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明日の株式相場に向けて=「トランプかハリスか」分水嶺に立つ米国

配信日時:2024/09/10 17:03 配信元:MINKABU
 きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比56円安の3万6159円と6日続落。相変わらず方向感の定まらない千鳥足相場だが、後場取引終盤になって無機質な売りが間断なく出て、結局マイナス圏に押し出されての着地となった。週末のメジャーSQに絡んでは「3万4000円のプット建玉が目立っている」という市場関係者の指摘があり、魔の水曜日から週後半に向けて売り仕掛けへの警戒感も漂う。  現地時間10日、日本時間ではあすの午前中に共和党トランプ前大統領と民主党ハリス副大統領のテレビ討論会が行われる。この結果次第で、次期大統領が決まるとまでは言い切れないが、大袈裟に表現すれば米国のみならず世界政治の方向性を左右するほど重要性の高いイベントといえるかもしれない。現時点でややハリス氏優勢という見方はあるものの、極めて接戦であることに変わりはない。端的に言えば今回の討論会のポイントはスイングステートでの無党派層、いわゆる浮動票をどう取り込むかの一点に尽きる。トランプ減税恒久化と法人税の21%から15%への引き下げを掲げ、更に財政出動にも積極姿勢をみせるトランプ氏。片やハリス氏は逆に法人税を21%から28%に引き上げ、富裕層をターゲットにキャピタルゲイン課税を20%から28%に引き上げるという方針を表明している。株式市場の側から見て、どちらがウェルカムなのかは言うまでもない。ただし、日本にとっては安倍首相亡き後、トランプ氏と相対峙できる人材が永田町に存在するのかという問題を考慮すれば、今のバイデン政権の延長線の米国の方が安心感はある。どちらが優位に立っても当面は消化難といえるが、11月の大統領選までの期間中、基本的に株式市場は次期大統領候補をネガティブな方向で織り込もうとはしないはずである。  東京市場に目を向けると、最近はグロース市場に光が当たっている。目先上昇一服局面ではあるが、為替の影響を受けにくい内需の中小型株が多いこともあってプライム市場よりも相対的に強い。グロース250指数は8月27日と9月3日に680近辺で2点天井をつけたようにも見えるが、直近は上向きの25日移動平均線がサポートする形で切り返す動きにある。日経平均株価との波動を比較すれば一目瞭然で、個別株戦略も今の時間軸ではグロース上場銘柄に照準を合わせるのが作戦的に有効といえる。  例えばデータセンター関連は半導体周辺株のイメージはあるものの、ここ株価調整圧力に晒されている半導体主力銘柄との連動性はあまりない。そうしたなか、グロース市場に上場するデータセンター関連も少数だが存在する。その一つであるグリッド<5582.T>は、同社が手掛ける電力・エネルギー分野向けのAI計画最適化システムが、データセンター向けで商機を捉えている。直近急騰モードにあり、短期的には過熱感も拭えないが、週足ベースでは26週移動平均線をブレイクし中期的な上値余地は十分で押し目は狙えそうだ。また、同じくグロース上場銘柄でデータセンター関連の新星としてマークしておきたいのがトリプルアイズ<5026.T>だ。Webシステム開発とAIを用いた画像認識ソリューションを活躍領域とするが、グループ会社を通じてコンテナ型データセンターを開発し提供を開始、今後も時流に乗って事業展開力を強めていく可能性が高い。  このほか国内の消費関連が強い動きをみせており、流れに乗る銘柄としてイベント運営のほか企業の販促活動を支援する博展<2173.T>に目を配っておきたいところ。業績は絶好調といってよく、12倍弱の時価予想PERは依然として割安感が強い。  そして、グロース市場と言えばバイオ関連株の宝庫でもある。バイオベンチャーは先行投資型で利益の出ていない企業が目立つとはいえ、将来的なビジネスモデルに夢を内包する銘柄も決して少なくない。そのうちのいくつかは、グロース市場の株式需給改善を経て見直し機運が台頭している。そのなか、東京大学発のバイオベンチャーで抗体医薬品の開発を手掛けるペルセウスプロテオミクス<4882.T>をマーク。開発力が高く、筆頭株主の富士フイルムホールディングス<4901.T>に抗体医薬や抗体薬物複合体などを導出した実績がある。  あすのスケジュールでは、午前中に日銀の中川審議委員が秋田県金融経済懇談会で挨拶を行うほか、午後取引時間中に中川審議委員の金融経済懇談会後の記者会見も予定される。海外では8月の米消費者物価指数(CPI)に対するマーケットの関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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