注目トピックス 日本株
ジーニー Research Memo(7):2025年3月期も引き続き高成長を維持
配信日時:2024/10/09 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST ジーニー Research Memo(7):2025年3月期も引き続き高成長を維持
■ジーニー<6562>の今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績予想は、売上収益10,200百万円(前期比27.3%増)、売上総利益8,000百万円(同30.3%増)、営業利益2,300百万円(同49.4%増)、税引前利益2,200百万円(同72.3%増)、当期利益1,700百万円(同64.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,700百万円(同64.7%増)を見込む。なお業績予想においては、2024年7月に子会社化したソーシャルワイヤー分の金額は含まれていない。現時点で、シナジー等は未考慮の参考値であるものの、ソーシャルワイヤー分の対外公表ベースの金額を「デジタルPR」セグメントとして売上収益及び各段階利益に加算した場合の業績予想は、売上収益12,400百万円(前期比54.8%増)、売上総利益9,400百万円(同53.1%増)、営業利益2,370百万円(同54.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,740百万円(同68.6%増)となる。
2025年3月期は、広告プラットフォーム事業について、引き続きエンタープライズ企業との取引深耕、特に大手広告代理店経由での取引開拓に注力するほか、大手メディアの開拓による取引拡大を目指す。同事業においては、GoogleによるサードパーティーCookieの廃止方針に対応した業績予想の計画や代替技術の開発を進めていたが、今般Googleが廃止方針を撤回したことでその影響が売上及び損益面で緩和されることとなり、計画達成に向けた明るい材料の1つとなった。マーケティングSaaS事業については、SFA/CRM、CHAT等の製品群をさらに機能強化することで競争力を高めるとともに、マーケティング施策を展開することでエンタープライズ企業との取引を拡大していく。また海外事業についてはZeltoにおけるメディア各社の取引開拓のほか、国内のサプライ・デマンドサイドへの製品のクロスセルを活発化させる予定である。これらの方針を推進することで目標達成を図る。業績予想にあたっては、2024年3月期におけるエンタープライズ領域での取引拡大の成果から、同領域に注力する計画で、さらなる業績拡大に自信を深めているようだ。海外事業に関しては、米国の金利水準の高止まりによる海外広告収益単価の回復の遅れを一定程度見込んだうえで予想しており、この点では保守的な見通しとなる。子会社化したソーシャルワイヤーと同社とのシナジーも期待されることから、業績予想を上回る実績を計上する可能性は大いにあると弊社では見ている。
2. セグメント別業績予想
(1) 広告プラットフォーム事業
売上収益は5,400百万円(前期比25.4%増)、セグメント利益2,700百万円(同20.3%増)と、増収増益を計画する。インターネット広告市場が年々拡大を続けるなか、特に動画領域の伸長が顕著なことを受け、同社としても2024年3月期に続いて動画領域での顧客ニーズの発掘や積極的な提案を行う。エンタープライズ領域でのシェア拡大に向けた顧客開拓、及び既存顧客の取引拡大については、サプライサイド及びデマンドサイドの両面から推進し、事業のさらなる成長を図る。ほかにも、2023年にリリースした「GENIEE RMP」をツールとして、小売・EC事業者に対する開拓も引き続き進めていく。
(2) マーケティングSaaS事業
売上収益は3,700百万円(前期比36.8%増)、セグメント利益800百万円(同271.1%増)を計画している。費用対効果の高いマーケティング施策を展開しつつ、「GENIEE SFA/CRM」「GENIEE CHAT」「GENIEE MA」等の各製品をアップデートすることで競争力を高めることにより、エンタープライズ領域でのさらなるシェア拡大を図る。製品のアップデートについては、JAPAN AIとの協業によりAI技術を活用し、顧客のさらなる利便性の向上を目指す。また、既存顧客の低い解約率維持のための施策を引き続き実施することで、売上収益の拡大を図る。
インターネットの普及とECビジネスの発達に伴い、BtoB、BtoCビジネスにおいても顧客の購買行動を的確に把握、予想して営業活動に生かすマーケティング活動は、これまで以上に重視されている。企業の営業活動については、長時間労働是正の流れのなかでより効率化することが求められているため、SFAやCRM等のような企業の営業活動の効率化やパフォーマンス向上に効果のある製品は注目されており、企業での導入が進んでいる。2024年7月、同社製品は「ITreview Grid Award 2024 Summer」にて「2024 Spring」より2期連続で「Leader」の表彰を受けた。この制度は、「ITreview」に投稿されたレビューを基に、四半期に1度、ユーザーに支持された製品を表彰する制度であるが、同社の「SFA/CRM」が満足度と認知度の双方で優れた製品として評価された。
これは、同社製品は認知度が高く、導入後の顧客満足度も高いことの証左である。このような実績は今後の営業活動においても他社製品との比較で競争力の高さを支えるものになろう。一方で製品間の競争も激化しており、今後も企業に選ばれる製品となるためには、顧客企業のニーズにきめ細かく対応するとともに、機能と価格のバランスの取れた製品を提供し、ニーズの変化に迅速に対応することが重要である。それには、高い技術力とこれまでに培った広告・マーケティング事業のノウハウを生かし、製品・サービスの提供や、カスタマーサクセスに向けて導入から活用までの手厚いサポートを続けることが、同社の業績向上のカギを握ると考えられる。
(3) 海外事業
海外事業については、売上収益は1,500百万円(前期比20.1%増)、セグメント利益300百万円(同49.0%増)を計画する。Zeltoを子会社化したことで、市場を東南アジアからインドや北米まで拡大しており、同社主導での経営改善により業績を安定的に向上させる考えだ。海外広告収益の単価については、米国での金利水準の高止まりにより回復が遅れており、2025年3月期もその影響を受けることが想定されるが、現地での継続的なメディア開拓により売上成長を目指す。国内のサプライサイド及びメディアサイドとのクロスセルを進め、Zeltoの子会社化による相乗効果を発揮させることで計画達成を図る。
3. 市場規模
同社は、2025年3月期第1四半期の決算発表において、2025年3月期にターゲットとする市場(現時点で同社が進出している市場)規模が全社合計で7,200億円である旨公表した。内訳は、アドプラットフォーム(広告プラットフォーム)領域で2,050億円、マーケティングSaaS領域で4,590億円、海外事業領域で530億円である。同社は2027年3月期に、アドプラットフォーム領域で87億円、マーケティングSaaS領域で61億円、海外事業領域で23億円のシェア獲得を目指す。
電通グループが共同により公表した「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、検索連動型広告は前年比109.9%で、インターネット広告媒体費に占める構成比は39.9%となった。取引手法別では、運用型広告は前年比110.9%の2ケタ成長を見せ、インターネット広告媒体費に占める構成比は87.4%となった。またビデオ(動画)広告市場は前年比115.9%と、広告種別で最も高い成長率を示している。インターネット広告媒体費の今後については、2024年も堅調に推移し、全体で前年比108.4%の2兆9,124億円まで増加すると予測している。広告業界では媒体が「紙」から「デジタル」への移行が顕著に表れている。また、インフレ下において企業はより需要が見込まれる消費者に訴える動きに向かいやすく、デジタル分野を収益の柱として事業を展開する同社へは追い風になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績予想は、売上収益10,200百万円(前期比27.3%増)、売上総利益8,000百万円(同30.3%増)、営業利益2,300百万円(同49.4%増)、税引前利益2,200百万円(同72.3%増)、当期利益1,700百万円(同64.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,700百万円(同64.7%増)を見込む。なお業績予想においては、2024年7月に子会社化したソーシャルワイヤー分の金額は含まれていない。現時点で、シナジー等は未考慮の参考値であるものの、ソーシャルワイヤー分の対外公表ベースの金額を「デジタルPR」セグメントとして売上収益及び各段階利益に加算した場合の業績予想は、売上収益12,400百万円(前期比54.8%増)、売上総利益9,400百万円(同53.1%増)、営業利益2,370百万円(同54.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,740百万円(同68.6%増)となる。
2025年3月期は、広告プラットフォーム事業について、引き続きエンタープライズ企業との取引深耕、特に大手広告代理店経由での取引開拓に注力するほか、大手メディアの開拓による取引拡大を目指す。同事業においては、GoogleによるサードパーティーCookieの廃止方針に対応した業績予想の計画や代替技術の開発を進めていたが、今般Googleが廃止方針を撤回したことでその影響が売上及び損益面で緩和されることとなり、計画達成に向けた明るい材料の1つとなった。マーケティングSaaS事業については、SFA/CRM、CHAT等の製品群をさらに機能強化することで競争力を高めるとともに、マーケティング施策を展開することでエンタープライズ企業との取引を拡大していく。また海外事業についてはZeltoにおけるメディア各社の取引開拓のほか、国内のサプライ・デマンドサイドへの製品のクロスセルを活発化させる予定である。これらの方針を推進することで目標達成を図る。業績予想にあたっては、2024年3月期におけるエンタープライズ領域での取引拡大の成果から、同領域に注力する計画で、さらなる業績拡大に自信を深めているようだ。海外事業に関しては、米国の金利水準の高止まりによる海外広告収益単価の回復の遅れを一定程度見込んだうえで予想しており、この点では保守的な見通しとなる。子会社化したソーシャルワイヤーと同社とのシナジーも期待されることから、業績予想を上回る実績を計上する可能性は大いにあると弊社では見ている。
2. セグメント別業績予想
(1) 広告プラットフォーム事業
売上収益は5,400百万円(前期比25.4%増)、セグメント利益2,700百万円(同20.3%増)と、増収増益を計画する。インターネット広告市場が年々拡大を続けるなか、特に動画領域の伸長が顕著なことを受け、同社としても2024年3月期に続いて動画領域での顧客ニーズの発掘や積極的な提案を行う。エンタープライズ領域でのシェア拡大に向けた顧客開拓、及び既存顧客の取引拡大については、サプライサイド及びデマンドサイドの両面から推進し、事業のさらなる成長を図る。ほかにも、2023年にリリースした「GENIEE RMP」をツールとして、小売・EC事業者に対する開拓も引き続き進めていく。
(2) マーケティングSaaS事業
売上収益は3,700百万円(前期比36.8%増)、セグメント利益800百万円(同271.1%増)を計画している。費用対効果の高いマーケティング施策を展開しつつ、「GENIEE SFA/CRM」「GENIEE CHAT」「GENIEE MA」等の各製品をアップデートすることで競争力を高めることにより、エンタープライズ領域でのさらなるシェア拡大を図る。製品のアップデートについては、JAPAN AIとの協業によりAI技術を活用し、顧客のさらなる利便性の向上を目指す。また、既存顧客の低い解約率維持のための施策を引き続き実施することで、売上収益の拡大を図る。
インターネットの普及とECビジネスの発達に伴い、BtoB、BtoCビジネスにおいても顧客の購買行動を的確に把握、予想して営業活動に生かすマーケティング活動は、これまで以上に重視されている。企業の営業活動については、長時間労働是正の流れのなかでより効率化することが求められているため、SFAやCRM等のような企業の営業活動の効率化やパフォーマンス向上に効果のある製品は注目されており、企業での導入が進んでいる。2024年7月、同社製品は「ITreview Grid Award 2024 Summer」にて「2024 Spring」より2期連続で「Leader」の表彰を受けた。この制度は、「ITreview」に投稿されたレビューを基に、四半期に1度、ユーザーに支持された製品を表彰する制度であるが、同社の「SFA/CRM」が満足度と認知度の双方で優れた製品として評価された。
これは、同社製品は認知度が高く、導入後の顧客満足度も高いことの証左である。このような実績は今後の営業活動においても他社製品との比較で競争力の高さを支えるものになろう。一方で製品間の競争も激化しており、今後も企業に選ばれる製品となるためには、顧客企業のニーズにきめ細かく対応するとともに、機能と価格のバランスの取れた製品を提供し、ニーズの変化に迅速に対応することが重要である。それには、高い技術力とこれまでに培った広告・マーケティング事業のノウハウを生かし、製品・サービスの提供や、カスタマーサクセスに向けて導入から活用までの手厚いサポートを続けることが、同社の業績向上のカギを握ると考えられる。
(3) 海外事業
海外事業については、売上収益は1,500百万円(前期比20.1%増)、セグメント利益300百万円(同49.0%増)を計画する。Zeltoを子会社化したことで、市場を東南アジアからインドや北米まで拡大しており、同社主導での経営改善により業績を安定的に向上させる考えだ。海外広告収益の単価については、米国での金利水準の高止まりにより回復が遅れており、2025年3月期もその影響を受けることが想定されるが、現地での継続的なメディア開拓により売上成長を目指す。国内のサプライサイド及びメディアサイドとのクロスセルを進め、Zeltoの子会社化による相乗効果を発揮させることで計画達成を図る。
3. 市場規模
同社は、2025年3月期第1四半期の決算発表において、2025年3月期にターゲットとする市場(現時点で同社が進出している市場)規模が全社合計で7,200億円である旨公表した。内訳は、アドプラットフォーム(広告プラットフォーム)領域で2,050億円、マーケティングSaaS領域で4,590億円、海外事業領域で530億円である。同社は2027年3月期に、アドプラットフォーム領域で87億円、マーケティングSaaS領域で61億円、海外事業領域で23億円のシェア獲得を目指す。
電通グループが共同により公表した「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、検索連動型広告は前年比109.9%で、インターネット広告媒体費に占める構成比は39.9%となった。取引手法別では、運用型広告は前年比110.9%の2ケタ成長を見せ、インターネット広告媒体費に占める構成比は87.4%となった。またビデオ(動画)広告市場は前年比115.9%と、広告種別で最も高い成長率を示している。インターネット広告媒体費の今後については、2024年も堅調に推移し、全体で前年比108.4%の2兆9,124億円まで増加すると予測している。広告業界では媒体が「紙」から「デジタル」への移行が顕著に表れている。また、インフレ下において企業はより需要が見込まれる消費者に訴える動きに向かいやすく、デジタル分野を収益の柱として事業を展開する同社へは追い風になると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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