注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:円安の流れは強いが、貿易摩擦懸念強く上値の重い展開が継続か
配信日時:2024/11/16 13:42
配信元:FISCO
*13:42JST 国内株式市場見通し:円安の流れは強いが、貿易摩擦懸念強く上値の重い展開が継続か
■米中貿易摩擦懸念が重しとなり日経平均2日連続安値引け
今週の日経平均は週間で857.46円安(-2.17%)の38642.91円と下落。週央にかけては、トランプ次期政権に対する政策期待を背景に日経平均は上昇し、一時40000円に迫る動きも見られたが、対中強硬派と見られるマルコ・ルビオ氏などが政権入りするとのニュースが続々と伝わったことで、米中貿易摩擦への警戒感が台頭。為替市場では1ドル156円台と円安ドル高の流れが強まったものの、貿易摩擦懸念が重しとなり、自動車株など輸出関連銘柄への追い風とはならず、週末にかけての日経平均は上値の重さが目立ち、2日連続で安値引けとなった。ただ、決算発表がピークを迎え個別株物色が活発化したことや、取引時間の30分延伸などが影響して、プライム市場の売買代金は12日に5兆円台に乗せるなど商いは活発となった。
なお、11月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1760億円買い越したほか、TOPIX先物を3408億円買い越し、225先物は1702億円買い越したことから、合計6870億円の買い越しとなった。一方、個人投資家は現物を7242億円売り越すなど合計で8137億円売り越し。事業法人は現物を1557億円買い越しており19週連続での買い越しとなった。
■円安推移だが輸出関連銘柄の追い風にはならず
トランプ次期政権の掲げる経済政策によってインフレ再燃懸念が高まり、週末の米10年債利回りは一時6月上旬以来の4.5%台まで上昇した。日本の10年債利回りも今年最も高い水準である1.07%まで上昇しているが、米金利の急ピッチな上昇に伴う日米金利差拡大を背景とした円安ドル高の流れは強い。15日に加藤勝信財務大臣が口先介入を行ったが、「投機的な動きを含めて極めて高い緊張感をもって為替を注視」「行き過ぎた動きには適切な対応をとる」と軽い口先介入にとどめたことから、政府・日本銀行による為替介入への警戒感はさほど高まっていない。トランプ次期政権の財務長官がまだ決まっていないことや、18日から開催されるG20 (主要20カ国・地域首脳会議)開催を前に、政府・日銀は積極的な為替対応がとりにくい様子だ。ドル独歩高の状況だが、日本政府の対応を見越した投機筋による円売りポジション構築も積み上がっていると考える。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演において「米経済は強く、速やかな利下げの必要性がない」との考えを示していることから、為替市場では7月11日以来の1ドル160円台を意識した展開を指摘する声も出始めている。週末の海外時間では1ドル154円台と円安ドル高は一服したが、G20のイベント通過後も円安ドル高の流れが継続すれば、日本の政府要人による口先介入が一気に強まる可能性はある。株式市場への影響は限定的かもしれないが、為替動向の急変には気を付けたい。
■決算発表一巡で売買代金減少か
15日の米国市場では、ダウ平均は前日比305.87ドル安の43444.99ドル、ナスダックは同427.53ポイント安の18680.12で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比630円安の38040円で取引を終えた。ハイテク株の大幅安を受けて、週明けの日経平均は38000円の攻防となりそうだ。足下のサポートラインだった200日移動平均線(200MA)を割り込むことになるが、早い段階でこの水準を回復できなければ心理的な重しとなりそうだ。今週の日経平均は、4日連続で陰線を残すなど上値の重さが目立つ。後場の上値の重さは、トランプ次期政権での貿易摩擦を懸念した欧州経由の売りが原因と思われる。トランプトレードによってビットコインなど暗号資産は急騰しており、暗号資産関連銘柄を物色する動きは強まったが、大型株への資金流入は限定的だ。
来週は、決算発表が一巡したことで証券会社のアナリストレポートを材料視する展開となりそうだが、足下の上値の重さを見る限り、腰が据わった長期投資資金の流入は期待しにくい。日経平均の方向性は引き続き定まりにくく、短期資金の流出入中心となり、プライム市場の売買代金は徐々に減少すると推測する。
■欧米各国のPMI発表が相次ぐ
来週、国内では、18日に9月機械受注、20日に10月通関ベース貿易収支、22日に10月消費者物価指数などが予定されている。
海外では、19日に欧・9月ユーロ圏経常収支、10月ユーロ圏消費者物価指数(確報値)、米・10月住宅着工件数、20日に中・中国最優遇貸出金利、独・10月生産者物価指数、英・10月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、南ア・10月消費者物価指数、9月小売売上高、米・週次原油在庫、21日に南ア・中銀政策金利、トルコ・中銀政策金利、米・11月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数、10月中古住宅販売件数、22日に独・第3四半期実質GDP(確報値)、仏・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、独・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、欧・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、英・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、米・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、11月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。
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今週の日経平均は週間で857.46円安(-2.17%)の38642.91円と下落。週央にかけては、トランプ次期政権に対する政策期待を背景に日経平均は上昇し、一時40000円に迫る動きも見られたが、対中強硬派と見られるマルコ・ルビオ氏などが政権入りするとのニュースが続々と伝わったことで、米中貿易摩擦への警戒感が台頭。為替市場では1ドル156円台と円安ドル高の流れが強まったものの、貿易摩擦懸念が重しとなり、自動車株など輸出関連銘柄への追い風とはならず、週末にかけての日経平均は上値の重さが目立ち、2日連続で安値引けとなった。ただ、決算発表がピークを迎え個別株物色が活発化したことや、取引時間の30分延伸などが影響して、プライム市場の売買代金は12日に5兆円台に乗せるなど商いは活発となった。
なお、11月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1760億円買い越したほか、TOPIX先物を3408億円買い越し、225先物は1702億円買い越したことから、合計6870億円の買い越しとなった。一方、個人投資家は現物を7242億円売り越すなど合計で8137億円売り越し。事業法人は現物を1557億円買い越しており19週連続での買い越しとなった。
■円安推移だが輸出関連銘柄の追い風にはならず
トランプ次期政権の掲げる経済政策によってインフレ再燃懸念が高まり、週末の米10年債利回りは一時6月上旬以来の4.5%台まで上昇した。日本の10年債利回りも今年最も高い水準である1.07%まで上昇しているが、米金利の急ピッチな上昇に伴う日米金利差拡大を背景とした円安ドル高の流れは強い。15日に加藤勝信財務大臣が口先介入を行ったが、「投機的な動きを含めて極めて高い緊張感をもって為替を注視」「行き過ぎた動きには適切な対応をとる」と軽い口先介入にとどめたことから、政府・日本銀行による為替介入への警戒感はさほど高まっていない。トランプ次期政権の財務長官がまだ決まっていないことや、18日から開催されるG20 (主要20カ国・地域首脳会議)開催を前に、政府・日銀は積極的な為替対応がとりにくい様子だ。ドル独歩高の状況だが、日本政府の対応を見越した投機筋による円売りポジション構築も積み上がっていると考える。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演において「米経済は強く、速やかな利下げの必要性がない」との考えを示していることから、為替市場では7月11日以来の1ドル160円台を意識した展開を指摘する声も出始めている。週末の海外時間では1ドル154円台と円安ドル高は一服したが、G20のイベント通過後も円安ドル高の流れが継続すれば、日本の政府要人による口先介入が一気に強まる可能性はある。株式市場への影響は限定的かもしれないが、為替動向の急変には気を付けたい。
■決算発表一巡で売買代金減少か
15日の米国市場では、ダウ平均は前日比305.87ドル安の43444.99ドル、ナスダックは同427.53ポイント安の18680.12で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比630円安の38040円で取引を終えた。ハイテク株の大幅安を受けて、週明けの日経平均は38000円の攻防となりそうだ。足下のサポートラインだった200日移動平均線(200MA)を割り込むことになるが、早い段階でこの水準を回復できなければ心理的な重しとなりそうだ。今週の日経平均は、4日連続で陰線を残すなど上値の重さが目立つ。後場の上値の重さは、トランプ次期政権での貿易摩擦を懸念した欧州経由の売りが原因と思われる。トランプトレードによってビットコインなど暗号資産は急騰しており、暗号資産関連銘柄を物色する動きは強まったが、大型株への資金流入は限定的だ。
来週は、決算発表が一巡したことで証券会社のアナリストレポートを材料視する展開となりそうだが、足下の上値の重さを見る限り、腰が据わった長期投資資金の流入は期待しにくい。日経平均の方向性は引き続き定まりにくく、短期資金の流出入中心となり、プライム市場の売買代金は徐々に減少すると推測する。
■欧米各国のPMI発表が相次ぐ
来週、国内では、18日に9月機械受注、20日に10月通関ベース貿易収支、22日に10月消費者物価指数などが予定されている。
海外では、19日に欧・9月ユーロ圏経常収支、10月ユーロ圏消費者物価指数(確報値)、米・10月住宅着工件数、20日に中・中国最優遇貸出金利、独・10月生産者物価指数、英・10月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、南ア・10月消費者物価指数、9月小売売上高、米・週次原油在庫、21日に南ア・中銀政策金利、トルコ・中銀政策金利、米・11月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数、10月中古住宅販売件数、22日に独・第3四半期実質GDP(確報値)、仏・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、独・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、欧・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、英・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、米・11月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、11月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。
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