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極東貿易 Research Memo(2):技術商社として顧客のベストパートナーを目指す
配信日時:2024/11/22 14:02
配信元:FISCO
*14:02JST 極東貿易 Research Memo(2):技術商社として顧客のベストパートナーを目指す
■会社概要
1. 会社概要
極東貿易<8093>は2024年11月に設立77周年を迎える。第2次世界大戦の終戦後、財閥解体に伴い三井物産<8031>は解散となったが、機械部門(営業課及び貿易課)が主体となり独立して同社が設立された。その後、海外の最先端の建設・鉱山機械や製造装置などを国内の基幹産業(建設、製鉄、化学プラント、電力、繊維、エレクトロニクス)へ輸入販売して日本の経済復興に貢献し、日本の高度経済成長とともに成長してきた。同社は、国内の大手企業から厚い信頼とロイヤリティを得ながら、基幹産業界のなかで一定の地位を確保してきた。
同社は、エンジニアリング商社として、1) 経営理念:「ニーズとシーズの橋になる」、2) 社是:「人と技術と信頼と」を掲げ、「顧客からどんな高度な要求をされても、それに応えられる商社でありたい。そのためには、単にモノを提供するだけでなく、技術サポートを行い、ベストな商品を企業に提供する」ことを重視している。
2. 事業概要
大手商社に比べると企業体力で劣る中堅商社は、得意分野に絞り込み専門商社として事業展開するケースが一般的である。同社は設立76年の歴史のなかで、基幹産業からインフラ、炭素繊維やメタンハイドレートなどの先端分野まで幅広い業種を対象としてきた。
事業ポートフォリオの観点から見ても、同社の事業構造は景気に左右されにくい収益構造である。高い成長性は見込めないが安定受注・収益に寄与する重電、鉄鋼、化学プラント向け基幹産業事業や、特定車種に採用が決まれば、3~5年間安定的に受注できる自動車関連事業(樹脂・塗料など)などを事業展開しており、個々の事業での需給変動や価格変動などの各種ビジネスリスクを吸収して事業の好不調を補い合える、安定的かつバランスの取れた事業運営となっている。またエネルギー市場関連ビジネスに関しては、昨今のESG動向に鑑みて火力発電所向け計装システム事業から撤退し、今後は成長分野である洋上風力発電関連事業へシフトしている。
地域的には、世界各国に現地法人などを11拠点配置している。また、ヱトーの現地法人11拠点を合わせると22拠点のグローバルネットワークとなり、世界各地に散らばるサプライヤー及びカスタマーに適時的確に質の高いビジネス情報を提供できるようになった。
3. 特長と強み
(1) 理系出身の営業職・技術営業職は7割以上
通常、商社の営業現場は文系出身者が多いとされているが、同社では営業マンの6割以上を大学の理系出身者が占める。顧客へ納入した装置が原因不明の停止や故障になる度に海外メーカーに問い合わせるのでは時間がかかることから、導入・据付、運用・保守までエンジニアリング全般を同社営業マンが仕入れ先の海外メーカーに頼らず、顧客に対して自主的に技術サポートできるように、理系出身者の採用を重視してきた。さらに、同社では点検・保守メンテナンスを適時的確に対応すべく、専門子会社(日本システム工業(株))を設立して運用している。
同社では資源開発機器事業を展開しており、大学の地質工学や自然エネルギー資源の研究をしてきた学生を積極的に採用している。同事業の担当者は海外の採掘メーカーの技術者とともに海洋資源探査船に約3ヶ月間乗り込み、採掘装置の動作試験や立会試験まで関わっている。
(2) 顧客は大手企業が中心
同社はこれまで日本の基幹産業に深く関わってきたため、大手企業との取引が多い。同社設立以来、取引が継続している企業もあり、信頼関係とロイヤリティを得ている。欧米などの海外市場でも米国自動車Big3や独自動車メーカーとも取引がある。これは同業技術商社と比較しても優良な顧客構造になっている。その根拠として、中堅商社の課題である「貸し倒れ」が、同社ではほとんど発生していないことが挙げられる。
また、国内主力製鉄所には出張所(室蘭、東関東、知多、広畑、水島、大分)を配置して、細やかな営業サービスで差別化を図ってきた。製鋼の特定プロセス分野の装置を含めたプロセスソリューションの役割を同社が担っている。
(3) 「誠実さ」と「粘り強さ」で取引先から高い評価
大手企業から厚い信頼を得ている背景には、誠実さと真面目さが挙げられる。顧客との交渉シーンでも顧客から「この価格でお宅は商売になるの」と言われることもあるようだ。また、新商材・新規事業において困難があっても粘り強さを発揮する点も特長だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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1. 会社概要
極東貿易<8093>は2024年11月に設立77周年を迎える。第2次世界大戦の終戦後、財閥解体に伴い三井物産<8031>は解散となったが、機械部門(営業課及び貿易課)が主体となり独立して同社が設立された。その後、海外の最先端の建設・鉱山機械や製造装置などを国内の基幹産業(建設、製鉄、化学プラント、電力、繊維、エレクトロニクス)へ輸入販売して日本の経済復興に貢献し、日本の高度経済成長とともに成長してきた。同社は、国内の大手企業から厚い信頼とロイヤリティを得ながら、基幹産業界のなかで一定の地位を確保してきた。
同社は、エンジニアリング商社として、1) 経営理念:「ニーズとシーズの橋になる」、2) 社是:「人と技術と信頼と」を掲げ、「顧客からどんな高度な要求をされても、それに応えられる商社でありたい。そのためには、単にモノを提供するだけでなく、技術サポートを行い、ベストな商品を企業に提供する」ことを重視している。
2. 事業概要
大手商社に比べると企業体力で劣る中堅商社は、得意分野に絞り込み専門商社として事業展開するケースが一般的である。同社は設立76年の歴史のなかで、基幹産業からインフラ、炭素繊維やメタンハイドレートなどの先端分野まで幅広い業種を対象としてきた。
事業ポートフォリオの観点から見ても、同社の事業構造は景気に左右されにくい収益構造である。高い成長性は見込めないが安定受注・収益に寄与する重電、鉄鋼、化学プラント向け基幹産業事業や、特定車種に採用が決まれば、3~5年間安定的に受注できる自動車関連事業(樹脂・塗料など)などを事業展開しており、個々の事業での需給変動や価格変動などの各種ビジネスリスクを吸収して事業の好不調を補い合える、安定的かつバランスの取れた事業運営となっている。またエネルギー市場関連ビジネスに関しては、昨今のESG動向に鑑みて火力発電所向け計装システム事業から撤退し、今後は成長分野である洋上風力発電関連事業へシフトしている。
地域的には、世界各国に現地法人などを11拠点配置している。また、ヱトーの現地法人11拠点を合わせると22拠点のグローバルネットワークとなり、世界各地に散らばるサプライヤー及びカスタマーに適時的確に質の高いビジネス情報を提供できるようになった。
3. 特長と強み
(1) 理系出身の営業職・技術営業職は7割以上
通常、商社の営業現場は文系出身者が多いとされているが、同社では営業マンの6割以上を大学の理系出身者が占める。顧客へ納入した装置が原因不明の停止や故障になる度に海外メーカーに問い合わせるのでは時間がかかることから、導入・据付、運用・保守までエンジニアリング全般を同社営業マンが仕入れ先の海外メーカーに頼らず、顧客に対して自主的に技術サポートできるように、理系出身者の採用を重視してきた。さらに、同社では点検・保守メンテナンスを適時的確に対応すべく、専門子会社(日本システム工業(株))を設立して運用している。
同社では資源開発機器事業を展開しており、大学の地質工学や自然エネルギー資源の研究をしてきた学生を積極的に採用している。同事業の担当者は海外の採掘メーカーの技術者とともに海洋資源探査船に約3ヶ月間乗り込み、採掘装置の動作試験や立会試験まで関わっている。
(2) 顧客は大手企業が中心
同社はこれまで日本の基幹産業に深く関わってきたため、大手企業との取引が多い。同社設立以来、取引が継続している企業もあり、信頼関係とロイヤリティを得ている。欧米などの海外市場でも米国自動車Big3や独自動車メーカーとも取引がある。これは同業技術商社と比較しても優良な顧客構造になっている。その根拠として、中堅商社の課題である「貸し倒れ」が、同社ではほとんど発生していないことが挙げられる。
また、国内主力製鉄所には出張所(室蘭、東関東、知多、広畑、水島、大分)を配置して、細やかな営業サービスで差別化を図ってきた。製鋼の特定プロセス分野の装置を含めたプロセスソリューションの役割を同社が担っている。
(3) 「誠実さ」と「粘り強さ」で取引先から高い評価
大手企業から厚い信頼を得ている背景には、誠実さと真面目さが挙げられる。顧客との交渉シーンでも顧客から「この価格でお宅は商売になるの」と言われることもあるようだ。また、新商材・新規事業において困難があっても粘り強さを発揮する点も特長だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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