運用・保守も同社に発注する割合が高まってきているという。システムの保守・運用を受注することによって、長期安定収益基盤を獲得・構築できている格好であり、中長期的に安定した収益貢献が期待できる状況である。
(2) 半導体ソリューションカテゴリー
同カテゴリーに関しても好調な業績を見込んでいる。既出のとおり、主要顧客であるキオクシアは業績回復に伴いIT投資を拡大させてきている。そうしたなかで、同社からの引き合いが好調に推移する見通しだ。加えて、2024年に新設されたメモリ工場へのエンジニア供給開始も見込まれており、このことも業績の拡大に寄与してくる見通しだ。また、2024年9月期から期ズレしてきている案件もあり、これら案件も業績拡大に向けたプラス要因となる。足元で引き合いが旺盛ななか、新卒採用・中途採用による人員増員と、人材配置の最適化に注力することによって受注体制の強化を推進し、好調なニーズを業績拡大に取り込んでいく。
(3) AIソリューションカテゴリー
同カテゴリーに関しては、生成AIの事業活動への導入を各企業が模索するなど、引き続き良好な外部環境の継続が見込まれる。そうしたなかで、既存顧客を中心に最先端AI技術に関する引き合いが、生成AIサービスや最新エッジAIプロセッサソリューションを中心に増加している状況である。これらニーズが旺盛なサービスの提供に注力するほか、引き続き研究開発活動にも注力し、新技術の獲得と、新技術を土台とした新事業の検討・創造を推進する。同カテゴリーにおいては、イントフォーの設立によって事業の機動力と外部連携力が向上している状況である。そうしたなか、研究開発活動をはじめ、事業・技術などの各方面で外部組織との連携を積極的に推し進めることによって同社の価値提供能力の向上を図る。なお、新規顧客としては、トヨタ自動車、JAXAなどからの引き合いが増加している傾向であると言い、これらの顧客からの受注も好調に推移することを見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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