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ベトナム株に不透明感【フィスコ・コラム】
配信日時:2024/04/28 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST ベトナム株に不透明感【フィスコ・コラム】
ベトナム株式市場で代表的な株価指数VNが年明け以降の上昇分を帳消しにしつつあります。3月末まで順調に上値を伸ばしていたにもかかわらず、4月に入って急落。その後も不安定な相場が続き、先行きは不透明です。売りに転じた海外勢は戻るでしょうか。
VN指数は年明けに1130付近で寄り付くと、世界的な株高に追随し、緩やかながらも上昇基調を強めていきました。2月には心理的節目の1200を上抜け、3月には心理的節目の1300が一時射程圏内に入りました。しかし、その後は大幅高と大幅安を繰り返し、やや不安定化。一気に6%も下げた日もあり、直近の取引で年初来高値から2週間で100ポイントも安い1170付近まで水準を切り下げています。
ベトナム経済がアジアをけん引していることに疑念の余地はないものの、2023年の国内総生産(GDP)成長率は5.05%と、政府目標の6.5%に達していません。2024年のGDP成長率は6.0-6.5%と期待されるものの、1-3月期は5.66%で市場予想を下回りました。GDPの4割以上を占めるサービス業をはじめ、製造業と不動産市場も停滞が目立ちます。想定ほど成長していない状況が株価に反映されていると言えそうです。
VN指数と言えば、2022年後半に1530から880付近まで4割超も下げた軟調地合いが想起されます。この時は米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ主要中銀の金融引き締めを受け、株価が世界的に圧迫されました。さらにベトナムでは当時、不動産大手の不正な資金調達が発覚し、政府の規制強化で不動産株が下げを主導。その後、2023年以降のベトナム中銀の相次ぐ利下げによりベトナム市場は回復していました。
それにもかかわらず、春先以降は外国人投資家による売りが強まり始めました。その背景に通貨ドンの下落があります。2024年の年初は1ドル=24300-600ドン付近で安定していましたが、米インフレ再加速で連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め的な政策の継続を見込んだドル買い基調に振れます。また、中東情勢の緊迫化でドル買い・ドン売りが進み、ドンは最安値を連日更新しました。
地政学リスクとドンの不安定化により、海外勢はベトナム株の利益確定や持ち高調整の売りを進めていると考えられます。一方、昨年から国家主席の交代をはじめ、権力闘争や汚職事件への関与とみられる政治の不安定化が鮮明で、これが投資の縮小につながっている可能性も指摘されます。コロナ禍の「勝者」とされたベトナムですが、中国同様に不動産バブル崩壊の行方、政局流動化が目先の注目材料になりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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VN指数は年明けに1130付近で寄り付くと、世界的な株高に追随し、緩やかながらも上昇基調を強めていきました。2月には心理的節目の1200を上抜け、3月には心理的節目の1300が一時射程圏内に入りました。しかし、その後は大幅高と大幅安を繰り返し、やや不安定化。一気に6%も下げた日もあり、直近の取引で年初来高値から2週間で100ポイントも安い1170付近まで水準を切り下げています。
ベトナム経済がアジアをけん引していることに疑念の余地はないものの、2023年の国内総生産(GDP)成長率は5.05%と、政府目標の6.5%に達していません。2024年のGDP成長率は6.0-6.5%と期待されるものの、1-3月期は5.66%で市場予想を下回りました。GDPの4割以上を占めるサービス業をはじめ、製造業と不動産市場も停滞が目立ちます。想定ほど成長していない状況が株価に反映されていると言えそうです。
VN指数と言えば、2022年後半に1530から880付近まで4割超も下げた軟調地合いが想起されます。この時は米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ主要中銀の金融引き締めを受け、株価が世界的に圧迫されました。さらにベトナムでは当時、不動産大手の不正な資金調達が発覚し、政府の規制強化で不動産株が下げを主導。その後、2023年以降のベトナム中銀の相次ぐ利下げによりベトナム市場は回復していました。
それにもかかわらず、春先以降は外国人投資家による売りが強まり始めました。その背景に通貨ドンの下落があります。2024年の年初は1ドル=24300-600ドン付近で安定していましたが、米インフレ再加速で連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め的な政策の継続を見込んだドル買い基調に振れます。また、中東情勢の緊迫化でドル買い・ドン売りが進み、ドンは最安値を連日更新しました。
地政学リスクとドンの不安定化により、海外勢はベトナム株の利益確定や持ち高調整の売りを進めていると考えられます。一方、昨年から国家主席の交代をはじめ、権力闘争や汚職事件への関与とみられる政治の不安定化が鮮明で、これが投資の縮小につながっている可能性も指摘されます。コロナ禍の「勝者」とされたベトナムですが、中国同様に不動産バブル崩壊の行方、政局流動化が目先の注目材料になりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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