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アジア投資 Research Memo(6):メガソーラープロジェクトが過去数年の収益安定化に貢献
配信日時:2024/12/12 15:35
配信元:FISCO
*15:35JST アジア投資 Research Memo(6):メガソーラープロジェクトが過去数年の収益安定化に貢献
(2) 同社の強み
同社の強みは、a) アジアでの歴史、b) 最先端の業界情報収集力、c) ベンチャー企業とのネットワーク、d) ファイナンススキーム構築力の4つに集約できる。
a) アジアでの歴史
1981年に経済同友会を母体として設立以来、40年にわたり日本とアジアの経済交流に貢献し、アジアでの高い知名度を有している。
b) 最先端の業界情報収集力
投資候補となる企業やプロジェクトの発掘を通じて、専門性の高い、業界の最先端の動向を把握している。
c) ベンチャー企業とのネットワーク
国内外で300社超の上場実績があり、これまでの投資活動を通じて、多数のベンチャー企業と親密な関係を構築している。そのネットワークを、投資先企業の支援や同社が新規事業テーマを開拓する際のアライアンスに活用している。
d) ファイナンススキーム構築力
国内外で3,300億円の累計投資実績を有している。プロジェクト投資では、同社からの投資資金だけでなく、プロジェクトファイナンスなどの融資資金も交えた調達スキームを構築している。
■日本アジア投資<8518>の業績推移
1. 業績を見るためのポイント
一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高)のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)、ファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからと言って必ずしも業績が向上しているとは限らない。
したがって同社の業績指標は、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となってきたことにも注意する必要がある。
ただし、今後はファンドビジネスの拡大による安定収益の底上げを図る方針であり、ファンド業務における運営報酬の比重が高まる一方、投資業務における実現キャピタルゲインやインカムゲインは比重を下げるとともに、「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」といった業績の下振れ要因も解消されることが想定される。
2. 過去の業績推移
過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、リーマンショックによる世界同時不況や東日本大震災、為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきた。2016年3月期以降は、メガソーラープロジェクトによる収益貢献等により、7期連続の黒字決算を達成したものの、2023年3月期及び2024年3月期は株式売却益の下振れや評価損・引当金の計上などにより2期連続で最終損失を計上した。
安定収益である運営報酬は、ファンド運用残高の縮小に伴い減少傾向にある。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金繰入額を加味したもの)は、不安定に推移してきた。注目すべきは、評価損及び投資損失引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたことである。ただ、2016年3月期以降が比較的落ち着いた動きとなっているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資資産に入れ替わってきたことを反映している。2024年3月期の投資損失は、記述のとおり中華圏のファンドに係る評価損・引当金の前倒し計上によるものである。
一方、リーマンショックの影響等による業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少し、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2018年3月期の11,954百万円から2024年3月期には4,314百万円と約64%の削減を実現しており、販管費も2022年3月期に一旦増加に転じたものの、総じて縮小傾向をたどっている。
また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。総資産が縮小する中で、新株予約権の行使や内部留保により改善を続け、2024年3月期は54.0%の水準を確保している。
■株主還元
配当は当面の見送られる可能性大も、将来の復配に期待
同社は、業績の悪化に伴う累積損失を計上していることから、2009年3月期以降、配当の実績はない。今後も有利子負債の削減による財務体質の改善と安定収益の拡大に向けた投資に取り組む方針であることから、しばらくは配当という形での株主還元は見送られる可能性が高いと弊社では見ている。ただ、ファンドビジネスの拡大とともに安定収益の底上げが進んでくれば、将来的には復配はもちろん、安定的な配当が可能になるものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NH>
同社の強みは、a) アジアでの歴史、b) 最先端の業界情報収集力、c) ベンチャー企業とのネットワーク、d) ファイナンススキーム構築力の4つに集約できる。
a) アジアでの歴史
1981年に経済同友会を母体として設立以来、40年にわたり日本とアジアの経済交流に貢献し、アジアでの高い知名度を有している。
b) 最先端の業界情報収集力
投資候補となる企業やプロジェクトの発掘を通じて、専門性の高い、業界の最先端の動向を把握している。
c) ベンチャー企業とのネットワーク
国内外で300社超の上場実績があり、これまでの投資活動を通じて、多数のベンチャー企業と親密な関係を構築している。そのネットワークを、投資先企業の支援や同社が新規事業テーマを開拓する際のアライアンスに活用している。
d) ファイナンススキーム構築力
国内外で3,300億円の累計投資実績を有している。プロジェクト投資では、同社からの投資資金だけでなく、プロジェクトファイナンスなどの融資資金も交えた調達スキームを構築している。
■日本アジア投資<8518>の業績推移
1. 業績を見るためのポイント
一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高)のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)、ファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからと言って必ずしも業績が向上しているとは限らない。
したがって同社の業績指標は、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となってきたことにも注意する必要がある。
ただし、今後はファンドビジネスの拡大による安定収益の底上げを図る方針であり、ファンド業務における運営報酬の比重が高まる一方、投資業務における実現キャピタルゲインやインカムゲインは比重を下げるとともに、「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」といった業績の下振れ要因も解消されることが想定される。
2. 過去の業績推移
過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、リーマンショックによる世界同時不況や東日本大震災、為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきた。2016年3月期以降は、メガソーラープロジェクトによる収益貢献等により、7期連続の黒字決算を達成したものの、2023年3月期及び2024年3月期は株式売却益の下振れや評価損・引当金の計上などにより2期連続で最終損失を計上した。
安定収益である運営報酬は、ファンド運用残高の縮小に伴い減少傾向にある。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金繰入額を加味したもの)は、不安定に推移してきた。注目すべきは、評価損及び投資損失引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたことである。ただ、2016年3月期以降が比較的落ち着いた動きとなっているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資資産に入れ替わってきたことを反映している。2024年3月期の投資損失は、記述のとおり中華圏のファンドに係る評価損・引当金の前倒し計上によるものである。
一方、リーマンショックの影響等による業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少し、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2018年3月期の11,954百万円から2024年3月期には4,314百万円と約64%の削減を実現しており、販管費も2022年3月期に一旦増加に転じたものの、総じて縮小傾向をたどっている。
また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。総資産が縮小する中で、新株予約権の行使や内部留保により改善を続け、2024年3月期は54.0%の水準を確保している。
■株主還元
配当は当面の見送られる可能性大も、将来の復配に期待
同社は、業績の悪化に伴う累積損失を計上していることから、2009年3月期以降、配当の実績はない。今後も有利子負債の削減による財務体質の改善と安定収益の拡大に向けた投資に取り組む方針であることから、しばらくは配当という形での株主還元は見送られる可能性が高いと弊社では見ている。ただ、ファンドビジネスの拡大とともに安定収益の底上げが進んでくれば、将来的には復配はもちろん、安定的な配当が可能になるものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NH>
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