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小型株シフトと非M7底値拾いで上昇堅持 (1) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2024/08/15 11:40
配信元:MINKABU
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
●THE S&P 500 MARKET:2024年7月
個人的見解:資産配分の見直しと利食い売りを背景に市場のボラティリティが上昇。7月のS&P 500指数の上昇率は1.13%、年初来では15.78%上昇
●インデックスの動き
7月前半の株式市場は年初来の上昇基調が持続し(なお、2023年は24.23%上昇し、配当込みのトータルリターンはプラス26.29%)、最高値の更新が続きました(7月の最高値更新回数は7回、年初来では38回。2023年は0回)。7月16日が最後の最高値更新となりましたが(終値での最高値は5667.20、取引時間中の最高値は5669.67)、その時点でS&P500指数 の月初からの上昇率は3.79%、年初来では18.90%でした。しかし、翌日の7月17日以降、市場の潮目と経済環境が変化し、大型株から小型株へと投資先を移す動きが、特に情報技術セクター(マグニフィセント・セブン銘柄:M7を含む)で顕著となりました。その後、S&P500指数は4.72%下落して、月初からの騰落率がマイナスに落ち込みました(1.12%下落)。しかし、再び買い戻す動きが強まり(底値買いも見られました)、市場は押し上げられました。S&P500指数は月の最終日に1.58%の力強い上昇を記録しました(市場に優しいFRB:米連邦準備制度理事会に対する期待感も一役買いました)。
最終的に7月のS&P500指数は1.13%上昇(配当込みのトータルリターンは1.22%)となり、2024年に入って2度目の月間騰落率がマイナスとなる事態を回避しました(4月の騰落率は4.16%の下落、配当込みのトータルリターンはマイナス4.08%)。なお、6月は3.47%上昇(同プラス3.59%)、5月は4.80%上昇(同プラス4.96%)で、過去3ヵ月間の騰落率は9.66%上昇となりました(同プラス10.05%)。年初来では15.78%上昇となり(同プラス16.70%)、年率換算にすると28.26%上昇(同プラス29.99%)に相当します。
7月は値上がり銘柄数が364銘柄に増え、値下がり銘柄数が139銘柄に減少しました(6月末時点での年初来では、値上がり銘柄数が301銘柄に対し、値下がり銘柄数は200銘柄)。また、7月は22営業日のうち14営業日で上昇しました(6月は19営業日のうち12営業日で上昇。年初来では146営業日のうち82営業日で上昇)。さらに11セクターのうち9セクターが上昇しました(6月は5セクターが上昇)、出来高は前月比10%減(営業日数調整後)、前年同月比では4%減となりました。
S&P500指数の時価総額は7月に5360億ドル増加(6月は1兆5460億ドル増加)して、46兆3790億ドルとなりました。年初来では6兆3400億ドル増加しました。2023年は7兆9060億ドルの増加、2022年は8兆2240億ドルの減少でした。
⇒ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は7月に3回最高値を更新しました(年初来では22回。終値での最高値は4万1198.08ドル、取引時間中の最高値は4万1221.98ドル)。また、7月中に初めて終値で4万ドル台と4万1000ドル台を突破しました。最高値からの下落幅も限定的で(株価加重型の算出方法を採用しており、マグニフィセント・セブン銘柄の構成比率が限定的なため)、7月は4.41%上昇して(配当込みのトータルリターンは4.51%)、4万0842.79ドルで月を終えました。6月は1.12%上昇して(同プラス1.23%)3万9118.86ドル、また5月は2.30%上昇して(同プラス2.58%)3万8686.32ドルで月を終えました。
過去3ヵ月間の騰落率は8.00%上昇(同プラス8.53%)、年初来では8.37%上昇(同プラス9.52%)、過去1年間では14.86%上昇(同プラス17.22%)となっています。2023年は13.70%の上昇(同プラス16.18%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)でした。
○7月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は、0.95%と6月の0.77%から上昇し、年初来では0.84%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。
○7月の出来高は、6月の前月比1%増加の後に、同10%減少し(営業日数調整後)、前年同月比では4%減少となりました。2024年7月までの12ヵ月間では前年同期比7%減少しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年では同6%増でした。
○7月は1%以上変動した日数は22営業日中6日(上昇が4日、下落が2日)で、2022年12月以来となる1日で2%の下落(7月24日に-2.32%)を記録しました。6月は1%以上変動した日数は19営業日中1日(上昇が1日、下落はなし)でした。年初来では、1%以上変動した日数は27日(上昇が18日、下落が9日)で、2%以上変動した日数は2日(2月22日に2.11%の上昇が1日、下落が1日)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。7月は22営業日中9日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日はありませんでした。対して6月は1%以上の変動が19営業日中4日で、2%以上変動した日はありませんでした。
年初来では、42日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日数は2日ありました。2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が219日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。
過去の実績を見ると、7月は60.4%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.89%、下落した月の平均下落率は3.24%、全体の平均騰落率は1.70%の上昇となっています。2024年7月のS&P500指数は1.13%の上昇でした。
8月は57.3%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.89%、下落した月の平均下落率は3.90%、全体の平均騰落率は0.64%の上昇となっています。
今後の米連邦公開市場委員会FOMCのスケジュールは、2024年は9月17日-18日、11月6日-7日、12月17日-18日、2025年は1月28日-29日となっています。
●主なポイント
○7月の市場は1.13%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス1.22%)となり、6月(3.47%上昇、同プラス3.59%)と5月(4.80%上昇、同プラス4.96%)の力強い上昇基調を持続しました。終値での最高値を月内に7回更新し(終値での最高値は5667.20、取引時間中の最高値は5669.67)、初めて終値で5500台と5600台を突破しました。過去3ヵ月では9.66%上昇(同プラス10.05%)となりました。また、年初来では15.78%上昇(同プラス16.69%)となり、年率換算すると28.26%上昇(同プラス29.99%)に相当します。経済指標の力強さ(予想を上回る消費者物価指数:CPIと小売売上高の増加)と、市場で9月の初回利下げ観測(0.25%)が強まったこと(市場が織り込む利下げ確率は87%)を背景に、市場では資産を小型株に振り向ける動きが見られ、力強く上昇していた大型株に小型株のパフォーマンスが追い付いていく展開となりました。反対に、(昨年から今年にかけて)大きく値上がりした大型株や情報技術セクター(マグニフィセント・セブン銘柄を含む)に利食い売りが入り、S&P500指数に対する売り圧力が高まりました。
⇒マグニフィセント・セブン銘柄は、時価総額の大きさから市場全体や株価指数に与える影響が大きいため、グループとして見た場合、引き続き重要です。これら7銘柄のS&P500指数の年初来上昇率に占める割合は52%となっています。7月は7銘柄の株価は平均1.18%下落しました(17.28%上昇したテスラを除くと3.82%の下落)。一方で、指数構成銘柄の平均騰落率は4.36%上昇となっています。
※「小型株シフトと非M7底値拾いで上昇堅持 (2)」へ続く
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