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RSテクノ Research Memo(3):再生ウェーハは精緻な検査・研磨技術による金属不純物の除去技術等に強みを持つ
配信日時:2024/10/09 15:03
配信元:FISCO
*15:03JST RSテクノ Research Memo(3):再生ウェーハは精緻な検査・研磨技術による金属不純物の除去技術等に強みを持つ
■RS Technologies<3445>の会社概要
2. 再生ウェーハとプライムウェーハについて
同社が主力事業としているウェーハ再生事業及びプライムウェーハ事業における同社の強みや成長ポテンシャル等を理解するために、半導体製造プロセスやシリコンウェーハの役割、その製造方法等について簡単に説明する。
(1) シリコンウェーハ
半導体製造工程は、シリコンウェーハ上に微細回路を形成する前工程(フォトリソグラフィー工程を数百回繰り返す)と、その後に個々の半導体に仕上げる後工程がある。前工程の製造ラインで投入されるシリコンウェーハは、半導体製品として使用する「プライムウェーハ(新品ウェーハ)」のほか、工程ごとの仕上がり状態を評価するための「モニタウェーハ」や精密加工の安定性向上を目的とした「ダミーウェーハ」(以下、当レポートでは「モニタウェーハ」で統一)があり、「モニタウェーハ」はコスト面から再生ウェーハが主に利用されている。
(2) ウェーハ再生
モニタウェーハの使用量は、半導体製造ラインに投入される全ウェーハ量の約20%を占めている。モニタウェーハも新品のウェーハを投入することが基本ではあるが、製造コストを下げるため一度使用したモニタウェーハを同社のような再生加工業者で再生し、繰り返し利用している。再生ウェーハの価格は新品ウェーハの約25%と安いことから、現状はモニタウェーハの約80%を再生ウェーハで占めているものと見られる。
ウェーハ再生の工程は、受入検査を行い、半導体製造工程で形成された絶縁膜をすべて除去したあと、クリーンルームでウェーハの表面を研磨し、精密洗浄をして出荷する。同社の強みは3点に集約できる。1つ目は直販体制を敷くことですべての顧客と直接コミュニケーション(主要言語に対応し顧客エンジニアとの技術会議が可能)をとり、正確なニーズや需要動向を把握できることや、東京本社で生産管理し徹底的なコストダウンを実現できる点にある。2つ目は、膜除去工程においてケミカル処理ですべての膜をはく離しウェーハ表面のダメージを最小限に留める精緻な研磨加工を行い、再生利用可能回数を20~30回と業界平均よりも約2倍に伸ばせる独自の技術力を持つ点にある。1回の再生処理で研磨する厚みが薄いほど再生利用回数を増やすことができ、顧客にとってもコストメリットが生じる。3つ目の強みは、金属不純物の除去技術を持っている点が挙げられる。特に、銅(Cu)の除染除去については新品ウェーハと同様の清浄度で仕上げられる唯一のサプライヤーとして多くの半導体メーカーから評価を得ている。これは、銅配線形成工程で用いられたモニタウェーハでも、ほかの工程で再利用できることを意味している(競合先は銅の不純物を完全除去することが難しいため、再利用する場合は銅配線形成工程でしか利用できない)。
ウェーハ再生事業の特徴として、半導体市況の影響を受け難く収益性が安定している点が挙げられる。半導体市況の低迷期には、製造ラインへのプライムウェーハの投入量は落とすものの、歩留まり改善など品質向上を目的としたモニタウェーハの投入量は基本的に変わらないためだ。
(3) プライムウェーハ
プライムウェーハの製造工程は、坩堝のなかで結晶化したシリコンを回転させながら引き上げる前工程と、シリコンを円盤形のウェーハにスライスし研磨や表面処理を行う後工程からなる。それぞれの工程で高い技術力が要求されるが、事業としての成否はウェーハ品質に直結する前工程の技術力にかかっている。シリコンの引き上げスピードや各種条件によって品質に差が出るためで、プライムウェーハとしての品質基準(均質な純度、酸素濃度や抵抗値等)をクリアするウェーハをいかに多く得られるかで収益性が変わってくる。同じ新品ウェーハでも品質によってグレードが分けられ、一定基準に満たなければ価格の低いモニタウェーハ用として販売されるためだ。
プライムウェーハは中国の山東GRITEKで製造販売している。強みとしては半導体産業の育成が中国政府の国策となっており、内資企業として様々な優遇制度を活用できる点にある。技術面では、後工程の研磨・洗浄工程においてウェーハ再生事業で長年培った業界トップクラスの技術力が生かせる点にある。また、現在は中国市場で販売しているが、将来的には全世界での販売を視野に入れており、その際にはウェーハ再生事業の顧客基盤を生かせる点も強みとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2. 再生ウェーハとプライムウェーハについて
同社が主力事業としているウェーハ再生事業及びプライムウェーハ事業における同社の強みや成長ポテンシャル等を理解するために、半導体製造プロセスやシリコンウェーハの役割、その製造方法等について簡単に説明する。
(1) シリコンウェーハ
半導体製造工程は、シリコンウェーハ上に微細回路を形成する前工程(フォトリソグラフィー工程を数百回繰り返す)と、その後に個々の半導体に仕上げる後工程がある。前工程の製造ラインで投入されるシリコンウェーハは、半導体製品として使用する「プライムウェーハ(新品ウェーハ)」のほか、工程ごとの仕上がり状態を評価するための「モニタウェーハ」や精密加工の安定性向上を目的とした「ダミーウェーハ」(以下、当レポートでは「モニタウェーハ」で統一)があり、「モニタウェーハ」はコスト面から再生ウェーハが主に利用されている。
(2) ウェーハ再生
モニタウェーハの使用量は、半導体製造ラインに投入される全ウェーハ量の約20%を占めている。モニタウェーハも新品のウェーハを投入することが基本ではあるが、製造コストを下げるため一度使用したモニタウェーハを同社のような再生加工業者で再生し、繰り返し利用している。再生ウェーハの価格は新品ウェーハの約25%と安いことから、現状はモニタウェーハの約80%を再生ウェーハで占めているものと見られる。
ウェーハ再生の工程は、受入検査を行い、半導体製造工程で形成された絶縁膜をすべて除去したあと、クリーンルームでウェーハの表面を研磨し、精密洗浄をして出荷する。同社の強みは3点に集約できる。1つ目は直販体制を敷くことですべての顧客と直接コミュニケーション(主要言語に対応し顧客エンジニアとの技術会議が可能)をとり、正確なニーズや需要動向を把握できることや、東京本社で生産管理し徹底的なコストダウンを実現できる点にある。2つ目は、膜除去工程においてケミカル処理ですべての膜をはく離しウェーハ表面のダメージを最小限に留める精緻な研磨加工を行い、再生利用可能回数を20~30回と業界平均よりも約2倍に伸ばせる独自の技術力を持つ点にある。1回の再生処理で研磨する厚みが薄いほど再生利用回数を増やすことができ、顧客にとってもコストメリットが生じる。3つ目の強みは、金属不純物の除去技術を持っている点が挙げられる。特に、銅(Cu)の除染除去については新品ウェーハと同様の清浄度で仕上げられる唯一のサプライヤーとして多くの半導体メーカーから評価を得ている。これは、銅配線形成工程で用いられたモニタウェーハでも、ほかの工程で再利用できることを意味している(競合先は銅の不純物を完全除去することが難しいため、再利用する場合は銅配線形成工程でしか利用できない)。
ウェーハ再生事業の特徴として、半導体市況の影響を受け難く収益性が安定している点が挙げられる。半導体市況の低迷期には、製造ラインへのプライムウェーハの投入量は落とすものの、歩留まり改善など品質向上を目的としたモニタウェーハの投入量は基本的に変わらないためだ。
(3) プライムウェーハ
プライムウェーハの製造工程は、坩堝のなかで結晶化したシリコンを回転させながら引き上げる前工程と、シリコンを円盤形のウェーハにスライスし研磨や表面処理を行う後工程からなる。それぞれの工程で高い技術力が要求されるが、事業としての成否はウェーハ品質に直結する前工程の技術力にかかっている。シリコンの引き上げスピードや各種条件によって品質に差が出るためで、プライムウェーハとしての品質基準(均質な純度、酸素濃度や抵抗値等)をクリアするウェーハをいかに多く得られるかで収益性が変わってくる。同じ新品ウェーハでも品質によってグレードが分けられ、一定基準に満たなければ価格の低いモニタウェーハ用として販売されるためだ。
プライムウェーハは中国の山東GRITEKで製造販売している。強みとしては半導体産業の育成が中国政府の国策となっており、内資企業として様々な優遇制度を活用できる点にある。技術面では、後工程の研磨・洗浄工程においてウェーハ再生事業で長年培った業界トップクラスの技術力が生かせる点にある。また、現在は中国市場で販売しているが、将来的には全世界での販売を視野に入れており、その際にはウェーハ再生事業の顧客基盤を生かせる点も強みとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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