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窪田製薬HD Research Memo(1):2024年は「Kubota Glass」の製品改良等に取り組む方針
配信日時:2024/04/16 13:21
配信元:FISCO
*13:21JST 窪田製薬HD Research Memo(1):2024年は「Kubota Glass」の製品改良等に取り組む方針
■要約
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、医療のデジタル化を推進すべく、眼科領域に特化した革新的な治療薬・医療デバイスの開発に取り組んでいる。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善する効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「eyeMO(アイモ)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
2022年8月から国内でメガネ型AR(拡張現実)デバイスとして販売を開始した「Kubota Glass」(販売価格は税込77万円)の売上高は、2023年12月期で39百万円(前期比31百万円増)となった。オーダーメイド製品で当初は部品不足の問題から注文から納品まで3ヶ月程度かかっていたが直近は1~2ヶ月まで短縮しており、数は少ないもののコンスタントに販売できているようだ。2024年12月期は顧客満足度向上に向けた製品改良やサービス強化を図るとともに、セミナー開催など認知度向上にも取り組む方針だ。海外では近視人口の多い中国で販売パートナー候補との交渉を進めているが、まずは製品の完成度を高めることに注力する。また、近視進行抑制効果などのエビデンスもアカデミアとの共同研究により積み重ね、将来的には医療用製品としての販売を目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には273億米ドルに拡大するとの予測もあり、潜在的な市場規模は大きく今後の動向が注目される。
2. そのほか主要パイプラインの動向
遠隔眼科医療モニタリング機器「eyeMO」については、インドの眼科用医療品メーカーであるAUROLABと共同開発に向けた基本合意書を2023年12月に締結した。インドやその周辺国、中東、アフリカなどの一部の国を対象に、低価格化した「eyeMO」を独占的に開発、製造販売する権利を供与し、医療機関や公共施設への導入を目指す。契約条件は交渉中だが、販売に応じたロイヤリティを受領する見込みだ。また、同年12月に国内でIQVIAサービシーズジャパン(合)とベンダー契約を締結し、中外製薬<4519>が資金提供を予定する特定臨床研究※で「eyeMO」を貸与する。いずれも短期的な業績への影響は軽微なものの、中長期的に収益貢献が期待される取り組みとして注目される。一方、「エミクススタト塩酸塩」はスターガルト病を対象とした第3相臨床試験の結果で有意差が得られなかったが、その後のデータ解析により初期症状段階の被験者群では黄斑萎縮の進行抑制で有意差が確認されており、現在は同データを用いて日本を含む各国で早期承認制度の活用含め検討を進めている。
※糖尿病黄斑浮腫患者に対して、患者が自宅で本機器の使用が可能であるかの検証と、測定値の妥当性を医療者によって評価する。本研究の前にフィージビリティスタディを実施する予定。
3. 業績動向
2023年12月期の連結業績は、事業収益が「Kubota Glass」の販売収入増加により39百万円(前期比31百万円増)となり、営業損失は研究開発費が同724百万円減少したことを主因として1,504百万円(同534百万円縮小)となった。2024年12月期の連結業績見通しは、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、開発費用も状況によって変動する可能性があることから、現時点で合理的な算定が困難と判断し非開示としているが、コストの最適化については引き続き取り組む方針だ。なお、2023年12月期末の手元資金は2,767百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあるため、新株予約権の行使により資金調達を進めることとしている。
■Key Points
・「Kubota Glass」は製品改良とサービス強化による顧客満足度向上を2024年の重点方針とする
・「eyeMO」はインド大手企業と共同開発に向けた契約を締結、国内でも糖尿病黄斑浮腫患者を対象とした特定臨床研究で使用される見込み
・スターガルト病を適応症としたエミクススタト塩酸塩は国内で早期承認制度を活用して上市を目指すことを検討
・2024年12月期の業績見通しは非開示だが、費用はKubota Glass事業を除いて抑制する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、医療のデジタル化を推進すべく、眼科領域に特化した革新的な治療薬・医療デバイスの開発に取り組んでいる。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善する効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「eyeMO(アイモ)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
2022年8月から国内でメガネ型AR(拡張現実)デバイスとして販売を開始した「Kubota Glass」(販売価格は税込77万円)の売上高は、2023年12月期で39百万円(前期比31百万円増)となった。オーダーメイド製品で当初は部品不足の問題から注文から納品まで3ヶ月程度かかっていたが直近は1~2ヶ月まで短縮しており、数は少ないもののコンスタントに販売できているようだ。2024年12月期は顧客満足度向上に向けた製品改良やサービス強化を図るとともに、セミナー開催など認知度向上にも取り組む方針だ。海外では近視人口の多い中国で販売パートナー候補との交渉を進めているが、まずは製品の完成度を高めることに注力する。また、近視進行抑制効果などのエビデンスもアカデミアとの共同研究により積み重ね、将来的には医療用製品としての販売を目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には273億米ドルに拡大するとの予測もあり、潜在的な市場規模は大きく今後の動向が注目される。
2. そのほか主要パイプラインの動向
遠隔眼科医療モニタリング機器「eyeMO」については、インドの眼科用医療品メーカーであるAUROLABと共同開発に向けた基本合意書を2023年12月に締結した。インドやその周辺国、中東、アフリカなどの一部の国を対象に、低価格化した「eyeMO」を独占的に開発、製造販売する権利を供与し、医療機関や公共施設への導入を目指す。契約条件は交渉中だが、販売に応じたロイヤリティを受領する見込みだ。また、同年12月に国内でIQVIAサービシーズジャパン(合)とベンダー契約を締結し、中外製薬<4519>が資金提供を予定する特定臨床研究※で「eyeMO」を貸与する。いずれも短期的な業績への影響は軽微なものの、中長期的に収益貢献が期待される取り組みとして注目される。一方、「エミクススタト塩酸塩」はスターガルト病を対象とした第3相臨床試験の結果で有意差が得られなかったが、その後のデータ解析により初期症状段階の被験者群では黄斑萎縮の進行抑制で有意差が確認されており、現在は同データを用いて日本を含む各国で早期承認制度の活用含め検討を進めている。
※糖尿病黄斑浮腫患者に対して、患者が自宅で本機器の使用が可能であるかの検証と、測定値の妥当性を医療者によって評価する。本研究の前にフィージビリティスタディを実施する予定。
3. 業績動向
2023年12月期の連結業績は、事業収益が「Kubota Glass」の販売収入増加により39百万円(前期比31百万円増)となり、営業損失は研究開発費が同724百万円減少したことを主因として1,504百万円(同534百万円縮小)となった。2024年12月期の連結業績見通しは、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、開発費用も状況によって変動する可能性があることから、現時点で合理的な算定が困難と判断し非開示としているが、コストの最適化については引き続き取り組む方針だ。なお、2023年12月期末の手元資金は2,767百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあるため、新株予約権の行使により資金調達を進めることとしている。
■Key Points
・「Kubota Glass」は製品改良とサービス強化による顧客満足度向上を2024年の重点方針とする
・「eyeMO」はインド大手企業と共同開発に向けた契約を締結、国内でも糖尿病黄斑浮腫患者を対象とした特定臨床研究で使用される見込み
・スターガルト病を適応症としたエミクススタト塩酸塩は国内で早期承認制度を活用して上市を目指すことを検討
・2024年12月期の業績見通しは非開示だが、費用はKubota Glass事業を除いて抑制する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
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