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Chordia Research Memo(7):2024年8月期は事業収益の計上がなく、経常損失を計上
配信日時:2024/11/19 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST Chordia Research Memo(7):2024年8月期は事業収益の計上がなく、経常損失を計上
■Chordia Therapeutics<190A>の業績動向
1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の事業収益の計上がなく(前期はマイルストン収入2,500百万円を計上)、営業損失で1,801百万円(前期は212百万円の利益)、経常損失で1,824百万円(同225百万円の利益)、当期純損失で1,827百万円(同223百万円の利益)となった。
研究開発費は1,499百万円と前期比で497百万円の減少となった。内訳は、CTX-712が米国での第1/2相臨床試験開始により同331百万円増の1,018百万円となった一方で、安全性試験や治験原薬の製造を終えたCTX-439が同483百万円減の132百万円となったほか、その他開発費が同342百万円減の347百万円となった。また、営業外では助成金収入17百万円、株式上場関連費用28百万円などを計上した。
2025年8月期もCTX-712の開発費用増加により損失が続く見通し
2. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期も事業収益の計上予定はなく、営業損失で2,434百万円(前期は1,801百万円の損失)、経常損失で2,378百万円(同1,842百万円の損失)、当期純損失で2,380百万円(同1,827百万円の損失)と損失が続く見通し。
研究開発費はCTX-712の第1/2相臨床試験費用(治験薬製造費用含む)1,610百万円を中心に、同525百万円増加の2,025百万円を見込む。CTX-439については既述の通り自社開発を行わず導出する方針であることから18百万円(AMEDからの助成金を受けた活動費用のみ)まで減少する見通しだ。その他一般管理費は、特許取得関連費用を中心に同107百万円増の408百万円を見込んでいる。また、営業外収支はAMEDからの助成金56百万円(5つのプログラム)の計上を見込むほか、株式上場関連費用がなくなることで前期比80百万円改善する見通しだ。なお、研究開発費についてはCTX-712の開発を中心に進めていくことから、当面は20億円程度の水準が続くものと予想される。
株式上場で14億円の資金を調達、当面は1年分の事業活動資金を目安に手元キャッシュを確保する方針
3. 財務状況
2024年8月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比276百万円減少の4,632百万円となった。株式上場に伴う新株発行収入1,464百万円があったものの、事業活動資金の支出に伴い現金及び預金が同469百万円減少した。
負債合計は前期末比62百万円増加の471百万円となった。主に未払金が133百万円増加したことによる。また、純資産合計は同339百万円減少の4,161百万円となった。新株発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ755百万円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が1,827百万円減少した。
経営の安全性指標である自己資本比率は前期末比1.4ポイント低下の89.8%となった。継続的な収入がないバイオベンチャーの場合、金融機関から借入れを行うことは困難なため、有利子負債残高はないものの、当面は開発ステージが続くため手元キャッシュは減少していくことになる。2024年8月末時点で4,329百万円のキャッシュがあるが、2025年8月期は2,380百万円の当期純損失を見込んでいることから、1年後の2025年8月期末のキャッシュは2,000百万円前後まで減少することが予想される。同社ではキャッシュポジションについて、事業活動資金の1年分程度を確保しておきたいとの考えであり、今後同水準を下回りそうな場合には、エクイティファイナンスにより資金調達していくことになりそうだ。
CTX-712の価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す
4. 今後の事業方針
同社は「『日本発』『世界初』のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに。」をスローガンに、2030年ビジョンとして掲げた「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを目指している。国内についてはアライアンス戦略により自社による製造販売を展開し、海外市場ではグローバル製薬企業とライセンス契約を締結することで効率的に事業を拡大していく戦略だ。
開発戦略としては、当面は早期収益化の実現を目標に、CTX-712に経営リソースを集中し、まずは再発・難治性AMLの米国および日本での販売承認を得ることを最優先に取り組み、その後はAMLの一次治療やその他のがん種への適応拡大を進めることでCTX-712の製品価値最大化を目指す。既述の通り潜在市場規模は大きく、ブロックバスターとして育つポテンシャルを持つことから、2025年末頃に発表が見込まれる第1相パートの中間成績結果の内容が注目される。良好な結果が得られれば、海外でのライセンス契約締結の可能性が一気に高まると弊社では見ている。その後の第2相パートの組み入れが順調に進み、主要評価項目となっているCR率で期待どおりの結果※を得ることができれば、2027年前半に承認申請を行い2028年8月期には販売収入を計上できるものと予想される。また、同時期に小野薬品工業に導出したMALT1阻害薬の開発進展に伴う2回目のマイルストン収入を得られる可能性もあり、これらが実現すれば単年度の黒字化達成も視野に入ってくることになる。
※ AML治療薬として米国での販売承認が有力視されているSyndax PharmaceuticalsのRevumenibはPivotal P2試験でCR率18%だった。このため、CR率が20%程度以上であれば承認される可能性が高いと同社では見ている(日本で実施されたP1試験ではCR率29%だった)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の事業収益の計上がなく(前期はマイルストン収入2,500百万円を計上)、営業損失で1,801百万円(前期は212百万円の利益)、経常損失で1,824百万円(同225百万円の利益)、当期純損失で1,827百万円(同223百万円の利益)となった。
研究開発費は1,499百万円と前期比で497百万円の減少となった。内訳は、CTX-712が米国での第1/2相臨床試験開始により同331百万円増の1,018百万円となった一方で、安全性試験や治験原薬の製造を終えたCTX-439が同483百万円減の132百万円となったほか、その他開発費が同342百万円減の347百万円となった。また、営業外では助成金収入17百万円、株式上場関連費用28百万円などを計上した。
2025年8月期もCTX-712の開発費用増加により損失が続く見通し
2. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期も事業収益の計上予定はなく、営業損失で2,434百万円(前期は1,801百万円の損失)、経常損失で2,378百万円(同1,842百万円の損失)、当期純損失で2,380百万円(同1,827百万円の損失)と損失が続く見通し。
研究開発費はCTX-712の第1/2相臨床試験費用(治験薬製造費用含む)1,610百万円を中心に、同525百万円増加の2,025百万円を見込む。CTX-439については既述の通り自社開発を行わず導出する方針であることから18百万円(AMEDからの助成金を受けた活動費用のみ)まで減少する見通しだ。その他一般管理費は、特許取得関連費用を中心に同107百万円増の408百万円を見込んでいる。また、営業外収支はAMEDからの助成金56百万円(5つのプログラム)の計上を見込むほか、株式上場関連費用がなくなることで前期比80百万円改善する見通しだ。なお、研究開発費についてはCTX-712の開発を中心に進めていくことから、当面は20億円程度の水準が続くものと予想される。
株式上場で14億円の資金を調達、当面は1年分の事業活動資金を目安に手元キャッシュを確保する方針
3. 財務状況
2024年8月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比276百万円減少の4,632百万円となった。株式上場に伴う新株発行収入1,464百万円があったものの、事業活動資金の支出に伴い現金及び預金が同469百万円減少した。
負債合計は前期末比62百万円増加の471百万円となった。主に未払金が133百万円増加したことによる。また、純資産合計は同339百万円減少の4,161百万円となった。新株発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ755百万円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が1,827百万円減少した。
経営の安全性指標である自己資本比率は前期末比1.4ポイント低下の89.8%となった。継続的な収入がないバイオベンチャーの場合、金融機関から借入れを行うことは困難なため、有利子負債残高はないものの、当面は開発ステージが続くため手元キャッシュは減少していくことになる。2024年8月末時点で4,329百万円のキャッシュがあるが、2025年8月期は2,380百万円の当期純損失を見込んでいることから、1年後の2025年8月期末のキャッシュは2,000百万円前後まで減少することが予想される。同社ではキャッシュポジションについて、事業活動資金の1年分程度を確保しておきたいとの考えであり、今後同水準を下回りそうな場合には、エクイティファイナンスにより資金調達していくことになりそうだ。
CTX-712の価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す
4. 今後の事業方針
同社は「『日本発』『世界初』のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに。」をスローガンに、2030年ビジョンとして掲げた「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを目指している。国内についてはアライアンス戦略により自社による製造販売を展開し、海外市場ではグローバル製薬企業とライセンス契約を締結することで効率的に事業を拡大していく戦略だ。
開発戦略としては、当面は早期収益化の実現を目標に、CTX-712に経営リソースを集中し、まずは再発・難治性AMLの米国および日本での販売承認を得ることを最優先に取り組み、その後はAMLの一次治療やその他のがん種への適応拡大を進めることでCTX-712の製品価値最大化を目指す。既述の通り潜在市場規模は大きく、ブロックバスターとして育つポテンシャルを持つことから、2025年末頃に発表が見込まれる第1相パートの中間成績結果の内容が注目される。良好な結果が得られれば、海外でのライセンス契約締結の可能性が一気に高まると弊社では見ている。その後の第2相パートの組み入れが順調に進み、主要評価項目となっているCR率で期待どおりの結果※を得ることができれば、2027年前半に承認申請を行い2028年8月期には販売収入を計上できるものと予想される。また、同時期に小野薬品工業に導出したMALT1阻害薬の開発進展に伴う2回目のマイルストン収入を得られる可能性もあり、これらが実現すれば単年度の黒字化達成も視野に入ってくることになる。
※ AML治療薬として米国での販売承認が有力視されているSyndax PharmaceuticalsのRevumenibはPivotal P2試験でCR率18%だった。このため、CR率が20%程度以上であれば承認される可能性が高いと同社では見ている(日本で実施されたP1試験ではCR率29%だった)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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