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アノマリー覆し最高値更新、市場を覆う楽観 (3) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2024/10/11 13:31
配信元:MINKABU
●雇用関係
○8月のADP全米雇用統計では民間部門雇用者数が9万9000人増となり、市場予想の14万人増を下回りました。7月は当初発表の12万2000人増から11万1000人増に下方修正されました。
○8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が14万2000人増と、市場予想の16万人増を下回りました。7月は当初発表の11万4000人増から8万9000人増に下方修正されました。
⇒8月の失業率は、予想が7月から横ばいの4.3%だったのに対し、4.2%に低下しました(6月は4.1%、5月は4.0%、4月は3.9%、3月は3.8%、2月も3.9%、1月と2023年12月、11月は3.7%、10月は3.9%、9月は3.8%でした。2020年2月は3.5%でしたが、同年5月は13.3%となりました)。
⇒労働参加率は7月から横ばいの62.7%となりました(6月は62.6%、5月は62.5%、4月は62.7%、3月は62.7%、2月、1月と2023年12月は62.5%、11月は62.8%、10月は62.7%、9月は62.8%)。
⇒8月の週平均労働時間は、予想通り7月の34.2時間から34.3時間に増加しました(6月は34.3時間、5月は34.3時間、4月は34.3時間、3月は34.4時間、2月は34.3時間、1月は34.2時間、2023年12月は34.3時間、11月は34.4時間、10月は34.3時間、9月は34.4時間)。
⇒8月の平均時給は前月比0.3%増の予想に対し、同0.4%増(前月の35.07ドルから35.21ドルに増加)となりました(7月は同0.2%増、6月は同0.3%増、5月は同0.2%増、4月は同0.2%増、3月は同0.3%増、2月は同0.2%増、1月は同0.5%増、2023年12月、11月は同0.4%増、10月は同0.2%増、9月は同0.3%増)。
⇒前年同月比では3.8%増と、市場予想の3.7%増を上回りました(7月は同3.6%増、6月は同3.8%増、5月は同4.1%増、4月は同4.0%増、3月は同4.1%増、2月は同4.3%増、1月は同4.4%増、2023年12月は同4.0%増、11月は同4.0%増、10月は同4.0%増、9月は同4.2%増)。
○7月のJOLTS(求人労働異動調査)によると、求人数は767万3000件(市場予想は810万人件)でした。6月は当初発表の818万4000件から791万件に下方修正されました。
○失業保険継続受給件数(季節調整済み)は、前月の186万3000件から183万4000件に減少しました。
⇒2024年9月5日発表の週間新規失業保険申請件数:22万7000件(当初の発表通り)。
⇒2024年9月12日発表の週間新規失業保険申請件数:23万件
⇒2024年9月19日発表の週間新規失業保険申請件数:21万9000件
⇒2024年9月26日発表の週間新規失業保険申請件数:21万8000件
●企業業績
○2024年第2四半期の決算発表は9月30日からの週に終了し、最終結果がまとまります。暫定結果に基づくと、500銘柄のうち394銘柄(78.8%)で営業利益が予想を上回り、498銘柄中305銘柄(61.1%)で売上高が予想を上回りました。
⇒2024年第2四半期の営業利益は前期比で6.8%増、前年同期比では6.4%増が見込まれており、従来の過去最高の2021年第4四半期を2.9%上回り、最高益を更新する見通しです。
⇒売上高は前期比で3.6%増、前年同期比では5.8%増となる見通しで、過去最高を記録した2023年第4四半期を僅か0.3%下回る水準となる見込みです。
⇒2024年第2四半期の営業利益率は、2024年第1四半期の11.58%と2023年第2四半期の11.87%を上回る11.94%になると予想されます(1993年以降の平均は8.83%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。
⇒2024年第2四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は12.7%となっています。この割合は、2023年第1四半期は13.1%、2023年第2四半期は16.3%でした。
○2024年第3四半期に目を向けると、決算期がずれている15銘柄が決算発表を終え、11銘柄で営業利益が予想を上回り、15銘柄中11銘柄でも売上高が予想を上回りました。
⇒2024年第3四半期の営業利益は前期比で3.6%増、前年同期比で15.7%増と予想され、再度過去最高を更新する見通しです。
○2024年通年の利益は前年比10.8%増が見込まれており、この予想に基づく2024年の予想株価収益率(PER)は24.3倍となっています。
○2025年通年の利益は前年比16.2%増が見込まれており、予想PERは21.0倍となっています。
●個別銘柄
○航空機メーカーのボーイングの製造ラインの従業員がストライキに突入しました。同社では8月にケリー・オルトバーグ氏が新最高経営責任者(CEO)に就任しており、スト開始後に従業員の一時帰休を開始しました。
○iPhoneメーカーのアップルは同社に対する追徴課税を巡るEU司法裁判所での訴訟で敗訴しました。同社は144億ドルの追徴金を課される可能性があります。
○予想外の動きとして、スポーツシューズ・アパレルメーカーのナイキは、ジョン・ドナホー現CEOに代えて、同社の消費者及びマーケットプレイス部門の元プレジデント(2020年に退社)であるエリオット・ヒル氏をCEOに任命すると発表しました。
○米司法省は、「ほぼあらゆるもので」デビットカード・ネットワークを独占しているとして、クレジットカード大手のビザを提訴しました。
●配当金
○2024年9月の配当支払い額は前年同月比31.3%増となりました。8月は同5.9%減、7月は同9.0%増でした。2024年第3四半期の配当支払い額は前年同期比8.3%増で過去最高を更新し、年初来では6.0%増加しています。
⇒9月の配当支払金は前年同月の1株当たり4.84ドルから6.35ドルに増加しました。
⇒2024年第3四半期の配当支払金は1株当たり18.68ドルと、2023年第3四半期の17.26ドル、2024年第2四半期の18.26ドルから増加し、過去最高を更新しました。
⇒年初来の配当支払金は1株当たり55.02ドルと、前年同期の51.93ドルから増加しました。
⇒過去12ヵ月間の配当支払金は1株当たり73.40ドルと、前年同期の69.31ドルから増加しました。
○2024年9月は、増配が16件、配当開始が0件、減配が1件で、配当停止は0件でした。2023年9月は、増配が16件、配当開始が1件で、減配が1件、配当停止は0件でした。
⇒年初来では、増配が251件、配当開始が6件、減配が12件、配当停止が2件となっています。2023年の同期間は、増配が256件、配当開始が8件、減配が20件で、配当停止は4件でした。
⇒2023年通年では、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件ありました。2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件で、配当停止はありませんでした。
○9月の増配率の中央値は、8月の6.76%から4.63%に低下しました(7月は5.66%でした)。年初来では6.45%(8月末時点は6.76%、7月末時点は6.67%)となっています。9月の平均増配率は8月の7.15%から7.66%に上昇し(7月は9.24%)、年初来では8.30%(8月末時点は8.35%。いずれも2倍以上になった銘柄を除く)となりました。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。
○2024年の配当に関して、予想は引き続き増加となっており、年間の増配率は1936年以降の平均である5.79%を上回る見通しです。この予想では、アルファベットによる最近の配当開始(年間配当額を87億ドル押し上げ)、米銀による6月と7月の増配(FRBが6月にストレステストを通じて認可)、米連邦公開市場委員会(FOMC)による年内もう2回の0.25%の追加利上げの可能性に加えて、景気の大幅な減速は回避され、インフレ再燃への懸念は限定的(だが高まりつつある)で、政府の財政政策の大きな調整はない(政策とインセンティブの継続を予想)ことを織り込んでおり、2024年の実際の1株当たり配当支払額は、2023年から約6%増加すると予想しています(2023年は前年比5.05%増、2022年は同10.80%増)。これにより2024年の現金配当は、15年連続の増加と13年連続の過去最高の更新が見込まれます。
⇒注目すべき点として、2024年第3四半期の配当支払額は過去最高を更新し、予想によれば、2024年第4四半期の支払額も再度過去最高を更新する見通しです。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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