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藤商事 Research Memo(4):業界全体が緩やかな縮小傾向を辿るなか、スマート遊技機の開発力が成長のカギ(1)
配信日時:2024/12/12 16:14
配信元:FISCO
*16:14JST 藤商事 Research Memo(4):業界全体が緩やかな縮小傾向を辿るなか、スマート遊技機の開発力が成長のカギ(1)
■藤商事<6257>の今後の見通し
1. 業界動向と市場シェア
(1) 業界動向
レジャーの多様化や規制強化などの環境変化を背景に、パチンコホール業界はここ数年、店舗数の縮小傾向が続いてきた。特に2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)という逆風が吹き、外部環境が一段と厳しくなるなかで経営体力のない企業の撤退が進んでいる。警察庁発表の資料によると2023年末のホール軒数は7,083軒、前年末比で7.6%減となった。パチンコホールの減少に伴い遊技機の設置台数も年々減少傾向にあり、2023年末でパチンコ遊技機は同5.8%減の207万台、パチスロ遊技機は同0.8%減の134万台となり、それぞれコロナ禍前の2019年末と比較すると20%弱減少したことになる(年率換算では5%減)。2024年に入ってからも傾向は変わらず、ホール軒数は約6%、遊技機の設置台数は約3%のペースで減少し続けているようだ。
ただし、経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、2024年7~9月のパチンコホール売上高※は前年同期比6.4%増となり2022年4~6月にプラスに転じて以降、10四半期連続でプラス成長が続いている。コロナ禍前と比較するとまだ85%程度の水準に留まっているが、既存店の売上高は必ずしも減少しているわけではない。業界全体で緩やかな縮小傾向が続くなかで、大手チェーンの寡占化が進んでいると考えられる。
※ 調査対象となっている店舗数は2024年9月時点で1,111店舗と業界全体の約16%を占めている。
こうしたなか、2023年以降の遊技機業界のトレンドとしては、スマスロで内規変更※1によりゲーム性を高めたヒット機種が相次いで登場したことにより、パチスロ遊技機については回復基調となり、パチンコ遊技機は低迷が続くなど明暗が分かれる格好となっている。実際、パチスロ遊技機の業界設置台数は若干ながらも前年を上回っているようだ。ホール側で集客力の高いパチスロ遊技機の設置エリアを拡大する動きが2023年以降、続いたことが要因として挙げられる。直近のスマート遊技機の設置率を見ても、パチスロ遊技機では4割強まで進んでいるのに対してパチンコ遊技機は1割弱の水準に留まっており、スマート遊技機の動向が設置台数にも影響を与えている。こうした状況を鑑み、スマパチの普及促進策としてレギュレーション変更を業界団体で進めている。具体的には、スマパチのラッキートリガー※2について、従来より突入率が緩和された機種を開発できるようにし、2024年7月から導入が始まった。さらに、スマパチ普及に向けた施策は2024年で終わりではなく、現在もゲーム性拡大やスマパチ優遇に特化した新たな検討もされており、今後はパチンコ遊技機においてもスマート遊技機の普及が加速していくものと予想される。
※1 内規変更により、有利区間の最大遊技数が撤廃され、どの段階からも大当たりが期待できるようになったほか、出玉性能も従来は大当たり開始からの増加2,400枚が上限であったが、差枚で2,400枚が上限となった。例えば、その日の台の収支がマイナス1,000枚だった場合、上限は3,400枚となる計算で、今まで以上に多くのメダルを獲得できるようになった(差枚方式については現行の6.5号機から採用)。
※2 「ラッキートリガー」とは、2024年3月より解禁となった出玉の波を創出する新機能。2024年7月以降は出玉の波を創出する機能がパワーアップし「新LT(LT2.0)」としてスマートパチンコ(スマパチ)のみに搭載された。
同社では2024年度の市場見通しについて、期初計画ではパチンコ遊技機で前年度比3%増の90万台、パチスロ遊技機で同4%減の75万台と見ていたが、中間期までの販売状況から期初計画どおりの水準に落ち着きそうだ。パチンコ遊技機の回復時期については、スマート遊技機の普及加速が見込まれる2025年度になると弊社では見ている。このため、2025年3月期はスマパチの新タイトルの投入計画がなかった同社も、来年度以降メインスペックの開発を進めている状況にある。今後はスマート遊技機でいかに魅力のあるヒット機種を開発できるかが、同社の成長のカギを握ることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 業界動向と市場シェア
(1) 業界動向
レジャーの多様化や規制強化などの環境変化を背景に、パチンコホール業界はここ数年、店舗数の縮小傾向が続いてきた。特に2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)という逆風が吹き、外部環境が一段と厳しくなるなかで経営体力のない企業の撤退が進んでいる。警察庁発表の資料によると2023年末のホール軒数は7,083軒、前年末比で7.6%減となった。パチンコホールの減少に伴い遊技機の設置台数も年々減少傾向にあり、2023年末でパチンコ遊技機は同5.8%減の207万台、パチスロ遊技機は同0.8%減の134万台となり、それぞれコロナ禍前の2019年末と比較すると20%弱減少したことになる(年率換算では5%減)。2024年に入ってからも傾向は変わらず、ホール軒数は約6%、遊技機の設置台数は約3%のペースで減少し続けているようだ。
ただし、経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、2024年7~9月のパチンコホール売上高※は前年同期比6.4%増となり2022年4~6月にプラスに転じて以降、10四半期連続でプラス成長が続いている。コロナ禍前と比較するとまだ85%程度の水準に留まっているが、既存店の売上高は必ずしも減少しているわけではない。業界全体で緩やかな縮小傾向が続くなかで、大手チェーンの寡占化が進んでいると考えられる。
※ 調査対象となっている店舗数は2024年9月時点で1,111店舗と業界全体の約16%を占めている。
こうしたなか、2023年以降の遊技機業界のトレンドとしては、スマスロで内規変更※1によりゲーム性を高めたヒット機種が相次いで登場したことにより、パチスロ遊技機については回復基調となり、パチンコ遊技機は低迷が続くなど明暗が分かれる格好となっている。実際、パチスロ遊技機の業界設置台数は若干ながらも前年を上回っているようだ。ホール側で集客力の高いパチスロ遊技機の設置エリアを拡大する動きが2023年以降、続いたことが要因として挙げられる。直近のスマート遊技機の設置率を見ても、パチスロ遊技機では4割強まで進んでいるのに対してパチンコ遊技機は1割弱の水準に留まっており、スマート遊技機の動向が設置台数にも影響を与えている。こうした状況を鑑み、スマパチの普及促進策としてレギュレーション変更を業界団体で進めている。具体的には、スマパチのラッキートリガー※2について、従来より突入率が緩和された機種を開発できるようにし、2024年7月から導入が始まった。さらに、スマパチ普及に向けた施策は2024年で終わりではなく、現在もゲーム性拡大やスマパチ優遇に特化した新たな検討もされており、今後はパチンコ遊技機においてもスマート遊技機の普及が加速していくものと予想される。
※1 内規変更により、有利区間の最大遊技数が撤廃され、どの段階からも大当たりが期待できるようになったほか、出玉性能も従来は大当たり開始からの増加2,400枚が上限であったが、差枚で2,400枚が上限となった。例えば、その日の台の収支がマイナス1,000枚だった場合、上限は3,400枚となる計算で、今まで以上に多くのメダルを獲得できるようになった(差枚方式については現行の6.5号機から採用)。
※2 「ラッキートリガー」とは、2024年3月より解禁となった出玉の波を創出する新機能。2024年7月以降は出玉の波を創出する機能がパワーアップし「新LT(LT2.0)」としてスマートパチンコ(スマパチ)のみに搭載された。
同社では2024年度の市場見通しについて、期初計画ではパチンコ遊技機で前年度比3%増の90万台、パチスロ遊技機で同4%減の75万台と見ていたが、中間期までの販売状況から期初計画どおりの水準に落ち着きそうだ。パチンコ遊技機の回復時期については、スマート遊技機の普及加速が見込まれる2025年度になると弊社では見ている。このため、2025年3月期はスマパチの新タイトルの投入計画がなかった同社も、来年度以降メインスペックの開発を進めている状況にある。今後はスマート遊技機でいかに魅力のあるヒット機種を開発できるかが、同社の成長のカギを握ることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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