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上新電機 Research Memo(7):2025年3月期は中期経営計画の2年目として増収増益を計画(1)
配信日時:2024/06/06 16:07
配信元:FISCO
*16:07JST 上新電機 Research Memo(7):2025年3月期は中期経営計画の2年目として増収増益を計画(1)
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
上新電機<8173>の2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.6%増の410,000百万円、営業利益が同7.6%増の9,000百万円、経常利益が同9.1%増の9,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.7%増の6,000百万円を見込む。営業利益率は2.2%と2024年3月期の2.1%とわずか0.1%の改善だけにとどまる計画なのはやや物足りなく映る。上期と下期に分けると、上期は売上高が同0.3%増の198,000百万円、営業利益が同0.3%増の4,600百万円と売上高、営業利益ともにほぼ横ばい想定としており、下期は売上高が同2.8%増の212,000百万円、営業利益が同16.5%増の4,400百万円と上期よりも下期に成長率の加速を織り込む計画である。商品カテゴリー別では、同社が得意とするゲーム機は主力メーカーの新機種発売前の移行期にあたるため売上高が大きく減少する可能性が高い一方、2024年3月期に売上高が減少したエアコンやパソコンなどは増加へ転じる可能性が高そうだ。パソコン分野においてはWindows 10のサポート終了が2025年10月14日となっていること、また、HPなどメーカー側からもAIの処理に特化したチップを内蔵したAI PCが今後相次いで投入される見通しであり、2025年3月期下期から2026年3月期上期にかけて買い替え需要が加速する可能性があるため注目したい。
2. 中期経営計画「JT-2025経営計画」の概要
同社は2023年5月に2026年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画「JT-2025経営計画」を公表した。「JT-2025経営計画」においては、2030年までの8年間をパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿を達成するには最初の3年間で何をすべきかという視点から検討したものである。
(1) 定量目標
数値目標としては、2026年3月期において売上高4,200億円、営業利益110億円、営業利益率2.6%、ROE8.0%以上、ROA及びROIC5.0%以上、配当性向30%以上、3ヶ年営業キャッシュ・フロー累計400〜450億円、また、2031年3月期のあるべき姿は、営業利益率4.0%レベル、ROE10.0%以上、ROA及びROIC7.0%以上、配当性向30%以上持続としている。やみくもに売上高の拡大を追うことなく、収益性重視の視点で競合他社比でもやや低位にとどまる営業利益率の改善に主眼を置いた計画だ。また、営業利益率以上にROEの大幅な改善を狙っており、その実現のためには2024年3月26日に発表された配当性向の30%から40%への引き上げだけでなく、さらなる配当性向の引き上げや自己株式の取得などによる自己資本の圧縮についても一段と積極的に検討する必要があるだろう。弊社の試算では、ROE8.0%を達成するためには、2024年3月期末の純資産104,613百万円を2026年3月期末には94,000百万円程度へ圧縮するか、純資産を圧縮しない場合は2026年3月期の営業利益を120億円超と現在の前提から超過しない限りこの目標の達成は難しい。上場企業各社がPBR1倍の達成に向けた取り組みを強化するなか、同社も中期経営計画で公表したROE8.0%は必達目標として、収益力の拡大と自己株式の取得も含めたさらなる株主還元の強化に期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<HN>
1. 2025年3月期の業績見通し
上新電機<8173>の2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.6%増の410,000百万円、営業利益が同7.6%増の9,000百万円、経常利益が同9.1%増の9,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.7%増の6,000百万円を見込む。営業利益率は2.2%と2024年3月期の2.1%とわずか0.1%の改善だけにとどまる計画なのはやや物足りなく映る。上期と下期に分けると、上期は売上高が同0.3%増の198,000百万円、営業利益が同0.3%増の4,600百万円と売上高、営業利益ともにほぼ横ばい想定としており、下期は売上高が同2.8%増の212,000百万円、営業利益が同16.5%増の4,400百万円と上期よりも下期に成長率の加速を織り込む計画である。商品カテゴリー別では、同社が得意とするゲーム機は主力メーカーの新機種発売前の移行期にあたるため売上高が大きく減少する可能性が高い一方、2024年3月期に売上高が減少したエアコンやパソコンなどは増加へ転じる可能性が高そうだ。パソコン分野においてはWindows 10のサポート終了が2025年10月14日となっていること、また、HPなどメーカー側からもAIの処理に特化したチップを内蔵したAI PCが今後相次いで投入される見通しであり、2025年3月期下期から2026年3月期上期にかけて買い替え需要が加速する可能性があるため注目したい。
2. 中期経営計画「JT-2025経営計画」の概要
同社は2023年5月に2026年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画「JT-2025経営計画」を公表した。「JT-2025経営計画」においては、2030年までの8年間をパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿を達成するには最初の3年間で何をすべきかという視点から検討したものである。
(1) 定量目標
数値目標としては、2026年3月期において売上高4,200億円、営業利益110億円、営業利益率2.6%、ROE8.0%以上、ROA及びROIC5.0%以上、配当性向30%以上、3ヶ年営業キャッシュ・フロー累計400〜450億円、また、2031年3月期のあるべき姿は、営業利益率4.0%レベル、ROE10.0%以上、ROA及びROIC7.0%以上、配当性向30%以上持続としている。やみくもに売上高の拡大を追うことなく、収益性重視の視点で競合他社比でもやや低位にとどまる営業利益率の改善に主眼を置いた計画だ。また、営業利益率以上にROEの大幅な改善を狙っており、その実現のためには2024年3月26日に発表された配当性向の30%から40%への引き上げだけでなく、さらなる配当性向の引き上げや自己株式の取得などによる自己資本の圧縮についても一段と積極的に検討する必要があるだろう。弊社の試算では、ROE8.0%を達成するためには、2024年3月期末の純資産104,613百万円を2026年3月期末には94,000百万円程度へ圧縮するか、純資産を圧縮しない場合は2026年3月期の営業利益を120億円超と現在の前提から超過しない限りこの目標の達成は難しい。上場企業各社がPBR1倍の達成に向けた取り組みを強化するなか、同社も中期経営計画で公表したROE8.0%は必達目標として、収益力の拡大と自己株式の取得も含めたさらなる株主還元の強化に期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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