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SI Research Memo(6):ERP事業はインボイス制度対応案件の増加などにより2ケタ増収増益に
配信日時:2024/05/21 13:56
配信元:FISCO
*13:56JST SI Research Memo(6):ERP事業はインボイス制度対応案件の増加などにより2ケタ増収増益に
■システムインテグレータ<3826>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前期比6.3%増の739百万円、セグメント利益※は同16.0%増の332百万円と増収増益となり、2024年1月に修正発表した会社計画(売上高737百万円、事業利益323百万円)を若干上回って着地した。売上高は「Object Browser」シリーズが横ばい水準にとどまったものの、「OBPM Neo」が2ケタ増収となり増収増益要因となった。
※2024年2月期より各事業の収益状況をより正確に把握できるようにするため、事業セグメント別利益を全社共通費用(一般管理費:727百万円)控除前ベースで開示するようにした。2023年2月期のセグメント利益についても同基準に基づいて見直している。従来は共通費用を各事業セグメントの売上高に応じて配分し、各事業の利益から差し引いていたため売上規模の大きいERP事業の収益性が実態よりも低く反映されていた。
「OBPM Neo」は、コロナ禍で停止していた各種マーケティング施策を再開したことで新規顧客の獲得が進んだほか、解約率も低水準で推移したことでMRR(Monthly Recurring Revenue:月次課金収入)が順調に積み上がり、第4四半期には前年同期比14.9%増の32百万円と過去最高を更新している。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比22.1%減の713百万円、セグメント利益は同46.3%減の172百万円となり、修正会社計画(売上高706百万円、事業利益175百万円)とほぼ同水準で着地した。コロナ禍の収束に伴い、小売企業の投資方針がEC領域からリアル店舗やDX関連の投資に比重が移り始めたことや、顧客ニーズの変化への対応が遅れたこともあり、新規受注の獲得に苦戦した。また、2024年1月1日に同事業を合弁会社化したことで2カ月分の売上・利益がなくなったことも減収減益要因となった。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前期比19.6%増の3,295百万円、セグメント利益は同30.7%増の652百万円となり、修正会社計画(売上高3,359百万円、事業利益682百万円)を若干下回ったものの、売上高で4期ぶりに過去最高を更新するなど好調な業績となった。2023年10月より施行されたインボイス制度に対応するための「GRANDIT」既存顧客からの開発案件が増加したほか、2024年1月から義務化された改正電子帳簿保存法への対応を想定した「電帳法対応ソリューション」の販売も増加した。これら法改正に関連した需要で数億円の増収要因になったと見られる。特にインボイス制度対応案件は高採算だったこともあり、事業利益率が前期の18.1%から19.8%に上昇する要因ともなった。なお、四半期ベースで見ると第4四半期の売上高は前年同期比7.2%増の868百万円と増収が続いたが、セグメント利益は同20.7%減の147百万円と減益に転じた。人件費の増加(賞与アップ、教育費の増加)に加えて高採算案件がなくなったことも影響したと見られる。
(4) AI事業
AI事業の売上高は前期比44.8%減の37百万円、セグメント損失は42百万円(前期は13百万円の損失)となり、修正会社計画(売上高42百万円、セグメント損失32百万円)に対して若干下回った。ディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」の検証考察(PoC含む)件数は一定数あるものの、検査工程の設備見直しや運用提案まで要求されるケースが多いほか、製造ラインへの本格導入にはまだ慎重な企業が多いのが現状だ。2024年2月期も既存顧客1社からの増設案件を見込んでいたが、成果検証やその検討に時間を要し導入時期が先送りされたことが収益の下振れ要因となった。PoC案件は、フィルム製品のほか輸送機器用部品、ペットボトルのキャップや電設資材など幅広いが、異物検知の精度向上やシステム導入による費用対効果の検証などに時間を要していると見られる。
こうした状況を踏まえて、同社は顧客がより簡単に精度検証を行えるよう2023年10月から(株)RUTILEA製のAI外観検査システム「Image Pro」の取扱いを開始した。同製品の特長は、専門的なプログラミングの知識を必要とせず、マウス操作のみで検査対象となる画像の異常箇所を色やキズ、凹みなどの異常パターンごとにユーザーが直感的にパラメーター設定できる点にある。また、AIとルールベースのアルゴリズムを組み合わせることで検査精度の向上も期待でき、開発期間の大幅な短縮が実現可能となる。発表後にセミナーを開催しているが、反響も上々のようだ。今後は「AISIA-AD」に「Image Pro」の機能を組み合わせるなどしてシステムの完成度を高め、収益化を目指す。
(5) その他
新規事業が含まれるその他の売上高は前期比1.9%減の50百万円、セグメント損失は57百万円(前期は75百万円の損失)となり、おおむね修正会社計画(売上高48百万円、セグメント損失63百万円)どおりに着地した。損失額の縮小要因は、2023年2月期に事業撤退したカスタマーサクセス支援サービス「VOICE TICKETS」の損失分がなくなったことも一因となっている。また、「IDEA GARDEN」については導入先が広がらず、2025年2月期末で事業撤退する方針を決定している。
プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、新規顧客の獲得が進んだ一方で既存顧客の解約も一定数発生し、期末の契約社数は前期末比1社減の46社となった。売上単価の低い顧客の構成比が上昇したため、MRRも漸減傾向が続いており、第4四半期のMRRは前年同期比10.7%減の2,806千円となった。ただ、継続利用を促すカスタマーサクセス活動に注力したことで、解約率は第2四半期以降0.7%と1%を下回る水準が続き一定の成果を見せている。また、2024年2月にAI解析機能やスキルグラフ機能を追加し、受験者の解答傾向や解法を分析・可視化できるようにした。同機能を活用することでエンジニアの育成スピードを高める効果が期待される。顧客ターゲットを企業の人事・採用部門や研修サービス企業などに絞ってマーケティング活動を強化しており、今後の契約社数増加につなげていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前期比6.3%増の739百万円、セグメント利益※は同16.0%増の332百万円と増収増益となり、2024年1月に修正発表した会社計画(売上高737百万円、事業利益323百万円)を若干上回って着地した。売上高は「Object Browser」シリーズが横ばい水準にとどまったものの、「OBPM Neo」が2ケタ増収となり増収増益要因となった。
※2024年2月期より各事業の収益状況をより正確に把握できるようにするため、事業セグメント別利益を全社共通費用(一般管理費:727百万円)控除前ベースで開示するようにした。2023年2月期のセグメント利益についても同基準に基づいて見直している。従来は共通費用を各事業セグメントの売上高に応じて配分し、各事業の利益から差し引いていたため売上規模の大きいERP事業の収益性が実態よりも低く反映されていた。
「OBPM Neo」は、コロナ禍で停止していた各種マーケティング施策を再開したことで新規顧客の獲得が進んだほか、解約率も低水準で推移したことでMRR(Monthly Recurring Revenue:月次課金収入)が順調に積み上がり、第4四半期には前年同期比14.9%増の32百万円と過去最高を更新している。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比22.1%減の713百万円、セグメント利益は同46.3%減の172百万円となり、修正会社計画(売上高706百万円、事業利益175百万円)とほぼ同水準で着地した。コロナ禍の収束に伴い、小売企業の投資方針がEC領域からリアル店舗やDX関連の投資に比重が移り始めたことや、顧客ニーズの変化への対応が遅れたこともあり、新規受注の獲得に苦戦した。また、2024年1月1日に同事業を合弁会社化したことで2カ月分の売上・利益がなくなったことも減収減益要因となった。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前期比19.6%増の3,295百万円、セグメント利益は同30.7%増の652百万円となり、修正会社計画(売上高3,359百万円、事業利益682百万円)を若干下回ったものの、売上高で4期ぶりに過去最高を更新するなど好調な業績となった。2023年10月より施行されたインボイス制度に対応するための「GRANDIT」既存顧客からの開発案件が増加したほか、2024年1月から義務化された改正電子帳簿保存法への対応を想定した「電帳法対応ソリューション」の販売も増加した。これら法改正に関連した需要で数億円の増収要因になったと見られる。特にインボイス制度対応案件は高採算だったこともあり、事業利益率が前期の18.1%から19.8%に上昇する要因ともなった。なお、四半期ベースで見ると第4四半期の売上高は前年同期比7.2%増の868百万円と増収が続いたが、セグメント利益は同20.7%減の147百万円と減益に転じた。人件費の増加(賞与アップ、教育費の増加)に加えて高採算案件がなくなったことも影響したと見られる。
(4) AI事業
AI事業の売上高は前期比44.8%減の37百万円、セグメント損失は42百万円(前期は13百万円の損失)となり、修正会社計画(売上高42百万円、セグメント損失32百万円)に対して若干下回った。ディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」の検証考察(PoC含む)件数は一定数あるものの、検査工程の設備見直しや運用提案まで要求されるケースが多いほか、製造ラインへの本格導入にはまだ慎重な企業が多いのが現状だ。2024年2月期も既存顧客1社からの増設案件を見込んでいたが、成果検証やその検討に時間を要し導入時期が先送りされたことが収益の下振れ要因となった。PoC案件は、フィルム製品のほか輸送機器用部品、ペットボトルのキャップや電設資材など幅広いが、異物検知の精度向上やシステム導入による費用対効果の検証などに時間を要していると見られる。
こうした状況を踏まえて、同社は顧客がより簡単に精度検証を行えるよう2023年10月から(株)RUTILEA製のAI外観検査システム「Image Pro」の取扱いを開始した。同製品の特長は、専門的なプログラミングの知識を必要とせず、マウス操作のみで検査対象となる画像の異常箇所を色やキズ、凹みなどの異常パターンごとにユーザーが直感的にパラメーター設定できる点にある。また、AIとルールベースのアルゴリズムを組み合わせることで検査精度の向上も期待でき、開発期間の大幅な短縮が実現可能となる。発表後にセミナーを開催しているが、反響も上々のようだ。今後は「AISIA-AD」に「Image Pro」の機能を組み合わせるなどしてシステムの完成度を高め、収益化を目指す。
(5) その他
新規事業が含まれるその他の売上高は前期比1.9%減の50百万円、セグメント損失は57百万円(前期は75百万円の損失)となり、おおむね修正会社計画(売上高48百万円、セグメント損失63百万円)どおりに着地した。損失額の縮小要因は、2023年2月期に事業撤退したカスタマーサクセス支援サービス「VOICE TICKETS」の損失分がなくなったことも一因となっている。また、「IDEA GARDEN」については導入先が広がらず、2025年2月期末で事業撤退する方針を決定している。
プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、新規顧客の獲得が進んだ一方で既存顧客の解約も一定数発生し、期末の契約社数は前期末比1社減の46社となった。売上単価の低い顧客の構成比が上昇したため、MRRも漸減傾向が続いており、第4四半期のMRRは前年同期比10.7%減の2,806千円となった。ただ、継続利用を促すカスタマーサクセス活動に注力したことで、解約率は第2四半期以降0.7%と1%を下回る水準が続き一定の成果を見せている。また、2024年2月にAI解析機能やスキルグラフ機能を追加し、受験者の解答傾向や解法を分析・可視化できるようにした。同機能を活用することでエンジニアの育成スピードを高める効果が期待される。顧客ターゲットを企業の人事・採用部門や研修サービス企業などに絞ってマーケティング活動を強化しており、今後の契約社数増加につなげていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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