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TDCソフト Research Memo(6):2025年3月期第2四半期は増収増益、通期業績予想を上方修正(2)
配信日時:2025/01/07 16:06
配信元:FISCO
*16:06JST TDCソフト Research Memo(6):2025年3月期第2四半期は増収増益、通期業績予想を上方修正(2)
■TDCソフト<4687>の業績動向
4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型SI事業へと進化することをビジョンに掲げ、2020年3月期から中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。2023年3月期からは中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」(FY2022~FY2024)をスタートし、現在、最終年度の2025年3月期における目標達成に向けて、中期経営計画に基づいた経営を推進中だ。
主要戦略である「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げる。「高付加価値SIサービスの追求」においては、事業の拡大、高収益化を推進するうえで鍵となる、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業などを重点戦略分野としている。顧客の潜在ニーズを捉え、アジャイル、セキュリティなどの最新の要素技術などを活用することで、高付加価値サービスの提供と時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービスである次世代型SI事業が順調に拡大しており、これに加えてコスト削減の取り組みが寄与して収益性も向上した。同社の計画では、次世代型SI事業の売上高を全体の2割程度にキープしながら、同事業を軸にして売上を効率よく確保できる周辺事業を受注し、事業領域を拡大することを目指すとしている。次世代型システムを指向するうえで、従来型のオンプレミスシステムからクラウドへの移行は欠かせないことから、クラウド技術に強みを持つ同社の業績拡大への期待は大きい。次世代型SI事業の2025年3月期第2四半期の売上高は4,939百万円であり、全体の売上高に占める割合は前年同期比0.3ポイント上昇の23.1%と、確実に成長を続けている。
「SIモデル変革の推進」においては、高生産性と高品質を両立するSIプロセスの整備を、イノベーション的アプローチで実現することを目指している。顧客へのサービス品質水準を向上させるために、ハイスキル人材を多くのプロジェクトでシェアリングするなどの活動を実施した。また、プロジェクトのトラブルを撲滅するために開発を進めてきた社内の新システム「PROJECT IQ(プロジェクトアイキュー)」を2023年10月にリリースした。同システムは、担当者の経験などに依存していた人的観点でのプロジェクトレビューや受注判定を、技術的観点で定量的にパフォーマンスを可視化する。プロジェクトパフォーマンス評価機能、要員スキルアセスメント登録・検索機能を実装しており、標準化された品質の担保や全社横断的な情報検索が可能となる。同システムは逐次アップデートする予定であり、今後はマネジメントや業務の観点、メンバーの稼働状況、コスト、品質、スケジュールなどの評価要素を取り込む方針だ。また「アルゴリズム社内認定制度」を導入し、社員一人ひとりのスキルアップを支援しているほか、顧客の潜在ニーズを引き出すための質問作成を支援する、生成AI「しつもんクラフト」のβ版をリリースし、UXデザインの質の向上や業務効率化に役立てている。さらに最近人気が上昇しているSaaS製品「ServiceNow(R)」を短期間で導入できるオリジナル新テンプレート「Snap ITSM」の提供を開始した。これは、「ServiceNow(R)」のIT Service Management(ITSM)の導入をテンプレート化した簡易版で、顧客を通常の「ServiceNow(R)」導入へと誘導するツールとして活用している。
「事業領域の拡大」は、投資フェーズと位置付けられている。既存のSI事業領域を軸に新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)を獲得し、新たな領域へ事業を拡大するため、セールス&マーケティング本部にプロダクトセールス部、マーケティング・プロモーション部を新設した。さらにビジネスイノベーション本部にもサービス企画部、R&D推進部、コンサルティング部を立ち上げた。これらにより、「SI事業」において、次世代型SI事業の拡大、維持・保守領域などマネージドサービスやアウトソーシングサービスによるビジネスボリュームの拡大を図る。次世代型SI事業の拡大に向けては2025年3月期第2四半期においても、新技術の習得や新サービス開発に向けての研究開発や開発資産増強のための投資を行っており、今後も継続して行う予定だ。「コンサルティング事業」においては、ナレッジの蓄積やメソッド化による新規事業開拓や、既存のDX/ITコンサルや「SAFe(R)」コンサルのさらなる拡大を目指す。このほか、技術教育サービスにも注力しており、同社が提供する「SAFe(R)」認定プログラム・トレーニングの国内累計受講者は、2024年3月時点で2,000名以上と、開催実績数、受講者数ともに国内最多となっている。
同社はコンサルタントの養成に2つの側面から対応する計画である。1つは製品に関するコンサルタントで、「SAFe(R)」のような製品に関するコンサルタント資格を取得したうえで営業実務を経験させ、技術力のある営業人材を育成する。もう1つはITコンサルタントで、同社が強みを持つ各分野におけるスキルやノウハウをアセット化し、これを武器に顧客の潜在ニーズを捉えて深掘りし、開発案件受注につなげる人材の育成である。これらスキルやノウハウのフレームワーク作りを急ぎ、人材の育成に役立てる考えである。2025年3月期第2四半期は人材育成を本格化しており、対象人材を従来の10名程度から20名程度まで増加した。「サービス製品販売事業」では、蓄積ナレッジを活用した新たな自社製品の販売事業の拡大に加え、マーケティング機能を強化してユーザニーズやシーズ(生産者視点での商品やサービス開発)を捉えた製品やサービスの販売を行っている。2025年3月期第2四半期のコンサルティング事業、サービス製品販売事業の売上高は842百万円(前年同期比14.1%増)となっており、施策を推進することで、通期での業績貢献が予想される。
上述の施策を実現するためには、技術とともに人材リソースの確保が必須であり、将来に向けた積極的な投資を推進している。新規事業や高付加価値サービスのさらなる拡大を狙い、要素技術への投資を継続して拡大しており、アジャイル・セキュリティ・UXD・クラウドネイティブ・データアナリティクスプラットフォームのほか、2023年3月期より新たにフロントエンドフレームワークやオートメーショマネージドサービスへの投資も行っている。人材投資については、2024年度に新入社員を180名採用するなど積極的な施策を推進している。同社は新卒採用者の早期育成に強みを持っているが、今後は人的リソースの確保を目的としてパートナーとの連携強化やM&Aも活用する方針である。今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性があるものの、企業のモダナイゼーションが活発化すると見られるなか、IT投資の増加を見据えた将来への成長投資と、弊社では前向きに評価したい。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<YS>
4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型SI事業へと進化することをビジョンに掲げ、2020年3月期から中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。2023年3月期からは中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」(FY2022~FY2024)をスタートし、現在、最終年度の2025年3月期における目標達成に向けて、中期経営計画に基づいた経営を推進中だ。
主要戦略である「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げる。「高付加価値SIサービスの追求」においては、事業の拡大、高収益化を推進するうえで鍵となる、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業などを重点戦略分野としている。顧客の潜在ニーズを捉え、アジャイル、セキュリティなどの最新の要素技術などを活用することで、高付加価値サービスの提供と時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービスである次世代型SI事業が順調に拡大しており、これに加えてコスト削減の取り組みが寄与して収益性も向上した。同社の計画では、次世代型SI事業の売上高を全体の2割程度にキープしながら、同事業を軸にして売上を効率よく確保できる周辺事業を受注し、事業領域を拡大することを目指すとしている。次世代型システムを指向するうえで、従来型のオンプレミスシステムからクラウドへの移行は欠かせないことから、クラウド技術に強みを持つ同社の業績拡大への期待は大きい。次世代型SI事業の2025年3月期第2四半期の売上高は4,939百万円であり、全体の売上高に占める割合は前年同期比0.3ポイント上昇の23.1%と、確実に成長を続けている。
「SIモデル変革の推進」においては、高生産性と高品質を両立するSIプロセスの整備を、イノベーション的アプローチで実現することを目指している。顧客へのサービス品質水準を向上させるために、ハイスキル人材を多くのプロジェクトでシェアリングするなどの活動を実施した。また、プロジェクトのトラブルを撲滅するために開発を進めてきた社内の新システム「PROJECT IQ(プロジェクトアイキュー)」を2023年10月にリリースした。同システムは、担当者の経験などに依存していた人的観点でのプロジェクトレビューや受注判定を、技術的観点で定量的にパフォーマンスを可視化する。プロジェクトパフォーマンス評価機能、要員スキルアセスメント登録・検索機能を実装しており、標準化された品質の担保や全社横断的な情報検索が可能となる。同システムは逐次アップデートする予定であり、今後はマネジメントや業務の観点、メンバーの稼働状況、コスト、品質、スケジュールなどの評価要素を取り込む方針だ。また「アルゴリズム社内認定制度」を導入し、社員一人ひとりのスキルアップを支援しているほか、顧客の潜在ニーズを引き出すための質問作成を支援する、生成AI「しつもんクラフト」のβ版をリリースし、UXデザインの質の向上や業務効率化に役立てている。さらに最近人気が上昇しているSaaS製品「ServiceNow(R)」を短期間で導入できるオリジナル新テンプレート「Snap ITSM」の提供を開始した。これは、「ServiceNow(R)」のIT Service Management(ITSM)の導入をテンプレート化した簡易版で、顧客を通常の「ServiceNow(R)」導入へと誘導するツールとして活用している。
「事業領域の拡大」は、投資フェーズと位置付けられている。既存のSI事業領域を軸に新たなビジネスモデルに必要なケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)を獲得し、新たな領域へ事業を拡大するため、セールス&マーケティング本部にプロダクトセールス部、マーケティング・プロモーション部を新設した。さらにビジネスイノベーション本部にもサービス企画部、R&D推進部、コンサルティング部を立ち上げた。これらにより、「SI事業」において、次世代型SI事業の拡大、維持・保守領域などマネージドサービスやアウトソーシングサービスによるビジネスボリュームの拡大を図る。次世代型SI事業の拡大に向けては2025年3月期第2四半期においても、新技術の習得や新サービス開発に向けての研究開発や開発資産増強のための投資を行っており、今後も継続して行う予定だ。「コンサルティング事業」においては、ナレッジの蓄積やメソッド化による新規事業開拓や、既存のDX/ITコンサルや「SAFe(R)」コンサルのさらなる拡大を目指す。このほか、技術教育サービスにも注力しており、同社が提供する「SAFe(R)」認定プログラム・トレーニングの国内累計受講者は、2024年3月時点で2,000名以上と、開催実績数、受講者数ともに国内最多となっている。
同社はコンサルタントの養成に2つの側面から対応する計画である。1つは製品に関するコンサルタントで、「SAFe(R)」のような製品に関するコンサルタント資格を取得したうえで営業実務を経験させ、技術力のある営業人材を育成する。もう1つはITコンサルタントで、同社が強みを持つ各分野におけるスキルやノウハウをアセット化し、これを武器に顧客の潜在ニーズを捉えて深掘りし、開発案件受注につなげる人材の育成である。これらスキルやノウハウのフレームワーク作りを急ぎ、人材の育成に役立てる考えである。2025年3月期第2四半期は人材育成を本格化しており、対象人材を従来の10名程度から20名程度まで増加した。「サービス製品販売事業」では、蓄積ナレッジを活用した新たな自社製品の販売事業の拡大に加え、マーケティング機能を強化してユーザニーズやシーズ(生産者視点での商品やサービス開発)を捉えた製品やサービスの販売を行っている。2025年3月期第2四半期のコンサルティング事業、サービス製品販売事業の売上高は842百万円(前年同期比14.1%増)となっており、施策を推進することで、通期での業績貢献が予想される。
上述の施策を実現するためには、技術とともに人材リソースの確保が必須であり、将来に向けた積極的な投資を推進している。新規事業や高付加価値サービスのさらなる拡大を狙い、要素技術への投資を継続して拡大しており、アジャイル・セキュリティ・UXD・クラウドネイティブ・データアナリティクスプラットフォームのほか、2023年3月期より新たにフロントエンドフレームワークやオートメーショマネージドサービスへの投資も行っている。人材投資については、2024年度に新入社員を180名採用するなど積極的な施策を推進している。同社は新卒採用者の早期育成に強みを持っているが、今後は人的リソースの確保を目的としてパートナーとの連携強化やM&Aも活用する方針である。今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性があるものの、企業のモダナイゼーションが活発化すると見られるなか、IT投資の増加を見据えた将来への成長投資と、弊社では前向きに評価したい。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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