注目トピックス 日本株
セグエ Research Memo(1):中長期的な投資などにより営業減益となるも、事業は好調に推移
配信日時:2024/10/09 14:01
配信元:FISCO
*14:01JST セグエ Research Memo(1):中長期的な投資などにより営業減益となるも、事業は好調に推移
■要約
セグエグループ<3968>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する、セキュリティとIT(情報技術)インフラ専門の企業グループの持株会社である。培った技術を基盤として、自社開発(セキュリティプロダクト、セキュリティサービスの企画開発)、代理店(Value Added Distributor(以下、VAD):他社メーカー製品を技術的付加価値とともに販社やユーザーに提供するビジネス)、システムインテグレーション(セキュリティ・ITインフラなどを組み合わせたソリューションを提供するビジネス)の3つのビジネスを展開している。元来セキュリティ製品の輸入販売とソリューション提供に強みを有しているが、最近は自社開発ソフトウェアの「RevoWorks」シリーズ(RevolutionとWorksを合わせた造語で、コンテナ技術を用いて、セキュアブラウザ機能と仮想デスクトップ機能を提供するテレワークソリューション)や、2022年に新設したセグエセキュリティのセキュリティサービスの販売に注力している。2026年12月期を最終年度とする新中期経営計画では、従来のビジネスの拡大に加えて、成長が期待される海外ビジネスに注力し、さらにM&Aによる上乗せを目指す。
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高8,410百万円(前年同期比7.1%減)、売上総利益2,126百万円(同2.0%増)、営業利益346百万円(同44.7%減)、経常利益739百万円(同22.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益434百万円(同6.4%増)であった。納期遅延解消によりプロダクト売上が特需的に増大した前年対比では、売上高は減収となったが、ほぼ計画どおりの着地であり、売上総利益は過去最高を更新した。営業利益は、M&A関連費用、株主優待費用、人材関連費用などの販管費増大により大幅減益となった。しかし、経常利益は第1四半期に計上したデリバティブ解約益により増益となった。ビジネス別業績では、VADビジネスは、セキュリティプロダクトの販売、プロダクトに付随するサービスの増加により増収増益であった。システムインテグレーションビジネスは、大型案件のあった前年同期に比べて減収減益となったが、ほぼ計画どおりであった。自社開発ビジネスは、RevoWorksの案件を順調に獲得し、また、セグエセキュリティが売上を計画通りに伸長させ、増収増益であった。M&Aなどにより資産合計は増加した一方、自己株式の取得などに伴い純資産が減少したため、自己資本比率は22.9%に低下した。利益還元の姿勢をより明確にするために、2023年12月期より中間配当を開始し、2024年12月期第2四半期末も1株当たり5.0円と前年同期と同水準の中間配当を実施した。さらに、当中間期より新たに株主優待制度を導入している。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績については、2024年4月発表の修正予想のとおり、売上高18,800百万円(前期比7.8%増)、営業利益960百万円(同11.6%減)、経常利益1,330百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益773百万円(同17.2%増)を見込んでいる。2023年12月期決算発表時の期初予想では、人員強化や投資を続けながらセキュリティ、ITインフラ製品及び関連サービスの販売を推進することで増収増益を予想していた。しかし、自己株式の消却、株式分割、株主優待制度の導入に伴い、株主数が大幅に増加し、株主優待に要する費用が増加する見込みとなったことで、営業利益を下方修正した。また、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については、デリバティブ解約益の計上により上方修正している。中間期業績の通期業績予想に対する進捗率は、経常利益及び親会社株主に帰属する中間純利益は55%強と順調に推移しているものの、売上高及び営業利益は40%前後にとどまっている。ただ、中間期に過去最高を記録した受注残高が下期には売上高に変わること、また従来から下期偏重の決算であることから、通期予想は十分に達成可能であると弊社では見ている。なお、期末配当については1株当たり6.0円を予定しており、年間配当は11.0円(前期比1.0円増)となり、配当性向は基準とする50.0%に達する見込みだ。期末も株主優待を実施し、株主還元にも十分に配慮していると言えよう。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2022年12月期~2024年12月期の中期経営計画を推進していたが、2023年12月期には売上高目標を1年前倒しで達成したことから、新中期経営計画「Segue300」(2024年12月期~2026年12月期)を発表した。最終年度に売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円を目指す。さらに、M&Aを織り込んだチャレンジ目標として、売上高30,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,178百万円を掲げる。業績目標達成のために、「基盤となる技術者の大幅増員」「既存ビジネスの成長」「変化、改革」「企業価値向上」に取り組み、サイバーセキュリティニーズ拡大への対応や海外ビジネスの確立を図る。従来のVADビジネス・システムインテグレーションビジネス・自社開発ビジネスの強化に加えて、新たに海外を追加して4ビジネス体制にする。新中期経営計画は始まったばかりであるが、2024年12月期中間期には業績目標達成の基盤となる営業系役員や営業部長クラス、技術者を計画以上に大幅に増員するなど、ビジネス拡大の基盤を整えた。引き続き、今後の進捗状況に注目したい。
■Key Points
・IT分野におけるセキュリティソリューションプロバイダーとして、トータルソリューションを提供
・2024年12月期中間期は、営業利益はM&A関連費用、株主優待費用などにより減益も、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益はデリバティブ解約益の計上などにより増益。VADビジネス及び自社開発ビジネスが好調。前年同期と同額の中間配当を実施し、株主優待制度を導入
・2024年12月期は、期初の業績予想を修正。中間期と同様、営業利益の減益、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益の増益を見込む。期末配当を増配、株主優待を実施し、株主還元にも十分に配慮
・新中期経営計画「Segue300」を発表。セキュリティ需要の拡大を背景に、成長戦略の推進により業績拡大を目指す。従来からのビジネスの拡大に加え海外ビジネスに注力、M&Aも積極活用
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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セグエグループ<3968>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する、セキュリティとIT(情報技術)インフラ専門の企業グループの持株会社である。培った技術を基盤として、自社開発(セキュリティプロダクト、セキュリティサービスの企画開発)、代理店(Value Added Distributor(以下、VAD):他社メーカー製品を技術的付加価値とともに販社やユーザーに提供するビジネス)、システムインテグレーション(セキュリティ・ITインフラなどを組み合わせたソリューションを提供するビジネス)の3つのビジネスを展開している。元来セキュリティ製品の輸入販売とソリューション提供に強みを有しているが、最近は自社開発ソフトウェアの「RevoWorks」シリーズ(RevolutionとWorksを合わせた造語で、コンテナ技術を用いて、セキュアブラウザ機能と仮想デスクトップ機能を提供するテレワークソリューション)や、2022年に新設したセグエセキュリティのセキュリティサービスの販売に注力している。2026年12月期を最終年度とする新中期経営計画では、従来のビジネスの拡大に加えて、成長が期待される海外ビジネスに注力し、さらにM&Aによる上乗せを目指す。
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高8,410百万円(前年同期比7.1%減)、売上総利益2,126百万円(同2.0%増)、営業利益346百万円(同44.7%減)、経常利益739百万円(同22.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益434百万円(同6.4%増)であった。納期遅延解消によりプロダクト売上が特需的に増大した前年対比では、売上高は減収となったが、ほぼ計画どおりの着地であり、売上総利益は過去最高を更新した。営業利益は、M&A関連費用、株主優待費用、人材関連費用などの販管費増大により大幅減益となった。しかし、経常利益は第1四半期に計上したデリバティブ解約益により増益となった。ビジネス別業績では、VADビジネスは、セキュリティプロダクトの販売、プロダクトに付随するサービスの増加により増収増益であった。システムインテグレーションビジネスは、大型案件のあった前年同期に比べて減収減益となったが、ほぼ計画どおりであった。自社開発ビジネスは、RevoWorksの案件を順調に獲得し、また、セグエセキュリティが売上を計画通りに伸長させ、増収増益であった。M&Aなどにより資産合計は増加した一方、自己株式の取得などに伴い純資産が減少したため、自己資本比率は22.9%に低下した。利益還元の姿勢をより明確にするために、2023年12月期より中間配当を開始し、2024年12月期第2四半期末も1株当たり5.0円と前年同期と同水準の中間配当を実施した。さらに、当中間期より新たに株主優待制度を導入している。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績については、2024年4月発表の修正予想のとおり、売上高18,800百万円(前期比7.8%増)、営業利益960百万円(同11.6%減)、経常利益1,330百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益773百万円(同17.2%増)を見込んでいる。2023年12月期決算発表時の期初予想では、人員強化や投資を続けながらセキュリティ、ITインフラ製品及び関連サービスの販売を推進することで増収増益を予想していた。しかし、自己株式の消却、株式分割、株主優待制度の導入に伴い、株主数が大幅に増加し、株主優待に要する費用が増加する見込みとなったことで、営業利益を下方修正した。また、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については、デリバティブ解約益の計上により上方修正している。中間期業績の通期業績予想に対する進捗率は、経常利益及び親会社株主に帰属する中間純利益は55%強と順調に推移しているものの、売上高及び営業利益は40%前後にとどまっている。ただ、中間期に過去最高を記録した受注残高が下期には売上高に変わること、また従来から下期偏重の決算であることから、通期予想は十分に達成可能であると弊社では見ている。なお、期末配当については1株当たり6.0円を予定しており、年間配当は11.0円(前期比1.0円増)となり、配当性向は基準とする50.0%に達する見込みだ。期末も株主優待を実施し、株主還元にも十分に配慮していると言えよう。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2022年12月期~2024年12月期の中期経営計画を推進していたが、2023年12月期には売上高目標を1年前倒しで達成したことから、新中期経営計画「Segue300」(2024年12月期~2026年12月期)を発表した。最終年度に売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円を目指す。さらに、M&Aを織り込んだチャレンジ目標として、売上高30,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,178百万円を掲げる。業績目標達成のために、「基盤となる技術者の大幅増員」「既存ビジネスの成長」「変化、改革」「企業価値向上」に取り組み、サイバーセキュリティニーズ拡大への対応や海外ビジネスの確立を図る。従来のVADビジネス・システムインテグレーションビジネス・自社開発ビジネスの強化に加えて、新たに海外を追加して4ビジネス体制にする。新中期経営計画は始まったばかりであるが、2024年12月期中間期には業績目標達成の基盤となる営業系役員や営業部長クラス、技術者を計画以上に大幅に増員するなど、ビジネス拡大の基盤を整えた。引き続き、今後の進捗状況に注目したい。
■Key Points
・IT分野におけるセキュリティソリューションプロバイダーとして、トータルソリューションを提供
・2024年12月期中間期は、営業利益はM&A関連費用、株主優待費用などにより減益も、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益はデリバティブ解約益の計上などにより増益。VADビジネス及び自社開発ビジネスが好調。前年同期と同額の中間配当を実施し、株主優待制度を導入
・2024年12月期は、期初の業績予想を修正。中間期と同様、営業利益の減益、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益の増益を見込む。期末配当を増配、株主優待を実施し、株主還元にも十分に配慮
・新中期経営計画「Segue300」を発表。セキュリティ需要の拡大を背景に、成長戦略の推進により業績拡大を目指す。従来からのビジネスの拡大に加え海外ビジネスに注力、M&Aも積極活用
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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