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常勝街道に回帰!目標値は6カ月連続で上昇 (4) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】
配信日時:2024/06/19 11:41
配信元:MINKABU
●個別銘柄
○iPhoneメーカーのアップルはiPad ProとiPad Airの新機種をリリースし、更新されていないエントリーレベル(第10世代モデル)のiPadの価格を従来の429ドルから349ドルに引き下げました。アップルはまた、iPhoneにAIが組み込まれることを示し、独自のAIチップに取り組んでいると付け加えました。さらに、2024年6月に予定されているアップル・ワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンスでAIに関する重大発表があると述べました。同社は開発者にAIを使ったプログラムの作成を促しています。
○米国司法省は、航空機メーカーのボーイングが2件のジェット機墜落死亡事故に関して、2021年に米司法省と結んだ起訴猶予合意に違反したとして、同社を刑事訴追する可能性があることを明らかにしました。
○電気自動車メーカーテスラの株主は2024年6月16日開催の株主総会で、最高経営責任者(CEO)兼創業者であるイーロン・マスク氏のストックオプション(現在の評価額は460億ドル)の再承認の投票を行う予定です。同氏のストックオプションは前回の投票で承認を得ましたが、裁判所が無効と判断しています。
○報道によると、半導体大手のインテルは、アイルランド工場向けに、投資会社のApolloから最大110億ドルの資金提供を受ける方向で協議を進めています。インテルは1000億ドルの投資計画で、米国工場の拡張を進めています。
○娯楽大手のウォルト・ディズニーがテーマパークの入場者数について警告したことから、利食い売りが発生しました。コーヒーハウスチェーンのスターバックスの声明と考え合わせると、この警告は個人消費支出の減速と消費者がより選別的になっていることを物語っており、この点は多くの企業が指摘しています。
○報道によると、サウジアラビアは同国の国有石油企業アラムコ(Aramco)の新株発行で最大200億ドルを調達するとのことです。
●注目点
○ソーシャルメディア企業ティックトック(TikTok)をめぐる騒動は続いています。TikTokは、米国で中国企業として存続し続けるための法的戦いを開始し、中国の親会社がTikTok事業を売却しなければ、米国でのTikTok利用を禁止することを定めた新しい法律は違憲だとして提訴しました(憲法修正第1条への違反を主張しています)。法廷闘争は米大統領選後まで続くとみられます。
○化学大手のデュポン・ド・ヌムールは、多様化する産業分野に注力するため、エレクトロニクス事業と水関連事業を分離して会社を3分割し、それぞれを上場すると発表しました。デュポンは18?24ヵ月以内に会社分割を完了させる見通しです。
○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、電力事業を手掛けるビストラをS&P500指数に追加し、エクソン・モービルに1株につき同社株式2.3234株で買収されたシェール大手のパイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PDX)を同指数から除外しました。
●配当金
○2024年5月の配当支払い額は前年同月比1.5%増加しました(4月は同5.2%増、2月は同9.0%減。暦が配当の支払いスケジュールに影響しました)。年初来の支払い額は前年同期比で3.6%増加しました。
⇒5月の配当支払い額は前年同月の1株当たり7.72ドルから7.84ドルに増加し、支払総額も前年同月の645億3000万ドルから657億7000万ドルに増加しました。
○2024年5月は、増配が24件、配当開始が0件、減配が2件で、配当停止は0件でした。2023年5月は、増配が17件、配当開始が1件で、減配は5件、配当停止は1件でした。
⇒年初来では、増配が169件、配当開始が5件、減配が9件、配当停止が0件となっています。2023年の同期間は、増配が178件、配当開始が3件、減配が12件で、配当停止は4件でした。
⇒2023年通年では、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件ありました。2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件で、配当停止はありませんでした。
○5月の増配率の中央値は、4月の7.18%および3月の7.14%から6.12%に低下し、年初来では6.78%(4月末時点は6.90%)となっています。5月の平均増配率は4月の8.63%から7.05%に低下し(3月は8.04%)、年初来では8.33%(4月末時点は8.49%。いずれも2倍以上になった銘柄を除く)となりました。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。
○2024年の配当に関して、予想は増加となっており、年間の増配率は1936年以降の平均である5.79%を上回る見通しです。この予想では、アルファベットによる新たな配当(年間配当額を86億6000万ドル押し上げ)、米連邦公開市場委員会(FOMC)による2024年第3四半期末時点での利下げ開始に加えて(注:9月18日のFOMCによる政策決定までに、7-9月期の配当の全てが発表され、ほとんどが支払い済みとなるうえ、10-12月期の配当支払いへの影響は限られる見通し)、景気の大幅な減速は回避され、インフレ再燃への懸念は抑制され続け、政府の財政政策の大きな調整はない(政策とインセンティブの継続を予想)ことを織り込んでおり、2024年の実際の現金支払い額は、2023年の5880億ドルから約7.0%増加して、6350億ドルになると予想しています(2023年は5.05%増、2022年は10.80%増)。これにより2024年の現金配当は、15年連続の増加と13年連続の過去最高の更新が見込まれます。
⇒注目すべき点として、足元の2024年4-6月期の配当支払い額は、過去最高を記録した2023年10-12月期を0.12%下回っている模様で、6月の配当の発表(6月に支払われる分について)によっては、過去最高を更新する可能性もあります。2024年10-12月期の配当支払い額は四半期として過去最高の更新が予想されます(2024年通年では過去最高を優に更新)。
●インデックス・レビュー
◇S&P 500指数
今回は最高値更新までに本当に長い時間がかかりました。実際には48日(営業日ベースでは33日)だったのですが、もっと長くかかったように思われます。S&P500指数は4月の値下がり分(4.16%下落)を取り戻し、今年に入って23回目となる終値での最高値を更新しました(5月15日の水曜日の5308.15。前回の最高値更新は3月28日の5254.35)。
株式市場は堅調な上昇基調を辿りました。週次騰落率は5週連続でプラスとなり(累計上昇率6.79%)、5300台を突破(5月16日の日中高値は5325.49)して、再び終値での最高値を更新しました(5月21日に年初来で24回目の最高値となる5321.41を記録)。しかしながら、5月の最終週になると小幅反落しました(0.51%下落)。(古き良き)利食い売りが出たようです(5月の最終営業日の午後には買いが戻り、前日比0.84%の下落から0.80%の上昇まで回復して月の取引を終えました)。
S&P500指数は5月に4.80%上昇して5277.51で月を終えました(5月中に騰落率が5.67%まで上昇する場面もありました)。市場は4月の4.16%の下落分を優に取り戻し、年初来の上昇率は10.64%となりました(5月の取引最終日の終値は終値での最高値から0.83%下落)。
ダウ平均も5月15日の3万9908.00ドル、次いで5月17日の4万0003.59ドルと、5月中に2回、最高値を更新しました(終値で4万ドルを超えたのは17日だけでした。なお16日には日中高値で4万0051.05ドルをつけました)。5月は2.30%上昇の3万8686.32ドルで取引を終え、年初来の騰落率は2.64%の上昇となりました。
5月の市場は再び常勝街道に回帰しました(4.80%上昇。配当込みのトータルリターンはプラス4.96%)。限定的ながら広範囲にわたって下落した4月の値下がり分(4.16%下落。同マイナス4.08%)を取り返しただけでなく優に取り戻し、大幅高となった2024年1-3月期のリターン(10.16%上昇、同プラス10.56%)から上昇率をさらにさせ、年初来の上昇率を10.64%(同プラス11.30%)としました。これを年率換算すると27.11%の上昇(同プラス28.90%)に相当します。
市場は引き続き政策金利が長期間にわたって高止まりすることを受け入れており、FRBによる最初の利下げ(0.25%)は9月になるとの予想を(辛うじてではありますが)維持しています。先物市場は年内に2回目の利下げがあることを織り込んだ動きを見せています(とはいえ、先物にはヘッジやポジション調整の動きも反映されていることも広く指摘されています)。要するに、米国経済と雇用(個人消費を下支えしているほか、税収を通じて、財政赤字が続く政府支出の一部分の下支えを含めて)が底堅さを維持している限り、市場はFRBが思うように政策運営を進めていくことに異論はないようです(利上げについては議論しなかったというパウエル議長の発言を都合よく受け止めて以降、こうした傾向が強まりました)。
マグニフィセントセブン銘柄に関して言えば、(年初来で株価が28.3%下落しているテスラと同0.1%下落しているアップルを含めてもなお)これら7銘柄の市場への影響力は依然として大きく、S&P500指数の年初来上昇率に占める割合は56%になっています。また、7銘柄の5月の平均騰落率はプラス8.1%となり、市場(平均騰落率はプラス2.6%で、米国市場は依然として上昇がなお上位銘柄に集中している状態にあります)をアウトパフォームしたという明確なデータもあります。運用担当者もこれら7銘柄への投資を継続しています(なお、株式やオプションを通じて各銘柄を個人的に売買することはあるようです)。
5月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は0.77%と4月の1.13%から大幅に低下し、年初来では0.84%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。5月の出来高は、4月の前月比14%減少の後に、同4%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では4%減となりました。2024年5月までの12ヵ月間は前年同期比5%増加しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年は同6%増でした。
5月は11セクター中10セクターが上昇しました。4月は1セクターのみの上昇で、3月と2月は全11セクターが上昇しました。5月のパフォーマンスが最高となったのは情報技術で、9.95%上昇しました(年初来では16.93%上昇、2021年末比では30.00%上昇)。パフォーマンスが最低(かつ5月に唯一下落したセクター)だったのはエネルギーで、0.97%下落しました(同10.62%上昇、同67.49%上昇)。
5月は1%以上変動した日数は22営業日中3日(上昇が3日、下落が0日)で、2%以上変動した営業日はありませんでした。4月は1%以上変動した日数は22営業日中7日(上昇が3日、下落が4日。2%以上変動した日はなし)でした。年初来では、1%以上変動した日数は20日(上昇が13日、下落が7日)で、2%以上変動した日数は1日(上昇)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。
5月は22営業日中4日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日ありませんでした。対して4月は1%以上の変動が22営業日中12日で、2%以上変動した日数は2日でした。年初来では、29日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動は2日でした。2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。
5月は値上がり銘柄数が増加し、値下がり銘柄数を大幅に上回りました。5月の値上がり銘柄数は327銘柄(平均上昇率は6.66%)と、4月の118銘柄(同3.11%)から増加しました。5月の10%以上上昇した銘柄数は62銘柄(同16.77%)と、4月の3銘柄(同12.12%)から増加し、8銘柄25%以上上昇しました(4月はゼロ)。一方、5月の値下がり銘柄数は176銘柄(平均下落率は4.84%)と、4月の385銘柄(同7.54%)から減少しました。5月は10%以上下落した銘柄数は21銘柄(同14.90%)で、4月の107銘柄(同13.81%)から減少し、25%以上下落した銘柄はありませんでした(4月は2銘柄)。
2024年年初来では、値上がり銘柄数は312銘柄(平均上昇率は15.49%)で、173銘柄(同23.85%)が10%以上上昇し、50銘柄が25%以上上昇しました。一方、値下がり銘柄数は189銘柄(平均下落率は10.76%)で、86銘柄(同18.05%)が10%以上下落し、16銘柄が25%以上下落しました。2023年通年では2022年から改善し、値上がり銘柄数は322銘柄で、値下がり銘柄数は179銘柄でした。10%以上上昇した銘柄数は248銘柄、10%以上下落した銘柄数は85銘柄でした。143銘柄が25%以上上昇し、20銘柄が25%以上下落しました。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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