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ティアンドエス Research Memo(5):人材採用及び持株会社化関連コストを吸収し、利益創出(1)
配信日時:2025/01/14 12:05
配信元:FISCO
*12:05JST ティアンドエス Research Memo(5):人材採用及び持株会社化関連コストを吸収し、利益創出(1)
■ティアンドエスグループ<4055>の業績動向
1. 2024年9月期の業績概要
2024年9月期の連結業績は、売上高が2,980百万円、営業利益が519百万円、経常利益が520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が321百万円となった。主要顧客の業績回復が遅れたことを受け、半導体ソリューションカテゴリーが想定よりもやや軟調な推移となったものの、その他のDXソリューションとAIソリューションが順調に業績を拡大させたことが全体の業績を押し上げた。企業活動におけるDXの推進など、良好な外部環境が継続するなか、既存顧客のIT投資意欲が回復してきたことに加えて、新規顧客の獲得が順調に進んだことも寄与した。旺盛な需要に対応することを目的に人材採用を積極化したほか、意思決定の迅速化と資源配分の効率化によるさらなる成長の追求などを目的に持株会社体制へと移行したことなどを受け、各種関連コストがかさんだものの、好調なDXソリューションとAIソリューションがコスト増をカバーし、しっかりと利益を創出した。また、想定よりも進捗が若干軟調となった半導体ソリューションに関しても、主要顧客の業績回復に伴い、足元では引き合いが増加してきている状況である。加えて、同顧客に関しては2024年9月期から2025年9月期に期ズレした受注案件もあり、今後の業績拡大に寄与する見通しだ。なお、同社は決算期に関して第9期(2023年12月1日~2024年9月30日)から9月に変更している。これは、多くの取引先が導入している四半期サイクルに合わせることにより、予算編成や事業運営の効率化を図ることを目的としたものだ。2024年9月期に関しては10ヶ月の変則決算となるため前期との比較は単純にできないが、前期の2023年11月期を10ヶ月として計算した場合に増収となり、営業利益はわずかながらの減益となった。営業利益に関しては、先述した半導体ソリューションカテゴリーにおいて当初想定していた案件が期ズレしたことが響いたようだ。ただ、同カテゴリーの主要顧客であるキオクシアの業績は足元で好調に推移している。同社の業績が回復に伴い投資意欲も高まっている状況だ。
主要取引先別の売上高を見てみると、東芝グループが569百万円、日立グループが689百万円、キオクシアグループが733百万円、その他が987百万円となった。キオクシアグループに関しては、業績悪化による投資先送りの影響を受けたものの、その他の主要顧客である東芝グループ及び日立グループへは順調に売上を伸ばした。コロナ禍が明け、これら主要顧客のIT投資に対するニーズが高まっている状況だ。また、その他の顧客への売上も順調に拡大した。新規顧客としてアマノ<6436>との取引などを開始しており、新規顧客の獲得による顧客基盤多様化の戦略も順調に進捗していることが窺える。加えて、キオクシアからの引き合いが減少するなかで、同社のリソースを機動的に他の顧客に配分したことも新規顧客の獲得に寄与した。
(1) DXソリューションカテゴリー
DXソリューションカテゴリーの売上高は1,806百万円となった。主要取引先である東芝グループ、日立グループ及びその他既存顧客からの受託開発案件の受注が引き続き堅調に推移した。加えて、アマノなどの新規取引先企業からの受託開発案件が伸びたことも業績拡大に寄与した。2024年9月期は10ヶ月の変則決算のため前期との単純比較はできないものの、2023年11月期を10ヶ月換算で比較した場合、売上高は前期比15.1%増に拡大した。
(2) 半導体ソリューションカテゴリー
半導体ソリューションカテゴリーの売上高は887百万円となった。工場稼働に伴うシステムの保守・運用に関しては安定してニーズが発生した。一方で、生産管理システムのリプレースをはじめとする開発案件に関しては、主要顧客であるキオクシアの業績回復が遅れた影響で受注が想定を下回った。一部案件の期ズレなどを受け、前期比では12.8%の減収となった。前期比で減収とはなったものの、キオクシア以外の顧客からの受注が安定して推移したことを受け、この程度の減収幅で留まったと弊社は見ている。
(3) AIソリューションカテゴリー
AIソリューションカテゴリーの売上高は286百万円となった。AI、画像認識、ハードウェア制御等の高度技術を駆使したサービスや最先端技術に関わる研究開発支援サービスが好調に推移した。案件当たりの単価も上昇してきており、同社が進める高付加価値創出型ビジネスモデルへの転換が順調に進捗している状況だ。好調な業績を受け、同カテゴリーの全体売上高に占める割合も前期比プラス0.8ポイントの9.6%と確実に増加した。今後、高付加価値ビジネスであるAI関連の売上構成比が増加していくことに伴い、連結ベースの収益性もさらに上を向くと弊社は見ている。また、生成AIの業務への導入が市場の1つのトレンドとなるなかで、プロンプトエンジニアリング関連の案件も好調に推移した。生成AIを活用した新規サービスの創出に各企業が注力する一方で、まだまだ生成AIの活用方法に関しては各社が模索している状況である。そのなかで、同社のプロンプトエンジニアリングに対するニーズは今後も好調に推移していくことが予想される。足元ではAI関連ソフトウェア、HailoエッジAIプロセッサ向けソフトウェアソリューションに対する引き合いが好調であることから、これら生成AI関連のサービス提供にも注力する方針を掲げる。
2024年9月期のトピックとしては、持株会社体制へと移行したことが挙げられる。同社は1985年の前身企業における創業から40年近く経ち、事業規模の拡大と同時にビジネスモデルの多様化が進んできた。そうしたなかで持株会社体制へと移行することにより、ビジネスモデルに応じた損益マネジメントや人材マネジメントを通じた機動的できめの細かい経営を実践し、変化の早い事業環境のなかでさらなる成長を実現する構えだ。また、今後のさらなる事業拡大と企業価値の向上に向けて新規事業の創出やM&Aにも積極的に取り組む方針であり、そのためにも持株会社体制を導入し、事業会社の独立性を高めつつ、グループ間での効率的な資源配分と効果的なコーポレート・ガバナンスを実践していくことが必要であると判断した。また既出のとおり、移行に伴い社名を「ティアンドエスグループ株式会社(T&S Group Inc.)」へと変更し、中核企業である新「ティアンドエス」と新たに設立した「TSシステムソリューションズ」を擁する企業グループとして新たなスタートを切っている。TSシステムソリューションズは、技術者の募集・採用・育成に関する支援サービスのほか、システム開発に関連する一連の業務を担う。同社を通じて優秀なエンジニアの採用を加速させることにより、グループ全体の受注体制をさらに強化する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2024年9月期の業績概要
2024年9月期の連結業績は、売上高が2,980百万円、営業利益が519百万円、経常利益が520百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が321百万円となった。主要顧客の業績回復が遅れたことを受け、半導体ソリューションカテゴリーが想定よりもやや軟調な推移となったものの、その他のDXソリューションとAIソリューションが順調に業績を拡大させたことが全体の業績を押し上げた。企業活動におけるDXの推進など、良好な外部環境が継続するなか、既存顧客のIT投資意欲が回復してきたことに加えて、新規顧客の獲得が順調に進んだことも寄与した。旺盛な需要に対応することを目的に人材採用を積極化したほか、意思決定の迅速化と資源配分の効率化によるさらなる成長の追求などを目的に持株会社体制へと移行したことなどを受け、各種関連コストがかさんだものの、好調なDXソリューションとAIソリューションがコスト増をカバーし、しっかりと利益を創出した。また、想定よりも進捗が若干軟調となった半導体ソリューションに関しても、主要顧客の業績回復に伴い、足元では引き合いが増加してきている状況である。加えて、同顧客に関しては2024年9月期から2025年9月期に期ズレした受注案件もあり、今後の業績拡大に寄与する見通しだ。なお、同社は決算期に関して第9期(2023年12月1日~2024年9月30日)から9月に変更している。これは、多くの取引先が導入している四半期サイクルに合わせることにより、予算編成や事業運営の効率化を図ることを目的としたものだ。2024年9月期に関しては10ヶ月の変則決算となるため前期との比較は単純にできないが、前期の2023年11月期を10ヶ月として計算した場合に増収となり、営業利益はわずかながらの減益となった。営業利益に関しては、先述した半導体ソリューションカテゴリーにおいて当初想定していた案件が期ズレしたことが響いたようだ。ただ、同カテゴリーの主要顧客であるキオクシアの業績は足元で好調に推移している。同社の業績が回復に伴い投資意欲も高まっている状況だ。
主要取引先別の売上高を見てみると、東芝グループが569百万円、日立グループが689百万円、キオクシアグループが733百万円、その他が987百万円となった。キオクシアグループに関しては、業績悪化による投資先送りの影響を受けたものの、その他の主要顧客である東芝グループ及び日立グループへは順調に売上を伸ばした。コロナ禍が明け、これら主要顧客のIT投資に対するニーズが高まっている状況だ。また、その他の顧客への売上も順調に拡大した。新規顧客としてアマノ<6436>との取引などを開始しており、新規顧客の獲得による顧客基盤多様化の戦略も順調に進捗していることが窺える。加えて、キオクシアからの引き合いが減少するなかで、同社のリソースを機動的に他の顧客に配分したことも新規顧客の獲得に寄与した。
(1) DXソリューションカテゴリー
DXソリューションカテゴリーの売上高は1,806百万円となった。主要取引先である東芝グループ、日立グループ及びその他既存顧客からの受託開発案件の受注が引き続き堅調に推移した。加えて、アマノなどの新規取引先企業からの受託開発案件が伸びたことも業績拡大に寄与した。2024年9月期は10ヶ月の変則決算のため前期との単純比較はできないものの、2023年11月期を10ヶ月換算で比較した場合、売上高は前期比15.1%増に拡大した。
(2) 半導体ソリューションカテゴリー
半導体ソリューションカテゴリーの売上高は887百万円となった。工場稼働に伴うシステムの保守・運用に関しては安定してニーズが発生した。一方で、生産管理システムのリプレースをはじめとする開発案件に関しては、主要顧客であるキオクシアの業績回復が遅れた影響で受注が想定を下回った。一部案件の期ズレなどを受け、前期比では12.8%の減収となった。前期比で減収とはなったものの、キオクシア以外の顧客からの受注が安定して推移したことを受け、この程度の減収幅で留まったと弊社は見ている。
(3) AIソリューションカテゴリー
AIソリューションカテゴリーの売上高は286百万円となった。AI、画像認識、ハードウェア制御等の高度技術を駆使したサービスや最先端技術に関わる研究開発支援サービスが好調に推移した。案件当たりの単価も上昇してきており、同社が進める高付加価値創出型ビジネスモデルへの転換が順調に進捗している状況だ。好調な業績を受け、同カテゴリーの全体売上高に占める割合も前期比プラス0.8ポイントの9.6%と確実に増加した。今後、高付加価値ビジネスであるAI関連の売上構成比が増加していくことに伴い、連結ベースの収益性もさらに上を向くと弊社は見ている。また、生成AIの業務への導入が市場の1つのトレンドとなるなかで、プロンプトエンジニアリング関連の案件も好調に推移した。生成AIを活用した新規サービスの創出に各企業が注力する一方で、まだまだ生成AIの活用方法に関しては各社が模索している状況である。そのなかで、同社のプロンプトエンジニアリングに対するニーズは今後も好調に推移していくことが予想される。足元ではAI関連ソフトウェア、HailoエッジAIプロセッサ向けソフトウェアソリューションに対する引き合いが好調であることから、これら生成AI関連のサービス提供にも注力する方針を掲げる。
2024年9月期のトピックとしては、持株会社体制へと移行したことが挙げられる。同社は1985年の前身企業における創業から40年近く経ち、事業規模の拡大と同時にビジネスモデルの多様化が進んできた。そうしたなかで持株会社体制へと移行することにより、ビジネスモデルに応じた損益マネジメントや人材マネジメントを通じた機動的できめの細かい経営を実践し、変化の早い事業環境のなかでさらなる成長を実現する構えだ。また、今後のさらなる事業拡大と企業価値の向上に向けて新規事業の創出やM&Aにも積極的に取り組む方針であり、そのためにも持株会社体制を導入し、事業会社の独立性を高めつつ、グループ間での効率的な資源配分と効果的なコーポレート・ガバナンスを実践していくことが必要であると判断した。また既出のとおり、移行に伴い社名を「ティアンドエスグループ株式会社(T&S Group Inc.)」へと変更し、中核企業である新「ティアンドエス」と新たに設立した「TSシステムソリューションズ」を擁する企業グループとして新たなスタートを切っている。TSシステムソリューションズは、技術者の募集・採用・育成に関する支援サービスのほか、システム開発に関連する一連の業務を担う。同社を通じて優秀なエンジニアの採用を加速させることにより、グループ全体の受注体制をさらに強化する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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